コケコー・ケッ!




 アジアの朝は早い。
ラオスの田舎など、現地の人はいったい何時に起きているのか?
 僕ら、旅行者が夜、ビールなぞ飲み散々騒いで、
その疲れからゲストハウスのぼろいベッドで爆睡してる頃、
ひょっとすると町の市場にはもう人が集まって来ていたりする。
 一般の家庭でも、人々はまだ日も昇らない暗い内から、井戸の水を汲み、
かまどに火を入れ、朝食の準備に余念がない。

 基本的に、アジアの社会の蚊帳の外にいる僕ら旅行者は、
自分の都合で起きればいいし、それによって多少の予定が狂ったところで、
また次の日のバスに乗ればいい。
そうやってずるずると予定が延びていって、気がつけばビザの残も残り僅か。
慌てるのはそれからだ。

 が、良くしたもので、アジアにはアジアの、自然の、目覚ましが存在する。
その一つが、直射日光。
 バンコクなどの安宿の窓から、容赦なく降り注ぐ熱攻撃!
暑さで目が覚める。決して心地のいい目覚めではないが、それはそれで行動を促し、
怠惰な旅行者を近くの屋台に誘う重要な役目を担っていると言っていいだろう。

 が、アジアの田舎にはそんな太陽よりも、はるかに早い時間に旅行者を現実に引き戻すとんでもない存在がいる。

鶏。

 君達の体内時計は一体どうなっているのだ?
そんなに早くから鳴いてどうする?
しかも、君一羽が鳴いたおかげで、ほらほら、連鎖反応のようにあっちでも、こっちでも…。
頼むからこんな朝早くから競い合わないでくれ〜!

で、なんで、そんなに音痴なの?