1/f


本日の二輪検定。
Mさん、普通二輪検定、今日が5回目のチャレンジデス。
過去の4回の検定中止項目は、クランクの脱輪か、スラロームのパイロン接触。
とにかくMさん、1段階項目12番が苦手デス。
で、次の検定を受ける前に、検定補習を受けなくてはいけないのですが、
その時はMさん、それほどミスをしないんですネ。
わしも何度か担当したが、検定を落ちるよーなミスは殆どNothing。
どーやら極度の「アガリ症」のよーデス。

普通車の所内教習を担当しているさなか、検定の様子をチラチラ見てました。
受験者が続々と完走してく姿を見てるMさん。
皆、受験前はストレッチやらなんらや、準備体操に余念がないのが普通なのですが、
Mさんは、ジーッと他の受験者の走りを見てるだけ。

(今回は落ち着いてるのかな?)

そー思いつつ、わしが担当してる生徒から目を離すわけにはいきませぬ。
ちょっと気を抜くと、ガードレールに突っ込んで行きそーで。


ふと、検定の様子を見ると、Mさんが走り始めた。
鬼門のクランクに差し掛かる。
お。
今回は縁石に乗り上げてないネ!
ひっくり返って空を見てもいないし!
なんとか彼女にとって最大の難関はクリア出来た模様。
淡々と課題をクリアしていくMさん。

あ。

スラロームの課題のトコで、止まっちゃってるヨ。

またもや、検定中止。
スラロームのパイロン接触デス。
5回目の挑戦も敗れてしまいました。
もう、これ以上ないくらい落胆した様子で、待合室に引き返すMさん。
気の毒には違いないが、仕方なし。
っつーか、街中でのミスは、二輪の場合、それこそ「死」に直結するわけだしネ。
練習の時は出来てるんだから、あとは自分との闘いデス。
「緊張」、「プレッシャー」っつー名前の敵と。




で、ふと思う。
もし、今ココでパイロンに接触してなければ、
もしかしたら検定に合格してたかもしれないわけデス。
数cmタイヤの走行位置が違っていれば、彼女は二輪の免許を手に入れることが出来たわけですヨ。
しかし、現実は検定中止。
まだ、免許を取ることは出来ませぬ。

何が言いたいかっつーと、

免許っつーモノは「ゆらぎ」的な要素を多分に含まれているモノ

だっつーこと。
「1/f」って奴デスネ。

完全なる合格と、今回のよーな完全なる不合格は置いといて、
その境界線である検定合格と検定不合格にはどの程度の差があるっつーのか。
あの場面でちょろっと上手くいってれば、検定に合格してたはず。
あの場面でちょろっとミスしていれば、検定に不合格になってたはず。
これってヒジョーに微妙なモノなんですよネ。
しかも検定っつー形で走るのはほんの数分。
たったそれだけの運転で、
そのヒトのジンセイさえ左右しかねない運転免許取得を認めてしまうことの危うさといったら。

「じゃーどーしたらいいのか」

っつー新しい提案がわしにあるわけではないけど、
時々、ふと疑問が沸いてくるっつーもんデス。

まー、わしもきっと、免許を取った頃はきっと怪しげな運転だったんだろーけど。


ゆらぎの境界線、もしかしたらたまたま合格したヒト達が、街を闊歩する道路交通。
それは今更仕方なし。
ただひとつだけ。
免許取得後は、良い方向にゆらいでいって欲しいものデス。




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