穂高山荘の朝はガスが出ていて、今日の天気も昨日に
続きだめかと肩を落とす。とりあえず馬ノ背まで行こうと
決めた。馬ノ背のナイフエッジの通過の時は恐怖感で体が
こわばる。
馬ノ背の最後の下りは特に急で、生きた心地がしなかった。
ここから下るか、やめて戻るかじっと考えていた。
ここでやめたら二度とこの場所にこれないような気がして
恐怖感を押し切って下った。足の掛け場が見ずらい。
手探りならぬ足探りでなんとか下った。
ガスは一向に晴れない。これからどうするか迷う。
そこに中年男性が二名、馬ノ背を下ってきた。早速話し
をする。一緒に西穂高まで行きましょうということになった。
今までガスの中、さんざん迷っていた心に、フツフツと
やる気が沸いてきた。そうと決まると心が明るくなった。
ロバの耳に着くが相変わらずガスって一部しか見えない。
確かに突き出た岩がロバの耳に似ていた。

憧れのたジャンダルムらしきものが、ガスの中見えて
きた。同行の男性は「あれがきっとジャンダルムだよ」と
言った。遠巻きにジクザクに登ってすぐ山頂だった。
あっけなかったが憧れのジャンダルムに立てた喜びで、
心の中は嬉しさで一杯になった。
天狗ノコルまではずっと下りだった。途中で同行の男性が
「矢印はないか」と聞いてきた。感の鋭い人だ。
私はよく岩場を見る。白丸のペンキの印が岩の途中に
有るのが見えた。すぐに「ありました」と声を出す。
そのままだったら多分、沢の奥に行っていただろう。
基本的には矢印がしばらくないときは、迷っている
ことを考えることが必要だ。

天狗のコルに着く。この時天気がぐんぐん
よくなって来た。笠ヶ岳が見え始める。
山小屋の廃屋があった。この場所に山小屋が
あったらどんなに良いかと思うのは私だけでは
ないだろう。

天狗の頭の登りはきつい。しかし、逆層のスラブは
なんなくスルスルと下ることが出来た。
これから登る間ノ岳を見てまた、恐怖感を味わう。
単独な岩峰で急峻な登りだった。見れば山頂の
すぐ下に丸印が見えた。
さて登りだ。登る途中で下を見た。絶壁だった。
落ちたら真っ直ぐ下まで落ちる。もう下を見ないように
一気に頂上へと登る。
ここからジャンダルムの異様な山容がよく分かった。
見上げて見るせいか堂々とした岩峰で、岩を
一枚一枚重ねて作ったような山だった。
また、ここから西穂が見えた。西穂も岩が積み
重なって出来ているかのようだ。頂上はドームに
なっている。その下側が独標だが、登山者は
こちらの方が多かった。
間ノ岳から西穂までピークを数個越えなければ
ならない。そのピークの一つに登山道の真上に岩が
オーバーハング状に突き出ていて、渡りにかった。
西穂までの登りも、途中急勾配とガレ場で
ヒヤッとさせられた。
西穂高山荘に着くと登山者であふれていた。
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