時はクリスマスイブ。
町に笑顔と喜び、嫉妬がマーブルアイスのように混ざり合う、極彩色の日である。
防衛予算で3号ケーキをもらう宇宙番長はいつになく機嫌が良かった。
ケーキについては確保され、手元には些少ながら現金がある。
それは自分に贈るクリスマスプレゼントのため。宇宙番長はクリスマスセールで安くなったゲームソフトを物色するつもりで渋谷の街に繰り出していた。
女子プロレスラー育成ゲーム「ムキムキメモリアル 〜伝説のツリーデスマッチ〜」か女子キックボクサー育成ゲーム「ドリームグラブ」、男率120%(登場人物の何人かは首や腕が二人分以上ある)と噂されるファンタスティック任侠アクション「竜がど突く」など、宇宙番長の目を引く新作が目白押しなのである。
だが、買えるのは一つのみ。
宇宙の支配者なのにゲームさえ満足に買えないとはどういうことか、と自問するが仕方の無いことである。つい先日も練馬クリスマスイルミネーションをただの焚き火に変化させたばかりだ。
あの時はめっちゃ怒られた。
店員の確かな知識によるガイドから、ゲームソムリエとして密かな敬意を抱いているゲームショップ「瑠璃家」を目指す宇宙番長。かの店員ならば、迷いを晴らし最適な一本を選んでくれるはずだ。
一階が鮮魚店のため、ショップに磯の匂いが立ちこめているのが難点だが、それを除けば品揃え、限定品の予約のしやすさ、店員のエキセントリックさは一級品だ。
逆に言えば、路上から磯の匂いがすればもうそこは名状しがたいゲームショップ「瑠璃家」間近ということである。
胸の高鳴りと共に歩みを進める宇宙番長。その頭上を何かが通過する。
訝しむ宇宙番長の眼前で、惨劇は起こった。
上空から次々と生焼けのチキンが落ちてきたのである。
しかもそれだけではなかった。生焼けのチキンは二足歩行したかと思いきや、突然破裂して辺りに血と肉片を飛び散らせたのだ。爆発力こそ大したことは無いが、このままでは渋谷が生肉で汚染されてしまう。今はカップルが犠牲になって悲鳴を上げているに留まっているが、これではホワイトクリスマスではなく血のクリスマスになってしまう。
クリスマスにはチキンが欠かせないが、このような事態を指しているわけではないだろう。
こうしてはいられない。宇宙番長は趣味を後回しにして、しかるべき対応を取った。携帯電話をとりだし、ホットラインをつなぐ。
「宇宙番長だ。第二種清掃課に出動要請」
連絡先は宇宙番長のバックアップ企業、宇宙征服基金である。個で対応しきれない様々な事態に際し、宇宙征服基金は戦闘を除く各種プロフェッショナルを組織し、運用していた。そのうちの一つ、第二種清掃課。彼らはケミカルテロから犬の糞の始末まで、完全に処理できる能力を持つ。
その出動要請があったということは、すなわち都心部における深刻な汚染が予期されるということである。電話の向こうではどよめきが走った。
そこから先は宇宙番長が考えることではない。一刻も早く飛翔体を追跡することが急務だ。
追うか。
決意すると同時に走り出す。宇宙番長の脚力を持ってすれば、相手が戦闘機でも無い限り追いつけないものはない。地上を全力で疾走する番長の背後ではいつものように突風、竜巻、衝撃破等が発生。
設備補修を専門とする第三施設課に招集がかかったのはこのあとすぐである。
後方の被害を省みることなく夜の町を駆ける宇宙番長は、遙か遠くに目標とおぼしき存在を確認した。
「ソリ……だと?」
宇宙番長は驚くが、すぐに納得した。牽引しているのは四頭のトナカイ。ならば、あり得る。聖夜の奇跡などではない。ソリは、空を飛べるのだ。
サンタクロースの存在を肯定し、その神話の真実を検証する。かつてそのような研究が、ごく真面目に行われた時期が合った。結果、非公式ではあるがサンタは紛れもなく存在し、また伝説にも偽りがないことが明らかになっている。
ソリで空を飛ぶにあたり、一番の問題は空気抵抗であった。翼を持たず、およそ飛行に適さないソリを、世界中の子供たちにプレゼントを配れるほどの速度で牽引する……揚力は速度で補えるが、空気抵抗をどうするか。研究者が注目したのはその点であった。
その解答こそ、トナカイの存在である。
トナカイの角は一般には繁殖期におけるオス同士の争いや、地面を掘るために使われるものと解されている。だが事実は違う。トナカイの角は首から下げたベルが発する音を音叉のごとく共鳴・増幅し、前方に対して特殊波形による一種のバリアを形成するのに最適な形状をしているのだ。驚いただろうか。この世の出来事とは、かくも深遠なのである。生命の奇跡と言っても良い。
不可視の障壁により、空気抵抗を大幅に低減したソリは亜音速での飛行を可能とする。これがサンタの秘密であり、航空管制レーダーにも容易に発見されない理由でもある。なお、これは実験に参加したトナカイの名にちなみ、ルドルフ効果と呼ばれている。
読者諸兄も気付いたであろう。サンタの服が赤いのは警告のためなのだ。そして、トナカイの赤鼻は道を照らす為の物ではなく、バードストライクによる返り血だったのである。
トナカイが返り血を拭う間もなく人々に希望を届ける……その高い職業意識に感銘を受けた作家が、事実よりも夢を与えることを選び、あの童話のような改変に至ったのだ。
我々もそのような優しい嘘がつける大人になりたいものである。
と、そんな解説を長々としている間に宇宙番長はソリに追いついていた。
クリスマスにサンタを模した犯罪者か。本来なら警察の管轄だろうが、目の前で逃がしたとあっては俺が役員会でつるし上げを食ってしまう。
微妙に利己的な理由で決意した宇宙番長は躊躇いなく必殺技を放った。
「ミラクル怪光線!」
額から発射された虹色の破壊光線は空を行くソリに命中し、辺り一面に鶏肉の雨を降らせながらその存在を木っ端微塵にした。
しかし宇宙番長は気を緩めない。上空から落下してきたのは鶏肉だけではなかった。
「現れたな、宇宙番長よ」
深紅のケープを翻した肥満体の男性がゆっくりと顔を上げる。その顔には赤や青でペイントされた、バリ島のバロンのような仮面が嵌まっている。
「貴様……何者だ」
「わしの名は聖夜仮面。聖夜に裁きを下す者よ」
「語呂が悪いな……どうやらお前を倒すしかないようだ」
説得も早々にいきなり暴力に訴えかける宇宙番長。
「宇宙キック!」
その場で飛び上がり、不意打ち気味に蹴りを浴びせる。キックは厚い胸板に命中したが、ゴムのような手応えを前に逆に弾き返された。宙空で体勢を立て直し、着地する。
「ホッホッホッ。わしの身体は皮下脂肪によって守られている。お前の打撃など効きはせぬよ」
埃を払うように身を改め、聖夜仮面は陽気に笑う。
「ただの肥満体ではないということか」
「パワーとタフネス。戦いにおいてこれを凌駕する武器は存在せぬ。怪我をせぬうちに降参することだ」
「ほう。聖夜を口にしておきながら、目的は宇宙の支配権か。俗物だな」
「目的のためよ。クリスマスはもうすぐだからの」
「俺をおびき出すために混乱を起こすような輩に俺が市長の座を譲るとでも?」
「じきに譲るしかなくなる」
「そうかな?」
宇宙番長のジャブが聖夜仮面の顔を捉える。
「グッ!」
顔面への打撃でよろめく聖夜仮面の前で、宇宙番長の拳はすでに元のポジションに戻っている。パワーとタフネスは宇宙番長を凌駕すると豪語した聖夜仮面。ならば、スピードで上回ればいい。
拳を前面で固め、矢継ぎ早に小刻みなパンチを繰り出す……大技に頼らず堅実な戦いにシフトしたとき、相手は宇宙番長の真の恐ろしさを知ることになる。人体が発しうる最も速い打撃、ジャブを宇宙番長の腕力で放てば、それはすでにヘビー級のフィニッシュブローにも匹敵するのだ。
聖夜仮面の顔にはひびが入り、細かな装飾が砕け散っていく。
しかし相手もただ殴られているわけではない。太い腕を振り回し、宇宙番長に反撃を試みる。一撃受けることを覚悟すれば、どんな攻撃にも反撃のチャンスはあるのだ。
読まれてさえいなければ。
強引にねじ込まれる打撃を前に宇宙番長の目がギラリと光る。相手の攻撃を紙一重でかわし、ストレートを叩き込む宇宙番長必殺の「いい感じカウンター」。それは相手の威力をも上乗せし、腕力以上の破壊力を生む。
倍加したパンチが相手に届く刹那、それは起こった。かわしたと思った聖夜仮面の腕が捻りを帯び、宇宙番長の右ストレートを外へと弾いたのだ。
そうなれば、無防備をさらすのは宇宙番長のほうである。互いの勢いが十分乗った打撃は、相手の体重も加わって想像を絶する衝撃力で宇宙番長の顔にめり込んだ。
いい感じカウンター、敗れたり。
「ダブルクロスカウンターだ……」
戦いを見守っていたサラリーマンの一人が呟く。
「なんだそれは」珍しいものを見るように同僚の男が聞き返した。
「相手のクロスカウンターに合わせて腕を跳ね上げ、カウンターを防ぎつつ打撃を合わせる高等技術だ。あの男ただ者ではないぞ」
ということらしい。
「ホッホッホッ。どうかな? わしのセイントクロスは」
交差する腕を十字架に見立て、聖なる一撃を相手に刻み込む聖夜仮面の必殺技を前に、さしもの宇宙番長も容易に起き上がることが出来ない。
聖夜仮面の顔から、木製の仮面が剥がれ落ちていく。
その下から現れた素顔とは。
大きく白いひげ。その隙間から覗く赤ら顔。つぶらだった目はつり上がり、受けた打撃のせいか血走っていた。
そう、それは誰もが知っている顔。
「なんて事だ! 聖夜仮面の正体はサンタクロースだったのか…!」
誰ともなく呟き、観衆の間に動揺が走る。
「ホッホッホッ。その通りじゃ。お前たち人間はクリスマスの真の目的を忘れ、欲望にまみれた催しに変えおった。今こそ、このサンタクロースがお前たち人間に天罰を下すのじゃ」
「宇宙の支配権はその裁きとやらのためか」宇宙番長はよろめきつつ立ち上がった。
「その通り。わしはかつて善良な子供にプレゼントを与え、導きもした。しかし、このクリスマスの惨状を見たか? 人々の何処に聖性がある?」
そうはいうものの、惨状のほとんどは彼がばらまいたテロチキンのせいである。
「お前が見守っていた、だと?」
「そうじゃ。遙かな過去からな」
「なるほど。お前の言い分は、わかった」
そして怒りを込めて叫ぶ。
「ではなぜ、本人ではなく親父を代わりに寄越したのか……幼い俺の夢を奪った罪は何よりも重いぞ!」
「サンタは此処に居る。けれどなぜプレゼントをもらえなかったのか……それは誰よりもお前自身が知っておろう? プレゼントはよい子しかもらえないのじゃ」
「ぐうッ!」
図星を指され、宇宙番長は膝を突く。幼き頃のトラウマは、心を切り裂く刃となって宇宙番長の戦意を抉った。
「そう、そして今この世にはよい子など居らん。故に誰もサンタからプレゼントをもらうことなどできんのじゃ。親がプレゼントを与えるのは、無知か哀れみ故よ。本当のクリスマスは素晴らしいもののはずなのにな……」
悲しげに呟くサンタクロースを前に、誰も反論することは出来ない。罪なき者などいない。そう語るサンタクロースの言葉は何よりも重かった。
子供は無邪気だが、時に無自覚な邪悪さを覗かせることもある。小動物を虐めたり、陰口を叩いたり、好きな子のリコーダーをこっそり咥えようと思ったら転んで前歯を折ったあげく血まみれにしてしまい盗むしかなかった。しかもまだ家にある。など。
耳にする者全ての心に過去の悪行が浮かび、自問する。それでも己は良い子であったと言えるか、と。
「それでもなお戦うか、宇宙番長よ」
言外に敗北を認めろとほのめかすサンタクロースを前に、宇宙番長は不敵に笑う。
「子供に夢を与えるのが、真のサンタクロースのはず。理想を求める余り、子供達に失望を与えたお前はサンタにあらず」
自分の必殺技を倍にして返され、ダメージは思ったよりも深い。しかし寝ていることなど出来ない。なぜなら彼こそは宇宙の支配者、宇宙番長なのだから。
「ならば眠るがよい。永遠になっ!」
剛腕が唸り、宇宙番長を打ちのめすべく振り下ろされる。それを受け止めたのは、紛れもない宇宙番長。頭部への打撃からはまだ回復しきっていないはず。だというのに、その腕には確たる力が込められ、揺るぎない。サンタクロースは狼狽を滲ませながら、たたらを踏んで後ずさった。
サンタはいない、サンタは来なかった、サンタは父親だった、サンタかと思ったら泥棒だった……夢奪われた少年少女たちの心が、いま宇宙番長に力を与える。
回転しながら飛び上がった宇宙番長は、全ての思いを一点に集め、解き放った。
「クリスマス宇宙キック!」
ここで解説せねばなるまい。クリスマス宇宙キックとは、長ラン仕様の宇宙学ランが旋回時に翻り、まるでクリスマスツリーを横にしたような形状になることから名付けられた縁起のいいキックである。
なお、食らった側には何がクリスマスなのかよくわからないのが欠点だ。
「そんな見え透いた技がわしに通用するとでも?」
再びコークスクリューを放つサンタクロース。捻りの加わった拳は触れるものの軌道を反らし、自身の拳は回転力によって威力を増す。攻防一体の必殺拳、セイントクロス。
「貴様こそ、この宇宙番長に二度同じ技が通じると思っているのか?」
「なに!?」
ひげの中に埋もれた目が驚愕に見開かれる。
サンタクロースの拳は右回転。そしてクリスマス宇宙キックは左回転――つまり、回転方向は噛み合い、キックを弾き返すどころかさらなる回転の原動力となる。
渾身のキックはサンタの必殺拳をも凌駕し、あたかもドリルの如くその身を削り取っていく。
息をのむ群衆。宇宙番長のキックはサンタクロースの頭部を白髪もろとも抉り取った。そして、ひげの中に埋もれていた素顔がさらされる。
その驚愕の正体とは。
「貴様は……アンドロメダ番長!」驚きは、すぐに呆れに変わった。「先週戦ったばかりだろう」
アンドロメダ星系の支配者アンドロメダ番長は、ほどほどの強さと無限のタフネスで執拗に宇宙番長を狙う自称ライバルである。外観はミジンコに似た頭部にゴリラをミックスしたような形状で、地球人からの評価はすこぶる悪い。今回は見た目をカバーしつつ存在を秘匿するために、何らかのカモフラージュ手段を用いていたようだ。
しかし、練馬市長戦ルールとして、同じ相手と対戦する場合は3ヶ月のインターバルを開ける習わしである。練馬イルミネーションが戦闘の余波で爆発炎上したのは記憶に新しい。
「インチキだ!」
「ニセサンタだ!」
「俺たちの純真な心を弄びやがって!」
「サンタに謝れ!」
「JAROに電話しろ!」
などの罵声が当然の如く飛び交う。先ほどのニセサンタの演説は、曲がりなりにも人々の心を打っただけに怒りは倍増である。いや四倍である。
「練馬条約にはマスクの着用に関する規定はなかった。今の俺はアンドロメダ番長ではなく聖夜仮面だ」
思った以上に観客が怒っているので、弁明するアンドロメダ番長。
「詭弁を弄しても無駄だ。顔を隠して戦うような男にこの俺が倒せるものか」
マスクマンの存在を全否定しつつ、宇宙番長は高らかに叫ぶ。
「今こそ見せてやろう……この俺の偉大な力を!」
宇宙番長の力の源は、生きとし生けるものの願い、心である。その場にいた怒りのエネルギーは、宇宙番長の尖った頭髪、通称宇宙ヘアーを介して彼の身体に蓄積していく。そして皆の怒り、日頃の鬱憤、クリスマスを一人で過ごす悲しみは渾然一体となって破壊力へと転化された。
「クリスマス光線!」
なんのひねりもないネーミングとともに放たれた真紅の光線は、ニセサンタことアンドロメダ番長の体を直撃する。通常時の16.8倍の威力をたたき出すに至った破壊光線は、渋谷クリスマスイルミネーション上空を通過し、あたかも夜空をよぎる流れ星のように人々の心を和ませたが、同時に発生した電磁波により広範囲の電子端末に通信障害を及ぼした。
これにより、一部企業では業務を停止せざるを得なくなり社員全員が帰宅。帰りを待ちわびていた子供に歓喜とともに出迎えられたり、娘の彼氏と鉢合わせして気まずい思いをしたりするさまざまなドラマが生まれたが、ここからでは多くを語らないものとする。
なお、破壊光線は最終的に名前を明かすことは出来ないが人々のやりがいを搾取し不当に利益をむさぼっていた悪の企業のCEO以下13名の全員をなぎ倒し、社員には平和が訪れた。後の『光の聖夜事件』である。
「ぐう…っ」
上半身を半分ほど吹き飛ばされたアンドロメダ番長は、いつものように生きていた。宇宙一頑丈と呼ばれるアンドロメダ星人は、上半身を吹き飛ばされたどころか肉片レベルまで粉砕されても元気いっぱいなのである。お茶の間で放送できないようなダメージでも大半の視聴者は見慣れているので問題なかった
問題はそこからだった。アンドロメダ番長は体内で様々な化学物質を調合し、それを吐き出すことで戦うスタイルが基本だ。そこに通常より高出力のエネルギーが照射されればどうなるか、結果は火を見るより明らかである。
すなわち、爆発した。
とばっちりを受けたのは当然、クリスマスを楽しむべく来訪していた一般市民である。
緑色のガス状に四散したアンドロメダ番長からは、魚肉臭、カビ臭、セロリ臭、刺激臭などありとあらゆる匂い成分が揮発した。
「変な匂いがする!」
「ぐっ! 息が苦しい!」
「逃げろ!」
異臭に包まれ、次々と逃げ惑う市民。
当然、宇宙番長も逃げた。
飛び散ったアンドロメダ番長から発生した悪臭は、その後も渋谷の街をパニックに陥れたが、あらかじめ危険を察知していた警察の誘導によって速やかに事態は収集。
原因のほとんどは宇宙番長とアンドロメダ番長によるものである。
怪我人2631人、うち病院搬送477人、電磁障害による被害総額は12億円ほどにのぼったが、クリスマスにしては比較的被害額が少ないほうなので関係者も一安心である。
なお、ソリを牽引していた四頭のトナカイは上野動物園で引き取られ、平和な余生を過ごした。後に四頭の姿は忽然と消え、グリーンランド上空で目撃されたとの噂が流れたが、それはまた別の物語である。
こうしてクリスマス異星人爆裂異臭事件は終わった。
だが肝心のゲームソフトを買い逃した事に気づくのは家に帰ってから。
いまさら引き返しても、もうお店は閉まっているぞ。
年末セールに期待を掛けて
行け、宇宙番長! 戦え、宇宙番長!