ブックカバーのかけ方講座
このコーナーでは
「図書館の本みたいなビニールフィルムを掛ける」方法を解説します。
このブックカバーというのは、ポリプロピレン製の粘着性フィルムのことで、表紙や補強箇所に貼り付けることで本を保護したりするものです。
最近では紫外線除去剤とかを配合してありますので色落ちにも強くなりました。(さすがに直射日光に当てると色落ちします)
あと燃やしても塩素ガスを発生しなかったりして環境への配慮も。
粘着フィルムという性質上、ちょっと面倒な部分とか技術が必要な部分もありますが
ブックカバーを掛けることによって
1 摩擦等で表紙が傷まない
2 水滴等にも強くなる。
3 紫外線防止効果があるので表紙が変色しにくくなる。
4 表紙が補強されるので折れにくくなる。
などの利点が得られます。
「美しいものは永遠なのだ」
という美本蒐集家の方とか
「兵器とは、あらゆる状況に於いて信頼に足るものでなければならぬ」
とばかりに地中空中戦場を問わず常時持ち歩いたりするような本に行うと大変効果的です。
また、扱いの乱暴さにおいては破壊神シヴァにも劣らぬ幼児の絵本などにカバーをすれば、汚れたり壊れたりしにくくなります。
それでも壊すけどな。
欠点は特にないですが、強いて言うなら古本屋に売れなくなるくらいですか。
というわけで早速GO。
用意するモノ
1 本(無いと話にならない) 2 カッターナイフ 3 ハサミ 4 カッティングマット 5 市販のカバーフィルム(600円くらい) 6 厚めの定規 |
ハサミはとにかく良く切れるものを。地球をも真っ二つにするぐらい。さもないとカバーを切るときに非道い目に遭います。カバーフィルムは厚さ0.07ミリとか書いてありますが、伸びが良く頑丈なので切れ味の悪いハサミですと切り口がギザギザになって仕上がりが悪くなります。
加えて、その部分の粘着力が落ちて後々そこからカバーが剥がれたりするので、ハサミはこれ専用に買うぐらいの心意気で。
カッティングマットがあれば作業が楽ですが、別になくても平気です。
肝心のカバーフィルムは文房具屋さんとかに行けば大抵売っています。「図書館で使うようなヤツ」と聞けば大体判ってくれます。
判ってくれなかったらナックルパート→延髄斬りでツッコミ。
カバーフィルムはメーカーごとに微妙な違いがあるので好みの問題ですが、最初使っていたニチバンのカバーフィルムは柔らかすぎ、粘着力が弱く、さらに表面がテカテカしていて嫌なので、東急ハンズで売っていた埼玉県福祉会の「ピッチン」というフィルムを使っています。
というかその二つにしかお目に掛かったことがないので、たいして使い比べてないんですが。
初めての人には剥がし安い、失敗しても修正しやすい、と言う意味でニチバンの奴もいいかもしれません。
メーカーは忘れましたが、再剥離して貼り直せるのもあった気がします。ドイツとかに。
今回の「ピッチン」は40センチ×2メートルで600円くらいの値段。分量にして文庫本なら10冊くらいいけます。
それと大事なのは定規。
カバーのかけ方について「布で擦りながらに貼る」という解説がしてあるところもありますが、定規でやった方が格段に失敗も少なく仕上がりも綺麗です。しかも速いです。
定規は出来るだけ厚みがあって丈夫なものを。3ミリくらいの厚さがあれば十分です。
いつも手元に置いておけば背後から襲われたときに斬撃・打撃・打突等に用いることも出来、護身用として大変重宝。一家に一つは必須。
店によっては「ブッカー用定規」という分厚い製本定規が置いてある店もあります。
下準備
カバーフィルムは粘着質のシールみたいなものですので、表紙についてしまった油分などで(中途半端に)剥がれたりする可能性があります。
よって、カバーを掛ける本は乾いた布で良く拭いて汚れや油分を取り除いておき必要があります。
ついでにカバーを掛けたときに埃とかをサンドイッチしてしまいますと、仕上げたとき非常に気分が凹みますので部屋は綺麗に。
なにより重要なのはやり直すのが非常に難しいということです。
とくに表紙がツルツルしたものではない、あるいは雑誌などの場合ではカバーを剥がして貼り直すのはほぼ不可能です。
また剥がしてしまったカバーフィルムは使い物にならないので捨てざるを得ません。
失敗は死。
という事を良く肝に銘じてください。
さてそれでは事前に
瞑想をする
雄叫びをあげる
カフェインを摂取してハァハァしておく
等の方法で集中力及び気合いを注入し、作業を始めます。
今回の獲物は「GUNSLINGER GIRL」2巻。
まずはカッターナイフでカバーフィルムをカットします。
目安として上下左右2〜3センチくらいの余白があるぐらい。
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次に表紙の折り込み部分を少しだけ、斜めにカットします。 こうすることで裏面の接着面が広くなるのでカバーが外れにくくなります。 うっかり表紙の部分まで切らないように注意。 |
カバーフィルムを少しだけ剥がします。
内側に折り込む余白部分より少しだけ広めに剥がして、位置を確認し、表紙をつけたまま本をのせて貼り付けます。
定規を斜めに当てて、ゆっくりとカバーフィルムを貼り付けていきます。
コツとしては、フィルムを全部剥がして貼り付けるのではなく
定規を斜めに当てながら、フィルムを均等に押し出すように貼ることです。
背表紙の部分にも空気が入らないように気をつけながら、裏表紙まで貼り付けてしまいます。
第1段階はこんな感じ。
ここまで気泡も入らずに出来れば8割方大成功です。
もし気泡が入っていたら針でつついたりして抜くことが出来ますが、可能であれば布か何かでこすって外に出しちゃうの方が綺麗です。
ちなみに気泡が入ったとき、私は針ではなくて、アートナイフの先で切り込みを入れて空気を抜くことにしています。ナイフの方がカバーの痛みが少ない(気がする)からです。
さて、これから余白の部分を仕上げます。
まずは四隅の部分の余ったフィルムを斜めにカットします。
この時、ほんの少しだけ(1ミリくらい)余裕を持ってカットしてください。
表紙ギリギリの位置で切ってしまうと、余白を折り込んだときにそこに隙間が出来てしまうからです。
ちょっと判りにくいですが、背表紙(タイトル)に近い部分の余白に斜めに切り込みを入れます。
あまり近すぎると本を開いたときに表紙が「つれて」変な風にしわが寄ったり折り目が付いてしまったりするので
3〜5センチくらいの位置に切り込みを入れます。
いったん本から表紙を外して、先ほど切り込みを入れた背表紙の部分を内側に折り込みます。
気泡が入らないように、折り込んだ部分から擦っていくようにして貼ると綺麗に出来ます。
余白を折り込まないでカットしてしまっても良いのですが、折り込んだ方が背表紙の角部分をしっかり保護できて傷みにくくなるので私はこっちを推奨します。
上下共に折り込んだらまた表紙を元に戻します。
残った余白部分で本と表紙をくっつけます。
この時、
こんな風に本をびろーっと広げてやると本を畳んだときに表紙が反ってしまうので
本を広げずに少しだけ開いて手をつっこむようにし、余白を折り込んで貼り付けると失敗がありません。
同様にして横の部分の余白も折り込みます。
完成。
基本的に漫画本とかは適度に厚みがあってやりやすく、逆に薄っぺらい小説とか表紙のないムックみたいなのはやりにくいです。B4とかA3位の大きさになってくると気泡が入りやすくなります。
特にムックなどは紙質の性で反ったりしやすいので難度はやや高め。
それでも耐久性は格段に向上します。
馴れないうちは結構手こずるので、どうでもいい本とか雑誌なんかで練習すると良いと思います。