夢の中の記憶
ずっと
気になっていた。
過去形になっているのは、そのことが解決したからである。
それは2ヶ月前のこと。
筑波にある私の職場で偶然に知人に会った。
が、名前が思い出せ
ない。
確かに種子島で会っている。
どこの誰だったか。うーーーーん。
挨拶をし、仕事の打合せに来たことなど話して別れた。
別れた後も気にかかり、数日は悶々としていた。
名前が喉まで出てくるが思い出せない。
それから2ヶ月が過ぎた。
くだんの人をふっと思い出しては、
気になってどうしようもない。
そんな頃、夢の中で偶然に逢ったのである。
その人が働いている職場で。
昔の恋人に偶然に逢ったような気分か。
胸の支えも取れた。
一所懸命働いていた。はっきりと顔が見える。
某氏だ。こんな事もあるのだろうか。
思い出そうとして思い出せなかったことが、
一夜の夢の中で思い出せるとは。
なんとしても思い出そうとした執念か。
まさか夢の中で。
平成12
年6月
風月法師