そして実用編である。
眼鏡のレンズ選び。
まぁ大別して2種類、プラスチックレンズかガラスレンズである。
他にもポリカーボネートとかアクリルとかいろいろ素材はあるのだが、普通は使わないと思われるのでパス。
まずはプラスチックレンズ。
長所としては
1 軽い。
2 割れにくい。
3 カラーバリエーションが豊富。(いろいろな色で染められる)
欠点としては
1 経年劣化がある。(大体2,3年で黄色く変色したりする)
2 傷つきやすい。(コーティングも弱い)
3 熱に弱い。
一方ガラスレンズの特徴として
1 熱や傷に強い
2 経年劣化がほとんどない。
3 屈折率が高いため、薄く仕上げられる。
欠点は
1 割れやすい。
2 重い。
ではプラスチックレンズかガラスレンズ、どちらがいいかというと
どちらとも言えないので好きな方を選べ。
などというと講座が終わってしまうので簡単に。
はっきり言って用途別であるのだが、軽いプラスチックレンズはいろいろなフレームに加工できるし、加えて色を付けたりも出来るのでファッション性も高い。経年変化があるとはいえ大事に使えば3、4年くらいは持つので普通はこちらを勧める。
一方、ガラスレンズは重い、割れやすいなどの重大な欠点があるが、割れなければ10年、20年は頑張って使えるので度を変えなくても長く使える眼鏡、すなわち老眼鏡に向いている。また、熱に強いという利点は調理場などの高温になる物を扱う場所でも劣化しないのでプラスチックより保ちがいい。
さらに後述するが屈折率が高い(プラスチックは私の知る限り1.74だが、ガラスは1.9まである)ので、強度近視の人にも向いている。
で、この二大レンズを選ぶとお店の人から
「薄型レンズなんてどうですか」
と聞かれるものと思われる。
薄型レンズ(圧縮レンズという人もいるのだが)、これはいったいどういう物かというと、その名の通り薄いレンズである。
正確には屈折率が高いために同じ度でも薄く設計されているレンズだ。
通常のレンズは大体屈折率1.50。これが高くなればなるほど、光の屈折率が高いという事になり、普通の物よりも厚みを減らせるのだ。上記の通り、プラスチックの屈折率は1.74が限度、ガラスは1.9まであるのでその差はかなりある。(余談だが、ダイヤモンドの屈折率は2.3であるので、これでレンズを作ると超高価且つ超薄型レンズが出来る。技術的に100年くらいは無理そうだけど。)
薄型レンズは素材によって値段が大きく変わってくるので、そのあたりは予算との相談になる。当然、屈折率が高ければ値段も高い。安いのなら10000円程度から有るが高いのだと一枚で定価40000円近い物もある。その辺はお店も定価で売ったりはしないので、交渉次第で値下げは可能である。粘るべし。
「おいおい、貧乏人からそんなに取るなよ」とか「よその店はもっと安い」とか「そこを何とか。次もこの店で買うから」などといったりすると良いのではないだろうか。しかし私の店に来たら大人しく定価で買ってほしい。儲けが減るから。
店の人も生活がかかっている。
で、話を戻すと、レンズにはもう一つ「球面レンズ」と「非球面レンズ」というのがあって、端的に言うとレンズの片面が丸くなっているか真っ平らか、という違いである。これは実際の見え方に影響する物で、非球面レンズはレンズの縁の部分でも歪みが少ない。また、平らになる分出っ張りが少なくなって薄く仕上がったりもする。
見え方は、「そう言われればそうかなぁ」ぐらいにしか感じない人もいるので別に無理に非球面にしなくても大丈夫。たいてい気づかない。はっきりいって、あればいいなぁ、程度である。ただ、強度近視とか遠視の人とかになるといくらか見え方の差は感じるようだ。
最近流行りのUVカットであるが、これはやはりそれなりの効果はあるので入れておいて損はない。
紫外線は水晶体に蓄積して白内障の原因になるといわれており、UVカットの眼鏡は有効である。
またサングラスは色を入れて視界が暗くなるために瞳孔が開くので、紫外線の影響を直に受けやすい。UVカットは入れておいた方が吉である。ついでに白内障の手術後も入れておいた方が良い。
最後に豆知識。
薄型レンズは薄く仕上がるからいいかというとそうでもない。薄型レンズは、レンズの規格の一つであるアッベ数、というのが低い。これは色の滲みを表した単位で、薄型のレンズほど顕著に低いのである。これが生活に影響してくると言うことではないが、神経質な人などはそういうのを訴えてきたりするので、お店の人とよく相談である。
それと、レンズ自体の透明度が低くなる為、少し暗いような感じがしたり、硬度が増す為欠けやすくなったりと欠点も多い。無条件で薄型、というのも考え物である。
ちなみに私はそんなことは全然気にしないのでレンズは見えればいい、という派。
見えるだけいいじゃん。無いと見えないのにあれば見えるんだぜ?みたいな。
こんな人間が店員やってちゃ駄目かなぁ。
そんな頼りない店員の眼鏡講座、次回はレンズとフレームの相性編。