理論派


普通二輪担当。
しかし予備指導員っつーことで、ほとんど普通車担当。
二輪の生徒が少ない時は、必然的にキャンセル待ちで普通車担当。
どんな生徒が来るのだろー。
キャンセル待ちは、生徒以上にコチラがドキドキデス。


で、わしの担当車両に訪れたのは、H君(22歳・♂)、学生デス。
MT車で模擬教習の後、1回実車しただけのホヤホヤ君。
で、なんだか憮然としてマス。
言い方を変えると、怒ってマス。
っつーか、不貞腐れ気味デス。
教習をする前から何、怒ってるんでしょーか。
わしはお客様苦情センターじゃないんダヨと思いながらも、
教習を開始する前に少々お話を。


「前回はどーでしたか?」

「えぇ。やはり安全運転の重要性を認識しなくてはいけないと思いまして、
どうしても慎重にならざるを得ないと言うかなんというか車という鉄の塊が人間に与える危害を
考えると恐ろしくなりつつも背筋が伸びる思いがしまして、でも頭では理解しているつもり
なんですが、どうしても体が反応してくれなくて、こうハンドルの回し方が私自身・・・(長くなるので以下略)。」

「(話を遮りつつ)・・・あー、じゃー、がむばりましょー・・。」




あー、わしの苦手なタイプみたいだヨー!



プライベートに顔突っ込む気はないので聞きはしなかったけど、
なんだか見た目も話し方も、なんだか相当賢そうな大学生の模様。
車に対する恐怖感を感じるその考えは正解。
安全に対する気構えもヒジョーに大正解。
教本を熟読してきて予備知識をたっぷりその脳ミソに叩き込んでくるその用意周到さは、
最近のワカモノにはない良い心がけで、そりゃーもう立派。
自分が今までの経験で蓄えてきた知識と技術をフル動員してハンドルに向かう姿勢も見上げたもの。
そして頭でわかっていてもカラダが動かないっつーのも痛いほどよくわかる。

でも。

でも。

でも。



目前に迫るカーブに、アクセルべったり踏み込むのはやめてクダサイ。

右カーブでハンドル左に切るのはやめてクダサイ。

時速20キロで走行中、前の車との車間距離30cmはやめてクダサイ。

ギアチェンジでチェンジレバーもぎ取ろうとするのはやめてクダサイ。

ついでにギアチェンジでヒトの右足何回も引っ叩くのもやめてクダサイ。



確かにカラダは動いてくれてないみたいデス。
オマケにガッチンガッチンに力が入っちゃってるもんだから、補助ハンドルもままならないですヨ。

発進はロケット発進かエンスト。
停止は急ブレーキかエンスト。
ギアチェンジは超シフトショックあんど時期悪し。
直線はまっすぐ進まないわ、カーブはまっすぐ進むわ、
概ね押印レヴェルには達しない模様。
まぁ、最初はこんな感じのヒト、多いけどネ。
別にダイジョーブダイジョーブ。
これからこれから。
たヴん。

なんとか後半はハンドル操作くらいは形になってきたが、
相変わらず、ペダル操作は申し訳ないがグチャグチャ。
で、聞いてみた。



「今日はどうでした?」


「えぇ。前回の教習で疑問に思っていたことがありまして、それをある程度消化することが
自分なりに出来たのが大変満足してますが、まだまだ頭と体がどこか違うところに・・・(長いので削除)・・・。
ところで、この車、調子悪くないですか?








ぎゃふん。







モノは言い様デスネ!

理屈も大事だけど、
カラダで覚えるのも大事だし、道具のせいにしちゃいけないヨ!




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