ロックしりとり(第12回)
第10回がEL&Pだったので、今回はPである。Pといえば、ピンク フロイド、プリンス、ポール マッカートニー、ピーターハミルなどどれも手ごわい。そう簡単に書けるものじゃない。
PETER GABRIELといえば?

 今回のGROWING UPライブでの充実でもわかるように彼は健在である。数年の沈黙の後に登場した白髪坊主のひげ姿を見て、なぜかジェントルジャイアントを思い出してしまった。もうだめなのかなと思った。でも、新作のUPは結構よかったのでまだやるかなと思ったが、今回のライブの映像を見てぜんぜんテンションが落ちていないのに驚いた。クリムゾンを休んでまでの参加のトニー レヴィンやデイヴィッド ローズの手堅いバックアップや娘のバックコーラスの参加などそれぞれ話題があるものの、それよりもガブリエルが依然と同じように憂いのある遠い目をして僕たちに歌いかけていた。彼は世界のみんなに訴えかけながらも自分自身を問い続けていたのである。それが時には息苦しく感じてしまうが、それこそが彼そのものである。
 ソロで好きな曲としては下にもあるようにHERE COMES THE FLOODやソルズベリーヒル、LAY YOUR HANDS ON MEなどになるが一番好きな時期といえばガブリエルの4とプレイズライブである。あまりSOから後は好きじゃないのだけど、見逃せないものを持ち続けている。また彼の周りにはずいぶんたくさんのタレントがそろってくる。ポール ウェラー、ケイト ブッシュピーター ハミル、ユッスー ンードゥール、ヌスラット ファテ アリ カーン、シャンカールなどなどすばらしい人ばかりである。魅力ある人なのかな?ジェネシス時代の彼を生で見たかったな。 
                                         今度はがつく人です。
                                                  (1月24日)
HERE COMES THE FLOOD/
PETER GABRIEL

FROM PETER GABRIEL(PETER GABRIEL)
 洪水の中に、ブルー メタリックの車に半ば生をあきらめたようなぼう然とした顔のガブリエル。どんな心境でこの曲の歌詞を書いたのだろうか?
 ジェネシス脱退後のファースト ソロアルバムの最後の曲。キッスのデストロイヤー、ルー リードのベルリン、アリス クーパー、フロイドのウォールを作ったボブ エズリンがプロデュースしているので、派手なストリングスやダイナミックな構成で感動的な曲である。しかし、当然ながら、オーバー プロデュースであるという声も根強く。ガブリエル当人もこのアレンジは好きではないようで、のちに出たベストには、別ヴァージョンを入れている。別ヴァージョンとは、ロバートフリップのファーストソロアルバムのEXPOSUREに入っているピアノとフリップのあのギター(フリッパートロニクスみたい)でシンプルに歌われるヴァージョンである。
 実は自分は、この派手なほうのヴァージョンが結構好きで、最初のエレピの音でぞくぞくしてしまう。途中のギター ソロはあまりいただけないけど。ガブリエルのヴォーカルもとってもよくて、感動してしまう。しかし、ヴォーカルに関しては、別ヴァージョンで切々と歌うほうが歌詞の意味は伝わってくるようだ。スプリングスティーンのボーン イン USAがあの派手なバージョンからドブロギターなどを使って泥臭いアレンジになった現在のほうが歌詞本来の意味を表現できているのと同じような感じである。
 どんな心境でこんな歌詞を書いたのだろうか?このアルバムには、名曲のソルズベリーヒルもあって、自分のその時の心境を吐露しているとされる。この一曲だけで自分は、ガブリエルのソロの世界に吸い込まれてしまった。
                                    (2001年7月27日)
BIKO/PETER GABRIEL
/FROM PETER GABRIEL(PETER GABRIEL)
ピーターガブリエルは、もうフラワーマンはしないだろうな。このころは、自分の顔を溶かしていたし、その前は自分の顔を爪で引き裂いていた。その次は、何か猿のメイクをして、それから、ふつうの顔にもどったかと思えば、自分の顔の所にビデオカメラを設置して自分の顔を思いっきり歪ませていた。「化粧をすればするほど、人間の本性が表にでるという話を聞いたことがある。彼は何の業を抱えていたのだろうか?
 ビコは、自分に南アフリカのことを知らせてくれた曲。この曲がなければ、ネルソンマンデラも、殺されたスティーブ ビコも知らなかった。アパルトヘイトのために死んでいった人へのレクイエムなので、きわめてシンプルな歌詞、そして、シンプルなリズム、そして、自分の思いを懸命に伝えようと何とか立っているガブリエル。シンプルな歌詞で、ここまで人に伝えることができることができるんだ。曲自体も感動を呼ぶのだが、この曲のコンセプト、というよりガブリエルの問題への向き合い方に感動を覚える。
 変なはなしだが、WE WILL ROCK YOUのドラムと混乱することもある。
(2000年12月17日)