五感が閉ざされ、別の感覚が構築される。
  やがて戻ってくる五感が示すものは、今とは違う時間と空間。
 有機メモリを拡張し、外部で増幅されたプログラム領域へ黒崎の意識は飛ぶ。
 プログラムを立体的に、視覚的に変換するインターフェースは、通常のコードを打ち込む作業とは全く異なる技術を必要とする。ゆえに、電脳界へ潜る人間はダイバーとも称される。
 その上級者がソウルサルベージャーであり、彼らは電脳に取り残された人間の意識を選り分け、再構築して救出するという。
 解析にはそこまでの技術は必要とはされないが、意識を投影させる以上、リブロイドの有機メモリに意識が取り残される可能性はあるため、深く潜るほどにリスクを伴う。
 データの逆流を防ぐ防壁こそあるものの、その攻防はコンマ数秒以下の時間で決する。
 脳とコンピューターを直結するブレイン・マシン・インターフェースの普及が当初のロードマップよりも遅れているのは、こうした問題が解決していない事による。
 それでもブレイン・マシン・インターフェースの開発が続けられる理由は、人間の脳のみが持つ力ゆえだ。アナログコンピュータに近いことを人間の脳は瞬時にやってのける。
 混沌した有機メモリにたどり着いた黒崎は、作業のためのノードを自ら構築する。
 コーデックの種類は外部からでは判らないが、こうして電脳界に身を置いてみれば、類似性は見て取れる。かなり旧型のコーデックを仕様変更したものだ。大破壊前のものというのは事実だろう。 
 ほんの僅かな改変で読み取れる。
 光学系の感覚器はほとんど装備されていない。 
 かわりに、頭部に増設された猫の耳に類似した音波ソナーで地形と物体の形状を把握している。
 本来の目的のために製作されたのではなく、元々あった通常型のリブロイドを改造したものだった。
 各駆動機関は高度に洗練され、耐久性の高い素材、駆動方法を選択している。高精度だが劣化の激しい人工筋肉のたぐいではなく、油圧など自由度こそ劣るものの格段に故障の少ないものに置き換えられている。さらに、運用プログラムのブラッシュアップによって可能な限りの燃費の向上を図っている点も興味深い。
 電源は高寿命の原子力電池のようだ。通常のリブロイドに搭載されているバッテリーよりも遙かに長期間稼働することが出来るが、発熱や放射能の問題など安全面に大きな問題があり、家庭用リブロイドには搭載できない。これも本来の装備ではなく、設計変更して搭載されたものだろう。出力はもちろんかなり小さいが、探査という用法からすれば速度は重要ではなかったのかも知れない。
 現在では、どういう事か完全に崩壊して放射線は測定されていない。理論的にはこれほどの短期間で減衰するはずはないのだが、大破壊の影響なのか。
 このリブロイドの運用方法から考えればきわめて合理的、しかし設計に対しては真逆の方法がとられた改造。
 にもかかわらず、外観への干渉は最小限に抑えられている。
 この矛盾の産物は、なぜ生まれたのか。
 制限時間が来た。
 攻性の防壁は装備されていないようなので、仮想空間に構築したノードはそのままに自分の意識だけ引き揚げる。
 データの多くは地形情報だ。
 崩落したジオフロントの概要を理解するには役に立つが、それ以前の情報は見あたらない。
 真相を探るには、もっと深い領域まで潜る必要があるようだ。
「明日からはベースキャンプ造りね」
 そう呟くが、実際にはその程度では済まないだろうということは理解していた。

 仮眠室には誰も居ない。
 雫は調整槽で充電、メイスン達は帰宅。
 社内に残っているのは納期前のスタッフと警備員だけだ。
 外部の人間を社内に泊めて自分たちは帰る、と言うのもおかしな話だが、元が社内の人間なので信用されているのかも知れない。もちろん、データの持ち出しも警戒はしているだろうが。
 少なくともこの仮眠室は黒崎の個室として割り当てられていた。
 結果的に、と言うべきか。納期前では開発室に寝袋を持ち込んで寝る人間も多い。仮眠室だと寝過ぎるからだというのだが、黒崎にはどうしてもそれが理解できなかった。
 けれども、黒崎自身も寝付けなかった。
 判っている。自分は興奮しているのだ。
 今までとは違う、あのリブロイドの有機メモリを探索することを。
 きっと何かがある。いや何もなかったとしても、探してみたい。
 リブロイドの有機メモリを探索する機会はなかなか無い。仕事で納品された物であっても、個人データを含む守秘義務の問題、それにセキュリティの関連から深くは潜ることが出来ないのだ。
 だが、このリブロイドは遺物だ。
 どこまでも深く探索できる。ひょっとしたら、黒崎も知らないコーデックやデータに出会えるかも知れない。
 ノードを拡張して作業領域を確保しつつ、深く潜っていけば……
 あれこれ考えているうちに現実と思考の狭間は薄れ、黒崎は眠りに落ちていった。


 

 その日も、殆どを有機メモリの探索に費やした。
 仮想領域を広げ、さらに深層を辿っても増やしても手がかりはない。
 解析されたデータは随時ダウンロードされ、ワーカーデトニクス側のライブラリに保存される。
 やはりそのほとんどは地形データだった。
 ジオフロントAAC−110は崩落が原因で廃棄したものと見られている。
 生存者はほぼ無し。軽水炉の破損による大規模かつ長期的な放射能汚染により、遺体の引き上げはならなかった。
 また、放射能除去剤を用いるにしても全く採算が取れないことから、サルベージ計画の見通しも立っていない。
 資料と照らし合わせると、これほどの手間をかけてリブロイドを改造し、長期の探査任務に就けた理由は何なのか。
 もっと深く。
 黒崎はプログラムのさらに下部を目指した。人間で言うところの深層意識、彼ら自身の個性を規定する「アーキタイプ」のもとへ。
「大破壊前のビジュアルがあったらサルベージしてくれよ」
 メイスンの通信が割り込んでくる。
「あれは資料価値も高いし、データとしても好事家になら言い値で売却できる」
 趣味で分解している以上、こうした略奪はまた避けられるものではない。
 遺物は常に略奪されるものだ。物としてだけでなく、意味をも。
 それを非難するか、研究熱心ととるか。黒崎自身は出来るだけ中立でありたいとは思っていたが、リブロイドの記憶をサルベージして売りに出す、と言う考えは好きではなかった。
 もちろん、研究だけで飯が食えればそれに越したことはない。だがここは企業で、その目的はこの廃棄された骨董品から金の鉱脈を見つけることだ。採算が取れなければ意味がない。
 それは、人間の記憶を引き出して売り物にするソウルサルベージャーと何ら変わることはない。 ソースが違えど記憶は記憶だ。記憶はその存在が生きたという確かな証だ。勝手に売却するというのは他人の臓器を売るに等しい。
 けれども。
 黒崎は防壁を一段ずつ外しながら深部へと進んでいく。
 けれども、それが何者であったかを規定するのもまた記憶なのだ。
 黒崎はそれが知りたい。それは自分が蔑む行為と変わりがないと言うことを理解しつつも、黒崎はその誘惑に抗えない。
 彼らは何者なのか?
 心がないと言われる彼らには、本当に心と呼べるような感情の活動が見られないのか? 我々は見落としているだけではないのか? 
 それを客観的に知るためには、リブロイド自身の記憶を辿るしかない。心があるのと、心があるように見えることは違う。少なくとも、研究者はそう考えている。ならば、心があると証明するには、心そのものを見つけるしかない。
 黒崎が職業倫理を侵してまでリブロイドの記憶に執着するのは、それが理由なのだ。
 アーキタイプへの足がかりを見つけたところでその日の作業は終わった。

 再びダイブ。
 黒一色と僅かな反射データの世界にもそろそろ慣れていた。
 ログにあるのは相変わらず暗黒だけだった。膨大な量の闇。視覚データはほとんど無い。あるのは、ソナーで反射した地形データのみだ。
 そして沈黙。
 どこまでもどこまでも、有機メモリは闇を辿っていく。
 それが少女の生きた世界。
 人物と出会った記録も日常を過ごした記録もない。僅かな、断片的なログは残っているが、視覚化出来るほどではない。それらは全て消去されていた。断片は、上書きされていない領域の残りカスのようなものだ。
 これは。
 黒崎は闇の中の光を探しながら思った。
 これは、たぶん探索のために、探索の記録を残すためにそうしたのだ。膨大な時間を、ただただ闇の中を彷徨うためだけに。それだけのために、有機メモリの殆どを解放したのだ。
 思い出を消費するとは、どういう気分なのだろう。地形把握のための三次元データに、過去が書き換えられていく。それは人間にはない感覚のはずだ。こうしてコネクタ越しに記録を見つめている黒崎ですら理解出来ない。
 そうまでしなければならない理由とは何だったのか。
 人格を規定しているアーキタイプにすら、記録の改ざんは及んでいる。
 自分が自分であるという根本さえ侵してまでも、彼女は闇へと降りていくのだ。
 もっと、もっと深く。
 黒崎の意識はさらに深くを目指す。
「マスター黒崎、それ以上のダイブは危険を伴います」
「判ってるわ。でもまだ何もつかんでないの」
 それはもはや単純化されたプログラムであり、量子データの複雑さは無い。窮極の終着地。だが、それでさえ膨大な量のデータがある。単純であると言うことと量は比例しない。
 アーキタイプとはそうしたものだ。
 本能、といっても良い。ここまで深く侵入したのは黒崎とてそう多くはない。
 データの奔流は単純であるが故に荒々しく、それぞれが相互に干渉し影響し合っているために読み間違えるとオーバーロードを起こす。
 黒崎はそこに、隔離されたノードがあることを発見した。
 アーキタイプの中に隔離データが存在するということは、人格や関連づけの基底になっていることが多い。
 それは小さな、量にすれば取るに足らないほどのデータ。
 そうだ、これが、これこそが
 読みとろうとした瞬間に、黒崎の呼吸が止まった。
 意識が焼ける。
 混濁と混乱。侵蝕、いや同化される!
 防壁を作動させようと試みるが、データの混乱は収まらない。
 アーキタイプのデータと黒崎自身の意識が同調する。
「!!!!」
 人間とは異なる領域、解釈のされた情報が黒崎の脳神経に莫大な負荷をかけてくる。
 刹那、黒崎は死を意識した。
 だが、負荷は急速に収まり、意識は有機メモリから引き剥がされていく。
 頭蓋を掻き回されるような目眩と頭痛を感じながら、黒崎の意識は現実に戻された。
 スタッフが駆け寄ってくる。
 朦朧とする黒崎の手足にパッチが当てられ、皮膚から浸透する鎮静剤が興奮を収めていく。
「無茶しすぎだ! アーキタイプまで潜ったな!?」
「ごめんなさい、データがオーバーロードしてしまったわ」
「心配させないでくれ。現場としては人死にを出すほどのプロジェクトではないんだ」
「ごめんなさい」黒崎はもう一度繰り返した。「どうしても見つけたかったのよ」
「君は無茶をしすぎる。とりあえず、有機メモリへのダイブは中止だ……それにしてもよく無事だったな」
「雫のおかげよ。あの娘が助けてくれたの」
 全員の視線が雫へ向いた。
 調整槽に座ったままの雫は、四肢から白煙を噴き上げて鎮座している。
 一瞬にしてどれだけの負荷が掛かったのだろうか。
 雫は首だけを動かして黒崎に向き直った。
「遅れて申し訳ありません」
「いえ、対応は完璧だったわ。おかげで命拾いしたわね。これで何度目だったかしら」
「4回目です、マスター黒崎。アーキタイプへの侵入は危険を伴うということは再三説明したはずですが」
「知ってるわ、私もデザイナーなんだから。雫、あなたは大丈夫?」
「防壁を稼働させた際にナンバー4と5が作動停止、付随する補助メモリがバーストしています。過負荷の影響でアクチュエータの一部が損壊、歩行不能」
「ふう。手ひどくやられたわね。また潜るわけには行かないか」
「当たり前だ」
「これ以上のダイブは生命維持の点から承諾しかねます」
 メイスンと雫が同時に答える。
 相棒と責任者から拒絶されてはどうすることも出来ない。
 ここで黒崎の仕事は終わったのだった。

 雫の修理はワーカーデトニクスからの経費で行われることになったので、黒崎は安堵した。
 雫の部品には特注の品もいくつか含まれている。試作時よりもデチューンされて規格は共通のものが多く用いられてはいるが、フレームを含めた重要部分には替えが効かないものもある。
 その間、黒崎は少女の解体を手伝っていた。
 メモリからデータを探ることは終わった。コーデックを解析したためデータのサルベージは概ね出来ており、やはり大部分の記録は音波ソナーによって構築された、崩落したジオフロントの三次元マップだった。
 部品のほとんどは旧式のために骨董品として以上の価値はない。製造のされた部品は大破壊前のものだが、規格自体は現在のものと変わっておらず、資料的価値も乏しい。
 ただ、その構造と省エネルギーのためのアプローチは今後の開発に生かせるものだ。これだけで十分採算は取れる、とメイスンは言っていた。
 古い部分が多いため、細心の注意を払って解体されていく少女。
 それはさながら遺構からすくい上げられたミイラの少女を、研究のために解剖していくのに似ていた。
 外装が取り払われ、愛らしい外見の中身がむき出しにされ、ビスの一本一本、フレームの一つ一つが引き剥がされていく。
 それは略奪なのかもしれず、陵辱とも取られるのかもしれないが、機器を操作して少女を暴いていく行為の中には、過去のテクノロジーへの興奮が満ちていた。
 この肢体に秘められているのは、大破壊という過去を一変させた災害前のテクノロジーなのだ。
 もちろん、この駆体が稼働しているのは大破壊の後だ。改造も大破壊の後に行われている。既存のテクノロジーがほとんどだ。だが、大破壊前に作られたリブロイド自体が数少ない。得られるものは多いだろう。
 解析は日に日に進んでいく。
 それが終わったのは唐突だった。
「あー。大変残念だが、このプロジェクトは中止となった」
 開発室の中を驚きと怒号が飛び交う。
 メイスンは片手を挙げてそれを制した。
「驚くべき事だが、持ち主が見つかった。管理局に一応届けは出しておいたんだが、まさか大破壊前の機体が登録されているとはね」
 それはリブロイドに所有権が存在することを意味する。
 つまり解体することも解析することも違法、と言うことだ。
「これを回収するつもりがあった、ということなのかしら?」
「さて………ね。ともあれ、所有者が現れた以上、このリブロイドを弄り回すことは出来ないな。実に残念だが」
 そうは言うものの、メイスンの顔には落胆と言うほどの色はない。
 必要なものは十分手に入れ、採算は取れた。
 損はない。
「解析は中止。ただし、駆動系の修理はお願いしたい、だってさ」
「動力系はどうするの? リブロイド用の原子力電池なんて何処も製造していないと思うわ」
「それについては代替品で処理するしかないだろうな。重量はかさむが、背中に増設すればうちの大型リブロイド用内燃機関で何か適合するのがあるはずだ」
「それよりも、触媒置換型のナノ発電装置はどうかしら? 重量比ではたぶんそっちの方が効率が良いわ。たぶん、依頼主は年単位での駆動を考えてるはずだから」
「それは分析の結果かい?」
「いえ、ただの勘だけど。でも、ここまで徹底的な電力の効率化はそうでないと説明がつかない。この駆体は深度探索用に改造されているけど、あくまで単独行動でそれを達成するために設計を変更されているわ。つまりこれを弄った人間は安全性やコストよりも、駆動期間の伸長が最も重要だと判断している」
「なるほど。それでこその原子力の訳だ。となれば確かに、出力やコストを差し引いてもナノ発電の方がいい。触媒によっては10年はいける……それにしても、金持ちの考える事というのは判らないもんだな」
「私は、何となく判るわ」
「まあそうだろうね。だから君はここには居られなかった」
「それ、皮肉?」
「いや、ここは君には狭すぎるという意味さ。アレン博士と一緒だよ」
「彼とは……」
「何だ、まだ続いているんじゃなかったのか?」
「余計なお世話よっ!」
「そうだな、悪かった。知らなかったもんだから」
「彼とは本当に何でもないのよ。技術者としては尊敬してるけど」
「判ってる。アレン博士は非常にユニークな人物だよ。一つの所に止まれないのも当然さ」
「あなたが独身の理由がよく判ったわ」
「それはちょっとひどいなあ。これでもナイーヴな方なんだぜ」
「もうすこし口を閉じてればマシになるわよ」
「やれやれ、毒舌は相変わらずか」
「お互いにね」
 メイスンは肩をすくめた。
「時が経っても、変わらぬものもある、か。有機メモリのほうには異常がないみたいだから、これはそのまま使おう。摩耗した部品を取り替えれば駆動系もまだいけるはずだ」
「それにしても、こんな古い物を修理してどうするつもりなのかしら」
「また、もとの場所に戻して欲しいそうだ。『仕事の途中だから』ってね」
「またジオフロントに戻すって事? なんのために?」
「死体探しさ。さながらスタンドバイミーの洞窟版、だね」
「ジオフロントに置いてきた理由が死体探しって…………見つかる訳ないじゃない!」
「僕に怒らないでくれ。先方は至って本気らしいぜ? なんでも、探しているのは持ち主の父親だそうだよ。そんな見つかるはずもない物のためにこんなに金をかけるんだからなあ」
「納得できなかった、のかしら」
「さあね。なんでも、探索任務はこのリブロイドが自分の意志で主張したらしい。僕としては眉唾だけど、まあ持ち主がそう言い張るんだから信じるしかないだろうねえ」
 あの、一瞬だけ写った男の姿。
 あれは彼女の仕えた人物だったのだろうか?
 暗い黄泉路へ、たった一人。
 見つかるかどうかも判らない、主の亡骸を探すただそのためだけに。
 自らの存在を賭けて。
 それは献身なのだろうか。あるいは義務感なのだろうか。
 もはや、それを確かめることはできない。けれどもこのリブロイドの所有者はそれを『意志』と取ったようだ。
「…………この子、幸せだったのかしら」
「さあね。人間だって幸せのなんたるかを知らないんだ。リブロイドの幸せがなんなのかは図りかねるよ。……もっとも、リブロイドを道具としてみるなら、再び役割を果たすことが出来る彼女は幸せなのかも知れないね」
 そうだろうか。
 僅かな希望に胸を焦がして闇を彷徨うことは、断ち切れない希望という意味では不幸なのではないか。
 届かぬ想いを抱きながら消えていった哀れな電子の魂達が、この世にはいくつ在るのだろう。
 彼らの魂は天国へ行けるのだろうか。
 そう思ってから、黒崎は自嘲気味に笑った。
 人間の魂ですら何処へ行くのか判らないと言うのに、私は機械人形の魂の行く末を案じている。
 ふと雫に尋ねてみた。
「もし私が地割れにでも飲まれて落ちていったら、あなたは探しに来る?」
「私の製造目的は護衛です。探査ではありません」
  雫はそう答え、それから付け足した。
「しかし貴女が生きている可能性がある以上、私は貴女を探しに行かねばならないでしょう」


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