モノローグ

 

 黒。

 白。

 黒。

 白。

 黒。

 黒。

 黒。

 僕の世界が色彩を失ったのはいつからだろう。
 基本は白。
 時折混ざる黒が「動くもの」だ。
 コントラストの違う白が立体を成していて、目障りな黒がそれをちょこちょこと塗りつぶしている。
 たぶん人が混ざっているのだと思うだが、僕には判別できない。
 黒だから動いているのであって、形という概念が視覚として認識できない。
 動いているから黒だ。
 それが生き物かどうか、僕には問題ではない。
 動くものは黒。
 黒いのは動くもの。
 そうやって世界を見つめていると、ふと疑問に思うことはある。
 僕は何色なのだろうか。
 努力はしてみたが、どうやっても自分を見ることが出来ないので、自分の色が判らない。
 白か。
 黒か。
 かさかさとしたジレンマが僕を苛む。
 動けないから白なのか。
 それとも視覚していると言うことはそれ自体行動であり、黒なのか。
 自問と自答を繰り返しているとやがていつの間にか世界を観察する行為に戻っている。
 世界は白と黒だ。
 白を基調に黒が動く。
 何も変わらないのだ。

 ところで僕は一体いつから此処に居るのだろう。


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