闘い




それは、とある女生徒の所内教習を担当していた時に起きたのデス。


お○っこに行きたい・・・。


それまでは漠然とした尿意でしかなかったのが、1度頭に浮かんだらもうオシマイ。
脳みその中は、もはやそれでいっぱいデス。
教習どころではありませぬ。
時刻は教習の半ば。
あと30分は耐えなくちゃいけないんだねー。

「並々と水が注がれたコップに、ポタン、ポタン、と蛇口から水滴がコップに落ち、
水面はコップの少し上まで膨れ上がり、もはや表面張力だけが頼り。
あと数滴注がれたら、こぼれそー!」
まさにMy膀胱は、そんな気配濃厚デス。


グルルルルルルゥゥー。


あ。
膨張した膀胱が大腸を圧迫したのでしょーか。
なんだか尿意だけでなく、便意までまでもがコンニチワ。
「泣きっ面に蜂」とは、昔のニンゲンも上手いコトを言ったもんデス。
なんだかガスの塊が、出口を目指して忙しなく蠢いてるのがわかりマス。


(・・・スカスべきか、死守すべきか。)


ヨコシマな考えが脳裏に徐々に、それでいて鮮烈に浮かんでは消える。
ふと、昨夜の夕飯を思い出し、それを原材料とした気体の放出は、
指導員人生をかけてしてはいけないと心に誓う。
小さな波と大きな波がまるで陣痛のように下腹部に襲い掛かり、
額には脂汗が滲む。


気が付けば教習時間は残り5分。
孤独な闘いに勝利したのだろーか、いつしか便意は奥に引っ込み、
敵はただひとつ、もはや尿意だけとなっていた。
自然とカラダが小刻みに揺れる。
いや、揺れたら漏れるってば。
一番楽な姿勢を探しつつ、教習の締めくくりをせっかちに、そして口早に。


キーンコーンカーンコーン♪


あ!
教習終了の鐘が鳴る。
それはまさしく解放の鐘の音!
耐えたんだ。
耐え抜いたんだネ。
ボクは!
偉い。偉いぞ。偉かったよ。
わし!
さぁ、解き放つ時が来た!
さぁ、往かん! 解放の場へ!!



「あのぉー、せんせー、ひとつ質問があるんですけどぉ〜。」







うむ。却下。







嘘ですヨ。
ちゃんと後で答えたましたヨ。

あー、きつかった。




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