〜 諸 国 の 性 事 情 か ら 見 る パ ラ ド ッ ク ス 〜
   
   
   
1. 諸 国 の 性 教 育
   
   
                                                                       
  『北欧諸国』                                                            
                                                                       
   デンマークでは、性教育をカリキュラムの特定の部分に限定せず、必要な際には授業のあらゆる過程で議論されます。          
   1970年以降、性教育は必修科目になり、 小学1年生から中学3年生に、法律で教えることが規定されています。          
   スウェーデンやフィンランドといった北欧諸国も、ほぼ同様です。                                    
   性教育の分野では、北欧諸国は超先進国となっています。                                        
   スウェーデンは当時、性教育を必要とされたのは女子だけで、男子は一切の性教育がなかったため、学校で男子にも女子にも、      
   開放的な性教育をすべきだと運動を始めました。                                            
   その開拓者は、女医、女性議員、政治的女性団体、看護婦協会、女性教師といった女性団体でした。                    
   「婚前交渉」を良しとしない純潔思想のクリスチャンの声や、性病や妊娠を危険視する声、性教育は子どもの性衝動を悪戯に        
   引き起こすという、「寝た子を起こすな」論により、過去には性教育への反発が多くありました。                    
   しかし、子どもは放って置いても起きるし、子どもなりの性衝動や感情があり、性交渉を相手に求めるのは自然なことだとの        
   見解が次第に支持され、今日に至ります。                                                
   フィンランドでは、15歳時に学校でコンドームなどの入った小包を渡されます。                            
   これらの国はこのような教育の一方で、性の早熟化には至っていません。                                
   性の素晴らしさと同様、性交渉によるリスクと責任、万が一のための避妊方法等、性教育のカリキュラムできちんと教えられ        
   ているからです。                                                          
   また、家庭での性教育への協力も、積極的に行われています。                                      
   福祉先進国である北欧だからこそ、そこまでの教育環境が整っているとも言えます。                          
                                                                       
                                                                       
  『イギリス』                                                            
                                                                       
   自由化・民主化が社会変化の主要モチーフであった1960年代は、抑圧・規制のシンボルであった性が解放・変革の原動力        
   へと転換した時期でもあり、性に対する眼差しも「コントロールしなければならない危険な衝動」としてではなく、「健康な        
   人格を形成するための重要な要素」として、言わば肯定的に認識されるようになり、「進歩的性教育」と呼ばれました。          
   当時展開された「進歩的性教育」の言説は、自由、選択、満足、責任といった4つの鍵概念を主軸としています。            
   当然、性教育実践に対しては、性道徳の再建を重視し貞操と禁欲を教えるべきとする、道徳的右派による批判等もありました。      
   1980年代の保守党政権が掲げる自己責任や自助努力という原則と、進歩的性教育が掲げ自律的な人間像を体現させるべく        
   示された性教育の方針とは、整合的ですらあったことが指摘されています。                              
   避妊に対する社会的認識の変化という観点から、避妊の無料制度化などを好例とした家族計画事業の制度化を含んだ国営医療        
   制度再編法の成立過程(1973年)が考察され、避妊の多義性とともに、避妊それ自体が社会政策の対象となりゆく契機が        
   明らかにされています。                                                        
   一方で伝統派は、家族計画サービスの無料化は税金の浪費である、避妊が自由な性文化を奨励したことで、かえって性行動を        
   多様化させてしまった、避妊行為は道徳性の「崩壊」と通底しているとして自由化批判を展開します。                  
   結局、「人口増加の抑制」という避妊に新たに付与された社会的機能は、良識派の支持も取り込むことに成功し、保守党政権        
   と協力的な連携関係を構築するなど、結果として後の性教育義務必修化へとつながる政治的構図が形成されていきます。          
   その後、少女の望まない妊娠問題と比較して、HIV/AIDSの脅威は、親を性教育の第一義的責任者と見なす原則論を、根本から        
   揺るがすことになり、以後、性教育に対する国家関与の必要性(危機管理のために学校で性教育を行うこと)は、親の教育の        
   自由に優先する新たな原則論として台頭してくることになります。                                    
   こうして、1990年代に入る頃、道徳的右派による理念的宗教的な性教育批判は影を潜め、性教育という政策案に関しては、      
   保革対立という政治力学の構図それ自体が終焉を迎えることになり、中等学校における性教育の義務必修化が規定されました。      
   1970年代から20年に及ぶ論争の過程で看取できるのは、公権力は性教育に関与すべきでないとする、公権力の価値領域        
   不介入原則の有効性の希薄化と性教育に国家が関与することの意味付けの変化です。                          
   セクシュアリティをタブー視する傾向が強いイギリスの精神風土の中で、どのように性教育の制度化を巡る世論の形成がなさ        
   れたのかが考察され、1980年代半ばに行われた世論調査では、学校での性教育の実施が圧倒的多数で支持されていること、      
   報道が内容のみならず、報道姿勢それ自体が性教育に対するタブー視を弱める効果を発揮したことが述べられています。          
                                                                       
   
                                                                       
  『カナダ』                                                              
                                                                       
   カナダで専門家らを20年以上指導してきたブリティッシュ・コロンビア大学名誉教授のメグ・ヒックリングが、早期性教育        
   は性犯罪と中絶の抑制につながることを指摘しています。                                         
   メグ・ヒックリングは、1970年代に小学生の性教育を始め、10代の中絶率が年々低下したカナダの事例を紹介しており、      
   間違った知識、ゆがんだ性のイメージを植え付けさせない重要性を強調しました。                            
   性への恐れや恥ずかしさがあると、性犯罪に巻き込まれた時に子どもが隠すケースが多いと説明し、教師や保護者に普段から        
   悩みを打ち明ける体制があればトラブルを防げるとして、学校の授業で科学的な知識を伝えるとともに、子どもの不安を聞き        
   出すことに知恵を絞って欲しいと訴えています。                                            
   「性の健康についての知識を与えられることは子どもの基本的な権利であること」、「子どもが商品化された歪んだ性のイメ        
   ージに囚われないうちに、できれば4・5歳のころから教え始めること」、「子どもの成長とともに知識を増やしながら教え        
   続けていくこと」が子どもを、性的虐待の被害者にも加害者にもさせず、豊かな大人へと育てることを、メグ・ヒックリング        
   は主張し、実践し続けてきました。                                                  
   子どもの性的発達を、幼児・小学低学年・高学年・中高生・大人と五段階に分け、それぞれの年齢で、どのような性の健康の        
   知識が必要かをまとめ、カナダの学校でもそれをもとに、性教育を実践しています。                          
   メグ・ヒックリングの仕事は高く評価され、カナダの最高の賞であるカナダ勲章をはじめ、ブリテイッシュ・コロンビア大学        
   の名誉博士号など、数々の名誉ある賞を授与されています。                                      
                                                                       
                                                                       
  『アメリカ合衆国』                                                        
                                                                       
   アメリカにおける純潔教育(禁欲的性教育)は、「婚前交渉を控えるべきことを教える教育」を意味します。              
   こういった貞操を重んじる思想の背後には、キリスト教右派の影響が大きく、アメリカにおけるほとんどの純潔運動、純潔教        
   育プログラムの背後には、右派のキリスト教団体、及びその支持層の人々が付いています。                        
   1950年代までは、この純潔教育が主流でした。                                          
   1960年代から70年代にかけ、アメリカはキリスト教的価値観が崩れ、巷ではポルノグラフィーや性を売り物にする店が        
   溢れ、フリーセックスが横行していました。                                              
   1980年代に入りレーガン政権の登場とともに、伝統的な価値観の見直しを推進する運動が台頭し、その流れの中で、自己        
   抑制教育団体も次々と誕生していきます。                                                
   しかし、純潔教育を推進する保守的なアメリカでも、性感染症の蔓延や若年妊娠が高い率で生じていました。              
   そこで、禁欲ではなく避妊の知識を積極的に教える包括的性教育を行ったところ、性感染症の蔓延や妊娠率が低下したという        
   検証結果が出たことで、包括的性教育へと移行していきます。                                      
   1996年、ブッシュ政権の新保守主義の登場とともに、アメリカは再び純潔教育へと移行しました。                  
   国連人口基金など、中絶を容認する機関や施設への拠金を全て打ち切り、多額な予算を使い若者に純潔教育プログラムを推奨        
   し、中絶を制限する「出生前被害者に対する暴力処罰法」にも、ブッシュ大統領は署名しました。                    
   米国の豹変ぶりに諸外国からの批判もありましたが、「結婚していない思春期の若者にとって禁欲はもっとも責任ある、かつ        
   もっとも健康的な方法」だと力説していたそうです。                                          
   2009年に登場したオバマ政権は、包括的教性育への方向転換を図っています。                            
   実際のところ、純潔教育は包括的性教育より効果がないと指摘する研究が色々と出ており、純潔教育からは手を引く州政府も        
   増えてきましたが、今日でも純潔教育派と包括的性教育派は二極化し、対立している状況です。                      
                                                                       
   
   
                                                                       
  『日本』                                                                
                                                                       
   明治維新以前の日本は、性に対し開放的な国でした。                                          
   夜這い等の慣習も、地域によっては当たり前にあったのです。                                      
   子ども=清純無垢であると捉えられた時代、つまり明治の文明開化期から19世紀末にかけ、子どもは「教化」される対象と        
   なりました。                                                              
   「野放しにしておくと、その小さな身体の中の未熟な精神はたちどころに『淫風』に染め上げられる。身体も精神もともに、        
   新しく加工される必要ある」と、あらためて説かれる時代となります。                                  
   子どもは学校・家庭という教化機関で心身ともに規律化され、あらゆる「卑猥なもの」は子どもから遠ざけられるようになり        
   ました。                                                                
   一方、明治初期から19世紀後半にかけ、西洋のセクソロジーや精神医学が流入してくると、子どものマスターベーションを        
   通して、子どもの性/セクシュアリティが発見されました。                                      
   「子どもの身体と精神に対する新たな眼ざしが、性欲を触媒として生み出されたのである。子どもも、大人と異なることなく、      
   淫らで汚らわしい性欲を持っていのだ。純真無垢・天真爛漫という子どもの清らかな特性は、汚らわしいとされた性欲を隠蔽        
   することにより、よりいっそう輝きを増すこととなる。清らかさ/汚らわしさという相反する両極を磁場として、訓育される        
   べき主体として形成されるに至ったのが、子どもの近代なのである」と、説かれるようになります。                    
   そして後者の説が主流となり、戦前の日本まで受け継がれていきました。                                
   戦後、アメリカの指導のもと、子どもたちは「純潔」という名のもとで教育されます。                          
   倫理や人格形成を掲げて行われた純潔教育では、子どもの身体は性欲に満ちたエロティックなものだと認識した上で、「性欲        
   を健全な遊びや学習活動へ転化する」、「性に関する不良行為や悪癖を予防・矯正する」ための指導が行われました。          
   この純潔教育の目指すものは、「結婚に対する健全な心構え」を身に付けることでしたが、その後、限りなく身体的な純潔に        
   限定されていきます。                                                        
   子どもたちは純潔・純愛ロマンに耽りながらも、純愛のコンセプトを絶えず性器へと集中させ、性欲またはセクシュアリティ        
   に従属する性的な主体を負わされたのです。                                              
   一方で、日本はもともとキリスト教圏ではなく、仏教や神道、または無宗教が入り混じった多様文化が中心であり、純潔教育        
   はバックに「統一協会」の影があるケースが多いため、カルトとして敬遠されがちでした。                        
   1980年代以降、アメリカのフリーセックスの影響を受け、フリーセックスの流れを汲む団体が次々と設立される中、90        
   年代には、避妊の知識を積極的に教える包括的性教育が少しずつ全国に浸透していきます。                        
   しかし1996年、ブッシュ政権の新保守主義の登場とともに、アメリカが再び純潔教育へと移行していくのと同じくして、        
   日本もそれに追従するように、再び純潔教育が叫ばれるようになりました。                              
   日本のオタク文化、援助交際等が追い風となり、包括的性教育への風当たりが更に強まっている状況です。                
                                                                       
   
                                       
  ■参考文献■                              
                                       
  ・デンマークの性教育事典「セクシコン愛と性について」        
  ・イギリスの性教育政策史「自由化の影と国家「介入」」        
  ・「メグさんの性教育読本」                      
  ・Child Research Net 「季刊 子ども学」                
  ・「NewsWeek」等の記事                    
                                       
   
   
  10代の妊娠率(100万人当り) 15〜19歳の出生率(100万人当り)  
  (1998年) (1998年)  
  ランキング 国名 妊娠率 ランキング 国名 出生率  
  1 アメリカ合衆国 1,671.63 1 アメリカ合衆国 52,100.00  
  2 スロバキア 1,112.87 2 イギリス 30,800.00  
  3 ニュージーランド 972.49 3 ニュージーランド 29,800.00  
  4 ハンガリー 916.86 4 スロバキア 26,900.00  
  5 アイスランド 889.68 5 ハンガリー 26,500.00  
  6 ポーランド 788.76 6 アイスランド 24,700.00  
  7 アイルランド 781.38 7 ポルトガル 21,200.00  
  8 ポルトガル 700.64 8 カナダ 20,200.00  
  9 カナダ 607.22 9 アイルランド 18,700.00  
  10 オーストラリア 589.80 10 ポーランド 18,700.00  
  11 チェコ共和国 589.30 11 オーストラリア 18,400.00  
  12 オーストリア 400.12 12 チェコ共和国 16,400.00  
  13 ギリシャ 392.11 13 オーストリア 14,000.00  
  14 ドイツ 351.81 14 ドイツ 13,100.00  
  15 ノルウェー 349.88 15 ノルウェー 12,400.00  
  16 フランス 296.51 16 ギリシャ 11,800.00  
  17 ベルギー 287.05 17 ベルギー 9,900.00  
  18 フィンランド 284.32 18 ルクセンブルク 9,700.00  
  19 スペイン 279.22 19 フランス 9,300.00  
  20 ルクセンブルク 236.89 20 フィンランド 9,200.00  
  21 デンマーク 213.73 21 デンマーク 8,100.00  
  22 イタリア 191.95 22 スペイン 7,900.00  
  23 スウェーデン 178.29 23 イタリア 6,600.00  
  24 オランダ 172.06 24 スウェーデン 6,500.00  
  25 スイス 145.81 25 オランダ 6,200.00  
  26 日本 137.35 26 スイス 5,500.00  
  27 日本 4,600.00  
  28 大韓民国 2,900.00  
   
  ※「Nation Master.com」の統計データより作成された表  
  ※10〜14歳の出生率統計はない  
   
   
【 諸 国 の 性 教 育 に 対 す る 見 解 】
   
  ヨーロッパ諸国は、性教育の分野では超先進国です。  
  それに比べ、アメリカは性教育に関して先進諸国に大きく遅れを取り、今現在も迷走中です。  
  アメリカの影響をそのまま受けたかのように、日本も性教育に関して先進諸国に大きく遅れを取り、今現在も迷走中です。  
   
  北欧諸国は、10代での妊娠率も15〜19歳での出生率も低めで、これは性教育の成功を意味しているのでしょう。  
   
  イギリスは、10代の妊娠率が統計表に現れないほど低いのに、15〜19歳の出生率は高くなっています。  
  実は、妊娠中絶のケースは10代妊娠として報告されず、統計データに妊娠率として表れないというカラクリがあるのです。  
  イギリスも本当は、10代での妊娠率、15〜19歳の出生率ともに高レベルなのです。  
  イギリスは、北欧ほどではなくとも性教育が進んでいるのに、なぜでしょうか?  
  性に開放的な一方で、性リスクや避妊についての教育が遅れており、避妊をしない若者も多いそうです。  
  その結果、イギリスは妊娠中絶の数も、かなり多いと言われています。  
  また、シングルマザーへの国の補助金制度が、10代の妊娠&出産に拍車をかけているとも言われます。  
  国家に性教育を頼り過ぎ、家庭での性教育が疎かになったという見解もあります。  
   
  カナダは、北欧ほどではなくとも性教育が進んでいるので、10代での妊娠率も15〜19歳での出生率も中レベルです。  
  近年では更に性教育が浸透し、10代での妊娠率も15〜19歳での出生率も、下がっていると言われています。  
   
  アメリカは、10代での妊娠率も15〜19歳での出生率も最高レベルです。  
  純潔教育を受けた若者が、10代後半に抑制が効かなくなるケースが多く、コンドーム等の避妊具を害悪とした教育方針を受けている為、  
  避妊をせずに妊娠・出生率が高いと言われます。  
  一方で、包括的性教育を受けた若者が、性に開放的になり過ぎた為、妊娠・出生率が高いとも言われています。  
   
  日本は、10代での妊娠率も15〜19歳での出生率も最低レベルです。  
  アメリカ以上に、性教育については大きく遅れを取っているのに、なぜでしょうか?  
  10代での恋愛自体をタブー視する管理教育、また児童福祉や保障制度が遅れていることが、大きな原因とする見解があります。  
  近年の長期的少子化も、同様の理由とされます。  
   
   
2. 諸 国 の 児 童 ポ ル ノ 法
   
   
                                                                       
  『北欧諸国』                                                            
                                                                       
   1971年の出版の自由基本法の改正により、スウェーデンでは同性愛、小児性愛等まで含めたポルノが合法化されました。        
   そのため、児童ポルノの所持や頒布、陳列は合法でしたが、1979年には刑法典に児童ポルノの頒布禁止規定が設けられ、        
   これに伴い出版の自由法の改正が行われました。                                            
   これらの改正法は1980年に施行され、まず児童ポルノの頒布目的での作成が犯罪化されました。                    
   しかしその後、児童ポルノ市場が地下に潜るという事態が新たに問題となります。                            
   そこで次に国会では、1993年児童ポルノの所持の犯罪化が議論されますが、これに関しては、表現の自由の原則から本質        
   的に逸脱する可能性が指摘される等、議論は紛糾しました。                                      
   そこで国会はまず、あらゆる犯罪捜査に関連して発見された児童ポルノを没収可能とする内容の刑法典改正、それに関係する        
   出版の自由基本法と表現の自由基本法の条文改正を行い、1994年に施行します。                          
   その後、児童ポルノの所持を犯罪化する刑法典と、出版の自由基本法、及び表現の自由基本法の改正も成立し、1999年に        
   施行されました。                                                          
   この時点で、写真や映像については単純所持が禁止され、手工芸的な手法で描かれる画像の場合は、頒布や移転を目的とする        
   場合に限り、作成と所持が禁止さました。                                                
   2010年に政府が提出した児童ポルノ犯罪関係規定の改正案では、ポルノとは、媒体、表現方法を問わず、科学的、芸術的        
   価値を有さず、あからさまで挑発的な方法により性的題材を描写している画像であり、そのような画像の中に子どもが描かれ        
   ている場合、子ども自身が明らかな性的意味合いのある行為に従事していなくても、刑法典上で処罰対象となる「児童ポルノ」      
   であるとされます。                                                          
   この場合の子どもの定義は、「思春期の成長が未完了であるか、18歳未満の者。ただし、思春期の成長が完了している場合、      
   画像及びそれに関する状況から18歳未満であることが明らかであると判断されれば足りる」と修正されました。            
   これは、児童ポルノ犯罪の保護主体は、描かれた実際の子どもだけでなく、子ども一般の尊厳でもあると解釈されたことから        
   生じています。                                                            
   スウェーデン、ノルウェーなどの北欧では、一般の日本の漫画/アニメも児童ポルノと見做される場合があるそうです。          
   同年には、児童ポルノへのアクセス犯罪化も成立しました。                                      
   ネット上にあふれる児童ポルノ対策として、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧では、違法サイト全体への接続を遮断する        
   方式を取っています。                                                        
   北欧では、児童ポルノ法を施行するため、表現の自由と出版の自由まで制限したことが特徴です。                    
   しかし皮肉なことに、児童ポルノ法強化とともに、強姦犯罪が増加しています。(※下図参照)                      
   移民の増加が原因とする見解もありますが、人口のごく一部である移民が、これほどの影響を及ぼすとは考え難いことです。        
                                                                       
                                                                       
  『イギリス』                                                            
                                                                       
   1978年に「みだらな児童(16歳未満)の写真」の頒布などが罪となったのが、児童ポルノ法の始まりです。            
   1988年には単純所持が罪となり、1994年には「みだらな児童の擬似写真」が対象に加わり、2003年に「児童」の        
   定義が18歳未満に引き上げられました。                                                
   ただし、この年齢の引き上げには、16歳以上で婚姻関係にあるないしは同棲している状況で、児童の同意があり、第三者に        
   それを見せたり配られたりしていない状況は罪としない、という例外措置がとられています。                      
   この「みだらな児童の写真」の定義には、単なるヌードが入ることは判例で確立しています。                      
   「擬似写真」は、「写真のように見えるもの」ということで、「みだらな児童の写真」を画像エディタ等で加工し、性的虐待        
   との関係をごまかそうとする行為、その場合に大人を子どもっぽく加工した写真や、空想産物のリアルな超精細CGも対象と        
   なりますが、児童の性的虐待の問題を考えたら、許容される範囲とされています。                            
   ここでは、漫画やアニメは「擬似写真」に含まれていません。                                      
   ネット上にあふれる児童ポルノ対策として、児童ポルノが掲載されたページだけを閲覧できなくする方法を採用しています。       
   2007年、漫画やアニメの違法化について提案されていますが、実在児童の性的虐待の水準で留まりました。              
   しかし2009年、検視官及び司法法により、児童の性器や性行為を描写した漫画やアニメも含めた画像を規制され、同法が        
   施行された2010年4月より刑事罰の対象となりました。                                      
   しかし皮肉なことに、児童ポルノ法強化とともに、強姦犯罪が増加しています。(※下図参照)                      
                                                                       
   
 
 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
  (スウェーデン強姦発生率グラフ:横軸は西暦、縦軸は人口10万人辺りの強姦件数)  
   
  ※「National Council for Crime Prevention」の統計データより作成されたグラフ  
   
 
 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
  (イギリス強姦発生率グラフ:横軸は西暦、縦軸は人口10万人辺りの強姦件数)  
   
  ※「Home Office, Research Development Statistic」の統計データより作成されたグラフ  
   
   
                                                                       
  『カナダ』                                                              
                                                                       
   カナダにおける児童ポルノ規制は、1993年8月1日に施行された「刑法典及び関税率(児童ポルノ及び風俗紊乱)を改正        
   する法律」により、刑法典に第163.1条(道徳を堕落させる罪)が追加され、児童ポルノ製造・頒布・販売及び単純所持        
   の禁止・処罰が定められたことから始まります。                                            
   その後2002年6月には、児童ポルノがインターネットによって流通すること等に対応し、児童ポルノの電子メールによる        
   頒布やウェブサイト上での公開、及びインターネット上の児童ポルノへ故意にアクセスすることを処罰対象とする、法改正が        
   行われました。                                                            
   2005年には、児童ポルノの定義の拡大及び被告人による抗弁を厳格化した法改正が行われ、現在に至っています。          
   @法の執行、科学、医学、教育、美術に関連する正当な目的があり、かつ18歳未満の者に危害を加える不当な危険性を生じ        
   させないこと、A製造等の罪について、当該「児童」が18歳以上であることを信ずるに足りる合理的な理由があることが、        
   児童ポルノに該当しない、例外的条件とされています。                                        
   児童ポルノに対して極めて厳しい規制が行われており、描写された児童の実在性に関係なく処罰対象となります。            
   また、視覚的表現物に加え、文章や録音物も規制対象となり得る広義さが主な特徴です。                        
   そのため、実在しない児童を描写した漫画やアニメ等のポルノも規制対象となり、実際2005年に、児童ポルノに該当する        
   日本製のアニメを輸入したとして、男性が有罪判決を受けています。                                  
   カナダでは、一般の日本の漫画/アニメも児童ポルノと見做される場合があるそうです。                          
   しかし、児童ポルノの規制立法は、特に表現の自由との関係をはじめとする憲法上の論点について、国会審議の過程で十分な        
   検討をされたとは言い難く、これらの論点については司法判断を待つことになりました。                        
   カナダ最高裁は、2001年に合憲判断を下しましたが、判断の示されていない憲法上の論点が依然残されています。          
   特に、2002年及び2005年の改正法の憲法適合性について、未だ見解を示しておらず、今後の判例の展開が注目されて        
   います。                                                                
   カナダは、強姦率において世界有数(G8の国ではトップ)であり、日本の約40〜50倍となっています。(※下図参照)        
                                                                       
                                                                       
  『アメリカ合衆国』                                                        
                                                                       
   1970年代後半以降、連邦と州それぞれで、児童ポルノ規制が漸次強化されてきました。                        
   児童ポルノに係る行為を規制するアメリカ連邦法の主要な規定として、@実在する未成年者を描写した児童ポルノを規制対象        
   とする合衆国法典第18編第2252条と第2252A条、A実在しない未成年者を描写した児童ポルノまで規制対象とする        
   第1466A条、そして、「児童ポルノ」(第2252A条)等これら条文の文言の定義を規定する第2256条があります。      
   そして第1466A条は、2003年PROTECT法(児童を誘拐及び性的搾取から保護するための法律)により、新たに        
   設けられたものです。                                                        
   それ以前は、非実在の未成年者の一定の性行為等の視覚的描写は、実在する未成年者のそれと同様に、これに係る行為が規制        
   されていました。                                                          
   しかし、2002年の Ashcroft v.Free Speech Coalition 事件連邦最高裁判決で、非実在の未成年者の、一定の性行為等の        
   視覚的描写の規制が、表現の自由を過度に制約して違憲とされたため、非実在の未成年者のそれについて、要件を厳格にして        
   対象を絞り、改めて規制したものです。                                                
   ただし、第1466A条は、一定の性行為については、当該未成年者の実在性に関係なく適用され得ます。                
   第2252条は、第2252A条のように「児童ポルノ」という文言は使用せず、「その製造が、性的に露骨な行為を行って        
   いる未成年者の使用を伴い」、かつ「未成年者が行う性的に露骨な行為を描写している」視覚的描写と、未成年者の性的搾取        
   に関わる素材を規定しています。                                                    
   第2252A条における「児童ポルノ」の定義規定は、「性的に露骨な行為を行っている未成年者(18歳未満の者)の使用        
   を伴って製作された視覚的描写」、「デジタル画像、コンピューター画像またはコンピューター処理された画像であり、性的        
   に露骨な行為を行っている未成年者のものであるか、それと見分けがつかない形態である視覚的描写」、「身元を特定し得る        
   未成年者が性的に露骨な行為を行っているように見えるように、創作され、翻案され、又は修正されている視覚的描写」の3        
   つに分類され、児童が主体となり、性行為等を伴うか否かで規定されています。                            
   なお、「性的に露骨な行為」については、第2256条で定義されています。                              
   第1466A条は、第2252条の要件を満たす視覚的表現、及び児童の猥褻な視覚的表現について、「頒布目的での製造や        
   所持等の行為」、「単純所持」を規制しています。                                          
   なお、「猥褻」については、法令上には規定されていませんが、1973年の  Miller v California 事件連邦最高裁判決で        
   示された「ミラー・テスト(Miller Test)」によって判断されます。                                  
   すなわち、「平均的な人が、その所属する地域社会などのコミュニティにおけるその当時の基準( contemporary community         
    standards )に照らしてその表現物を見た場合、全体として好色的な興味に訴えていると考えるか」、「その表現物が、当該        
   州法によって明確に定義された性行為を、明らかに不快感を得る方法で、描写または記述しているか」、「その表現物が、全        
   体として見た場合、真摯な文学的、芸術的、政治的または科学的価値を欠くか」の3要件で判断します。                
   児童ポルノ法強化により、強姦犯罪が減少するような効果は出ておりません。(※下図参照)                      
                                                                       
   
 
 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
  (カナダ強姦発生率グラフ:横軸は西暦、縦軸は人口10万人辺りの強姦件数)  
   
  ※「OECD Statistics」の統計データより作成されたグラフ(2000年以前の統計データなし)  
   
 
 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
  (アメリカ強姦発生率グラフ:横軸は西暦、縦軸は人口10万人辺りの強姦件数)  
   
  ※「Sourcebook of Criminal Justice Statistics, Albany」の統計データより作成されたグラフ  
   
   
【 諸 国 の 児 童 ポ ル ノ 法 に 対 す る 見 解 】
   
  児童の定義について、「児童の権利に関する条約」に基づき、どの国も概ね「18歳未満の人間」としています。  
  諸外国の児童ポルノ法においては、「性的に露骨な表現」、「局部の露出」等を規制対象とする場合が多く、「芸術性のあるもの等」について  
  規制対象外とする規定が少なくありませんが、日本はこのような除外規定もなく、水着や下着といった姿態でも、規制対象となる可能性があり  
  ます。  
  その一方で、北欧諸国では一般向けの日本アニメ作品まで規制対象となるなど、厳しい処置が行われています。  
  そもそも、児童ポルノ規制の根拠とされているのは、ポルノの被写体になることによって傷つけられた、被害者となる実在児童の存在であった  
  はずですが、北欧諸国、カナダ、イギリス等では、非実在児童を扱った準児童ポルノも規制対象となっています。  
  準児童ポルノまで規制する諸国に共通するのは、違憲性を疑いながらも、場合によっては憲法や刑法を改正してまで、児童ポルノ法を施行して  
  いる点です。  
  ただし、準児童ポルノの単純所持まで規制しているのは、カナダだけです。  
  準児童ポルノまで規制する流れは、「被害者となる実在児童を守る」という観点から、「性道徳の保護」という観点に変容しているという指摘  
  もあり、事実これらの諸国は、法文上にそのことを明記していたり、そのことを認める声明をしています。  
  「児童を性の対象として見ること自体が間違い」との見解を示す者が多いのも事実です。  
  「親子で風呂に入る」、「親子で銭湯に行く」といった日本の慣習(幼児に限りますが)も、諸外国からは敬遠されています。  
  なお、道徳と法の明確な分離を原則とする日本の法体系においては、性道徳を法により強制することは出来ません。  
  日本国憲法第19条の思想・良心の自由においても、道徳を法により強制することは出来ないことが保障されています。  
  現在の児童ポルノ法は、児童ポルノとなるメディアの根絶に力を注がれ、本来の「被害者となる実在児童を守る」という目的が、疎かになって  
  いる現実があります。  
  また、児童ポルノが「不快である、気分を悪くさせる」という嫌悪感情に利用されている面もあります。  
  なお、児童ポルノ法を施行した諸国でも、「児童ポルノと性犯罪の因果関係に根拠はない」ことは認めています。  
  児童ポルノ法を推進している国の多くは、キリスト教原理主義者が比較的多く、そのことが「被害者となる実在児童を守る」という観点から、  
  「性道徳の保護」という観点に変容している、原因の1つかもしれません。  
  1つ確かなのは、「児童ポルノ法」の施行により、性犯罪が減少するような効果は、殆ど見られないという事実です。  
  カナダでは、2002〜2006年の間、強姦率が若干減少していますが、2000年以前の統計データが存在しないため、長期的判断は出来  
  ませんし、強姦率そのものが高過ぎて、焼け石に水といった状況です。  
   
   
3. 諸 国 の 売 買 春
   
   
                                                                       
  『北欧諸国』                                                            
                                                                       
   北欧諸国でも、売買春に対する姿勢は国によって違います。                                      
   スウェーデンやノルウェーは、女性や男性が売春をすること自体は、禁止していません。                        
   男性または女性が、性行為を目的として買うこと(買春)のみを禁止しているのです。                          
   ただし、街娼やぽん引き、無届け売春宿などは違法となります。                                    
   売春した側は処罰されることなく、買春した側のみが処罰されます。                                  
   買春する側が加害者、売春する側は被害者と見なす傾向が強いようです。                                
   これは、人身売買(性的搾取)を否定する見地からの配慮のようです。                                  
   需要である買春を処罰することで、供給である売春も減らそうとする意図もあるようです。                        
   事実、路上売春の件数は減ったと言われています。                                          
   一方、デンマークでは1999年の刑法改正以降、売春も買春も合法です。                              
   しかし、売春で生計を立てることは違法(副業とする)とされており、売春者は別の収入源を持つ義務を負います。            
   これも、人身売買(性的搾取)を否定する見地からの配慮のようです。                                  
   スウェーデンでも、1999年までは買春も合法とされていました。                                  
   ノルウェーでも、2008年までは買春も合法とされていました。                                    
                                                                       
                                                                       
  『イギリス』                                                            
                                                                       
   売春も買春も合法ですが、勧誘、宣伝、斡旋、売春宿の経営は違法です。                                
   つまり、公共でない場所で密会的に売買春を行う上では、問題はないと言うことです。                          
   日本のソープランドのように、マッサージと称して売春するマッサージパーラー等が存在し、これは違法ではないかとの指摘        
   もありますが、黙認されている現状もあります。                                            
   イギリスは、本国の外では、植民地のエキゾチックな女性や売春婦を相手に、思う存分性的な快楽を楽しむ特権を得ていたと        
   いう負の歴史があります。                                                      
   しかし、本国においては禁欲主義的訓練を受け、清潔で頑丈な肉体の鍛練を義務づけられていた為、売買春をオープンにする        
   ことをタブー視する傾向があります。                                                  
                                                                       
                                                                       
  『カナダ』                                                              
                                                                       
   売春も買春も合法ですが、勧誘、宣伝、斡旋、売春宿の経営は違法です。                                
   つまり、公共でない場所で密会的に売買春を行う上では、問題はないと言うことです。                          
   ただ、斡旋行為等は事実上、広く行われているとされます。                                      
   しかし、2005年12月、この法律がセックスワーカーの健康と生命を脅かしており、廃止するべきだとする報告書が発表        
   され、この問題についての議論が継続されています。                                          
                                                                       
                                                                       
  『アメリカ合衆国』                                                        
                                                                       
   アメリカ合衆国では、国家レベルでの売買春の全面禁止はされず、州の裁量に任されています。                      
   現在、ロードアイランド州、ネバダ州の一部地域以外では、売春も買春も禁止されています。                      
   また、ロードアイランド州では、勧誘、宣伝、斡旋、売春宿の経営は違法であり、ネバダ州では、免許を受けた売春宿以外の        
   売春行為は、例外なく違法となります。                                                
   近年は、韓国女性が米国まで「遠征売春」をしており、米中部内陸まで広がっていることが伝えられています。              
                                                                       
                                                                       
  『日本』                                                                
                                                                       
   売春も買春も禁止されていますが、刑罰は設けられていません。                                    
   ただし、勧誘、宣伝、斡旋、管理売春は刑罰の対象となります。                                    
   また、売買春は「性交」を伴うことが要件となっており、ファッションヘルス等で行われる性交類似行為(フェラチオ、素股、      
   アナルセックス等)は、売買春には該当しません。                                          
   性欲の捌け口を作ることで性犯罪を防止すること、諸先進国では合法化されている国が多いこと、風俗業従事者の生活維持、        
   地域経済・税収への深刻な影響があること等を理由に、刑罰を設けず、売買春の定義を狭義にしたとされます。              
   「売春防止法」は一貫して否決されてきましたが、自由民主党が選挙に向け女性票を維持及び獲得しようとの狙いから、売春        
   対策審議会の答申を容れ、一転して「売春防止法」の成立に賛同しました。                              
   その結果、1956年に「売春防止法」は可決され、1957年から施行されることになります。                    
   アメリカからの影響もあり、売買春の非合法化に向かったとも思われます。                              
   斡旋ではなく、知り合った男女が売買春しているに過ぎない(管理売春ではなく女性の自由意志である)という建前を用いて、      
   ソープランドでは公然と売買春が行われている現実がありますが、管理売春の立証が困難であること、また前述の様々な理由        
   により、黙認されています。                                                      
                                                                       
   
   
【 諸 国 の 売 買 春 に 対 す る 見 解 】
   
  主な先進国では、児童の売買春を全面的に禁止している為、単純な「売春防止法」は、成人した大人に適用されています。  
  先進国の中でも、売買春を合法とする国が多い中、日本やアメリカのように違法とする国が入り混じり、処罰対象や処罰内容もバラバラです。  
  過去の歴史を見ると、諸外国ではキリスト教が普及するにつれ、売買春を含めた性の問題は全て、宗教の領域で扱われるようになります。  
  公序良俗を保つ為、キリスト教は売買春はおろか、婚姻生活以外での性交渉を禁止しました。  
  その一方で、公序良俗を保つ為、税収を確保する為、国家は売買春の禁止と公認を繰り返してきました。  
  この歴史は、今現在でも続いていると言えます。  
  日本でも、「この法律は売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗を乱すものであることにかんがみ、売春を助長する  
  行為等を処罰するとともに、性行または環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分、及び保護更正の措置を講ずることによ  
  つて、売春の防止を図ることを目的とする」とされており、「性的人権保護」、「性道徳の保護」、「公序良俗の保護」が混在をしています。  
  先進国では、売買春が合法の国でも、非合法の国でも、売買春をオープンにすることを、タブー視する傾向は同じです。  
   
   
4. 諸 国 の 性 的 同 意 年 齢
   
   
                                                                       
  『性的同意年齢』                                                          
                                                                       
   地域毎に同意年齢が異なる国は、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアぐらいで、世界でも希なケースです。            
   最高が21歳、最低で12歳となっていますが、既婚者の場合、多くの国で同意年齢は適用されません。                
                                                                       
   ■デンマーク  :15歳                                                      
   ■スウェーデン :15歳                                                      
   ■フィンランド :16歳                                                      
   ■フランス   :15歳                                                      
   ■ドイツ    :14〜16歳(※相手が成人の場合は違法。相手が21歳以上の場合16歳未満との性行為は違法)          
   ■イギリス   :16歳                                                      
   ■オランダ   :16歳                                                      
   ■イタリア   :14歳                                                      
   ■ロシア    :16歳                                                      
   ■イラン    :※既婚者以外は違法                                                
   ■エジプト   :18歳                                                      
   ■日本     :13〜18歳(※民法上13歳。長野県以外は条例で原則18歳)                          
   ■大韓民国   :13歳                                                      
   ■中国     :14歳                                                      
   ■ペルー    :14歳                                                      
   ■バチカン市国 :12歳                                                      
   ■カナダ    :16〜18歳(※州毎に異なる)                                          
   ■アメリカ   :14〜18歳(※州毎に異なる)                                          
   ■オーストラリア:16〜18歳(※州毎に異なる)                                          
   ■マダガスカル :21歳                                                      
                                                                       
   
 
 
  15〜19歳の出生率(100万人当り)  
  (1998年)  
  ランキング 国名 出生率  
  1 アメリカ合衆国 52,100.00  
  2 イギリス 30,800.00  
  3 ニュージーランド 29,800.00  
  4 スロバキア 26,900.00  
  5 ハンガリー 26,500.00  
  6 アイスランド 24,700.00  
  7 ポルトガル 21,200.00  
  8 カナダ 20,200.00  
  9 アイルランド 18,700.00  
  10 ポーランド 18,700.00  
  11 オーストラリア 18,400.00  
  12 チェコ共和国 16,400.00  
  13 オーストリア 14,000.00  
  14 ドイツ 13,100.00  
  15 ノルウェー 12,400.00  
  16 ギリシャ 11,800.00  
  17 ベルギー 9,900.00  
  18 ルクセンブルク 9,700.00  
  19 フランス 9,300.00  
  20 フィンランド 9,200.00  
  21 デンマーク 8,100.00  
  22 スペイン 7,900.00  
  23 イタリア 6,600.00  
  24 スウェーデン 6,500.00  
  25 オランダ 6,200.00  
  26 スイス 5,500.00  
  27 日本 4,600.00  
  28 大韓民国 2,900.00  
   
   
  ※「Nation Master.com」の統計データより作成された表  
  ※10〜14歳の出生率統計はない  
   
   
【 諸 国 の 性 的 同 意 年 齢 に 対 す る 見 解 】
   
  低年齢での妊娠・出産には多くの身体的危険が伴うことが明白となり、多くの先進国では「性的同意年齢」の低年齢化が進んでいます。  
  ただし、イスラム教圏やヒンズー教圏では、10歳前後での婚姻が認められており、「性的同意年齢」が形骸化の傾向にあります。  
  日本やイギリスを除くと、「性的同意年齢」が低い先進国ほど、比較的「低年齢出産」が少ない傾向があります。  
  日本やイギリスが例外的なのは、「性教育」の件でも触れたことが原因でしょう。  
  全年齢での出生率については、一見すると「低年齢出産」が少ないほど、比例して減少しているように見えます。  
  しかし、スウェーデンやフランスは、2000年代前半から、急激に出生率が伸びています。  
  フランスで出生率が上昇した理由には、第1に保育所の充実があります。  
  子供を預けるのに親の負担が少ないうえに、施設のレベルが高いそうです。  
  第2に、カップルの形態がフレキシブルで、婚外子が受け入れられやすいことです。  
  第3に、第1、第2の政策の結果、40歳以上の女性の出産が増えたことです。  
  スウェーデンで出生率が上昇した理由には、第1には育児休業制度の充実があります。  
  第2に、勤務時間短縮制度により、午後6時には家に帰ることができ、育児に専念出来るということがあります。  
  第3に、16歳未満の子を持つ全ての親に、第1子から児童手当(非課税)が支給されることです。  
  「性的同意年齢」が高い国は、育児環境を多面的に整えないと、出生率が上がらないことが分かります。