小島様作


この作品はJANIS/ivoryより発売されているとらいあんぐるハートシリーズを元ネタとしております。
この作品は、ネタばれを含んでいます。
この作品の中には一部、ある程度高い年齢層の人間しかできないパロディも含まれております。
この作品はとらいあんぐるハート1.2.3 DVD Editionのおまけシナリオには対応していません、一部似たような設定になっていますが、あくまでパラレルワールド的な物と御理解ください。
この作品の中の一部の人間が著しく壊れております、壊れが嫌な方とかは御遠慮ください。
この作品における方言はかなり適当です、こんなの関西弁(鹿児島弁)じゃないという方がいてもおおめに見ていただけると嬉しいです

夕刻、1人の男が、一軒のアパートの階段を上って、とある一室の前に立つ。
男、いや20に届くかどうかという外見をしているから青年と言ったほうがいいだろう、は180にいくかいかないかの背丈をして、質素な身なりをしている特徴的なのはその瞳、妙におどおどしているのだ。
そして、おもむろに指を伸ばすと……そっと呼び出しブザーを押すのだった。


ピンポーン!
「はい、今行きます。」
綺堂さくらは、炒め物をしていた手を止めると、ついでにガスレンジの火も消してから、玄関のドアをチェーンロックを確認してから薄く空けた。
「あ、あの…読床(よんどこ)新聞の者ですが、…集金に参りました。」
「はい、おいくらですか?」
「……1975円になります。」
さくらは、自分の財布からお金を取り出すと新聞屋の青年に渡した。
「はい、丁度になります。……それと今月で契約が切れるのですが…。」
青年は妙にびくびくした態度をしながらさくらに契約更新を切り出す。
「あっ、そうなんですか……ちょっと待ってくださいね。」
そう言うと身を翻して部屋の中に戻ったさくらは、TVゲームをしている真一郎に声をかける。
「先輩、読床新聞の集金の人が契約を更新しますか?ですって。」
「さくらぁ、悪いけど更新しといて、判子はいつもの場所にあるから。」
TVゲームの画面から目を離さないまま、さくらに答える真一郎。
「はい、それじゃあ更新しておきますね。」
ゲームに夢中な真一郎の態度を微笑ましく思いつつも、やっぱり寂しいのか複雑な表情で、真一郎にそう告げると判子を持って玄関に戻る。
「お待たせいたしました、じゃあまた一年間の契約でお願いしますね。」
さくらがそう告げると、おどおどした青年は目を潤ませながら契約更新の手続きをとった。
「ありがとうございます、これからもよろしくお願いします。」
そう言って鞄から数枚の紙を取り出すとさくらに渡す青年。
「粗品ですが、遊園地の招待券です、お友達やお兄さんと行ってくださいね。それじゃあ失礼しました。」
そう言うが早いか、あっという間に見えなくなった青年にあっけにとられながらも、その態度を思い出したさくらはくすりと笑うと、呟いた。
「なんだかリスみたいで、可愛い新聞屋さんでしたね………でも何処で遊の事を知ったのか知りませんが、アレと一緒に遊園地に行くのは御免ですね。」


そのころ、さくらの目の前から姿を消した青年は、アパートのほうを見ながらぼそぼそと独り言をもらしていた。
「やっぱり、可愛いなあの娘……相川さんの妹さんか……これからも色々サービスして……それからいつか告白するんだ…頑張るぞ…。」
おいおい、根本的な勘違いしているよこの人……半同棲している恋人同士なんて知ったら泣くかもね。



闘え!!護身道仮面2……護身道仮面SPIRITS!?



相川真一郎と綺堂さくらの2人は、今日も今日とてラブラブバカップルぶりを多いに発揮しながら登校している。
さて、最近金曜日の朝には恒例の行事が起きるようになっていた。
すなわち、「ハハハハハハハハハハハハ、人の可愛い義妹をたぶらかし、あまつさえその純潔を奪う、人それを悪と言う!!」
馬鹿笑いと共に現れて、真一郎に向かって言いたい放題言う、さくらの義兄氷村遊と。
その遊に対抗するかのように、静かに流れるギターの音色。
「待ちなさい悪党!!」
どこからともなく聞こえてくる声に、反射的に答える遊
「どこだ!!姿を現せ!!」
その時民家の屋根の影から一人の人物が颯爽と現れる。
「ズバット参上!!ズバット解決!!快傑護身道仮面!!」
と言うように、毎回趣向を凝らした登場台詞と共に現れて遊を打ちのめしてから何処へともなく姿を消す謎(?)の正義のヒロイン護身道仮面の対決だ。
「ジェ◎ト・ラ▲ェンダー!!」」
「あうち!!」
護身道仮面がアッパー気味に放った鉄鞭の一撃が遊の顎に直撃し、奇妙な悲鳴と共に中高く飛ばされる遊。
そして顔面から地面に落ち、思わず拍手が飛ぶほどみごとな車田落ちを実演して見せてくれる。
ここまでの通算成績は護身道仮面の13戦全勝である……弱いぞ遊、それでも本当に夜の一族なのか?


さて、時間は進み昼休み、今日も今日とて図書室で一緒に昼食を食べるさくらと真一郎。
周りには大輔・ななかのカップル、唯子・小鳥の幼馴染コンビ、いづみ・弓華の好敵手コンビ、みなみ・リスティのさざなみ寮生組が昼食をとっている。
皆で楽しく、食事をとっている最中、さくらがふと昨日の事を思い出して回りに声をかけた。
「実は、昨日新聞屋さんから遊園地の招待券を貰ったのですが、五枚貰って、一枚五名様まで有効ですから、皆さん受験勉強で大変でしょうから、たまには息抜に行きませんか?」
さくらのこの声に、皆から賛成の声があがった。
「真くん、千堂さんも呼ばない?」
「瞳姉様(※前回のラストから瞳にこう呼ぶようにお願いされている)か…いいな、姉様も呼ぼう。」
「瞳さん来るなら、神咲先輩も誘おうよ、真一郎。」
「ああ、いいな神咲先輩も誘おう。」
「あ、相川くん、美緒ちゃんも呼んでいい?」
「それと知佳も。」
「うん、神咲先輩と一緒に誘っておいてくれないかな?」
「OK!」
「先輩、実は姪の忍も呼びたいのですが、いいですか?」
「忍ちゃんか、もっと仲良くなりたかったし、いいよ。」
こうして、参加メンバーは着々と決まっていった。


その夜、氷村遊は自宅の離れ(プレハブ製)にある自室で、TVゲームをしながらぼやいていた。
ちなみに何故離れかと言うと、すでに両親からも見捨てられているからなのだが、本人はいたって気にしてはいなかった。
「くそ!!どうして勝てないんだ!!」
画面の中ではシスコンの機械生命体が、仰々しい名前の拳法を使って敵ロボットを倒していた。
しばらくその画面を見ていた遊は、突如として立ちあがると、馬鹿笑いを始めた。
「ハハハハハハハハハハハハ……!!なるほどそういう事か、そうかそれならまずは剣からだな、たしか倉庫においてあったな。」
と1人勝手に納得しながら部屋を出て行く遊であった。


翌日、鷹城唯子と井上ななか、そして綺堂さくらの3人は海鳴大学(通称「海鳴大」)の護身道部を訪ねるため、海鳴大のキャンパスにいた。
3人とも風芽丘高校の制服姿なので、キャンパスの中ではかなり目立っていた。
唯子とななかはそれぞれ別のブランドロゴのついたスポーツバッグを肩から下げている。
色は唯子が赤で、ななかの物は黒地にエメラルドグリーンの手提げがついている。
そしてさくらも風高指定の学生鞄の他に何故か唯子達のように黒いスポーツバックを持っていた。
「綺堂さん、その大荷物はどうしたの?今日は体育もなかったし、朝からずっと不思議だったんだけど。」
ななかの問いに、ちょっと疲れたような顔をしながらさくらは答えを返した。
「はい、ちょっと瞳さんに御渡しする物が有ったので、ついでに持ってきたんです。」
学年トップの成績を誇る唯子は、第一志望である海鳴大の受験に関しては完全に安全圏にいるので、今更猛勉強する必要はなく、進学後入部しようと思っている護身道部の練習にたまに顔を出しているのだ。
今回ななかが付いてきたのは、あこがれであり、目標でもある先輩「千堂瞳」に会いたかったからだ。
さくらが来たのは、直接瞳を遊園地に誘うためである。
前回参加した時に約束していたので、瞳は道場の前に出て待っていた。
今日の瞳は、黒のソフトジーンズに白無地のセーターという格好だった。
「いらっしゃい、さくらちゃん、鷹城さんと井上さんよく来てくれたわね、歓迎するわ。」
あくまで最愛の義弟、相川真一郎とその恋人たるさくらを優先して考える思考をする瞳に少々げんなりした唯子とななかだが、先に入った2人について道場に併設された女子護身道部の部室に入っていく。
「2人とも早く着替えましょ、もうすぐ更衣室が混みはじめるから、さくらちゃんはどうする?」
部室の片隅にある更衣室に入ると、自らも着替えはじめながらそう言葉をかける瞳、唯子もななかもそれに習って着替えはじめる。
手早く服を着替える3人を見ながら、さくらは着替えもせずに立っている。
「私は見学だけなんですけど、1人で道場で待つのも寂しいので着替える間だけでも一緒にお話させてくださいね。」
瞳達はすでに服を全て脱ぎ、下着姿のまま服をロッカーにしまっている。
3人ともスポーツブラジャーと、スポーティな下着の組合せである。
ブラは3人とも白であるが、瞳は縫い目の部分に、レースのフリルのついた物で、ななかは極シンプルな物、唯子の物は、ピンクの可愛らしいフリルで縁取りされた物である。
下着にいたっては、それぞれの趣味が如実に現されており、瞳は紺地に大人っぽい同色で花柄のレースフリルがついた物、ななかは白の下着の腰の両脇の部分にワンポイントで小さな青いリボンがついた物、唯子は白地にパステルピンクで水玉模様がプリントされた柄物である。
つまり、3人の趣味は大人っぽい瞳と子供っぽい唯子、基本的にシンプルなななかと分かれている。
「着替えるの、早いんですね。」
さくらは少し驚いたようにそう3人に言う。
「まあ、運動部はこういった更衣室が必ずある訳じゃないしね、場合によっては交代で見張りながら木陰で着替えなくちゃいけない事もあるし、何より1回生の部員は早く着替えて先輩達が来る前に部活の準備をしなくちゃいけないからね、自然と速くなるのよ。」
「そうそう、運動部は基本的に縦社会だし、武道系だと特にそういう傾向が強いしね。」
瞳とななかは、驚いているさくらにそう説明する間も今度は手早く護身道の胴着を身に付けていく。
ちなみに、唯子は下着姿のまま喜んでいる、どうやらさくらに誉められたと思ったらしい。
「ほら!!鷹城さんも早く着替えて、私は先に部活の準備に行くから。」
瞳は1人で喜びの舞を舞っていた唯子を叱り飛ばしてからさくらとななかを伴って道場へ向かう。
「あっ!瞳さん、さくらちゃん待ってよ。」
1人置いていかれそうになった唯子が慌てて着替えた唯子はさくらのスポーツバッグがいつのまにか瞳のロッカーの前に置いてあるのを見て首を傾げたが、次の瞬間にはその事を忘れて道場へと駆け出していた。


しばらくして部活が始まると、3人は部活で汗を流し、さくらはそれを見学している事となった。
そしてさくらが驚いたのは瞳の強さである。
強い、何しろ現役のレギュラーと互角以上の戦いをして見せるのだから、先輩達も面子にかけて倒しにかかるのだが、瞳を倒す事ができずにいた。
他の2人は、唯子はそこそこ健闘していて何度か海鳴大護身道部のメンバーを打ち倒しているが、ななかは頑張ってはいるものの何度も何度も投げ飛ばされていた。
もっとも、そのななかだって相手を倒せずにはいるものの一方的というような内容ではないので、将来性が期待できるのだが。
やがて部活が終わると、瞳達1回生の部員は後片付けを始め、唯子とななかは2回生以上の部員達と共に更衣室の奥に作られた女子柔道部と共用のシャワールームに向かっていった。
さくらは混雑する更衣室を避け、道場で瞳を待っていた。
しばらくして瞳が戻ってきてさくらに声をかける。
「さくらちゃん、私はこれからシャワーを浴びるんだけど、もう少し待ってくれる?」
「はい、今日は瞳さんに話したいこともありますし待ってますね。」
さくらが軽く微笑みながらそう言うと、瞳は嬉しそうにさくらの頭を軽くなぜると、さくらの手をとって引っ張りながらさくらに話し掛ける。
「それじゃあ、部室で待っててここは広いからすぐに寒くなるから。」
「はい。」
そう返事をしたさくらは瞳に手を引かれるままに部室に入っていった。


そして待つことしばし、瞳の着替えが終わると4人は部室に残って話をすることにした、他の部員は瞳に鍵を渡すと、遠慮して先に帰っていった。。
部室に自分たち以外の人物がいなくなるとさくらが瞳に話し掛ける。
「瞳さん、先程も言ったようにお話があります。」
「ああ、遊園地の件なら鷹城達に聞いたわよ、もちろん私も参加するわね。」
「はい、嬉しいです、でもそれとは別のお話があるんです。」
さくらの真剣な表情に、瞳もいずまいを正す。
後ろで聞いていた唯子とななかも興味しんしんで2人のことを見ていた。
「瞳さん、いえ正確には護身道仮面様にです。」
「な、何故私が護身道仮面だとわかったのさくらちゃん。」
「ひ、秘密です。」
はっきり言おう、瞳の知合いなら誰でもわかるだろう、なにせ護身道仮面は瞳と同じ声で堂々と話しているんだから、しかし、瞳の心の傷を思いやってその事を隠したのだった。
そう言うことで大抵の人は正体を知っている、しかし中には例外もいる。
「えぇ!!瞳さんが護身道仮面様だったの!!」
そう唯子である、天然な唯子は護身道仮面を心の底から正体不明の正義の味方と思っていたのだ。
「ばれちゃったわね、このことは真一郎も知っているの?」
「いえ、先輩は知りません(大嘘※前回参照)。」
瞳はそれを聞くと、安堵したかのように溜息をつき、すぐに優しい笑顔をして唯子とななかを見る。
「二人とも、誰かに話したら……わかっているでしょうね。」
優しげに微笑んでいるが、目は強力な殺気を込めて二人を威圧していた。
「「は、はい!!だ、誰にも言いません!!」」
がたがたと震えながら返事をする二人、そこにさくらが割って入る。
「瞳さん、待ってください、その二人にも聞いて欲しいのですが、護身道仮面の戦いはこれから厳しくなりそうです。」
「ど、どうして?」
瞳が驚いて、さくらに問い掛ける。
「実は、今朝方判明したことですが、遊がうちの倉庫から危険な物を二つ持ち出したことがわかったんです。」
「それで……。」
「ほえ?危険な物って?」
「そ、それってなんですか?」
だんだんと引き込まれていく唯子とななか。
「遊が持ち出したのは2つ、1つは魔力の込められた魔剣です。」
魔剣とは、魔力を込められて作られた剣の総称である。
魔剣は込められた魔力によって、様々な能力を持つという特性があり、なかには剣を一振りするだけで核爆弾並みの破壊力を示すものもあるという。
「そ、そんなものがどうして簡単に持ち出せるのよ!!」
瞳の言うことはもっともだ。
「なにぶん、もう使う気がある者がいなかったので。」
さくらの言葉にげんなりとした表情を見せた3人だったが、どんな魔剣か聞くために瞳が質問をする。
「それで、どんな魔剣なの?」
「その事なのですが…。」
言いにくそうなさくらの態度に不安を抱きつつも、固唾を飲んでさくらの言葉を待つ3人。
「実は、わからないんです。」
思わずずっこける瞳とななか、シビビーンと宙を舞う唯子…器用だな唯子。
「なにぶん、一口に倉庫と言っても夜の一族の所有する魔道技術の粋を凝らして空間歪曲を施されたものなので、広大な空間内に所狭しと、そういった魔剣などが詰め込まれていて、その中から魔剣だけを分別して膨大な量の目録から合致するものを突き止めるのに1月はかかるというのが父の話しです。」
さくらの、長々とした説明を疲れた表情で聞いていた瞳が、質問をする。
「それでもう1つの危険なものって?」
「もう1つのものは、何らかの方法で軍事利用できる可能性のある魔道技術を書き記した書物です。」
淡々と説明するさくらの様子から、続きを察した瞳が先回りして、質問を投げかける。
「これも、どんな本かわからないと。」
さくらも、恥ずかしげに肯いた。
「……………。」
しばらくの間重苦しい沈黙がたちこめたが、さくらがそれを破り、気合いを入れてしゃべりだした。
「まあ、そんなわけで遊がどんな危ない物を持っているかわからないので、いざという時に役に立ちそうなものを持ってきました。」
そう言いながらさくらは持ってきていた黒いスポーツバックを開け、中から色々な物を取り出した。

最初に取り出したのは、御存知護身道仮面の衣装である。
「あれー?なんでさくらちゃんが護身道仮面様の衣装持ってるのぉ?」
唯子が物欲しそうに、さくらの持っている護身道仮面の衣装を見やる。
「これは、匿名希望の護身道仮面様の大ファンのからの贈り物で、耐熱.耐寒.耐電.耐衝撃.耐刃.耐弾性能と身体能力向上機能を持つ、護身道仮面の新スーツです、一応フリーサイズになっているので身体にフィットしない事はないはずです。」
瞳とななかは口をあんぐりと開けて、ファンがいたなんてと言って驚いていたが、唯子は次はどんな凄い物が出てくるのかとわくわくしながらさくらの手元を見ている。
「もっともこれはサンプルだそうです、その大ファンが言うには、いざという時の為に瞬時に変身できた方が良いだろうという事で、スーツ転送システムを設置したそうです。」
次に取り出したのは、女性用の細いベルトだった、バックルの所に小さな風車がついているのが特徴だ。
「これが護身道仮面に変身するためのスーツ転送システムの通信装置と護身道仮面スーツにエネルギーを送る変身ベルトです、ベルトのバックルについている風車に風を受けるとエネルギーが溜まっていくという仕組みです。」
そういって淡々としゃべり続けるさくら、目は明らかに宙を泳いでいる。
「護身道仮面に変身する為には、このベルトを身につけた状態で、御自分で決めたキーワードを唱えればいいらしいです。」
瞳とななかはもはや口を開く気力もないようだ。
「凄いよ、さくらちゃん!!その護身道仮面様の大ファンの人に唯子の分も作ってもらえないかな?」
唯子は大喜びでさくらにそう聞くと、さくらは物好きなと言うような目で唯子を見ながら、スポーツバッグをごそごそと探りもう一本のベルトを取り出して唯子に渡した。
「まだ、説明が終わってないので勝手に使わないでくださいね。」
そう言って唯子に釘を刺した後、さらにバッグから物を取り出す。
今度の物は、どうやら鉄鞭の様である。
「これは予備の物ですが、護身道仮面のスーツに付属してこの特殊合金製の鉄鞭が付いてきます、ちょっと持って見てください。」
そう言って瞳に鉄鞭を手渡す。
「うん、使いやすいわ、ありがとう。」
そう言って微笑む瞳に、さくらは告げる。
「護身道仮面スーツは何種類かあるそうです、此処が重要なのですが、これから先は本当に危険だと思います、このスーツもどれだけ役に立つか分かりません、だから腕の立つ人間を集めて護身道仮面になってもらい、協力して遊に対抗していただくべきじゃないかと思うんです。」
さくらは、淡々と続ける。
「実は今日変身ベルトを私の分と合わせて4つ持ってきました、巻込む事になって申し訳ないのですが、鷹城先輩と井上さんにも御手伝いしてもらおうかと思ったからです。」
さくらは申し訳なさそうにななかの方を見る。
ななかはさくらと護身道仮面スーツを見比べてちょっと考え込んだが、さくらの次の台詞に速攻で返事を返した。
「もちろん危険な事に巻込むので、それなりの報酬は用意します。」
「親友の幸せのためだもの、もちろん協力するわ!!」
さくらのこめかみを冷たい汗が一筋流れ落ちた。


さて、さくらが残りの説明を終えると一同は帰路についた。
そして、もうすぐ駅につくかという時、特徴のある馬鹿笑いが聞こえてきた。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!義妹よ、夜遊びに手を染めるとは悪の始まりだぞ!!」
「遊!!」
さくらが大声をあげて遊の気を引いているうちに、瞳達は路地裏に駆け込み、早速先程渡された変身ベルトを身に着けて、キーワードを口に出して変身する。
「護身道仮面・変・身。」
腕を交互に一回ずつ眼前で半回転させた瞳がジャンプする、次の瞬間、護身胴衣を模したレオタードのような新護身道仮面スーツに身を包んだ瞳の姿が空中にあった。
「護身道・ミラクル・パワー・メイクアップ!!」
唯子が手を螺旋を描くように回すと、その姿が光の中に浮かぶシルエットとなる、そして次の瞬間瞳とよく似た新護身道仮面スーツに身を包んだ唯子が現れる。
「護身道フォー――――ス!!」
右手を高く掲げたななかの足元から着衣が弾け飛んでいき、一瞬その裸身を夜闇に映す、しかし次の瞬間には護身道仮面スーツに身を包んだななかが現れる。
ななかは、変身を終えた自分達の姿を見た途端溜息をついた。
「うぅ、なんか私だけ明らかに体の線が貧弱なんですけど。」

「フハハハハハ…義妹よ、今日こそ私のことを義兄君と呼んで貰うぞ!!」
「貴方を兄だなんて思いたくありません!!」
「く、いいだろうこうなれば力ずくでも、兄の素晴らしさをわかってもらうぞ。」
遊がついに痺れを切らし、さくらに迫ろうとした時、救いの手がやってきた。
「お待ちなさい!!世に悪の栄えたためしはないわ!!」
「何奴!!」
遊が気をそらしたうちに今度はさくらが路地裏に逃げ込む。
「愛ある限り闘いましょう、命萌え尽きるまで!!護身道仮面 技の1号見参!!」
「新たな時代の風に誘われて、護身道仮面 力の2号ただいま参上!!」
「疾風怒濤!!電光石火!!努力と根性のV3推参!!」
それぞれ違う電信柱の上に立ちながら次々と名乗りをあげる護身道仮面達をいまいましげに見ながら声をあげる遊。
「いまいましい奴め!!しかも増殖するとは、貴様らゾウリムシか!!」
だが、次の瞬間には、薄気味悪い薄ら笑いを浮かべながら、言葉を続けた。
「まあいい、私の新たなる力見せてやろう」
そう言うが早いが、虚空に手を掲げ声をあげた。
「剣○よ!!」
つばの部分に狼のマークが刻まれたロングソードがその手に現れる。
「○狼の力見せてやる!!」
そう言うが早いか、手に持つ剣を無造作に振り下ろす遊。
振り下ろされた剣からは、唸りをあげて衝撃波が迸る。
標的にされたV3は、思い切りよく電信柱の上から飛び降りながら、遊めがけて特殊合金製の鉄鞭を突き込む。
「ハ○ケーーーーンボ○ト!!」
地面に打ち付けられた遊が、なぜか高々とバウンドして宙へ飛びあがり、今度は顔面から地面に落ちる、変則気味の車田落ちだった。
いつもならこれで終わりなのだが、今宵の遊は一味違った。
「まだだ!!まだ終わらんよ。」
そう言いながら、むちゃくちゃに剣を降りまわし、次々に衝撃波を放ち始めるのだった。

そのころ、路地裏に逃げ込んださくらは、走りながら変身を開始していた。
「護身道・ゲット・オン!!」
走っているさくらの体が光を放つと、銀色に光るななか達とは一味違う護身道仮面スーツに身を包んださくらが現れる。
そして、ベルトから銀に輝く棒状の物を引抜くと、一気にビルの屋上へと飛び上がる、護身道仮面スーツと夜の一族の混血雑種たるさくらの類まれない運動能力のおかげである。
そして、ビルの屋上から眼下を見ると、発狂したかの様に衝撃波を放ち続ける遊に、1号達はなかなか近付けないでいた。
さくらは銀の棒を振り下ろしならが叫ぶ!!
「ライ●ルロープ!!」
すると銀色の棒…ラ◎ドルが瞬時にロープのように柔軟性を持った状態になり、棒状の時より遥に長く伸びて、遊の手を打ちつけて剣を落とさせる。
「くっ!!」
遊は痛む手を無理して伸ばし、落とした剣を回収しながらも、後ろに跳び下がって、距離をとる。
「誰だ!!」
「ひとーつ 人の世の常識を知らず、ふたーつ 不埒な妹萌え三昧、みっつ 見事なまでの馬鹿漢を退治してくれよう 護身道仮面X(エックス)!!」
そう言うが早いか、とう!!とばかりにビルの屋上から飛び降りるX。
「その声は?ま、まさかさくらなのか?」
さくらが護身道仮面の仲間となって現れた事に少なからずショックだったのか足元が覚束なくなる遊。
その隙を見逃す1号と2号ではなかった。
「「ダブル護身道仮面キー――――――ック!!」」
たまらず吹き飛ぶ遊!!しかしなんとか着地に成功する。
「やらせはせん、やらせはせんぞぉ!! 氷村の栄光はやらせはせん!!」
そう絶叫をあげながら、ふらふらと立ちあがる。
「みんなとどめよ!!」
1号のあげた声に、残りの3人が肯く。
まず2号が飛び出して、遊を捕まえると飛行機投げで、空高く投げ上げる。
「「「「護身道総拳陣!!」」」」
それを追って高くジャンプした4人の護身道仮面は、遊の前後左右より各々の得物を叩き込む。
「グォ!!」
空中で吐血する遊。
護身道仮面達が着地を決めたその瞬間、またも顔面から車田落ちした遊は、道路に頭を突き刺したまま、大の字になって力尽きるのだった。


こうして護身道仮面達の活躍によって、さくらは無事守られた、しかし、遊が持ち去った危険物はまだ全てを現した訳ではない事を忘れてはならない。
行け!!護身道仮面’S 闘え!!護身道仮面’S 真一郎を守れるのは君達だけなのだ!!


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なかがき

皆様こんにちは、小島です。

久しぶりの護身道仮面です。
今回もまだ前編だと言うのに、御馬鹿丸出しで、前作の120%の馬鹿さかげんです。
今回も色々パロディを盛りこみましたが……これの本ネタ全部わかる方、心の友と呼んでいいでしょうか?

さて、後編は、話の中でチラッと言っていた遊園地に遊びに行くという話になります。
遊と、そして護身道仮面達そして新キャラ達の活躍にも期待してください。

それではまた後編で会いましょう、アディオス!!

メールアドレス:mk_kojima2@yahoo.co.jp


 

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