Open your heart




そのオトコは開き直るオトコだった。
逆切れと言うのとはちょっと違う、なんというか、
清々しさすら漂わせる、見事なまでの開き直りっぷりのオトコだった。
彼の開き直り方には、ヘタな小細工は必要ない。
ただただひたすら、自分の心を素直に表現する、いや、曝け出すと言うほうが適切だろうか、
もう、なんというか、屈託のない開き直り方だった。
隠し事なんて、何一つない、一点の曇りもないその態度、
そしてまるで少年の様に目をキラキラと輝かせ、純真無垢なまでの開き直りっぷり。
その開き直りっぷりは、ある意味、神々しさすら感じられた。





「ハイ、次の交差点を左ね。」

「ハイ。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「それじゃー、次を右ね。」

「ハイ。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「ハイ、じゃーココからココまで自主経路で向かってね。」

「ハイ。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「ハイ、じゃー所内に戻ります。」

「ハイ。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「ハイ、じゃー、まず縦列駐車ね。○番に駐車してください。」


「ハイ。わかりません。」


「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「ハイ、それじゃ、方向変換○番ね。」


「ハイ。できません。」


「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」








みきわめ不良だっつーの。







いくら爽やかに答えても、ダメだっつーの。
路上はマトモな運転してるのに。
しっかり覚えてきてちょーだいネ。




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