[菓子]
 お菓子の国金沢出身だから、好きな菓子は多い。
 ただし、高校時代までしか居なかったから高級な練物には縁が無い。
 覚えているのは、森八の黒羊羹、琥珀羹、鯨餅、長生殿、、小出の柴舟、金鍔、そして松任の円八のあんころ餅など書き出せばきりがない。
 黒羊羹も昔は今より甘く、日が経つと端の方は砂糖が固まって白くなった。そのじゃりじゃりした所を食べるのが好きだった。
 柴舟も以前は一枚づつ袋に入れたりなどせず、生姜砂糖の塗り方も粗く,野性的な菓子だった。あんころ餅は竹皮に付いたあんこを楊枝ですくって食べるのが面白かった。
 正月には福梅が家々を訪ね回り、婚礼には五色生菓子が配られた。
 小さい頃はよくこの生菓子を食べた。特に紅白の大福と、米を黄色く染めてまぶしてあるいがら饅頭が好きだった。
 東京生まれだが金沢の一中を出ている加藤楸邨は、
 いがら饅頭 黄なり雪ふる 母の国
と詠んでいる。
 加藤楸邨の随筆「菓子の思い出」では、いがら饅頭の他、氷室万頭、福梅、福徳(ふっとく)、長生殿、じろあめ、あんころ達が行儀よく陳列ケースに並んでいる。
 雛祭には砂糖を溶かして鯛や野菜の形に色を塗った金花糖を飾った。
 食べる時は割って適当な大きさにしたが、どのかけらを食べるかよく迷った。
 泉鏡花の戯曲の「天守物語」では、舌長姥という妖怪が「金花糖の鯛でさへ、横噛りにはならぬ事よ」と言っている。鏡花も、食べた思い出があるのだろう。
 今の金沢は多くの菓子屋さんが群雄割拠する戦国時代で、老舗も厳しい戦いをしているらしい。
 私は毎晩夕食の後に、金沢から持ってきた柴舟を一枚づつ食べている。
 缶から取り出し、袋の中で割って、ぽりぽりかじりながらお茶を飲み、小さな栞に描かれた金沢の絵地図を眺めている。
 








五色生菓子

見ているだけで食べたくなります。
写真は「おすすめの金沢」のHPよりお借りしました。
http://www.sakane.net/recommend/kanazawa/recokana.htm








金花糖

あの濃厚な甘さが懐かしい。
写真は「粋生きネット らくらくウェブ工房」のHPよりお借りしました。 
http://www.ikigai.gr.jp/kanazawa/gb_top.nsf/Top?OpenView



福徳と、中を開けたところ

辻占と金花糖の招き猫、おしどりが入っています。
写真は「ウォーキングで金沢めぐり」のHPの中の「金沢風物詩」よりお借りしました。
http://www.cute.to/~tokusabu/index.html

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