ロックしりとり(第10回)
第9回がERIC CLAPTONだったので、今回はNである。Nといえば、ニールヤング、ノイ!、ニールフィンと思い浮かぶ。そこで、この人にするのだが、するとまたEである。困るな・・・。
NICK DRAKEといえば?
  2003年の自分のベストアーティストだったすばらしい声を持つスターセイラーのジェイムス ウォルシュ君(23歳)も夢中だったニック ドレイクである。彼は、コステロ、ロバートスミス、ポールウェラーなど後生の多くのアーティストに影響を与えたが、生きているときはほとんど評価を受けなかった人である。
 フェアポート コンヴェンションのメンバーに見出されたという触れ込みでアイランドレコードからデビューした。69年から70年代初期までのイギリスのフォークミュージシャンである。特徴といえば、あの曇ったような心をひきつける声、あんまりうまくないのだが聞いているうちに向こう側にある闇に引き込まれそうになってしまいます。それと変則チューニングなどによる独特のアコースティックギターの音。ファースト、セカンドでのロバートカービィーのストリングアレンジにあると思われる。
 いろいろな能書きで書くよりもぜひ一度聴いてほしい人です。聞いてみて向こう側の世界を感じるか、徹底的にあの暗さに拒否反応を起こすか、あの世界に感動を呼び起こすか。好きから嫌いがはっきりと分かれると思うけど、すばらしく魅力のある人です。自分が一番すきなのはファーストのFIVE LEAVES LEFTの一曲目のTIME HAS TOLD MEです。あの魅力的なアコースティックギターにペンタングルのダニートンプソンのベースとリチャードトンプソンのギターによる見事なバックに彼独特のヴォーカルが入るすばらしい曲です。1,2枚目はいろんな人が参加してアレンジとかもされていますが、3枚目のピンクムーンは彼がどこかで一人で録音してきた、彼のたった一人の演奏による作品です。鬼気迫る世界が表現されていて、寒気がします。
                                         今度はEがつく人です。
                                                  (1月7日)
FIVE LEAVES LEFT/NICK DRAKE(1969)
1 TIME HAS TOLD ME
2 RIVER MAN
3 THREE HOURS
4 WAY TO BLUE
5 DAY IS GONE
6 'CELLO SONG
7 THE THOUGHTS OF MARY JANE
8 MAN IN A SHED
9 FRUIT TREE
10 SATURDAY SUN
フェアポートコンベンションのメンバーから見いだされたとされる。ブリティシュ・フォークの素晴らしいアーティスト。変則チューニングによる印象的なギター、ロバートカービーによる素晴らしいストリングスアレンジ(コステロが後にこの人のすばらしさを起用したいと、何かの曲のアレンジをしてもらったとか)、陰鬱というか、つぶやくようなヴォーカル。聞いていると何か暗くなってしまうんだけど、どれもが素晴らしい曲ばかり、曲を聴くたびに何かモノクロの(行ったことがないけど)イギリスのさびしい風景が浮かんできて胸がきゅんとなってくる。1曲目には、リチャードトンプソンのギターと、ペンタングルのダニートンプソンの素敵なバックアップ、印象的なイントロのギターのフレーズが素晴らしい。
 この人は、3作出したあとはまるで自殺をするように死んでしまう。自分の才能が認められなかったつらさや売れないための貧困などで追いつめられる中で出された3作目のPINK MOONが一般的には最高傑作といわれる。