ロックしりとり(第15回)
今回はGである。うちのテーマからすると当然GENESISなのだが・・・。70年代途中まではジェネシスよりもアメリカで成功したこのバンドを・・。
GENTLE GIANTといえば?

  このバンド、とっても変である。気合いが入っていて、とっても熱い。いろんなものが一気に詰め込まれているにもかかわらずその一つ一つが非常に深い。バロック、現代音楽、ロック、ジャズ、ブルース、ソウル、同年代のプログレなどといったものが一気に詰め込まれている。難解そうで親しみやすく、難しいメロディをユーモアいっぱいで表現する。しかも、こんなバンドがアメリカで成功を収め、(イギリスでは成功しなかったらしいけど。)PFMに影響を与え、同じようなバンドが決して現れないバンドでもある。
 
 いくつもの楽器を操るシュルマン3兄弟が、これまたいくつもの楽器を操るバロックが得意なケリーミネアというキーボード奏者と出会い、ブルースが得意なギタリストを入れ、ドラムを何回も変え、これまた上手なドラマーと出会い、いくつもの展開を持ち、いろんな要素をごった煮にしながら自分たちの音楽を作り出していったというかんじなのだろうか?
 
 まず、自分が興味を持ったのはこの人たちのステージ上の「売り」の一つである楽器の持ち替えである。ヴォーカルはベース、リコーダー、サックス、パーカッションをも担当し、ギターはコーラス、リードリコーダー、パーカッションを担当し、ベースはギター、ヴァイオリン、トランペット、リコーダー、パーカッション、コーラスをも担当し、キーボードはヴィブラフォン、チェロ、パーカッション、コーラス、リコーダーを担当し、それをとっかえひっかえしているようすを想像するだけでも楽しくなってくる。しかも、そんな複雑なことをしているにもかかわらずそれを楽しそうにやっていて、しかも聞きやすい。でも、聞くところによると相当練習していたらしくて、今はそんなに練習できないから再結成ができないという話も聞く。
 
 自分が大好きな曲と言えば、楽器持ち替えが楽しいON REFLECTION。ギター、ヴァイオリン、チェロを使い最初にバロックっぽい曲調で全員のヴォーカルにより歌が始まり、そして、通常の構成に変わり、そして、全員による怒濤のパーカッションソロ(途中で全員によるグロッケンソロあり)でフィナーレを迎えるその流れがたまらない。他の曲でも、二人によるギターソロから全員(4人)によるリコーダー、全員によるコーラズ、ヴァイオリンソロなどまるでサーカスみたいである。しかし、ソロといっても長くなるソロはあまりなく一つ一つの音が計算され尽くしているので、この人たちのソロはアンサンブルの一つとして考えた方がいいのかもしれない。そういう点でこの人たちはジャズ系のロックではなく、アンサンブルを大切にしたクラシック系のロックだと考えられる。前期ではバロック調の曲があったりしてクラシック系のロックだとわかりやすいが、ソウルっぽっかったりロックっぽかったりする中期全盛期でもヴォーカル、コーラス、楽器のソロをアンサンブルと考えるとクラシックらしくないけど、クラシックらしさを追求したバンドであったと考えられる。ソロもアンサンブルの一種という点と、計算され尽くしたステージという点でイエスとの共通点が多いと思う。イエスの方が見た目ではうんとかっこいいけどね
 
 でっぷりとしたヴォーカルのデレク シュルマンをはじめ、あまりヴィジュアル的にかっこよくないメンバーが勢揃いだが、楽器を操るベースのレイ シュルマンとキーボードのケリーミネアが実にかっこいいバンドである。ただ者ではない、映像も派手な演出は全然ないのだが、この演奏のすばらしさに圧倒され実に楽しい。無理なお願いとはいえ再結成をして日本にきてコンサートをしてほしい。
 
 聞いている人はたくさん聞いている。でも、全然聞いていないひとも多いと思うので是非聞いてほしい。自分は、ライブ好きなので名作ライブのPLAYING THE FOOLなどといったライブ版がおすすめですが、人によってはファーストのジェントルジャイアント、2枚目のアクアリング ザ テイスト、4枚目のオクトパス、イン ア グラスハウスを進める人もあり、わかりにくいところです。考えようではいろんな時期に素晴らしいものを生み出してきているとも考えられますし、未だに未発掘音源がリリースされつづけているという点で素晴らしいバンドであるということも考えられます。逆に言うとこの人たちの全体像をつかみ、書き表すのが非常に難しいともいえます。わかりにくかったでしょ?

                                         今度はがつく人です。
                                                       (3月14日)