昭和6年


第二次世界大戦、大東亜戦争が終わったのは昭和20年。
それを14歳の時に経験したSさん。
本日1時限目の生徒さんデス。
もし、この仕事をしていなければ、きっと会話すらする事はないはず。
きっとわしの人生と、Sさんの人生に接点はないはずだし、
お互い興味を持つこともないだろーから。
そんな70歳を目の前にした人が、免許を取りに来る理由に興味を持たないはずがない。
しかし理由は聞けません。なんか嫌味になってしまいそうで。

黙々と運転するSさん。
体は緊張でこわばり、Sさんの緊張が車に伝わったかのように蛇行を繰り返す。
どんなアドバイスをすればいいのだろーか。
どんな解説をすればいいのだろーか。

結局、1時限終わる前に見つけることは出来ませんでした。
疲労困憊で車を降りていくSさんに、「お疲れ様でした」というのが精一杯。
まだまだ路上に出るまでには、時間がかかりそうな気配デス。
Sさんがスイスイと気持ち良く車を動かせる方法を、
このわしに見つけることが出来るのだろーか?
なんだか自分自身の教習能力の限界を感じた1時限でした。




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