小島様作
いつか皆で……
書いた人……小島
この作品はJANIS/ivoryより発売されている「とらいあんぐるハート」シリーズを元ネタとしております。
この作品は、ネタばれを含んでいます。
この作品における方言はかなり適当です、こんなの関西弁(鹿児島弁)じゃないという方がいてもおおめに見ていただけると嬉しいです。
この作品における初期設定は以下の通りです。
@忍ENDクリア状態で、忍と恋人同士です、ちなみに高町家公認の仲です。
Aノエルは眠りについたままです、代りに那美がメイドをしています。
B忍が修理して性格強制をしたイレインが綺堂・エーアリヒカイトの名を貰ってメイドをしています。
Cおまけで、皆の嫌われ者安次郎が執事としてこき使われてます。
「…忍。」
「何、恭也?」
「この問題がわからん、教えてくれ。」
「OK、OK忍ちゃんにお任せ。」
「すまん。」
「いいのよ、私のためでもあるんだもん。」
その日高町恭也は、一緒に受験勉強をするという名目で、恋人となった月村忍の屋敷に来ていた、そう屋敷である。
忍は海鳴の街少し離れた場所にある、広い庭がある大きな屋敷にメイド頭であるノエル・綺堂・エーアリヒカイトと2人で住んでいた、現在は2人増えて4人で暮らしている。。
もっとも、そのメイド頭は今年の春から初夏にかけて起きた一連の事件の後、深い眠りについたまま、一向に目を覚ます様子はない。
その為、現在月村家には2人のメイドと1人の執事が働いている、メイドの1人は神咲那美、相変らずドジメイドぶりを振りまいているが、眠りについたノエルの代りにと働きに来てくれている、休日限定の通いのメイドさんだ。
そしてもう1人のメイドは、イレイン・綺堂・エーアリヒカイト、そう例の事件の時のイレインを忍が修理した上できちんと再教育(リプログラミングともいう)し、暴走しなくなったうえで、叔母のさくらに頼んで戸籍を偽造ってもらったのだ、そして今は那美の後輩でノエルの妹として住み込みで働いている。
相変らず高飛車で、那美といっしょに働いているとどっちが先輩メイドなのかわからないぐらいだ。
最後に執事は、月村安次郎……あの一連の事件の黒幕であったこの男である。
あの一連の事件の最後にイレインによって、重傷を負った安次郎は、忍や恭也の応急手当と、一族関係の病院によって九死に一生を得たが、当の本人の会社は入院中に倒産してしまい、全ての財産を借金の方として取り上げられてしまった。
まぁ無理もない話しである、イレインの購入費、様々な工作費用、事件後の入院費、延焼した月村邸の修繕費等々にお金を払ったため、ただでさえ傾きかけていた財政が一気に崩れ落ちたのだ。
というわけで裸一貫で路頭に迷った安次郎を忍が血縁のよしみで(別名仕方無しに)執事として雇ったわけである。
しかし、雇われた安次郎にしても哀れみをかけられれば、当然面白いわけは無く、当初は月村低からお金等を盗み出そうとしたり色々あった(その度に恭也、忍、さくら、イレインに見つかって半殺しにされている)が、よく遊びに来る子供(晶・レン・なのは)達の相手を、仕事の為とはいえしているうちに段々と角が取れて丸くなってきて、最近では彼女達が遊びに来るのを楽しみしており、日曜日に恭也が1人で訪ねてくるとあからさまに落胆する始末だ。
まあ、そういう訳で、一緒に勉強をするといっても2人きりというわけではなく、忍と同じくらいTVゲームが好きな晶となのはを連れて行く事になった。
とは言うものの、月村邸は非常に遠い、以前はノエルが恭也達を車で迎えに来ていたが、そのノエルは現在は夢の世界に留まったままになっている事もあり、ここしばらく高町家の人間が月村邸に行くのは自転車を使うしかなかった。
ちなみに那美は耕介にバイクで送ってもらっているし、忍は今まで使っていなかったが原付の免許を持っていたので問題はなかった。
さて、そういうわけで月村邸を訪れた恭也は、早速勉強を始めた。
なのはと晶それとイレインの3人は現在ゲームで勝負している、頻繁に晶の叫び声が聞こえる、どうやら、なのはとイレインにコテンパンにされているらしい。
書庫のいっかくに机を持ちこんで作られた、急増の勉強部屋で2人は黙々と勉強していた。
ちなみに那美は家の掃除をしているらしい。
本来は大学に行くつもりのなかった恭也は卒業できればいいや、という具合に勉強の手を抜いていたのだが、忍に一緒に大学に行こうと誘われると、しばらく悩んだ後、家族一堂の勧めもあって大学進学を決意した。
しかし、本人が希望すればあっさり大学には入れるというわけはなく、低空飛行を続けている恭也の学力を底上げするために数学等の理系の勉強を忍が、文型の勉強を恭也の親友である赤星勇吾が教える事となったのだ。
夏休みの間、懸命に努力した成果が出たのか、9月の頭にあった模試では、志望大学にB判定が出ていた。
「恭也頑張ったもんねー、でも、これで一緒の大学行けそうだよね。」
結果を恭也から知らされた忍は、そう言って我が事のように喜び、同じ大学を志望している勇吾も、親友と過ごすキャンパスライフが実現しそうな事を喜んでいた。
まぁ、そういうわけで次の模試ではA判定を取る為に今日もこうして頑張っているわけである。
2人が勉強を始めて一時間はたった頃勉強部屋の扉がノックされた後、安次郎が銀色のトレーカートを押しながら中に入ってきた。
「お茶が入ったで。」
そう言いつつ、忍の前に紅茶の入ったティーポットと温めたカップを置き、恭也の前には日本茶の茶葉を入れた急須と小さなポット、暖めた湯呑を置いた。
「お茶菓子はどうする?」
そう言って、トレーカートの2段目を見せる安次郎、そこには明らかに手作りとわかるケーキとアップルパイ、それから煎餅やあられ等の菓子類が盛られた菓子皿が置いてあった。
「どれもわいの手作りや。」
そう、安次郎が執事を始めてからわかった事だが、意外な事にこの安次郎、和洋中を問わず、お菓子作りが得意だったのだ。
本人談によると、会社経営のストレス解消に甘いものを食べていたのだが、そのうち市販品に不満が出てきたので、それなら自らの手で美味い物を作ってやろうと考えたのがお菓子作りの始まりらしい。
ちなみに恭也がこの話しをしたら、義母である高町桃子が翠屋謹製のお菓子を安次郎宛に届けさせて以来話しが合ったらしく、安次郎は時折高町家にも出没している。
おかげで高町家の子供達はまさか安次郎が義父になってしまうのかと、戦々恐々とした日々を送っているのだが……。
それはさておき、恭也は当然のように菓子皿を受け取り、忍はケーキとアップルパイをワンピースづつ受け取ると、勉強に戻る、安次郎は忍の部屋でゲームをしている面々にお菓子を渡しに行くためにご機嫌な表情をして部屋を出て行った。
安次郎が出ていってからしばらくして忍がポツリと呟く。
「最初は、毒でも盛られてるんじゃないかって、かなり警戒したんだけど……。」
それを引き継いで恭也も呟く。
「……人というのは変われば変わるものだな。」
なんとなく重い雰囲気に陥る2人だった。
そんな事を途中ではさみながら、時折聞こえる那美と晶の声をBGMに勉強は続いた。
「…忍、採点してくれ。」
「はいはい……うん調子いいみたいね恭也80、点越えてるわ。」
「……そうか、それは重畳。」
「ああああああ、ごめんなさい!!」
「那美はんこの壷はえらく高い物なんでっせ、どないしてくれるんや。」
「ああああああ!!なのちゃんそれちょっと待って!!」
「ゴメーンもうやっちゃた。」
「なのはちゃん、WIN!!晶ちゃんはこれで35連敗ね。」
「…忍……寝るのは無しだぞ。」
「アハハハ……冗談よ冗談、寝るわけ無いでしょ(汗)。」
「そうか、気のせいならいいのだが……。」
「……そうそう気のせいよ気のせい(汗)。」
「ごめんなさいーーー!!」
「嘘や、あんさんが掃除しそうなところには危なくて高い壷なんて置いとけないから全部安物と換えてあるで。」
「ああああああああ、それはそれで凄く情けないです!!」
「それじゃあ、あんじょう気張りや。」
「うう、気をつけて頑張ります……。」
「50連敗したら罰ゲームね。」
「晶ちゃん頑張れ!!」
「くっそー――!!イレイン勝負だ!!」
「返り討ちにしてあげるわ!!」
「ラウンド1 ファイト!!」
「イレイン!!いつまで遊んどるつもりだ!!飯作るのくらい手伝えや!!」
「うるさい!!黙れ!!」
ガチャン!!
「…うわ―、人中にお皿が直撃…。」
「た、大変!!おじさんが白目むいてるよ!!」
「ほっときなさいそんなの!!」
「…忍。」
「どうしたの恭也?」
遠くの喧騒を聞きながら、なんだかボーっとしていた恭也が不意に忍に声をかけてきた。
「早くノエルの目が覚めると良いな。」
少しぶっきらぼうに、だけどとても優しい声音でそう言った恭也の背中に回って、抱きつきながら忍が答える。
「そうね、そして今度はノエルも入れて皆でこんな風に騒がしくても楽しい日々を過ごしたいね。」
「……。」
恭也は、声には出さず、かすかな肯きで同意を示すと、忍の頭を優しく撫ぜるのだった。
恭也に頭を撫ぜられている忍は、うっとりとした表情で、恭也の首筋に顔を埋めている。
そのまま静かに10分ほど時が過ぎてから再び忍が口を開く。
「私がいて、恭也がいて、ノエルがいて、那美がいて、イレイン、安次郎がいて、そして私と恭也の子供がいる、いつかそんな風に暮らせたら良いな。」
恭也は、自分達の子供と言うところで紅潮した頬を隠すように、体を素早く入れかえると、忍を正面から抱きしめた。
そして、忍の耳元で小さく呟いた。
「……俺もそう思う。」
その呟きは忍にちゃんと聞こえていて、忍は目尻からほんの少し涙を流しながら恭也にしがみつくように抱き返す。
「うん、きっとそんな未来を創っていこうね。」
「…ああ。」
その言葉に恭也は短く答えると、忍の唇に情熱的口付けをするのだった。
フィアッセが車で迎えに来たので、なのは達が帰ると言いに来た安次郎がそのシーンを見て気を利かせ、恭也が今日は泊まっていくとフィアッセ達に告げた事がわかるのは一時間経った夕食の時だった。
FIN
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あとがき
皆さん、こんにちは小島です。
護身道仮面の後しばらく来ていなかった海鳴市役所さんが15000HITした事を知って、白い魔人様のリクエストでこの忍SSを15000HIT記念SSとして書き上げました。
安次郎(以下:安):それはいいんだけどな、なんやこれは。
何か問題でも?
安:わしの扱いはいったいどういうこっちゃ!!」
老後に向けて第2の人生を歩み出した安次郎爺さんの姿だよ。
安:なんやそれは!!
きっと、雫とかが生まれたら「爺や」とか「爺」とか言われるようになるんだろうな。
安:わしはまだまだ若いんだ!!
可愛い孫代りの、子供達に目尻の垂れ下がった安次郎爺さん、ほのぼのとした光景だよな。
安:こら!!話しを聞け!!
昔は皆に嫌われるようなやんちゃをした安次郎爺さんも歳を取って人間が丸くなっていく、人に歴史ありって感じだよな。
安:だから話しを聞けって言ってるだろうが!!
最後は、孫代りの恭也と忍の子供達に見取られて眠るように生涯を閉じるんだろうな。
安:もういい!!わしは帰る!!(安次郎退場)
うーん、やっぱ遊と安次郎はからかうと楽しいな。
それではまたお会いしましょう、アディオス!!
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