K'様作


 

はじめに

 このSSは基本的にはDVD版のおまけシナリオを基盤としています。

 ですから、本編ルートではありえない設定がありますが、あまり気にしないで下さい。

 筆者の中でこうあって欲しいという設定になってます。

 

 

 

 

 

 

             忍s EYE 

 

 私は、高町君が家の壁に叩きつけられる瞬間にノエルに戦闘を止めるように告げた。

 「勝負あり、そこまで」

 ノエルが戦闘終了を告げると、イレインは刀を仕舞い、目を閉じた。

 「高町君!」

 私は、彼の元へと走る。

 「大丈夫?」

 「ああ、月村か。ありがとう、大丈夫だ。死にはしない」

 ―――うーん、そういうつもり聞いたんじゃないんだけどな―――

 とりあえず、私は彼の様子を観察しながら、聞いてみる。

 「やっぱ、体の調子が良くないみたいだね」

 「ふむ」

 彼は、少し考え込むと。

 「まぁ、確かに体のキレが悪いのはその通りだが…」

 「だが…?」

 「負けたことに変わりはない。真剣勝負においては負けはそのまま死につながる」

 「つまり?」

 「これが実戦だったら。おれは死んでいる。キレとか調子といった物は言い訳にしかならない」

 ―――ひょっとして、高町君、悔しがってる?―――

 彼は、続けてひとりごちる。

 「おれが弱かった。そして、イレインはおれより強いてことだ。残念だが」

 彼は、いつもと同じ調子で話しているけど、ずっと拳を握り締めていた。

 「ふーん、そっか。つまり高町君はこのかわいい忍ちゃんに『もっと、強く改造して欲しい』って言いたいわけね。」

 「だれも、そんなことは言っていない」

 彼は、憮然とした表情で答えた。でも、握り締めていた拳はいつのまにか開かれていた。

 「とりあえず、このままって訳にはいかないよね。高町君、立てる?」

 「すまない、すぐには無理のようだ」

 「ん、わかった。自己修復が終わるまでちょっとそこで休んでて」

 「了解した」

 私は立ち上がると、ノエルのところに歩き出した。

 「月村」

 不意に後ろから声が掛かる。

 「ありがとう…」

 「ん…」

 あいまいな返事を返して私はノエルのところに歩いていった。

 

 「ノエル、ここの片付けお願い。私は飲み物とってくるから」

 「かしこまりました。忍お嬢様」

 と、返してくるが、ノエルは長机や椅子はもう片付けていた。

 「イレインの武装解除して、研究室に運んでおいてね」

 「はい。…?忍お嬢様、なにか良いことでもあったのですか?」

 「え、ど、どうして?」

 「いつもよりなんだか嬉しそうですが」

 「そ、そんなことないよ。きっと気のせいだよ、き・の・せ・い。うん。じゃあ、イレインのことたのんだからね」

 私は、恥ずかしいのを隠して逃げるようにその場を離れて家に向かう。

 

 バンッ

 

 私が扉を開けようとしたとき、大きな音が後ろで聞こえた。慌てて振り返ると。

 ノエルが地面に膝をつき、その前にはイレインが立っていた。

 ―――なに?どうしたの―――

 「あー、すっきりした。これが一年ぶりの自由ってやつ?」

 イレインは高らかに声をあげると、ノエルを蹴り飛ばした。

 「ノエルっ!」

 吹き飛ばされたノエルに私は近づく。

 ノエルは、全身から焦げ臭い煙を発し、身を包むメイド服は焼け焦げていた。

 「ノエルッ!どうしたの、なんでイレインが動いてるの?」

 「わ、わかりません。私がイレインの武装解除に近づいたところ、彼女は急に起動し私に対して高電圧を伴った攻撃をしかけてきました」

 「そんな…。なんで起動するの?メインの自律回路は抜いてある筈なのに」

 「わかりません。ですが、一つだけ確かなものがあります」

 ノエルは起き上がりながら答える。

 「イレインは起動し、忍お嬢様に危害を与えるつもりです」

 「で、でもノエルは前にイレインに勝ってるから今度も―――」

 ノエルは首を横に振って、私の言葉を遮った。

 「先程の攻撃により、私の神経回路の約30%がショート致しました。現在、復旧中ですが全快まであと320秒ほど掛かります。その間、私では忍お嬢様をお守りすることができません。ですから―――」

 ノエルはイレインと対峙しつつ目線だけを私に向けて、

 「逃げてください。それまではなんとか私が持ちこたえてみます」

 ノエルは、いつかの微笑を私に向ける。

 「駄目だよ、ノエル。高町君がいるから、二人で戦えばきっと勝てるよ。だから…」

 しかし、ノエルは首を横に振って答える。

 「お言葉ですが、忍お嬢様。今の恭也さまの状態ではイレインあいてに満足に戦うことはできません。それに、もし私が倒れた場合、どなたが忍お嬢様をお守りするのですか」

 ノエルは、私からイレインに視線を移し、護身用の小型ブレードを取り出して構える。

 「はっ!そんなおもちゃみたいなブレードで私に立ち向かおうってワケ?」

 「はい、その通りです」

 「あんた、自動人形のくせに状況把握も満足にできないの?」

 「いえ、私は現在の戦力比較、勝率の中から一番ベストな戦術を選択しました」

 「ふーん。つまりぃ、あんたはぁ。壊れかけのそのポンコツな体で私をとめる気なんだぁ?」

 「はい、ご名答です」

 「ふ、ふっざけるんじゃあないよっ!」

 怒りに身を任せて、イレインは跳ぶ。まっすぐに、私に向かって。

 「さぁ、どうするお人形さん?どうやってわたしをとめるのさ!」

 腕にセットされている鋼糸をほどいて私に投げつける。

 躊躇することなく、ノエルは私とイレインの間に立ちその鋼糸を自分に絡ませた。

 

 バンッ

 再び先程と同じ音が起きる。

 「静かなる蛇…。まさか鋼糸を利用するなんて」

 私は呟いた。

 「その通り。よくできました。でもあんたのお人形さんはわかってないみたいねぇ」

目の前でノエルはうずくまっていた。

 「ノエルっ!しっかりして。ノエルっ!」

 「申し訳ございません、現在損傷率57%。左膝間接部の骨格融解。自立が不可能な状態です。総合的に判断して戦闘続行は不可能です。」

 「そ、そんな」

 「ですが、忍お嬢様の盾になることぐらいは可能です。いまのうちにお逃げ下さい」

 「そ、そんなこと、できないよ、できるわけないじゃない!」

 会話を聞いていたイレインが不愉快そうな声を上げる。

 「はっ、どこまで行ってもお人形根性が抜けないねぇ。よーくわかった。寂しくないように二人とも一緒に殺してあげるから」

 そう言って、腰の小太刀を抜いて構える。

 ノエルは私に覆いかぶさるように私をかばった。

 「じゃあ、さよなら、あっちの彼もすぐに送ってあげるから」

 と小太刀を振り上げて切りかかる。瞬間的に私を目を閉じて斬撃に備えた。

 

 ガインッ

 

 なにか金属同士がぶつかる大きな音がした。ふと、目を開けて周りを見るとイレインは地面に倒れ、その代わりに高町君が立っていた。

 

 

 

             恭也s EYE

 

 おれは、イレインが再起動を果たしてから全ての動きを見ていた。いや、見せられていた。

 ―――く、早く二人の所にいかなければ―――

 しかし、おれのからだの自己診断プログラムが動きを止める。

 ―――戦闘続行可能まであと68秒だと?ふざけるな!―――

 必死になって体を動かす。そのかい在ってか何とか上半身の動きを取り戻す。

 ―――く、早くしてくれ、おれはあの二人を守ると決めたんだ―――

 しかし、そんなおれの目の前で再び電撃。ノエルは膝をつき、月村をかばうように覆いかぶさった。

 ―――忍っ!ノエル!―――

 おれは咄嗟に左腕を構えて拳を飛ばしてから、強引に立ち上がる。

 自己修復機能を停止。体の各所から、警告メッセージが発生する。

 ―――今度は、負ける訳にはいかない―――

 腰の八景の鯉口を切って自分を戦闘モードに切り替える。

 体内の電圧レベルを限界まで引き上げ、体内のリミッターを解除した。

 右手を動かし、鋼糸を飛ばし、イレインに跳ね返った左腕に巻きつけ此方に引寄せ装着する。

 「忍、ノエル。二人とも大事はないか?」

 「た、高町くん」

 「きょ、恭也さま」

 二人はおれを見上げて答える。

 「あとは、まかせてくれ。」

 それだけ返すと、おれはイレインに向き直った。

 「やってくれるじゃない、病み上がりの人間風情が。あんた、さっき私に負けたこと忘れたわけじゃないでしょうねぇ。そんなあんたが今の私に敵うとでも思ってるの!」

 「恭也さま、ここは一度、忍お嬢様を連れて退いてください」

 「そこのポンコツ人形もそう言ってるんだし、さっさと逃げたら。まぁ逃げても無駄だけどね」

 しかし、おれは忍とノエルに目をやって。

 「大丈夫、心配はいらない。御神の剣士は誰かを守るときの戦いには絶対に負けない」

 そう、笑顔で答えて。

おれは刀を腰にさしたままゆっくりと歩き出した。

 

 「こんのぉ、なめるんじゃないよ!」

 彼女は自分の左手を振るい高電圧を伴った鋼糸を飛ばす。軽く跳んで、糸の射程から逃れ、飛針を二本、まったく同じ軌道で投げつけ、すぐさま横に跳び鋼糸をほどく、

 「く、こんな子供だましが!」

 彼女は二本の飛針を叩き落しながら此方との間合いを詰めにかかる。

 しかし、おれは彼女の間合いを嫌い後ろに跳び、先程と同じ要領で飛針を投げる。

 「無駄だっていうのがわからないのかい」

 左の一刀で飛針を叩き落しにかかる。

 ―――掛かった―――

 叩き落される寸前におれは右手を引き飛針に結びつけた鋼糸を操り小太刀に絡ませその動きを封じる。彼女は強引に小太刀の自由を取り戻そうと強引に引っ張る。

 ―――純粋な力勝負では此方に勝ち目がないことを知っているか、だが、力だけでは―――

 おれは、タイミングを合わせて糸を緩め、バランスを崩したところに顔面に向けて拳打を放つ。

 「はん!そんな素手の攻撃が私に効くとでも思ってるのかい?」

 イレインはまったく避ける素振りもガードのそぶりもみせない。

 ―――甘い、自分の身体能力を過信しすぎだ―――

 おれは、彼女の顔面寸前で拳から貫手に変化させる。指の分だけ射程が伸びたおれの一撃は彼女の右目をえぐる。

 浸透性の衝撃を伴った一撃を受け彼女は顔を押さえてうめく。

 ―――痛みは無くても、視界を潰せば―――

 おれは、残心を保ったまま、彼女を見おろす。

 「ぐぅっ、人間風情がいきがるんじゃないよ!この最終機体といわれた私が、この程度の損傷でお前なんかに負けはしない」

 膝をついた状態から跳躍し間合いを取る。

 ―――短期決戦を挑むなら狙いは―――

彼女は両手の二刀を振りかざしておれに肉薄する。

小太刀二刀 御神流 奥技 薙旋

 ―――やはり『薙旋』か。だが、おそい!―――

 一刀目がまさに触れる瞬間、おれは彼女の懐に潜り込み、

『徹』

 渾身の体打を合わせる。

自身の速度と自重の加わった衝撃に彼女は地面に転がる。

 「な、どうして?どういことよ、先刻と全然違う。一体どういうことよ」

 「ああ、全然違うさ。さっきのおれは、只の剣士だった。だが、今のおれは御神の剣士だ」

 「わけのわかんないことを言ってんじゃないよ!」

 彼女は地面に倒れたまま飛針を投げる。

 おれは、右手でそれを払いつつ言葉を続ける。

 「御神の剣の理は、誰かを守るときにその力を発揮する。いわば活人のための殺人剣だ。

 御神の剣士は誰かを守るとき、その赤黒く染まったちっぽけな己の刃に自分の命と、守るべき者の命の二人分の命をのせる。命の重さはお互いが相手を想う気持ちで強くなる。

その重さに掛けて戦う御神の剣士は絶対に負けない。

 想いが深ければ深いほど御神の剣は限りなく強くなる。それが御神の剣の理だ。

 そして、今のおれはあの二人を。おれにとって最も大切なヒトを守るために戦う!」

 「奇麗事を並べたところで結局人間って奴は自分が一番大事なんだ!仮初めに与えた自我が、自分たちに都合が悪いとなると欠陥品扱い、そのうえ廃棄処分だ。私はそんな奴らの言いなりにはならない。だから私は自分の為だけに戦う!だれの為でもない自分の自由の為に戦う!」

 彼女は立ち上がり

 「自動人形の最終機体を人間風情が止められると思うな!」

左の小太刀を投げ捨て、残った右の一刀を両手で持って切りかかる。

おれは、ただ、小太刀の軌道に合わせて右手を突き出し、意識を集中する。

―――刀の軌道が見える。ここだ!―――

『小太刀二刀 御神流 刃取り』

彼女の小太刀を刀身ごと掴み、そのまま体勢を崩す。そのまま自分の踵で彼女の爪先を踏み抜くと同時に、彼女の右脇に左の拳打を当て、

『徹』

体内に衝撃を浸透させた。

―――まだだ、この程度じゃイレインは止まらない。ならばこいつだ―――

 

「遠慮するな、全部持っていけ」

 

押し当てたまま左腕の炸薬カートリッジ全てを一気に点火させる。

バギィィン

金属がぶつかり合う音が響き、彼女はわき腹におれの左腕を突き刺したまま宙に浮く。

―――この勝負。おれの勝ちだ―――

おれは腰から八景を鞘ごと引き抜くと口に加え、一気に八景を引き抜く。

『小太刀二刀 御神流 奥技 虎切』

そのまま、彼女の頚椎に八景を重ねた…。

 

 後ろで彼女が倒れた気配がした。残心を保ったまま、向き直る。

そこにイレインはいなかった。ただ、イレインと呼ばれた人形だけがそこにあった。

「ふぅ」

おれは、残心をとくと忍のもとに向かった。

「ひのふ、へははないは」

「高町くん、鞘、鞘、咥えっ放しだよ」

 おれは慌てて口から鞘を放し八景を納刀する。

「ああ、すまない。忍、怪我はないか」

「うん、わたしは大丈夫、ノエルが守ってくれたから」

 「そうか。で、ノエルの方は…」

 「申し訳ありません。恭也さま、ご心配をおかけしました」

 ノエルは何事もなく立っている。

 「服、及び外部の損傷は私が治すことができませんが、内部神経系の損傷は全快しております。現時点において判断すると私たちに中では恭也さまが一番重症です」

 言われてみてから、突然体の各所が異常を訴えているのを自覚した。膝が落ち身体の平衡を保っていられない。

 その直後におれを強力な睡魔がおそう。

 そこで、おれの視界は真っ暗になった。

 「た、高町君!ねぇ、ノエル、高町君は急にどうしちゃったの」

 「…………。極度の電圧低下によるシステムダウンです。簡単に言えばバッテリー切れです」

 「あ、そう。よかった、守ってくれてありがと、恭也。あの言葉嬉しかったよ」

 

 

 

 

 

 ふ、と。目が覚める。

 おれは、ベッドに寝かされていた。暖かな日差しが部屋を照らしている。

  ―――どこだ、ここは―――

 そう、自問するおれに声が掛けられる。

 「あ、起きたの恭也」

 「ああ、月村、おはよう」

 と挨拶を交わすと、彼女は不機嫌な顔になり、

 「あ、起きたの恭也」

 先程とまったく同じ言葉を口にする

 「だから、おはよう。―――」

 不意に、彼女が顔をしかめる。

 ―――ああ、なるほど―――

 「ああ、おはよう。忍」

 ぱっと、忍の表情が変わる。顔を赤らめて幸せそうだ。

 ―――く、いかん自分で言っておいてなんだがこれは非常に照れる―――

 二人で照れあっていると不意に扉がノックされた。

 「失礼いたします。忍お嬢様」

 ノエルが頭に猫を乗せたまま入ってくる。

 「あ、おはようございます。恭也さま」

 「ああ、おはようノエル」

 ノエルは笑顔でおれに挨拶する。

 「忍お嬢様、朝食の用意が整いましたが…。恭也さまはどうなされますか?」

 「できれば頂きたいな」

「かしこまりました。では急いでご用意いたします」

 「あ、ノエル。恭也の分は私が作るから」

 と、言って部屋から出てゆく。

 ―――忍の手作り?あいつ、料理できたっけ―――

 一人考えていると、なぜかノエルはおれをじっと見ている。どこか同情めいた印象を感じるのは気のせいだろうか。

 「なぁ、ノエル。忍は料理ができるのか?」

 「いえ、私は機械ですので、味にはこだわりません」

 ノエルの答えは遠まわしな表現だったが、ひどくおれを悩ませた。

 「ノエル…。忍の料理を手伝ってやってくれ」

 「かしこまりました…」

 静かにノエルは部屋を出て行った。

 

 

 待つこと、数十分。おれの前にはホットケーキが並んでいた。

 「じゃーん。忍ちゃん特製ホットケーキ。シロップ付」

 「へぇ、これは美味そうだ」

 「名付けて、一撃必殺パンケーキ」

 「い、一撃必殺?おれを殺す気か」

 「ああ、ちがうよぉ。恭也の体調不良なんて一撃必殺って意味よ」

 ―――もうちょっとあるだろうに、名前は―――

 おれの表情を見て取ったのか、忍は上目遣いでおれを見る。心なしか目が潤んでいたりもする。

 「食べてくれないの…」

 「いや、食べるよ、食べさせて頂きます」

 なんていうか、その表情と台詞におれは一撃必殺された。

 「で、これは一人で作ったのか」

 おれは、一番重要なことを尋ねる。

 「最初はそのつもりだったんだけど、ノエルが手伝うって言うから二人で」

 ―――そうか、とりあえず食える物ということか―――

 おれは、心の中でノエルに感謝した。

 「ありがとう、遠慮なく食べさせてもらう。でもいいのか?おれは普通の物を食べられないんじゃなかったか」

 「ああ、それなら、恭也が寝てる間にちゃんと元の体に戻しておいたから」

 「そ、そうか」

 おれは、自分の左腕を見る。

 「もう、ロケットパンチは付いてないから安心して」

 「あ、ああ。それじゃ、忍特製の朝食を頂きますか」

 「はいはーい。どうぞぞうぞ」

 おれは、シロップをかけた。

 「あ、ごめん恭也。飲み物忘れちゃった。何が欲しい?」

 「ああ、とりあえずコーヒーを」

 「ん、わかった。用意してくるね」

 「忍が用意するのか。いつもはノエルに頼むのに」

 「ああ、ノエルはいま、ねこにご飯あげてるから。それにたまにはこういうこともやってみたいから」

 そういって、恥ずかしいのか逃げるように部屋から出て行った。

 「ま、とりあえず頂くとするか」

 

 

 

             ノエルs EYE

 

 「ねこさん、ねこさん。朝ごはんですよ」

 わたしが、キッチンでねこさんに朝ごはんを差し上げていると、忍お嬢様が入ってこられました。

 「あ、ノエルここにいたんだ。ねぇ、コーヒーってどこにあるの?」

 「コーヒーでしたらこちらに…」

 「あ、ありがとう」

 お嬢様はお礼を言って私からコーヒーを受け取る。私はお湯を沸かす為にコンロに火を付けた。

ドンッ

 なにか、火薬が爆発したような物音が聞こえた。すかさず音源地を探す。

………音源は客室。恭也さまの部屋だった。

 「忍お嬢様。一つ宜しいでしょうか」

 「ん?なぁに、ノエル」

 「先程、お嬢様がお作りになられたシロップにはなにが入っていたのですか?」

 「ああ、あれ。どうしてそんなこと聞くの?」

 「少し気になりまして。よろしければ今後のメニューに加えたいので、レシピをご教授願えないでしょうか」

 「うん。えーっと、まずベビーオイルを3、次に硝酸を4、最後に塩酸を3の割合で混ぜれば完成だよ」

 私は自分のメモリーから検索を開始する。検索カテゴリーは爆薬。

 ………ヒット。

 「ありがとうございました。大変参考になります」

 「えへへ。そうでもないよ」

 忍お嬢様が嬉しそうに笑う。

 「ですが、忍お嬢様。その材料はニトログリセリンの原料ですが」

 「あれ、そうだったっけ」

 「はい、その通りです。先程、恭也さまのお部屋の方から爆発音が致しましたが」

 「…………………………………………」

 「…………………………………………」

 「…………………………………………」

 「…………………………………………」

 「ほんとに一撃必殺になっちゃたよ。ノエルまた手術の準備をお願い」

 「かしこまりました。忍お嬢様。それでは準備をして参ります」

 そうお嬢様に告げた私はキッチンの扉を開き研究室に歩を進めた。

 

 

 

 

 

                               

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 

 こんにちは、Kです。

 ようやく終わりました。

 少し長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 感想、ご意見がいただけますと、筆者としてはとても嬉しいです。

 


 

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