アルバム名しりとり


前回の特集のロックしりとりのアーティストがずいぶん苦しくなってきたので今回は、「アルバム名しりとり」ということで特集を行ってみたい。これなら何とかなりそうだ・・・。


・・ということで、前回のEの続きということで・・・。
EPITAPH1,2,3,4/KING CRIMSON(1969年録音)
 クリムゾンには天才はいない。イエスにはジョン アンダーソン、ジェネシスにはピーター ガブリエル、レッド ツェッペリンにはジミーペイジなど有名なグループは天才に率いられていることが多い。この天才のカリスマ性によって感動的な音楽が導かれている。クリムゾンには絶対的なリーダーであるロバート フリップが存在する。でも、彼は天才ではない。どちらかといえば、イエスのクリス スクワイアのようにグループの運営を論理的に考え、緊張感を高めていくタイプである。並々ならぬテクニックや音楽性は彼がいろんなことが学習し、自分なりに作り出していったものである。決して孤高のアーティストではない。多くの人から多くのものを吸収する。

 もしも彼を天才の枠で考えるならば、「自分が設定した命題をどのようにしたら達成できるかを考え抜き、実行に移していく天才」と考えたらいいのかもしれない。素晴らしいメロディも書くのだが、その曲作りで彼の魅力は語られることはない。素晴らしいリフと、他のミュージシャンとの緊張感を作り出していくのがとても上手である。そういう点でフルハウス時代のフェアポートコンヴェンション、MDK時代のマグマ、甦る世界の頃のPFMなどを思い出す。
 
 EPITAPH1〜4は、衝撃のファーストアルバムの頃のライブ録音である。これが出るとわかったときのうれしかったこと。それにファーストアルバムの緊張感そのものの世界とメロトロンの音の悪さが繰り広げられている。まさに感動の記録である。後に、コレクターズシリーズ7としてローリングストーンズのブライアンジョーンズ追悼コンサートがハイドパークで開かれたときの前座としての衝撃的なデビューが発表される。
 
 なぜ「ロバートフリップが天才でない」と書き始めたかというと、この時期の彼はすごくうまいんだけどぱっとしないのである。もちろん並はずれたテクニックと印象的なフレーズを持っている十分に素晴らしいのだが、演奏者の他の3人(野心家のグレッグレイク、超人的なテクニックを持ち、気まぐれなマイケルジャイルス、このころの曲作りの中心でまさに音楽的リーダーだったイアンマクドナルドの陰に隠れてしまっているのである。この超名作と素晴らしいステージがロバートフリップへのプレッシャーとなり、それを克服していったことが現在まで素晴らしい緊張感を持ち続けているキングクリムゾンの原点である。音は悪いけど、MARSのすばらしさを味わってください。

 
(2004年5月24日)