散歩


夕方、我が家に住む、飼い主を吼えまくる愛犬(コーギー・通称レヲ・♂)と、
久しぶりに散歩に出掛けた。
今の我が家は数年前に越してきて、
以前は少し離れた集合住宅に住んでいた。
無茶苦茶にはしゃぎまわる愛犬に引きずられるままに、
ひたすら歩く。
夕方の赤く暮れていく街の景色を眺めながら歩き続けると、
小学校に通っていた頃の通学路に出た。



「・・・・・。」



何年振りだろーか?
ここを歩くのは。

今はほんの少し先に出掛けるにも車を使うようになり、
ましてこの辺りは通る事すらない。
ひたすら日が暮れるまで遊びまわってた頃の郷愁に、
ふと、襲われる。



ほんの僅かな段差。
カレーの匂いのする木。
コドモしか通らないような細い抜け道。
自転車でレースをした坂道。
憧れていた女の子の家。



あの頃遊んでいた友人達は、今頃、何をしているのだろーか?
しゃにむに遊んでいた頃から20年近く経ち、
変わってしまった景色の中で、
記憶だけが鮮烈に蘇る。



あの頃に戻りたい、なんて言わない。
不可能なコトだし、今は今の幸せがある。
けれど、少しだけ時間を巻き戻して、記憶の景色を遡る事は、
たまには構わないだろう。


秋の夕暮れ、ちょっとだけセンチメンタルモードになっているわしを横目に、
愛犬は8回もう○こ。
それを不満げに拾うわしに向かって、
スッキリ満足顔で短い後ろ足を器用に使って、思いっきり砂を蹴る。
1人と1匹は喧嘩をしながら、夕飯の待つ我が家に向かって帰途につく。




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