‘01 26号  Act.71 鏡が必要!

ドガン!
カラカラカラカラカラカラカラ

 F・Fの脳髄を切り裂いたブーメランが小騒(こうるさ)く去っていく。
 静止する時間。膝まづくF・F。静止するF・F。

「F・Fゥ―――――ッ」叫ぶ徐倫。「まずいぞ…まずい!!」 
 負傷している脇腹を抑えながらF・Fの元に行こうとする徐倫だが、それをアナスイが止める。

「やめろ…もうムダだ。「大凶の方角」は……君の体にもオレにも存在する」
「そして一度「決定」されたら防御して逃れる生き物はいないという事がこれで証明された」
「次の標的は……」

 ケンゾーがクルウルウウウと振り返る。

「君になる!」

 アナスイの言葉に合わせたかのように徐倫を指差すケンゾー。「はいやぁあああ」

「違うわ……、あたしがまずいといったのは……」
「頭を飛ばされたことの方じゃあない……「どっちかといったらF・Fは負傷して出血している方がまだ安心…」

 意味を図りかねているのか黙って徐倫を見るアナスイ。

「まずいのは!!」
「ほとんど血が出ないことの方!」
「ダメージで体内に生きるための「水分」がなくなっているッ!!
「体内のフー・ファイターズが全滅しかけているッ!」

 意味がよくわからないので、一旦落ち着いてまとめてみましょう。
つまり、F・Fがダメージを回復させているのは体内のプランクトンを増殖させているからである。ここまではOKでしょう。そしてプランクトンを増殖させるのには「水」が必要である。あれだけの大怪我をしているのにF・Fの身体から血が流れないのは「F・Fの体内の水分が尽きかけている」からである…ということですかね?

 徐倫の心配をよそにどっこい生きているF・F!

「こ…」
「こぼれなくて……よかった……」
「でも…大凶だ……確かに…」

ドンドンドンドンドンドン――――

 F・F弾連続射撃!!!

 完全にF・Fの死を確信して、F・Fに背を向けただけでなく「安全の方角」からも出ていたケンゾー。しかしケンゾーも只者ではない!F・Fが撃つ一瞬前に殺気を感じとり振り返る。しかし無数の弾丸がすでにせまっている!!

「なにーーーッ!」「戻って来い「龍(ドラゴン)」−−−ッ!!」

 あわてて龍を呼び戻そうとするケンゾーだが、3発の弾丸が右腕を貫く。

「ぶひゃでええええええ」

 ケンゾーの悲鳴!だがこの瞬間、風水ステップによって「安全の方角」に戻るケンゾー。残りの弾丸はケンゾーを通過してしまう。

「アブネェェェエエエ〜〜〜ジジィ」
「2度と……くうぅ…2度とやらん…」「油断して安全な方角から足をはみだすことは……」

 意外と元気そうなF・Fである。どうやら徐倫の意見とは違って、出血はしたがうまく頭骨からこぼれなかったために水分を再吸収できたようである。さて、そんなF・Fであるが…

「く…くそお……」
ハァ
「逃げられた…安全な方角……」
ハァ
「だが」

 勝利の作戦を考えついたF・F。独白に入る。

『「方角」というなら…』   ハァ      ハァ ハァ

『あたしにも見えてきたぞ……あの方角を破る方法が…………
「鏡」だ…必要なのは「鏡」!空中に鏡があれば………
あのドラゴンを「鏡」に映してあのじじいに安全と違う「方角」を錯覚させることができれば!
あのケンゾーをブッたたくチャンスが生まれる!』

 右の人差し指と左の人差し指の間に、ケンゾーからは見えないように、水から鏡を作りあげて自分の作戦を小さく具現化するF・F。  

『「水」が絶対必要だ。「水」で「鏡」が作れる

ハァ           ハァ      ハァ

 息が荒いF・F。ダメージが大きいのだろう。しかし、F・Fは不退転の決意を示す。

ダメージの回復にも水は必要だがここは空中に「鏡」を作るために水の補給が絶対不可欠だ!!

 

 そして対するケンゾー。

「わ…わしには……自分にはかつて…」
「3万人もの弟子がわしの教えを聞き、わしの歩くあとをついて来た…」
「だがこの刑務所に入ってからはそれがさげすみの生活に変った…」
「子供を誘拐したロリコン野郎からすらさえもバカにされ続けた…」

 3万人!すごい数です。一大帝国じゃないですか。確か…エートロも子どもを誘拐していたはず。でも野郎じゃないな。後、ロリコンでもなかったはず。
 アメリカで一番最低な犯罪はやはり子どもがらみの犯罪なんでしょうね。ケンゾーもそう思っている。そして、そんな最低な奴にさえもバカにされる屈辱…。

「40年…40年間もじゃ」
「栄光…栄光だったんじゃああああ」「40年前わしは輝いておったんじゃあああああ」

「それがまた始まる!」

 DISCを挿入されているワケでもないのにケンゾーがホワイトスネイクに荷担している理由。つまり再び教主になりたいケンゾーに対してホワイトスネイクが何らかのエサをちらつかせたのであろう。さすがDIOの親友とでも言うべきだろうか。神父はスタンド能力を使わなくても人を操る術(すべ)を心得ているのだろう。そう…、DIOは人を操作するのが上手かった。天才!恐怖と甘言、自分を神格化させる演出法、極めつけの『肉の芽』。ありとあらゆる手練手管を心得ていた。

「てめえのとどめをさしてからなぁぁぁ」「しめせ!最後じゃ!『龍の(ドラゴンズ・)ドリーム』!」
「とどめの攻撃方角を示すののじゃぁッ!!」

 再び漂い出し、方角を探知しようとする龍。それに気をとられるF・F。

ボシュアアァアアァ

 ケンゾーの飛び蹴りがF・Fを襲う!間一髪で後ろに反ってかわすが頭骨の傷から血が溢れ出す…。連続のバク転でケンゾーから距離をとるF・F!そこへ徐倫のナイスなアドバイス!!

「F・F!鉄柵の向こう側だァア――――ッ」
「『消火放水用』ののホースがあるッ!」

 徐倫の助言で消火ホースを見つけるF・F。
ダッシュ!何故か猪木の顔マネ!!
しかしケンゾーもF・Fの後を追いかける!!!

「おい、あんた!
 さっきから説明して見てるだけじゃあなくF・Fを助けて!」
「スタンド使いなんだろッ!F・Fと二人であのじじいを倒すんだ!!」

 徐倫の頼みに対するアナスイの答えは…

「F・Fが死んだらな」

 徐倫、愕然。

「オレはF・Fを助ける約束はして来ていない……契約は君を守る事だけだ」
「それに…」
「助けなくていいと言ったのはF・F本人だ。ここに来た時、負傷している君を見て…
 例えばどこかへ隠れたもう一人の男……
 この懲罰房にいる他の敵に君が攻撃されないよう守れとな……」

 徐倫の瞳に、心に飛来したものは何だろう…。

 

ガシィ

 放水用ホースにたどりつきそれを握るF・F!

「どこだ!?」「どうやって水を出すんだ!?」
「蛇口はどこにあるんだ!!」

 ホースをブチャラけるF・F。探し物はなんですか〜♪
歌っている間に(歌ったの私ですが)水の元栓を見つけるF・F!!
しかし、F・Fの背後には跳び上がるケンゾーが!!

 そして衝撃シーン!!

 気持ちよさそうにホースにくるまっている龍(笑)。本当に憎めない奴だ…。

ウッカリ触レルナヨ…ココガアンタノ大凶の方角
「守リ切ルンダ―――!!」「サモナイト」
「決定的ナ攻撃がアンタに向カウ!」「水ナンカ飲ンデイルヒマハナイ」

 そう、呑気に微笑んでいる場合ではない!前門の龍、後門のケンゾー!!
ケンゾーの飛び蹴りがF・Fに迫る!

 ここでF・Fのとった行動は!なんと!!!

「なっ」、徐倫。

「自分から!」、龍。

 そう、みずからF・Fは龍に右腕をさし伸ばしたのだ!!

「やはり水は必要なんだ…」

 そして今度は叩きつけるように、よりハッキリと龍に左腕をさしだすF・F!!

 誰の叫び?徐倫?いや我々の叫びでもある。

「F・Fなにをやってるんだぁああああああ−−−−−―ッ!!!」

「………………」、F・F。

 F・Fの作戦を復習してみよう。(1)まず水を補給する(2)水を使って鏡をつくり龍の虚像をつくる(3)それによってケンゾーに方角を勘違いさせ安全な方角(以後、恵方と表現)から追い出す。
 しかし、ジョジョファンの何割がこの作戦が決行、もしくは成功すると思っているだろうか。むろん私も信じていない。来週のF・Fの行動を予想してみよう!!

 まず両腕を龍に接触させたF・Fだが、これは割と良い行動ではないだろうか?今までの例を見てみると、大凶が引き起こされるまでにはタイムラグがある。この間に水をGETすることができるだろう。もしかしたらケンゾーの攻撃を利用して水の元栓を壊させることも考えられる。
 そして水を使っての鏡で映すのは龍ではなく自分であると予想!ケンゾーを惑わせるその行動の目的とは何か?それはケンゾーと接触すること。自分の大凶とケンゾーの恵方を合わせて運勢を中和することを狙った行動である。
 お互いの運勢が中和したため、本当のタイマン勝負!!ケンゾーの最後の攻撃により胸を貫かれるF・Fだが、そんなことは意にかいさず至近距離からF・F弾連射!!掛け声は…
「FFFFFFFFFFFF―――――ッ」(なんじゃそりゃ、笑)
 まぁ、何はともあれ来週には決着しそうですな。
 ではまた!