[小学校の夏]
 低学年の頃は夏が嫌いだった。というよりプールが嫌いだった。
 背が低く運動が苦手だった私は泳げなかった。泳げないのに自分の背の立たないプールに入るなんて考えても嫌だった。梅雨の終わりを知らせる雷の音を聞くと、ああ、とうとうプールの授業が始まると思って暗い気持ちになった。今でも、プールの塩素の匂いをかぐと、あの時の気持ちを思い出す。高学年になり、背が立つようになると、あまり泳げないながらも、プールを嫌いでもなくなった。
 プールも終わりの晩夏の頃、水を抜いてしまって深さが膝までしかなくなったプールで、クラスの友達何人かと遊んだことがある。私はその時タオルを無くしたので、どこかに沈んでいるのだろうということになって、皆で一列になってプールの中を歩いて探してくれた。
 水は緑がかって暖かく、コンクリートに反射する日の光も少し疲れたように弱かった。
 夏も終わったのだなと思った。

表紙へ戻る