1.不健全図書制度の概要 |
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東京都の不健全図書制度は、1964年(昭和39年)に、「青少年健全育成条例」の制定と共に施行された。 |
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出版業界の主要4団体が1963年(昭和38年)に設立した出版倫理協議会では、1965年(昭和40年)に自主規制ルールとして、 |
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「東京都の不健全図書として連続3回、もしくは1年間に5回以上指定された出版物(雑誌)は、特別な注文等がない限り取次業者では |
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扱わない」というルールを定めており、このルールに該当した出版物は一般書店での販売が困難となる。 |
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その場合、出版社は成人向けに限定した形でアダルトグッズショップや直接販売などの通販/チャンネルで販売を継続するか、もしくは |
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廃刊/絶版するかの選択を余儀なくされることが多い。 |
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コンビニエンスストアで販売されている成年向けの雑誌は、性器描写等の修正を強め、コンビニエンスストアの販売規制に合わせた雑誌 |
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(コンビニ誌)=「非18禁指定(ゾーニングマークなし)」に該当する水準にとどめられており、不健全図書に指定された場合、販売 |
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自体が出来なくなる。 |
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「卑わいな姿態等」を被写体とした写真、描写した絵/場面が全体の5分の1、20ページ以上というような基準に達している図書類に |
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ついて、審議会で審査することなく、具体名を示すことなく、自動的に「有害図書」とみなす包括指定制度は、東京都は導入していない。 |
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不健全図書に指定するのは、「東京都青少年健全育成審議会」である。 |
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2.不健全図書制度の運営 |
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「東京都青少年健全育成審議会」で、不健全図書かどうかを審議する為に提出される図書類を、諮問図書と呼ぶ。 |
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以下に、不健全図書が指定されるまでの流れを記す。 |
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2−1.東京都青少年・治安対策本部総合対策部青少年課(事務局) |
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元警察庁官僚である竹花豊が本部長の緊急治安対策本部と青少年育成総合対策推進本部、及び生活文化局都民生活部の一部が統合し、 |
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2005年8月1日に発足した組織で、俗称で事務局と呼ばれる。 |
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東京都組織条例により東京都に置かれる知事部局の一つで、警察庁からの天下りが多い。 |
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この事務局から派遣された調査員(人数は不明)が、無作為に東京都内の書店、コンビニ等を立入調査(立入件数は毎回異なる)し、 |
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諮問図書候補となる書籍を、「青少年健全育成条例」を基準に月120〜140冊選出する。 |
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なお、文章自体は諮問対象外(平成21年度:第587回審議会で青少年課長が明言)とするらしく、挿絵のない小説等は諮問図書 |
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候補に選出されない。 |
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更に事務局で数冊に選別された諮問図書候補の書籍は、事務局から自主規制団体へと渡され、出版業界、取次業界及び販売業界等の |
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意見聴取が行われる。 |
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この意見聴取を参考に事務局で慎重に検討した結果、諮問図書として「東京都青少年健全育成審議会」へ提出される。 |
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ただし、自主規制団体からの意見聴取により諮問図書から除外された書籍は、過去に一度もない。(平成18年度以前は不明) |
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2−2.自主規制団体(自主規制会議) |
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日本雑誌協会・日本書籍出版協会・日本出版取次協会・日本書店商業組合連合会の、出版業界の主要4団体より構成される出版倫理 |
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協議会と、出版倫理懇話会、首都圏新聞即売懇談会、東京都古書籍商業組合、東京都貸本組合連合会、日本フランチャイズチェーン |
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協会から成る業界団体。 |
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選出された担当者18名により、事務局より渡された諮問図書候補となった書籍を閲覧し、指定図書に該当するかの是非を事務局へ |
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意見として述べる。(通称「自主規制会議」) |
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指定図書に該当するか否か判断が難しいと、毎回のように意見保留者が出る問題がある。 |
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なお、諮問図書候補となった書籍と関連がある業界は、公平さを尊重し、意見聴取を辞退している。 |
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指定図書に該当するか否かの判断として、以下の事由が比較的多い。 |
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事由 |
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1 |
自殺、窃盗、殺人、ドラッグ等の、犯罪を誘発する可能性の高い犯罪マニュアルのような書籍。 |
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2 |
強姦等の性描写が全編に多用/誇張され、女性の人格を貶めている書籍。 |
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3 |
近親相姦、幼女モノ等、非倫理的な性描写が全編に多用/誇張されている書籍。 |
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4 |
絵のリアルさ、局部修正の甘さ、体液/擬音描写の激しさが目立つ書籍。 |
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表紙の絵柄/表示、価格等で青少年でも手に取り易いと思われる書籍。 |
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※oに指定図書に該当となる傾向が強い。 |
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2−3.東京都青少年健全育成審議会 |
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出版倫理協議会、映倫、フランチャイズチェーン協会、青少年の保護者、公立中学校PTA協議会、学識経験者、都議会議員、報道 |
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機関、関係行政機関職員、法務局・少年鑑別所・警視庁、東京都職員等から選出された委員で構成される第三者機関である。 |
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事務局から提出された諮問図書は、この審議会にて委員で過半数に可決されると、都知事の承認を得て不健全図書に認定される。 |
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この審議会においても、自主規制団体の意見聴取を参考に検討しているが、諮問図書となった書籍が指定図書を免れた例は、過去に |
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一度しかない。(平成19年度:第565回審議会)(平成18年度以前は不明) |
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審議会委員の任期は、2年と定められている。 |
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開会の挨拶/議事進行役として、青少年・治安対策本部の参事、青少年課長が毎回立ち合う。 |
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【審議会委員】 |
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【過去の審議会内容】 |
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第22期(H18/10/1〜H20/9/30) |
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平成18年度(第552回〜第562回) |
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第23期(H20/10/1〜H22/9/30) |
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平成19年度(第563回〜第574回) |
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第24期(H22/10/1〜H24/9/30) |
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平成20年度(第575回〜第586回) |
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平成21年度(第587回〜第598回) |
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平成22年度(第599回〜第607回) |
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■参考文献・参照リンク先■ |
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【日本雑誌協会 日本書籍出版協会50年史】 |
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http://www.jbpa.or.jp/nenshi/pdf/p139-151.pdf |
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【不健全図書類の指定について(解説)】 |
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http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/10_eiga_tosyo_ichiran/10_kaisetsu.pdf |
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【東京都青少年健全育成審議会】 |
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http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_kenzensin.html |
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