謙虚


今日の担当は普通車デス。
生徒様の層が、学生層から主婦層にシフトしつつあるのが、
季節の変わり目を実感させるっつーもんデス。
待合室で情報交換している主婦層も年代はバラバラで、
下は若奥様から、上は間もなく還暦を迎えるくらいの方まで。
嫁と姑が話をしている姿に見えるのは、笑えると言っちゃー笑えます。
中には異国の方もチラホラ混ざって、国際社会の縮図っつー感じもそこはかとなく。

午前中に危険予測教習を受け持つ。
生徒様は男性が3名。ヒジョーに車内が男臭いデス。
外から見たら、教習車じゃなかったら多分嫌がられる車内状況デス。
数年前からこーいう複数教習っつーのが、カリキュラムに設けられたのですが、
どーも男性3名っつーのは、やりにくいですネ。
女性は比較的、すぐに親しくなれる方が多いのですが(表面的かもしれないけど)、
男の子は、人見知りが激しいっつーか、なんつーか、

「オレの回りはみんな敵だゼ!」

っつー感じで、打ち解けてこないんですネ。
空気を和ませようと、ちっとした冗句を言っても、

「・・・シーン・・・」

っつー感じ。
ディスカッション、成立しないデス。
しかし、今日の生徒はそれでも真面目な感じで順調にコトが進みましたヨ。
ひとまず助かったネ!っつー感じ。


その3人の生徒様の中に、杖をついて歩いている男の子が。
わし、その生徒様を初めて担当したのですが、左足が義足の様子。
詳しくは聞かなかったけど。
AT限定免許の為、運転には支障をきたさないのですが、
運転を乗り換えたりする時に、ヒジョーに時間がかかる。
本人はえらく謙虚な人間で、

「そこまで恐縮しなくていいですヨ。」

っつー感じデス。
きっと普段から、自分の足にある種のコンプレックスみたいなものを持ってるんでしょーか。
どーしても、『迷惑をかけちゃいけない』って思っているらしく、
いつも謙虚に謙虚に・・って感じが見てとれるんですネ。
別にわし、彼を優遇したりはこれっぽっちもしなかったけど。
する必要もないっつーもんデス。


───人間、なんかしらのハンディキャップがある方が、人間らしい生き方が出来る───


っつー話を聞いたことがありマス。
彼の話し方や、一挙手一投足を見ていると、
きっと彼も、ヒトとしていい生き方をしてるんだろーなぁって感じたんですネ。
そして、

「彼の爪の垢を飲んでもらいましょーか。」

っつー感じの人間がゴロゴロいるのも事実なのデス。
悲しいけどネ。
わしも含めて。




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