牛か?牛なのか?



ラオスを旅していて時々
「堪らないなぁ〜」
と思う時がある。

一番辛いのが移動。
国内の道路整備がままならないラオスでは、特に地方都市に陸路で行く場合、旅行者といえど過酷な状況に身を置かざるを得ない。
ラオス人のサイズに合わせて作られた狭いシート。運転手は人を乗せれば乗せるだけお金になるので「これでもか!」と人を詰め込む。
更に、詰め込まれているのは人間だけではない。
市場で買った様々な食材、何に使うのかわからない金属部品、足を縛られた豚、籠に入れられた鶏、蛙、魚…。

人間は(文句は言うものの)言う事を聞くからまだいい。

が、動物たちはやりたい放題である。

豚が悲鳴をあげ、豚が車の中におしっこをし、さっきからなんか足が生暖かいな〜って思ったら、豚が僕の足を舐めている…あー!豚が、豚がぁー!

ムアンシンでは蛙が逃げ出し、大騒ぎ。
トラック中が蛙だらけ。
女性の旅行者発狂するっちゅうの!

しかし、これ以外の移動手段はない。うぅっ。

たぶん、ラオスには「これを乗せたら駄目」という物がないのだろう。
トラックやバスの運転手は、まるでパズルのようにこれらの物資と人間を詰め込み、時として満足そうな笑みを浮かべる。
対して、表情が暗いのが我ら、旅行者。
ラオス人の2倍から3倍のツーリストプライスを支払い、この扱い…。

しかし、辛いのはこれだけで終わらない。
この後、更なる悲劇が旅行者を襲う。

それは…






ゲロ攻撃!






ラオスの人は普段乗り慣れてないせいか、極端に乗り物に弱い。
北部山岳地帯を行くバスはカーブも多く、道もバンピーなせいか、ラオスの人はたちどころに吐く。
(早い人で走り始めてから30分。ピークは2時間後ぐらいである)
最近は運転手もちょっと学習したらしく、出発前ビニール袋を配り「吐く時にはこれに」な〜んて事を言うようになったが、間に合わない人も多数…。
みんな、窓から顔を出し外に向かって一斉に吐く。

と、どうなるか?



前のほうの席で吐いたゲロが車内に巻きこむ風と一緒になって、後ろの席に吹き込んでくるのだ。
また、外に吐く奴はまだいい。
間に合わなかった奴は平気で車内の床に吐いたりもする。

おいおい、そこには俺のバックパックがぁー。

ラオス旅最大のシット!ファック!な瞬間である。

まあ、気持ち悪いんだからしょうがない。
が、頭に来るのは、彼らが吐いた後、また飯を食ってるところである。
考え方が根本的に違うのか、彼らは吐いたらまた食う。
さっき吐いたばっかの子供に親がまた飯を食わせている!
食わせるなよぉ〜。また吐くんだから。

隣のタイでも以前、友人に
「耳に水が入ったら日本ではどうするか?」
という質問をされ、
「焼けた石なんかを耳に当てて水を出す」
と応えたら、
タイでは、




水を入れる!


…。



んー、お国柄なのか、一種の逆療法?

しかし、どう考えても吐いた後で、また食うというのは…。
気持ち悪くなるに決まっているだろう。
「あー、吐いたらお腹空いちゃった♪」
てなところなんだろうか。
あー、もう!頭悪っ!

牛か?牛なのか?

頼む!学習してくれ。
それか、きっちり反芻してくれ。