K'様作


 

はじめに

 このSSは基本的にはDVD版のおまけシナリオを基盤としています。

 ですから、本編ルートではありえない設定がありますが、あまり気にしないで下さい。

 筆者の中でこうあって欲しいという設定というか妄想になってます。

 

 

        人 造 人 間     恭也 vol.1

 

ふ、と目が覚める。

 自分の目には見慣れた自分の部屋の天井ではなく、なにか見知らぬ計器やパイプで埋め

尽くされた奇妙なてんじょうだった。

――?どこだ?ここは。――?

 少なくとも、自分の部屋ではないことは理解できる。

――?まぁ、ここで悩んでも仕方がない。とりあえず起きるとするか。―――

 そう、判断した俺は、自分の体を寝台から起き上がらせようとするが…。

―――ん、妙だな。―――

 なんだか、体の調子がおかしい。しかし、怪我や疾患から来る体調不良ではない。しかし、なんとなく、違和感があるのは確かだった。

―――おかしいな、疲れているのか?しかし昨日はそんなにも…?―――

 ここまで、口にして、俺は思考が止まった。

―――どうしてだ?何故か昨日のことが思い出せない。―――

 必死になって、昨日のより前の事で思い出せることを脳裏に浮かべてみる。

―――えーっと。俺の名前は、高町恭也。年齢は20歳。職業、大学生。家族構成は、母 は桃子。妹は上から、美由希、なのは。他には叔母の美沙斗さん。厳密には家族ではないが、フィアッセ・クリステラ、城島晶、鳳蓮飛の計9名。父は士郎。

 友人関係は、赤星勇吾、妹の美由希の親友で俺の弟子っぽい存在の神咲那美さんと高校時代からの友人の月村…。―――

 と、ここまで確認したときに、ようやく思考がはっきりしてきたのが自覚できた。と、同時に部屋の奥の扉が高圧空気を排出しながら開いた。

 「おはよー、高町君。もう目が覚めたんだ。相変わらず早起きだねぇ。まだ、朝の6時前だよ。」

 「ああ、月村か、おはよう。そうか、ここは月村の家だったのか、すまないな。世話になったようで」

 「ううん、そんなことないよ、大切な友達だもん、それくらいはどうってことないよ」

 と、俺に笑顔を返してくれる。最近この笑顔が俺にとって眩しくもあり、心の平穏が若干ながら乱されるのが自覚できる。

 しばらく、笑顔だった月村は、ふと、俺をみて、頬を染めて、慌てて目をそらし、

 「あの、高町君。その格好も魅力的だけど。できれば、なにか着て欲しいかなー。ちょっと、私には刺激が強すぎるんだけど…」

 と、言われて自分の体を見てみる。

 全裸だった。しかも、前を隠そうともせずに、いつも通りの直立不動である、

 「す、すまない」

 なんとか、一言だけ返して自分が寝ていた寝台を振り返るが、そこには、シーツの一枚もなかった。

 「あの、月村。非常に伝えづらいのだが…」

 「なに、高町君?」

 「俺の服がないのだが」

 「ああ、服?服なら確か、えーっと。ノエルーっ、ノエルーっ」

 と、月村家のメイド長を呼ぶ。

 「お呼びですか、忍お嬢様」

 呼ばれてすぐに、彼女、ノエルが部屋に入ってきた。手には俺の着替えを持って。

 「ああ、ノエルありがと。高町君これに着替えてくれる?」

 と、俺に手渡してくれる。が、二人とも部屋を出てゆく気配がない。俺は溜息をついてから扉を指差す。

 「すまないが、着替えたいのだが…」

 そう言われて、ようやく二人は部屋を出て行く。やれやれだ。

 部屋の扉が閉まったのを確認してから、俺は服を着始めた。しかし、先ほどからの体の違和感は消えず、ボタンひとつ掛けるのにも手間取る始末だった。

 「これは、本格的におかしい、ひょっとして、美由希の訓練で頭に一撃喰らったか?」

 などと、若干の不安を抱えながらも何とか着替えを終え、俺は部屋を出る。

 

 部屋を出た俺は、二人に案内されリビングに入った。

 月村はノエルが用意した紅茶を飲みながら、

 「高町君、調子はどう?どこかおかしなところはない?」

 と、尋ねてきた。俺はごまかすのもどうかと思い、今朝からの不調を伝えた。すると、彼女は目線を上にやり、なにやらつぶやく。

 「やっぱり…。機械と……くんの脳をリン…させるネットワークのちょ……が不完全なのかなぁ。あとバランサーの調子も…。……ぱり、一度分解して…」

 なんだか、自分の世界に入ってしまっている。言葉の端々に出てくる単語は正直、よく理解できない。仕方なく、俺は出された紅茶に口をつけようとすると、

 「いけません!恭也さま!」

 と、いきなり、ノエルに止められた。それに気付いた月村も

 「だめ、高町君。そんなもの飲んじゃ。回線がショートしちゃうよ。ノエルも、高町君はもう普通じゃないんだから、駄目じゃない」

 と、月村は俺たちに注意をするが、俺はそれどころではなかった。

―――普通じゃない?どういうことだ。それに回線がショート?―――

 自分の中で今の月村の言葉を反芻するが、どうしても結論がでない。

 「月村…。いまのはどういう意味だ」

 なんとか平静を保ちつつ、俺は質問をする。

 「あの、なんていうかその…。なにから伝えればいいのか…。うーん。ごめん、ノエル

高町君に今の状況を伝えてあげて」

 「かしこまりました。忍お嬢様」

 と言いながら、ノエルは俺の前にやってくる。

 「では、恭也さま。いまの恭也さまのお体の説明をさせて頂きます。

 単刀直入に申し上げますと、現在の恭也さまの肉体は普通の人間のそれとは異なり、私や以前、月村家を襲撃したイレインのものと同じもの、つまり自動人形の肉体を使用しております。つまり…」

 ―――なんだ?ノエルは俺になにを言っている?―――

 ノエルから伝えられた言葉の意味を必死になって理解をしようとするのだが、頭脳がそれを拒否する。その葛藤が表情にでたのか、それともあらかじめ予測できたのか、月村は紅茶を一口飲むと立ち上がり。真剣な眼差しで俺をみると、

 「高町君、口で説明をしてもなんだから、ついてきて。こうなった訳を説明するから」

 と一言だけ残し、あとはこちらを見る事無く。リビングを出て行こうとする。

 「ま、待ってくれ月村」

 慌てて、あとを追い俺は部屋をでた。

 

 月村は先ほど俺が眠っていた部屋に入ると、部屋の隅に置いてあった機械に近づき、計器類をいじり始めると。部屋のおくの壁が開き、ひとつの水槽が出て来る。そしてその中には。

 「お、俺?どうしてこんなところに」

 紛れもなく、自分の体がその中にういていた。

 「つ、月村、これは一体?」

 と月村をみると、彼女はただ、俺から目をそむけ肩をふるわせる。まるで何かに耐えているように。仕方なく俺はノエルを見る。

 「できれば、こうなった理由を聞きたいのだが」

 「かしこまりました。忍お嬢様よろしいでしょうか」

 と、月村に了承を得るために彼女の方を見やる。月村は口元を押さえたまま小さくうなずく、これを了承とみてとったノエルは静かに口を開いた。

 

 

恭也‘sEY

 ある、晴れた日曜、俺は月村邸へ向けて愛車であるMTBを走らせた。なんでも、先日のイレイン襲撃からの復旧作業がようやく終了したという報せをうけたからだ。

 これにより、昨年の春から続いた月村のトラブルは全てけりがついたことになる。その為のささやかなお礼がしたいという月村本人のお招きを受けたのはつい、昨日のことだ。

 ピンポーン

 俺は呼び鈴をおす。待つこと数秒の後。

 「はい、月村です。どちらさまでしょうか。」

 月村家のメイドのノエルがインターホン越しにでる。

 「高町ですが。」

 「ああ、恭也様でしたか。ようこそ、お待ちしておりました」

 返答と同時に門が開き、俺はMTBを押して、邸内に入った。

 

 「あ、高町君。いらっしゃい」

 俺の顔を見るなり、月村は嬉しそうに笑顔で俺を出迎えた。昨年の春に出会った頃よりよく笑うようになった彼女の笑顔はとても眩しく、そして幸せそうで俺はそれがとてもきにいっている。

 「ああ、月村。おじゃまします」

 「ノエルーっ、高町君と私に飲み物もってきてー」

 ソファーを勧められ、俺は腰を降ろす。

 「ああ、月村、家の復旧工事終了おめでとう。これ、かーさんから預かってきた。」

 と、出掛けに持たされた翠屋のお土産セットを手渡す。

 「ああん、そんなに気を使ってもらわなくてもいいのに」

 などといいながら、その包みを受け取る。

 「あ、私からも高町君に渡すものがあるんだ」

 と、テーブルの下からひとつの包みを俺によこす。受け取って、俺はカードが付いているのに気付き、それを開く。そこには。

 高町君へ

   いつも助けてくれてありがとう。

   ささやかですが、贈り物(忍ちゃん作)を受け取ってください。

                     月村 忍

 と、書いてあった。見ている俺の顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。ふと、顔をあげると月村も赤くなっていた。

 「あ、開けていいのか」

 「うん、でも恥ずかしいから私、部屋にいるね」

 と、言い残し、忍は部屋を出て行った。

 忍が部屋を出て行ったのを確認してから、俺は包みに手を伸ばした。すると、扉をノックする音が聞こえた。

 「忍お嬢様。紅茶をお持ちしました」

 と、お盆を持ちながらノエルが入ってきた。よく見ると、その後ろには猫がついてきている。

 「恭也さま、忍お嬢様は…」

 「ああ、俺にこれを渡した後、自分の部屋に戻ったよ。なんでも恥ずかしいらしい」

 最後まで質問をする前に、俺は返答した。ノエルは俺の包みを見たあと、テーブルの上にあったカードに気が付き、内容を確認したあとに俺を一瞥し、俺の足にじゃれ付いていた猫を抱き上げると部屋の隅に移動した。

 「恭也さま、包みを開ける前に一度、気を静められたほうがよいかとおもいます」

 「ん?すまないノエル。意味がよくわからないのだが」

 「忍お嬢様自作の贈り物は過去8回ありました。そのうち、6回までが開封後の熱衝撃波が開封者に被害を与えています」

 さらりと、恐ろしいことを言ってくる。

 「つまり、ノエルは、これは爆弾だから注意しろと言っているんだな」

 「簡単にいえばそうです。」

 「それと、その部屋の隅に移動したのは万が一に備えてのためか」

 「いいえ、恭也さま、それは違います」

 「どう違うんだ?」

 「千が一です」

 俺は、少し頭が痛くなった。しかし、先ほどの忍の態度からしてあれが爆弾であるということはないと確信していたし、よしんばそうであったとしても、せいぜいが花火ぐらいだろうと高をくくっていた。

 「はは、ノエルも心配性だなぁ。さすがの月村もそこまではしないだろう」

 と、笑いながら包みを開けた俺の目の前に白い光が広がり俺の意識はそこで途絶えた。

 

 「以上がことの顛末です」

 ノエルは静かにそう締めくくった。

 俺は、ズキズキと痛む頭を抱えて水槽を見上げると、いつもと変わらない自分の姿がそこにあった。

 「ひとつだけ質問がある」

 「なんでしょう」

 「どうして、こんな五体満足な状態になっているのにスペアの体を使ってるんだ?」

 「爆発当時、恭也さまの体の40%が爆風により吹き飛び、残った体の30%は火傷と裂傷の被害をうけていました。そのため、普通の治療では恭也さまの命をつなぎとめることは非常に困難と判断された忍お嬢様は奇跡的に無事だった脳を別の容器に移し替えた後に体組織の治療にかかられました」

 「それで、以前、高町くんとノエルがやっつけた。イレインの体に高町君の脳を移して、体組織の復旧に支障がきたさないようにしたのよ。こんなこともあろうかもと思って、イレインのボディを高町君仕様に変えておいてよかったわ」

 途中からの説明を忍が引き継いだ形で補足した。

 「月村、一つ質問がある」

 「ん、なぁに、なんでも聞いて」

 「なんで、こんなことを。あれはお礼の品ではなかったのか」

 「うん、そのつもりだったけど」

 「なんで、爆発するんだ?しかも、あんな高威力で」

 「愛の深さは、火薬に比例するのよ」

 「さらりと怖いことを言うな」

 「本当よ、ノエルにも6年前同じものおくったもん」

 「ええ、あの時は右腕損傷でした」

 「なつかしい思い出よねぇ。ノエル」

 「はい、忍お嬢様」

 と、懐かしそうに右手(ロケットパンチ)を眺めるノエル。

 「とりあえず、しばらくはその体で我慢してね。光○寺博士」

 「俺は、ハ○イダーじゃないっ」

 

                                  続く

 

 

あとがきのようなもの

 どうも、はじめまして。K‘といいます。

 ある方のSSを読んでから、えらく衝撃を受けましてついに自分も執筆を始めてしまいました。

 正直、全てにおいてが未知の領域。手探りで書いている為、話の方向性がまだ決まってませんが(大問題)、ちょくちょくと書き溜めていこうかと考えております。

 この話も何話で完結か決まっていませんが、最後まで書きたいと思います。

 筆者の駄文にここまでお付き合い頂きましてありがとうございました。


 

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