格差


大型二輪担当。
1段階1時限目の教習、生徒さんは2人。
ひとりはつい先日、当校を卒業したばかりのKさん、(34歳・♂)
もうひとりはつい先日、近隣の教習所を卒業したばかりのSさん、
30代半ばの女性デス。
女性とはいえ、割と背丈もあり、倒したバイクの引き起こしも軽がるこなし、
足つきの悪い大型二輪にも関わらず、両足ペッタリと地面に着く。
背の低いKさんの方が、かえってしんどそうなくらい。
姿勢や操作手順も、2人とも卒業したばかりで日が浅いので、
ヘンな癖がついていないせいか、割と順調に進む。

しかし、問題発生。

Sさん、停まれないのデス。

勿論、ずーっと走り続けるわけではなく、
とりあえず車体を停止させることは出来るのですが、

・停まりたい場所に停まれない。
・エンストする。
・停止時にギアを1Gに落とせない(基本的に二輪は1G停止が原則デス)。
・フロントブレーキが強過ぎて、毎回急ブレーキになる。

毎回そんな感じなのデス。

最初は、車体の大きなナナハンに慣れてないせいかなーなんて思って見てたんですネ。
ただ、教習を進めていく過程でどーやらそれは違うよーな気が。



レヴェルが低過ぎる。



わし、よその教習所で勤めたことが無いので、はっきりと比べる事は出来ないのですが、
どーやら、「卒業させる基準」が教習所間によって、かなりの差がある気がするんですネ。
話を聞くと、Sさん、その他校で普通二輪教習の時、さほどオーバーしてないらしい。
しかし、仮に当校で教習を受けていたのであれば、きっと相当数オーバーしてしまうと思うのデス。

これは生徒さんにはなんの責任もないモノ。
卒業レヴェルなんてわからないわけだしネ。
でも、風の噂っつー形で、

「あそこの教習所は簡単に卒業できるらしい。」

「あそこはなかなかハンコをもらえないらしい。」

そんな感じで、きっとある程度の情報は流れているはず。
これだけ、情報過多な時代だけに。

――早く免許を取りたい

その気持ちはわかる。
痛いほどネ。
わしもそーだったわけだし。
でも、車と違って、カラダが剥き出しで、ひとつミスをすると生命に多大な影響を及ぼすバイク。
「早く」よりも「確実に」を選択して欲しいと思うのは指導員のエゴっつーものなんだろーか。
勿論、当校に通えばパーフェクトなんて、これっぽっちも思ってはいないけど。

なんだか落ち込んでいくSさんを見ていて、ちっと気の毒に感じたのでした。




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