[喫茶店]
 大学時代、金沢に帰省したときは竪町の「郭公」に行ったりしていた。
 店の中は暗く細長く、東欧かロシアのような雰囲気で、クラシック音楽を流していて、隠れ家風だった。郭公というより梟の巣のようだった。五木寛之氏のひいきの店だったが火事で焼けてしまった。
 「郭公」の無くなった後は、鞍月用水に架かる橋を渡って入る「無言歌」にも行った。「郭公」の系統の人の店だそうで、店内は明るいがやはりヨーロッパ風だった。
 柿木畠の「芝生」は昭和の初め頃からある古い店で四高生がよく入り浸っていたという。
 店内も何も凝ったところが無く、あっけらかんとしているので、却ってのんびり出来る。
 片町の「ぼたん」も戦前からの店で、雰囲気は「郭公」とよく似ている。
 昔からの喫茶店が今も変わらずに店を開いているのは、時々金沢に帰ってくる者にとっては懐かしく、嬉しい。

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