エターナルランナー・ペプシマン!

メーカー:KID  ハード:プレイステーション  ジャンル:アクション  定価:2800円

ギャルゲーメーカーKID改心の一作現る!!
これは、何の間違いかギャルゲーメーカーKIDが世に生み出した怪作アクションゲームである。決して全身銀色の物体と恋愛するゲームではありません。株式会社KID、この名は私にとって苦い記憶と共に刻まれていた。パソコンゲームの名作『ONE〜輝く季節へ〜』のコンシューマーへのとんでもない移植をおこなってくれた忌まわしきメーカー。具体的にはスゴイ出来のOPムービーや浩平が帰ってこないハジケた追加シナリオ。他にもKIDはギャルゲーを多く排出、いや、輩出している。そんなメーカーが何故アクションゲームを?最初は疑ったが、やってみると面白かった。ちなみに定価2800円。はじめにどんなゲームなのか軽く説明しよう。「これは、もう全編コマーシャルだ!」と帯に書かれてある。そういうゲームらしい。もう少し丁寧に説明すると障害物競走です。キッド・クラウンのクレイジーチェイスみたいなものですか。

 

ステージ壱:駆け抜けろ僕等のヒーロー
ゲームを起動したら実写ムービー。なんかアメリカンデブがペプシコーラを自販機で購入しグイグイやってますがナチュラルに無視。とっととゲーム本編に行きましょう。その前にステージ説明。暗闇の中、一人走るペプシマンをトラックの運ちゃんが呼び止めます。話の内容は要約すると、こう。

この先の自動販売機のペプシが売り切れたという連絡を受け、ペプシを届けに行こうとしたらタイヤがパンクした。自販機の前ではペプシを求める住民が暴動寸前だ。パンクをなおしてすぐに向かうつもりだが、まだ時間がかかりそうだ。

なんとかしてくれ、ペプシマン。

なんとかしてくれと言われても。ペプシが足りないだけで暴動とは物騒な話です。ま、ステキ国家アメリカですしね(偏見)。事情がいまひとつ飲み込めませんが、とりあえずペプシコーラを求めて騒いでいる連中の所へ行けばいいようです。てなわけでゲーム開始。おもむろに車道を走り始めるペプシマン。車に跳ねられるんじゃないかとお思いの方も多々おられるでしょう。心配御無用!家具とか瓶とかバナナの皮とかマンホールとかも一杯転がってるからもっと大変です(お ペプシマンめがけて疾走してくる車両をかわし、通行人を跳ね飛ばして己が道を突き進むペプシマン。壁を突き抜け他人の家に上がり込むのも朝飯前。当然家人を跳ねていきます。誰かこいつを止めろ。それともアメリカでは当たり前の話なんでしょうか。肉ばっかり食ってる連中のやることはわかりません(暴言)。しかし、住人達もやられてばっかりではありません。ショベルカーを振り回し、引っ越しのトラックから家具を投下し、果てはペプシ社のトラックまでもが突っ込んでくる有様。世界中が敵か。

 そんなこんなで数々の障害を乗り越えゴールに辿り着いたペプシマン。そこでは暴動寸前の愚民共が。ペプシマン、勢い良く片手を突き出した例のポーズで「シュワアアア!!!」、たちまち暴動は収まり大喝采!!嘘だろう。

 ここで軽くステージ構成を解説。本作は全4ステージからなり、各ステージは3つのシーンに分かれています。この内2つのシーンは今述べたような障害物競走。1つめのシーンではペプシ自販機まで突っ走って補給。2つめのシーンの最後で民衆の喝采を浴び、なんらかのパプニングが起こり一本道で何かに追われる3シーン目がスタートします。

 1ステージの3シーンでは後方から突っ込んできたトラックに跳ねられたペプシマンがペプシコーラの看板に激突、看板にあったデカいペプシ缶が落ちてきてペプシマンめがけて転がってくるという話になっています。三回ミスしたらペプシマンぺっしゃんこという惨事が待っていますので、とにかく逃げて下さい。この3シーン目はやってて妙に悲しくなれます。

 

ステージ弐:燃えろニューヨーク。燃えてしまえ
また闇の中を走るペプシマン。今度は消防士のオッチャンがペプシマンを呼び止めます。話の内容を要約すると、こう。

おおペプシマン。この先でビル火災が発生した。消火の目処は立ったが、逃げ場を失った人々が屋上に閉じこめられている。

君の力で疲れ切った人々を元気づけてくれ。

元気づけるより先に救助しろよと思います。快諾して走るペプシマン。現場に着くと、開幕直後に壁に激突する車、街の至る所から火の手。ビル火災だけじゃないだろう。のみならず、狙ったようにパトカーがペプシマンめがけて突っ込み勢い余って壁に大激突。いくらダウンタウンだからって治安悪すぎです。そこを抜けると橋の工事現場。鉄骨担いだオッチャン達がこれまたペプシマンをブン殴ろうと鉄骨振り回してきます。ペプシマン、やっぱり世界を敵に回してますね。これがシーン1。

シーン2は下水道から。いや、シーン1ラスト自販機前のマンホールからペプシマンが落っこちたのですけど。この下水道、足場がイヤ狭く、そして足場の下が恐ろしく深い怖い所です。底が見えません。落ちても着地、着水音が聞こえないぐらいに。そんな不思議ゾーンを突破するといきなり地下鉄に。普通に電車が通っている線路をペプシマンはナチュラルに走行。電車は彼をお構いなしといった風に跳ねてくれます。もちろん接触したらかすっただけで即死。それにしてもここのダイヤって間隔がすごく短いですね。一分ないです。さて、その先で駅に上がったペプシマンは通行人を跳ね飛ばしながらビルの上へ。何棟かのビル屋上を伝って目標地点に辿り着きます。そして、思いっきりジャンプし「シュワアアア!!!」、そのまま「アーーーー!!!」と落ちていってしまいましたが人々は元気づけられました。だから助けろよ。

シーン3。ビルから落ちた先には赤いトラックが。ペプシマンが落ちた衝撃で独りでに走り出し、追ってきます。またしても必死に逃げるペプシマン。この赤いトラック、コ○・コーラの刺客との噂がありましたが、どうやらピザ屋のトラックみたいでした。偽装か(ぉ

 

ステージ惨:テキサスの攻防
また闇の中。今度は輸送ヘリのオッチャンが。何かと訊いてみると、こう。

おおペプシマン。西部の荒野に旅客機が不時着した。救助に向かおうとしたが、こちらのヘリも故障してしまった。幸い死傷者はいないらしいが、このままでは救助が来る前にみんな喉の渇きでやられてしまう。

別のヘリが到着するまで彼等を元気づけてやってくれ。

だからペプシマンが元気づけたところでどうなるものでもないだろうに。そもそも旅客機なら何か食べ物飲み物ぐらいあるんじゃないのか。そんなこんなで無駄にコキ使われるペプシマン。頼まれたら嫌とは言えないようです。NOとは言わせんぞ、NOとはー!!(ぉ さて、荒野の道路をマラソンするペプシマン。ここって荒野のド真ん中だってぇのにやたら交通量多いです。てーかみんな跳ねようと猛スピードで突っ込んできます。アメリカに道路交通法とかはないのですか。やはりメリケン人は「轢かれた奴が悪い」「ぶつけられたらぶつけ返せ」がコモンセンスなのでしょうか(偏見)。中盤で角材満載のトラックから、その角材がバラバラと落ちてきてペプシマンを襲います。どんどん減っていってる(割に見た目の変化はありませんが)積み荷に全く気付かないトラックの運ちゃん。目的地に着いた時の彼の表情が楽しみですが、際限なく転がってくる角材を目の前にしてるとそうも言ってられません。後半ではバイクに乗ったヤンキー共がペプシマンを追い越し、わざわざ奇声をあげつつ前方に停車しようとしてきます。ペプシマン、明らかに絡まれてます。どうにか逃げ切ったら、シーン2。

シーン1では人間が敵でしたが、今度は動物が敵です。バッファローが突っ込んできます。畜生をかわしつつ進んだ先には炭坑跡。トロッコやバイオハザードの巨石トラップを彷彿とさせる丸っこい岩が脈絡なく襲ってきます。息も絶え絶えに突破すると、急に視界が明るくなり不時着した旅客機と乗客・乗員達が。お馴染みの「シュワアアアア!!!」。そして「ワーー!!」と大喝采。これでええんか。

シーン3。ペプシマンめがけて突っ走ってくるバッファロー。思い切りよく吹っ飛ばされるペプシマン。落ちた先には山積みされていた角材。はい、ご想像の通り、これが崩れてきてペプシマンとおいかけっこになります。

 

最終ステージ:ペプシ世界征服計画
闇。ポリスマン登場。

おおペプシマン。この先のペプシシティーのメインコンピューターがあまりの忙しさに暴走し、道路がコンピューターに遮断されてこの先に行けなくなってしまった。そして方々でペプシが不足、ペプシを求めて暴動が起こったり、疲れ切った人々がリフレッシュできずに倒れてしまっている。このままでは世界中でペプシが不足して大変なことになる。

君の力でコンピューターを正常に戻してくれ。

ペプシは世界を支配しているのか。ペプシ一色な街は随所でトラックが横転して火を噴いていたり、人々が逃げまどい行き倒れるなど阿鼻叫喚の地獄絵図。「ペプシをくれ」と書かれたプラカード掲げてる人もいます。それを無視して黙々と走り続けるペプシマン。相変わらず狙ったように突っ込んでくる車などをかわして工場に突入します。ここまでがシーン1。

シーン2は工場内部。コンピューターが狂った影響でベルトコンベアーやら何やらが無茶苦茶な動きしてます。巻き込まれて箱詰めされてしまえとも思いますが、なにげに際どいところを見切らなければ生き残れないためそうも言ってられません。終盤で板に飛び乗り冷蔵庫を滑走して最深部へ。コンピューターの前で「シュワアアア!!!」。たちまちにしてペプシコンピューターは正常に戻り、世界に平和が戻ったのでした。……ええ、もちろんこのままでは終わるほどマジメじゃありません、このゲームは。シーン3へ。

使命を果たして外に出てきたペプシマン。誇らしげに腰に手を当てたりなんかしてます。そこへ、独りでに動き出したペプシ缶のオブジェが落ちてきてサァ大変。最後までこういうオチか。

 

ごめん、俺ペプシ飲まねぇ
ざっと駆け足で紹介したペプシマン、いかがでしたでしょうか。まあ、なんちゅーか単純に笑える一作だと思います。ああ、そうそう。幕間ではアメリカンデブがペプシコーラやらポップコーンやらを食い散らかしながら笑い転げてる頭の悪いムービーが流れてました。どうやらペプシマンの活躍を見ている、という状況のようです。つまりアレか。俺はこいつを楽しませるためにゲームやってんのか(お まあ、真面目にやってもよくできてるアクションゲームなので見かけたら買ってみて下ちぃ。定価2800円分の元は取れます。ゲームクリアしても別にペプシコーラ好きになったわけじゃないけどね(お

 

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