平成15年11月
警察庁



第16回運転免許制度に関する懇談会における発言要旨


1 制度見直しの方向性について

(1) 四輪以上の自動車に係る第一種運転免許を3種類とすることについて

委員:経済的な規制と社会的な規制というのは分けて考え、安全に関する規
   制は、必要であれば強化していくことに躊躇してはいけないと思う。事務
   局から説明のあった事実に照らせば、免許を3段階にして中間的免許を導
   入することが必要だと思う。
委員:8トン近い大きな自動車についての特性や運転技能を習得しないで運
   転していることに現行普通免許の問題点があると思うので、免許を3つに
   分けることは、非常にいいことだと思う。
委員:安全対策はすべてに優先すべきで、それにより安全性が向上するので
   あれば、制度の見直しの方向性に特に異論はない。
委員:乗用車と貨物自動車では求められる運転技能に違いがあり、普通免許
   で大きな貨物自動車を運転することは危険と感じていたので、免許を3種
   類とする方向性には賛成である関係業界も概ね同意しているのであれば
   制度の見直しに支障はないのではないか。

(2) 免許を3種類とする場合の基準、受験資格等について

委員:台数当たりの死亡事故件数の統計や制度改正による社会的影響等を考
   慮すると、普通免許で運転できる自動車の上限を5トンとすることは妥当
   な線と考える。
委員:車両特性の違いによる運転技能の差異が事故の要因となっている面は
   大きい。車長等の車両特性から見ると、普通免許で運転できる上限を8ト
   ンから5トンに引き下げるというのは妥当ではないか。
   新大型免許の資格年齢については、ドライバーの生活もかかっており、
   現在の政令大型自動車の要件より引き上げることは好ましくない。
委員:新しい大型免許について普通免許を持っていることは条件だろうが
   中間的免許を持っていなくても取れることとするのか。
事務局:その点は検討課題。トラック業界は普通免許から直接取ることがで
   きるよう要望しているが、段階的に、中間的免許を取っていないと新しい
   大型免許を取ることができないようにするという考え方もある。
委員:新制度で大型免許を持っている人は中間的な車両を運転できるのか
   できないのか。
事務局:車両特性が大きく異なるということであれば別だが、大型免許を持
   っていれば中間的な車も運転できるというのが一般的な考え方。
委員:基本的には、他の国の免許制度を見ても「大は小を兼ね」ている。
委員:新大型免許の資格要件として、安全面を考えれば、中間的免許からの
   段階取得が望ましいであろう。他方、中間的な自動車と大型自動車では、
   ニーズや運転特性が異なると考えれば、普通免許から選択的に取得できる
   こととするという考え方もある。


2 免許の種類に応じた試験、運転者教育の在り方について

委員:試験・教習車両よりも大きな車が事故を起こしているという事故実態
   を考えて、中間的免許の試験・教習車両について検討する必要がある。
委員:新しい免許制度を導入するに当たって、それぞれの免許にふさわしい
   大きさの車両できちんと試験、教育を行うことが必要と思う。
事務局:事務局としても、中間的免許については現行の大型自動車並みの、
   新しい大型免許についてはそれに応じた試験車両の導入を考えたい。
委員:中間的免許と大型免許については、普通自動車の運転経験があるのだ
   から、教習はすべて路上でもいいのではないかと思う。そうすれば、教習
   所の改修ということや、普通自動車と貨物自動車が同時に場内を走って混
   乱するという問題もないのではないか。
事務局:路上でできる教習もあるが、路上に出るための見極めが必要である
   ほか、方向転換のように場内でないとできない教習項目もある。ただし、
   現在は、大型免許について路上試験を実施していないが、中間的免許等に
   ついては導入する考えである。
委員:今は8トン弱のところに車両が多く事故も多いが、中間的免許ができ
   ると、車両が11トンのところにシフトし、事故も増える可能性がある。
   免許を3つに分けるのと同時に、大きな車の特性や重量の差に関する知識
   や技能について教育し、職業運転者としてのプロ意識をきちんと身につけ
   てもらうということが大事。
事務局:中間的免許や大型免許の取得者に対する教育については、危険予測
   やモラル等に関する内容を教習のカリキュラムに盛り込むとともに、直接
   試験場で受験する方については、路上試験も導入し、同様の内容の取得時
   講習を行うことを考えている。
委員:貨物自動車を運転する者について違法駐車をしないことなども含め
   職業運転手として一般のドライバーの模範となる運転ができるような教習
   や運転者教育の充実を図るべき。


3 新制度の施行時期について

委員:新しい制度の施行はいつになるのか。
事務局:新たな免許を導入し、教習所で免許を取ることができるようにする
   となると、全国の教習所において新制度に対応した教習コースや教習車両
   を整備しなければならない。また、技能検定員や教習指導員の資格の見直
   しも必要になることなどを考慮すると、新制度の施行には、2、3年を考
   える必要がある。


4 現行免許保有者の既得権の考え方について

委員:中間的免許ができたときに、それまで普通免許を持っている人はどの
   ようにして取ることになるのか。
委員:今まで8トンまで運転できた人は、おそらく8トンまでに限定して既
   得権を認めることになるのではないか。
事務局:従来、免許については、多くの場合、それまで持っていた利益は承
   継されるような仕組みを作っている。
委員:経過措置をどうするかは色々な意見があると思うが、既得権について
   は、一定の猶予期間が必要であり、ある段階で新制度に移行する方向に持
   っていく方が望ましいと思う。
委員:5年か7年か分からないが、その間に講習を受けて大きい車両を運転
   できるように教育するシステムを作るということは、いいと思う。教育を
   与えるという点ではチャンスだが、その負担を誰が負うかとなると、議論
   になるだろう。
委員:ある程度の猶予期間を設けて、必要な人は普通免許から中間的免許へ
   移行していくことが望ましい。商売で必要な人がある程度自己負担するこ
   とは仕方がないのではないか。
委員:普通免許を持っている人には、8トン近い車を運転している人もいる
   が、多くの人は運転したことがない。したがって、技能の試験か教習を受
   けてもらった上で、免許を格上げ又は書き換えをするというのは、一つの
   方法だろう。
事務局:現に貨物自動車を運転している普通免許保有者の中にも、11トン
   まで運転したいという人、6〜7トン程度でいいという人もいる。安全の
   確保と、こうした実態のバランスを見つつ、制度を検討する必要があると
   考えている。
委員:何年間か分からないが、中間的免許の中に、11トンまで運転できる
   人と8トンまでの限定付き免許となる人の二種類ができるということか
委員:制度を改正した場合、既得権は考慮すべきであり、それまで8トンま
   で運転できた人が急に運転できなくなるというのはよくない。


5 第一種免許に係る制度の見直しに伴う他の制度の考え方について

(1) 第二種免許について

事務局:現在の普通乗用車と大型自動車の区分には乗車定員の基準があり、
   定員11人以上の自動車を運転するためには大型免許が必要であるまた
   いわゆる政令大型自動車については定員30人以上とされている。この基
   準をそのまま新制度に移行し、11人以上の自動車の運転については中間
   的免許を、30人以上の自動車については新大型免許を要することとする
   ことを考えている。
   また、第二種免許について、第一種免許に対応して中間的免許を設ける
   という考え方もあるが、現在の大型二種免許の試験は乗車定員30人以上
   の大型の車両で行っており、安全対策上も問題はないと考えられるので、
   特に中間的免許を設けないで、現行どおり、11人以上の自動車について
   は大型二種免許を要するということでいいのではないかとも考えられる。
委員:ホテルの送迎バスなどは普通免許で運転しているのか。
事務局:大きさにもよるが、乗車定員10人以下のものであれば普通免許で
   運転できる。旅客運送事業として運転していない場合は二種免許は不要と
   されている。
委員:火葬場のマイクロバスは、グリーンのナンバーだから、二種免許が必
   要な珍しい例ではないか。
委員:二種免許については、中間的免許を設けなくてもいいのではないか。
委員:試験場や教習所の問題もあるだろう。第二種中間免許を作ると、マイ
   クロバスの教習車や試験車両を用意しなくてはならない。需要は少ないと
   思われるので、そこまでやるかという問題だろう。

(2) 高速道路における速度規制について

事務局:現在、高速道路における貨物自動車の速度規制は、8トン以上の大
   型自動車については80キロ、普通自動車については100キロとなって
   おり、中間的免許の対象となる車両について、一括りで速度規制を設ける
   か、現行を維持して一部は100キロ、一部は80キロとするかという問
   題がある。現在の規制を緩和することは難しいと考えているが、9月から
   8トン以上の車両にスピードリミッターが義務付けられており、その安全
   対策の効果も見る必要がある。
委員:車両に対する規制と免許とは必ずしもリンクしなくてもいいのではな
   いか。8トンのところで線を引いた経緯もあるはずで、車両については今
   の規制のままでいいと思うし、同じ免許でも、運転する車両によって速度
   の規制が違ってもいいのではないか。
委員:同意見で、今の切り方でいいのではないか。8トン未満というのは、
   いわゆる4トン積み車で、ナンバープレートも小さい。8トン以上はプレ
   ートが大きくなって、高速料金も違うので、乗っている方は意識している
   はず。ただし、4トン積み車が普通免許で運転でき、スピードも速いとな
   ると、乱暴な運転をすれば事故も増えるわけで、その意味でも、新しい免
   許制度で厳しくしないといけない。

(3) 反則金等について

委員:安全対策のためには、免許の見直しだけでは十分とは言えない。大型
   免許や二種免許を持っている職業運転手に対して、反則金や罰金、点数な
   どのペナルティを強化する方向で見直してはどうか。例えば、大型免許を
   持っている人が普通自動車を運転したときも大型免許に対するペナルティ
   を与え、大きいペナルティを課すというような対策をとることはどうか。
   職業運転者のモラルを強化するための教育を徹底するには金がかかるの
   で、残念なことではあるが、ペナルティを厳しくすることが効果的ではな
   いか。中間的免許保有者は普通免許保有者の倍、大型免許保有者は4倍と
   いうくらい厳しくしてもよいのではないか。
委員:ペナルティの強化は一定の効果があると思うが、まずはきちんとした
   教育をやることが大事で、免許の見直しと併せて教育を強化し、プロ意識
   を身につけてもらうべきだと思う。
事務局:反則金については、自動車の新しい概念が入ってくるとなれば、そ
   の額をどうするかは検討しなければならない問題と認識しているただし
   一定の免許を有する職業運転者について、業を離れて普通自動車を運転す
   るときも高い反則金が課されるとなると、公平性の問題もあり、免許制度
   の考え方自体を変える必要があると思われる。
委員:大型免許を持っている人は、ファミリードライブをする時でも模範的
   な運転をするという条件で免許を与えるという考え方もある。現在免許を
   持っている者について事故が多いということであれば、600万人もの職
   業運転者に対して安全に走ることができるよう教育する必要があるという
   ことになる。新しく免許を取る人に対する教育は大事だし、そこでプロド
   ライバーとしての意識を与えられればよいと思うが、すべての人に教育が
   できないのであれば、ペナルティの強化ということも考える必要があるの
   ではないか。


6 その他

委員:バスやトラックの運転手がプロといわれてきたのは、徒弟制度的に徐
   々に親方に教えてもらうという養成過程にあったと思うが、今はそういう
   養成が企業でできなくなってきているのではないか。
委員:大型貨物自動車対策としては、免許制度の見直しと併せて、高速道路
   の通行区分規制を守らせることも必要ではないか。
委員:中型車と大型車、貨物車とバスでは、運転に関する車両特性が異なる
   が、他方、免許を(3区分とする以上に)細分化して制度が複雑になるこ
   とは避けるべき。車両特性が異なる車両に乗せる場合は、企業側が運転者
   に短期間の教習・訓練を受けさせるというようなことも考える必要があ
   る。
委員:貨物自動車による事故については、技能・知識の不足のほか、労働条
   件等の要因もあるはずであり、今後それらを念頭に置いた諸対策の検討も
   必要だろう。
   模範的な運転者については、表彰や何らかのメリットが与えられるよう
   なことも検討してよいのではないか。



前のページへ戻る