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音叉時計ってなんですか?(2004/6/5加筆&修正 2006/3/25さらに写真追加・修正)
音叉時計は1960年に発売された電池駆動式時計の一種です。
その名の通り、音叉をタイムベースとして用いているのが特徴であり、
従来の機械式時計や、電磁テンプ式時計とは比較にならない精度を誇りました。
しかしながら、より精度に優るクォーツ式時計の低価格化による普及に伴って
競争力を失い、1976年には製造中止となりました。
製造・販売を行ったのはアメリカの時計メーカー『BULOVA(ブローバ)』
(*ブローバをスイスメーカーと書いている文献もありますが、創立はアメリカ、ニューヨーク)
このブローバ社が製造した音叉時計をACCUTRON(アキュトロン)
= "Accuracy"(正確) と "Electron"(電子)を組み合わせた造語。
と呼びます。
発売開始は、1960年10月25日。ブローバ社の会長、オマー・N・ブラッドレーに
よって発表されました。ちなみにこの方は元軍人で、第二次世界大戦において、
ノルマンディー上陸作戦でアメリカ軍の指令官を務めた人です。最終階級は元帥!
今、アメリカ陸軍が使用している戦闘車輌、M2ブラッドレーの名前はこの人から
採られているのですねぇ。(余談)
設計を行ったのはスイス人、マックス・ヘッツェル。通称『音叉の父』
彼はアキュトロン完成の後、スイスに戻り、ムーブメントメーカーである
エボーシュ社で音叉時計のムーブメントを開発、このムーブメントは
モントル・サン・バランスエール(バランスホイール=テンプの無い時計)の
略からMOSABA(モサバ)と呼ばれ、スイスの時計メーカー各社へ供給されました。
(ただし、ブローバ社とのライセンス契約による。)
名称は各社さまざまでしたが、
(例 ロンジンは ウルトラソニック&タイトロニック、ラドーはエレクトロソニック等)
ブローバと協業したシチズンではモサバを使わず、
ブローバのムーブメント(Cal218系)を使用しハイソニックと呼んでいました。(例外はありますが)
うーむ、ヘッツェルさんは自動拳銃の世界でいうところのジョン・ブローニングみたいな人ですなぁ。
*ジョン・ブローニングはコルト ガバメントとFN ブローニングハイパワーの設計者
*音叉時計あれこれ
左がシチズンのハイソニック、真中がオメガ・エレクトロニック、右がテクノスが90年代に限定発売したモサバの
裏面(シースルーバックなので音叉が見える)
NASAの公式時計を巡ってブローバとライバル関係だったオメガでさえ、
この次期にムーブメントの供給を受けて音叉時計を発売しています。
特にオメガが発売した音叉式クロノグラフ、スピードソニックは、
音叉時計の最高峰といえるでしょう。ああ、欲しいっ。
*で、2006年についに買ってしまった音叉式クロノグラフがこれ!
サーチナのクロノリンピック C−TRONIC
そして、アキュトロンが今でも好事家(ワシかいっ)に愛好されている理由は、
独特の駆動方式もさることながら、そのムーブメントを『見せる!』ことにこだわった
『スペースビュー』というモデルが存在することにも因ると思われます。カッコイイのよ。
また、初期のアキュトロンに使われたムーブメントCal.214系の特徴として
『竜頭が無い』ことも挙げられます。このため非常にスッキリしたデザインに
なっております。なんで竜頭がないのかというと…
『時間修正を必要としないほど正確!』
であることを訴えるためなんだそうです。おーぶろしきな。
実は私、左利きなので竜頭のないコイツが結構好きなんですよねー。
でコレが『ブローバ アキュトロン スペースビュー』です。
箱の音叉マークはアキュトロンの発売を機に変えたと言うブローバ社のマーク(今もね)
参考文献等
エレキウォッチ大図鑑
20世紀の記憶装置 オメガ・スピードマスター
パットン大戦車軍団(DVD)
パットン将軍 最後の日々(VTR)
史上最大の作戦(DVD)
プライベートライアン(DVD)
アポロ13(VTR)