AT


大型二輪担当。
生徒がいません。
どこいっちゃったんでしょ。
普通二輪はたっぷりいます。
っつーことで、普通車を軒並み担当する羽目に。


二輪の担当をする日は、基本的に路上教習はなし。
なんでもあの格好で路上教習は好ましくないっつーお達しが試験課からあったらしい。
「所内大好き路上大嫌い」のわしとしては、有難い限りデス。


それにしても感じるのは、男性のAT限定が増えてきたっつーこと。
販売されている普通車の9割以上がAT車の現状で、当たり前と言えば当たり前なのだが、
それにしてもATの男性が多い。
「AT限定免許」っつーのが出来て久しいが、
初期の頃は、

「免許は欲しいけど、もう年齢的にねぇ・・。」

とか、

「絶対、MT車なんか乗らないモン!」

っつー感じで、しかも女性が圧倒的に多くて、
「AT蔑視、車はMTじゃなきゃ!」っつー風潮があったんだけどねぇ。
最近の男性の割り切りっつーか、無駄なことはしたくないっつーか、
そーいう合理主義みたいなものを感じずにはいられませぬ。


全然AT車でも構わないでしょ。
っつーか、MT車は一部のスポーツタイプの車か、商用車、貨物車に残ってるだけ。
AT車しか乗ってないっつーMT免許所有者のなんて多いことか。

でもネ、わし思うに、
AT限定のヒトにも、所内教習中にMT車に数時限は乗ってもらいたいのデスヨ。
そして「Automatic」の有難さを知ってもらいたいのデスヨ。

エンジンの動力をタイヤに伝達するっつーこと。
速度に応じてギアを変える仕組み、その必要性。
そんなもんをまったくもって知らないで、ただただスイッチのようにチェンジレバーを「P」から「D」に変え、
勝手にクリープ現象で動き出して、あとはアクセルとブレーキをベタベタ踏んだり離したり。
本来手動でやらなくちゃいけない操作が簡略化され、省略化され、
まるで家電製品を扱うかのよーな、そのお気軽さ。



それじゃー上手くならないってー。



クラッチペダルを上げ、クラッチ板がエンジンの動力を伝えよーとするその刹那を。
ステアリングを切り込んでいく時のタイヤの変形、そしてショルダー部の軋む悲鳴を。
アクセルペダルを踏み込むことにより高揚していく吸気・圧縮・膨張・排気のイメージを。
ギアチェンジで切り替わる歯車の噛み合わせを。
ブレーキペダルを踏み圧力の変化でパッドがブレーキディスクを挟むその動きを。
アンダーステアを。
オーバーステアを。
慣性モーメントを。遠心力を。
エンジンのトルクを。摩擦係数を。
鉄とアルミとガラスとプラスチックの塊が動くっつーその事実を。



すこーしその仕組みを考えると、
もっと上手くなると思うのになぁー。

すこーし違った見方で車を動かすと、
もっと面白いと思うのになぁー。



車に乗ってるヒトの大多数は、車を乗ることによりもたらされる恩恵の方ばかりで、
車っつーハードそのものに対する興味はそれほどないんだろーけどネ。
だからこそ、これだけMT車を駆逐し、AT車が普及してきたんだろーし、
実際、それでいいのかもしれないけど。




前頁
TOP