認める


普通二輪担当。
今日も様々な生徒様が。

2段階法規走行練習中の16歳の少年、
原付免許を持ってるものの、元々達者な走りをする少年ではなかったのですが、
今日はいつも以上になんだかヘン。
っつーか、なんだかもーグチャグチャ。
運転している本人も、なんだか辛そーにバイクに乗っているんですネ。
一通り走ってみて、尋ねてみたわけデス。


「どしたの? 調子悪い?」

「えー、ちょっと。」

「風邪でもひいてる?」

「・・・事故っちゃってぇ。」

「へ?」

「額を9針縫ったんデス。」


なんだか自信満々で、さも勲章だと言わんばかりに額を見せる。
ちょうど眉間のあたりが某プロレスラーの様にザックリと。


「あらま。車にぶつけられた?」

「いえ、自転車が飛び出してきてぇ。」

「交差点で?」

「カーブでぇ。」

「ふっとばしてたんだろー。」

「徐行してたんですけどぉ。」

「・・・ふーん。」






徐行してなかったから、9針も縫う大転倒をしたんだろーけどネ。





ボソボソと状況を説明してるこの少年、必死で自分には否がないコトを説明し続ける。
ただ、話を聞く限りはどーも、この少年の自爆に近い気が。



「ヘルメット、かぶってた?」

「か、かぶってましたよぉ。」

「ヘルメットかぶってたら、額に怪我なんかしないでしょー。」

「ぁ。」



彼らからしてみれば、ヘルメットを頭に乗っけてさえいればOKっつー認識デス。
次第に旗色が悪くなるこの少年の立場。
別にわしは警察官でも保険会社のニンゲンでもないから問い詰めても仕方ないんだけどね。
ただ、一向に自分の判断ミスや、操作ミスを認めよーとしないもんだから、
段々と口調はまるで事情聴取モードへ。


命あってのモノダネ。
一歩間違えれば、今この世にいないかもしれないっつーコトの重大さ。
自分の否を素直に認めて、次に生かすことの方が大事だっつーこと。
それに早く気付くといいんだけどネ。




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