主人公たちの特長

 ここでは戦闘において、敵の能力の分析解析をどのように行い撃破するかを考察してみます。

 空条承太郎の売りは「冷静」さ。だがこれは承太郎の強さの一面でしかありません。その冷静さで状況を分析し、小さいころはコロンボが好きだったというその「観察力」と「推理力」で相手の能力や力量を的確に把握して相手によって一番の攻撃方法を選択します。「見ることは観ることである」という言葉は伊達ではありません。パワーがあるのに遠隔操作であるという、それまでのスタンドのルールから外れるシアーハートアタックを「動作が単純」ということから見破りました。

 東方仗助は主人公たちの中でも優れている方ではない。もちろん普通の一般人との比較ではなく、主人公たちの中での話です。仗助は知識が豊富というわけでもなく、承太郎ほどの観察力も無い。しかし仗助は、ピンチになればなるほどにそのポテンシャルを発揮します。「精神の爆発」…追い詰められれば追い詰められるほどに、叩かれれば叩かれるほどに手強くなっていく。これが仗助の力「爆発」です。
 この特色を持つもう1人の主人公が初代ジョジョのジョナサン・ジョースターです。ジョナサンも仗助も窮地に陥った時の生存への「閃き」は、常軌を越えたパワーを持ちます。

 ロープマジックを得意としたジョセフと身体を糸にする能力の徐倫は自然と闘い方も似てきます。ロープや糸を使用して罠を仕掛けておく「戦略」タイプ。
 伝統として受け継がれてきた波紋に近代テクニックであるマジックを組み合わせ、誰にも成しえなかった「柱の一族」を4人全員倒すという快挙を成し遂げました。
 徐倫の糸はスタンド能力であるためジョセフがロープを操作する以上の自在性を持ちます、しかも糸自体は音(振動も?)を探知する能力も高いためより確実に相手を罠に掛ける事が可能です。それに加え、糸を撚り合せて丈夫さを増したロープにすることを基本に、編み合わせて防弾チョッキ、楔(くさび)、手錠等多彩な糸の変化は幅の広い戦略を持たせます。

 最後にジョルノ。ジョルノの強さは「直感」です。主人公の中で一番に強力なのは私的にはジョルノだと思っています。ジョルノの凄さは「直感」により敵の能力の真髄を即座に見破ります。そして見破った結果を、豊富な知識で説明していきます。つまり承太郎が「観察」により得た情報より「結果」を導き出すこととは逆に、「結果」をまず瞬間的に看破してからあたかも最初から全てを解かっていたかのように説明していきます。例えば、グレイトフル・デッドの老いる条件を説明した場面。まず老化のスピードの違いを「男女の体温変化のスピードの違い」ということを勘で思いつきます。そこから「暑い」「男女は脂肪のつき方が違う」「老化が遅い男はコールド・ドリンクを飲んでいた」と後付けで説明していきます、そしてそれは確実に的中しているのが恐ろしい。これが事象から推測していく方法をとっているならば、あの場面ではトリッシュを残して他の者を老化させる条件は「男女」「コールドドリンクを飲んでいる」…だけではなく「身長」「体重」「血液型」「ある一定以上の高さにいた」等々いろいろ考えられたはずです。それを実験も証明もしていないのに「結果から言います!」などと自身を持っていえるのは事象から推測している方法より導き出してはいないと思われます。 

 ここまで1人1人の特長を「冷静」「爆発」「戦略」「直感」として挙げて来ましたが、全員がこれらの特長を持っています。だがこの4つの特長以上に彼等を強くしているのが、決して折れない心「信念」です。信じたものを信じぬく心、このことに迷いがない。これこそが真のジョースター家の特長です。