K'様作
はじめに
なのは:このお話は、わたしとくーちゃんがあの草原でクロノ君とリンディさんの二人と、また会う為のお別れをしてから、すこしたった頃のお話…。
久 遠:おはなし…です
なのは:くーちゃんが住んでるさざなみ寮の管理人さんの耕介さんと
久 遠:こうすけ…
なのは:那美さんのおねーさんの薫さんが
久 遠:こうすけとかおる…らぶらぶ…
なのは:そんなお話です。
久 遠:なのは…。きょうやとなみは…?
なのは:えーっと。おにーちゃんと那美さんは……
久 遠:わからない…の?
なのは:と、とりあえずそんなお話です。
久 遠:……です。
薫‘s EYE
〜一時間前〜
もうもうと土煙が立ち込める中で、うちは途切れがちになる意識をなんとか繋ぎとめながらも手にした十六夜を杖代わりにして立っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ。やったか?十六夜」
「…だめです、薫。前方に大きな霊気を感じます。恐らくは…」
「そ、そんな…。十六夜、耕介さんは。耕介さんは無事?」
「…はい。ですが非常に霊力が弱くなっています。早く手当てをしないと非常に危険な状態です」
「くっ…。十六夜!うちはいいから、早く耕介さんを、耕介さんを…」
「ですが、それでは薫。あなたの方が…」
「いいから!早くいかんね!」
うちは、十六夜との会話を一方的に打ち切った。それと同時に手にしていた十六夜が急に重くなり、思わずうちは地面に方膝をついた。それでも立ち上がろうと力を込めると右のわき腹に激痛が走る。
―――く、右が2、3本いってる?―――
土煙の向こうで、アレの気配がこちらに注目をしたのが感じられる。
―――とりあえず、時間稼ぎを…―――
うちは、懐から結界ようの符を取り出すと自分の周囲に展開させる。
「こいつでなんとか…。せめて耕介さんが戦線に復帰するまでは…」
アレがうちの張った結界に干渉をしてくる。うちの結界とアレの霊力がぶつかりあい、周囲に蒼白い雷光が発生する。
―――アレの霊圧のほうが強い。この結界も長くはもたない?―――
「十六夜!耕介さんはまだ?」
「駄目です!まだ耕介様は…」
―――まだ、耕介さんは動けない。なら、それまでの間はこの結界を…―――
そう、うちが判断し、結界への霊力を強めるが、一番アレに近い位置に配置した符が限界を迎え、青白い炎に包まれる。その後、連鎖的に周囲に配置してあった符は全て炎に包まれそして消えた。
「そ、そんな…。こんな簡単に」
頼みの結界があっさりと消滅した事実にショックを受けながらも、うちは後方の耕介さんに目をやる。
倒れたままの耕介さんに十六夜は手をかざして、癒しをかけているが、いまだ耕介さんが目覚める気配はない。
―――耕介さんはうちを守ってくれた。今度はうちが耕介さんを守る―――
そう心に決め、うちはいつもの3倍程度の重さに感じる十六夜を構え直して、前方のアレを睨み付ける。
「さぁ!こんね、この神咲薫があいてじゃ!」
うちの声に応えるかのようにアレは霊力によって物質化させた爪を振るう。
一撃、二撃目をなんとか受け流すが、三撃目を受けた瞬間に死角からの攻撃がうちの右わき腹に入る。
「あぐっ」
瞬間的に走る激痛にうちの目の前は一瞬暗くなり…。次の瞬間には地面に吹き飛ばされていた。急いで立ち上がろうとするが吹き飛ばされた衝撃で足に力が入らない。
その間にもアレはうちへと近づきとどめの一撃を加えようと爪を振り上げる。
―――ここまで?うちは耕介さんを守るって決めたのに。ここまでなの?―――
絶望的になりながらもうちはアレを睨み付ける。心は負けてないという意思を込めて。
とどめの一撃が振り下ろされた瞬間に、突然一つの黒い影がうちとアレの間に割り込み、爪を刀で弾き攻撃を逸らさせると、アレを蹴り飛ばすと。
「久遠!!」
と叫ぶ。
突如、轟音が響き周囲一帯に雷が降り注ぐ。
「こ、耕介さん…?」
うちの声に反応した黒い影はゆっくりと振り向き笑みを浮かべながら答えた。
「すいません。ご希望には沿えませんが…」
「き、恭也…く…ん?」
彼は黙ってうなづく。
「は、早く逃げて、アレには君は勝てない、それ以前に刀を向けら…」
「心配はいりません。おれは覚悟を決めてきましたから」
「覚悟って?君にはアレと戦えるの?殺せるの?アレは…」
彼はゆっくりとかぶりを振ると、
「殺す覚悟ではありませんよ。必ず守ると、誰も死なせずに守り抜くという覚悟です」
そう答えると彼は立ち上がり、アレと対峙する。
「おれは、自分の気持ちを伝えなければいけない」
再度、雷が周囲に落ちる。
「それに、おれはまだ――――――――――――――――と呼んでいませんから」
雷の爆音にかき消されて聞き取ることはできなかったが、彼はその背中に決意を乗せて、腰の一刀を抜き駆け出していった。
那美‘s EYE
〜五十二時間前〜
よく晴れた神社の境内で私は一心に木刀を振る。
「えいっ!」
ぶん…。
「たぁっ!」
ぶん…。
「とうっ!」
ぶん…。
三度目の素振りのあと、私は手にした木刀の重さにバランスを崩し、
「って。おっととって、きゃー!」
ずだん…。
と、大きな音をたてて、私は地面に転ぶ。
「あああ…。いったー。」
「那美…。なんね今の音は…」
神社の中から薫ちゃんが出てくる。
「あ、薫ちゃん。あのね剣の練習をしていたんだけど…」
「剣?素振りの練習でもしてた?」
「うん…。恭也さんが『剣の上達はまず素振りから』って言ってこの木刀を私にくれたんだけど…」
と、いいながら私は木刀を薫ちゃんに差し出す。薫ちゃんは木刀を受け取って。
「ふーん、中に鉄を入れて那美の雪月と同じ重さにしてあるんだ」
薫ちゃんは私から少しはなれると、
「せっ!」
ボシュッ!
「はっ!」
ドシュッ!
「たぁっ!」
ビシュッ!
三回、神咲一刀流の基本の型を繰り返す。
薫ちゃんが剣を振るたびに風が私の髪を吹き上げる。
「ふぅん。重心やバランスも雪月とまったく同じだね。これを恭也君が用意してくれたの?」
「うん、井関さんに特注で作ってもらったって」
そこまで聞いてから薫ちゃんは急に笑みを浮かべて
「ということは、それは恭也君からのプレゼントなわけだ。良かったじゃない那美」
「そ、そういうわけじゃ。それに私と恭也さんは、べ、別にそういう仲じゃあないから」
「ふーん、そうなんだ。うちはてっきり那美が恭也君と一緒になって神咲に入るもんかと思っとったけど…」
「あああ、そうじゃなくて」
一生懸命弁解している私の目に薫ちゃんが昔から身に着けている腕時計が写る。
「か、薫ちゃんだって、昔、耕介さんがプレゼントしてくれた時計をずっと持ってるじゃない」
「ああ、これは耕介さんがうちに初めてプレゼントしてくれた物だから、それに耕介さんは神咲に養子に入ってくれるから」
少し、頬を染めながらも薫ちゃんは私の口撃を軽くいなす。
「耕介さんが養子にって…。ええ!」
私は薫ちゃんの言葉に驚きながら耕介さんの事を考える。
―――耕介さんはさざなみ寮の管理人の傍らに神咲の二振りの霊剣のうちの一刀、御架月の所有者であり、退魔士としても活動していて、その能力は本家の退魔士に比べても問題がないくらい強いし、昔から薫ちゃんの恋人でもあったからきっとそうなるとは思ってたけど―――
「よ、養子って。つまりそういうことだよね。薫ちゃん」
薫ちゃんは顔を真っ赤にしながら静かにうつむく。
―――か、かわいい。薫ちゃん可愛過ぎ―――
「でも、そのことって寮のみんなは知ってるの?」
「いや、まだ伝えてない。それに耕介さんの今の仕事のことをちゃんと相談してからでないと…」
「確かに、耕介さんがさざなみ寮からは離れるわけにはいかないもんね」
「うん、だからまだ発表はしない」
「そうなんだ、でもとりあえずはおめでとう。薫ちゃん」
「うん、ありがとう。那美」
そういって、私たちはしばらく笑っていました。
「ところで、薫ちゃん」
「ん?なんね、那美」
境内からの帰りの石階段の途中で私は一つ聞いてみたいことがあったので質問をしてみた。
「耕介さんのプロポーズってどうだったの」
「あ、あの。そ、それは…」
薫ちゃんが顔を真っ赤にしてる。どうやら言葉が出てこないみたい。
「それは…?」
「えーっと。あの…うちが…耕介さんと…」
一生懸命に説明を続ける薫ちゃんはとても嬉しそうで。私はなんだかとても幸せな気分に包まれてその話に耳を傾けていました。
「一緒に…し、しごとって、わぁ!」
突然、薫ちゃんが石段を踏み外してバランスを崩す。
「あぶない!」
とっさに私は手を伸ばすが、
「だ、だいじょうぶって、きゃあ!」
勢いあまって私までバランスを崩して…。
私たちは二人揃って石階段から転げ落ちていきました。
「うう、いったー。」
私は頭を抱えながら起き上がる。
「うう、那美…。大丈夫ね?」
隣から薫ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえる。でも、なんだかいつもの声と違う。
「うん。私は大丈夫。薫ちゃんは…」
と、答えながら私は隣を向く。
………そこには、風芽丘学園の制服を着た栗色の髪の毛をした女の子が頭を押さえて呻いていた。
―――あれ?この子どこかで見たような気が…―――
みると、目の前の女の子も私のことをじっと見つめている。
しばらくの間お互いの顔を見つめあったとに、お互いに指を差し合って
「薫ちゃん(那美)?」
と、同時に口を開いた。
たっぷり数えること100秒が経過した後に、
「えぇぇぇぇっ!」
国守山一体に二人の絶叫がこだました。
つづく
あとがきのようなもの
こんにちは、K‘です。
えーと、とりあえずお約束な内容です。
いつもながら、今後の展開は相変わらず何も考えずに書いています。
とりあえず、まだ始まったばかりですので。今回はこの辺にしておきます。
今回も、筆者の駄文にここまで付き合って頂いてどうもありがとうございました。
それでは、また。