◎タイの炒飯

 昔、外国人などあまり来ないタイの田舎の食堂で炒飯(チャーハン)
を注文したときのこと。
 炒飯(タイ語で、カーオパット)は、タイではどこでも食べられる
ごくありふれた料理と聞いていたので、バンコクから汽車で田舎に着
いたばかりの私は、とりあえずこれを注文してみたのだ。

 「カオパッ」と言って席に座ったが、店の人はきょとんとしてこち
らを見ているだけだ。「カオパッ」と再び言って、手でライスを食べ
る仕草をしてみる。それでもまだ通じない。おかしいなと思って、と
うとう「カーオパッ!」とどなってみた。するとやっと通じたらしく、
店の人は笑いながら「カーオ
パッ、カーオパッ」と私のイントネーシ
ョンを直してくれた。

 私はアクセントが単語の手前にくることが多い日本式のイントネー
ションで、つい「
カオパッ」とやっていたわけだ。ところが正しくは
「カーオ
パッ」と後ろ上がりのイントネーションになるのである。
 とくにタイ語は、この後ろ上がりの言いまわしが独特で、聞いてい
て耳にやさしい。

 *寺小屋だより(1992春の号)

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