暗黒!サモンナイト辞典

 

この辞典では、作品で判明している事項を解説してござる。当然一話更新ごとに内容を刷新していくので、ご期待下され。(作品内で判明していない部分も、一部掲載している場合がござる)

無論公式の設定とは多々異なっているので、そこはご了承下され。

 

【人名】→意識を持つ生物の名前を示してござる。

【種族名】→人間以外の、生物種族を示してござる。動植物、その他一切を含んでござるぞ。

【民族】→リィンバウムの人類限定の、民族を示してござる。

【地名】→土地の名前でござる。

【世界】→世界の名前でござる。

【職業】→職業でござる。

【召喚術】→召喚術に関係した事柄でござるぞ。

【召喚獣】→全般的な、召喚獣に関わる事でござる。

【送還術】→送還術に関係した事柄でござるぞ。

【一般名詞】→その他の事でござる。事件や組織、生物以外の存在などでござるな。

 

あ行

 

アーマーチャンプ

【人名】

防御を得意とするロレイラルの召喚獣。召喚主の体をシールドで包み、剣や矢から護るが、運動エネルギーまでは殺しきれない。本来はロレイラルの軍事要塞に設置されたバリアユニットだったのだが、現在は簡単な自我を持っている。

 

蒼の派閥

【一般名詞】

あおのはばつ。リィンバウムに存在する中でも、最大の組織の一つ。召喚師達の組合に近い存在であり、表向きは学術研究と知識の探求を目的としているが、その実は各国に軍事技術としての召喚術を売る世界最大の死の商人である。カンゼスが派閥長を、オルドレイクのかっての親友である、エクスが副派閥長を務めている。

初期の蒼の派閥は、単純に学術研究と知識の探求を目的とする組織であったが、それではパトロンからの援助を引き出す事が出来なかった。そこで苦肉の策として、彼らが目を付けたのが軍事技術としての召喚術である。それにより派閥は各国から最大レベルでの援助を引き出す事に成功した。軍事技術の研究は、派閥だけでなく召喚師個人にとっても発言力の拡大、及びポケットマネーの効率よい収入源となるため、今では派閥の実情を知りながら殆どの召喚師が喜んで軍事研究を行っている。

現在では、各国の軍事バランスを調整したり、紛争に介入したりと言った事も積極的に行っている。各国の紛争のうち三割は蒼の派閥が発生に関与したと言われ、残りの殆どにも関わっている。

無色の派閥の攻撃対象となり、度重なる攻撃に対して報復のため私兵を派遣。完膚無きまでに敗北する。特務部隊である蒼の刃を使った、二次攻撃も失敗。事態を重く見た蒼の派閥首脳部は、総力戦の実行を決定する。

 

蒼の刃

【一般名詞】

あおのやいば。蒼の派閥が有する特務部隊で、戦争を煽ったり、蒼の派閥に都合が悪い人間を消したりと言った、裏の仕事の中でも実行部分を担当している。軍事行動は行わないが、小さな組織を殲滅することはある。諜報機関としては世界屈指の実力を持ち、三百五十名ほどの人員を有する。実力は相当なもので、各国から恐れられている。

無色の派閥を攻撃すべく、二次討伐隊に参加するが、かっての司令官が敵に回ったため、手の内を読まれて完膚無きまでに敗北する。

現在は各地で無色の派閥の動向を探っており、サイジェントでの策動を探知する事に成功した。その後は同地で熾烈な争いを繰り返している。フラットとアキュートに協力、共同戦線を張る。

 

アカシックレコード

【一般名詞】

世界の全ての記憶が集積された場所。次元の狭間にあり、普通の人間が触れる事が出来る存在ではない。

 

あかなべ

【一般名詞】

サイジェントに存在する薬屋。シオンが経営する。漢方中心で、アカネという店員が働いている。

 

アカネ

【人名】

あかなべで働く元気な女の子。ラッパのようにけたたましく、機動力が高い。彼女がいるとあかなべが一気に賑やかになる。ただ、他人の心には少々疎い処があり、自己中心的な言動が目立つ。また口が軽く、油断すると重要なことをついうっかり喋ってしまうことがある。

実の所、正体はシルターンから召喚された忍びである。師であるシオンの命で、メスクルの眠りの特効薬を作るべく、フラットと協力。戦いを通じて意気投合し、以降は友人としてのつきあいが始まる。

戦いを通じて、ガゼルに心引かれていく。その思いの行方は。

 

アキュート

【一般名詞】

サイジェントに存在する極右武闘派革命集団。サイジェントの現状を憂い、召喚師を排除して農業都市へ戻す事で、民を救おうと考えている者達である。首領をラムダが、幹部をペルゴ、セシル、スタウトが務めている。このほかに末端構成員は五十人ほどで、ラムダを慕ってついてきた者も多く、現役の兵士や騎士も数人含まれている。

実働戦闘員を豊富に持ち、なおかつ過激思想の所有者である事から、サイジェントで最も危険な組織の一つ。戦闘能力もかなり高い水準にある。また、軍師リシュールの加入によって、その作戦行動は更に的確さを増し、都市国家サイジェントにとっての大いなる脅威となった。

血の坑道事件を裏から煽り、暴動を成功させた陰の立て役者。更に彼らは、サイジェントの現体制転覆を謀り、本格的な活動を開始した。その過程でイムラン=マーンの暗殺を企み、フラットの妨害で失敗した。

だが首領であるラムダとレイドの戦い、そして樋口綾の説得により、両者の和解は成立。以降は新しい街のため、協力して動く事を約束する。

 

悪魔

【種族名】

あくま。サプレスに住む精神生命体。リィンバウムで活動するときは、肉体を得て行動する。天使同様人間と性質が大差ないため、善良な者も悪辣な者もいる。鬼や天使同様、非常に召喚される事が多く、豊富に研究が行われている。

ロレイラルから派生した人類が、サプレスに適応した存在でもある。

 

悪魔王メルギトス

【人名】

あくまおうめるぎとす。かってリィンバウムを舞台とした世界間紛争が起こった際、リィンバウムで最も残虐に暴れ回った最強硬派の悪魔。エルゴによって駆逐され、力の大半を失った。現在の消息は不明。

 

朱のガレフ

【人名】

あけのがれふ。サイジェントの南部に広がる森林地帯に君臨した偉大なる狼王。全身赤い毛皮で覆われており、顔には大きな向かい傷がある。人間の狩人と敬意を払いあって共存していたが、自らの縄張りに侵入したトードスを攻撃して返り討ちに会い、精神に異常をきたす。そして無差別殺戮を繰り返す狂気の怪物に堕ち、スウォンに仕留められて命を落とした。

 

アスルテア地方

【地名】

あするてあちほう。聖王国の一地域。蒼の派閥の支部があったが、十七年前にオルドレイクによって壊滅させられている。此処に魅魔の宝玉が保管されていた事は、蒼の派閥のトップシークレットだった。

 

アプト兎

【種族名】

あぷとうさぎ。リィンバウム全般に生息する兎。茶色の毛皮と、垂れた大きな耳が特徴で、数メートルに達する巣穴を掘る。食用として庶民の食卓に良く上るポピュラーな生き物。繁殖力が強く、家畜として飼われることも多い。

 

蟻の牙

【一般名詞】

ありのきば。サイジェントで活動を続けた(義賊)。不平等な体制に対する不満から、貴族の屋敷から金品を盗み、下町に配り続けた。だが、本気になって対処に乗り出した軍の前に破れ、首領ローカスを除いて全滅した。

 

アルサック

【種族名】

リィンバウムに存在する植物。桜によく似た特性を持つが、桜より花びらが一枚多く、薫りは若干甘い。日本と同じく、良く花見に利用される。

 

【人名】

あや。→樋口綾。

 

アルク川

【地名】

リィンバウムの中央部を流れる川。サイジェントの側も流れているが、無秩序に下水を流し込まれているため、下流の水は非常に汚れている。

樋口綾の日課である、釣りを行う場所。釣りがかなり達者な彼女は、いつも充分な釣果を上げて帰宅する。また、【釣り投石特訓】の実行場所ともなった。

サイジェントの側には細い支流が複数流れており、橋で陸地がつながっている。細い大地の上には、アルサックが自生している場所があり、花見に適している。

 

アルナ族

【民族】

悲劇の少数民族。元々山間部に住む、牧畜を生活手段とする少数民族だったが、彼らの肉が至上の珍味であるという噂が流れてからは、一部の社会的地位を持つ好事家に愛好され、各地で(乱獲)、(養殖)されてきた歴史を持つ。今では極少数が、出身を偽って山奥で細々と暮らしている状態である。現在も彼らの肉には天文学的な値が付くため、アルナ族である事が知られたら一週間と生き残る事は出来ない。多くが生き残るため、或いは恩人であるオルドレイクやラーマのため、【無色の派閥】に協力している。

 

アルバ

【人名】

フラットで養われている子供の一人。茶色い髪を持つ腕白坊主で、生傷が絶えない。海賊ごっこが好きだが、将来は騎士になる事を夢見ている。騎士が少年の目から格好良く見えるのも勿論なのだが、騎士の収入で敬愛するリプレに楽をさせてあげたいというのが本音である。

 

イムラン=マーン

【人名】

サイジェントを牛耳るマーン家三兄弟の長男。街の政務を取り仕切る。老けた容姿の持ち主で、若白髪を気にしている。声は高くヒステリック。悪党と言うよりも、小役人と言った性質の持ち主である。サプレス系の召喚師で、実力はそれなり。

アキュートの暗殺対象となり、もう少しで殺されそうになるが、フラットに助けられる。その際綾に頬を殴打され、為政者としての責任を果たすよう叱責される。それによって変わり始め、サイジェントの再生と変革に着手し始める。

 

イリアス

【人名】

サイジェントの騎士団長。まだ若いが、騎士道精神に溢れた、なおかつ理性的な男である。故に部下や市民からの信頼は篤い。レイドやラムダにとっては後輩に当たる。騎士は領主と同時に、市民にも仕えるものだという信念を持ち、それを貫く誇り高き男。

相次ぐ暴動に、市民と領主の間に挟まれ苦悩する。彼に出来ることは、自らの権限で捕らえた市民達の命を守ることであり、それを実行し続ける。高速剣技の使い手であり、実力はレイドに匹敵する。

綾にとっては、サイジェントに初めて訪れた際に、街の中に入れてくれた恩人である。また、スピネル高原におけるフラットとの交戦では、自ら節を曲げる度量も見せた。総合的に見て、騎士団長としての手腕は、ラムダにも劣らない。

無色の派閥幹部、トクランとの戦いで、自らの力不足を痛感。エルゴの試練に向かう綾に同伴する事で、自らを一から鍛え抜き、強くなろうとする。

 

ウィゼル

【人名】

樋口綾が南スラムでであった老人。重い肺病を患っており、常に薬を携帯している。武器の声を聞くという特殊能力を持つ。壊れてしまった刀から、樋口綾の人間性を感じ取り、彼女にサモナイトソードを託す。

 

ウィンディちゃん

【人名】

キムラン=マーンが大事にしている鉢植えの名前。エルカによって割られるが、すぐに処置を行ったため大事には至らなかった。

 

ウォーブレイ

【人名】

バノッサが呼び出した大悪魔。全身を装甲で覆ったサーベルタイガーと言った容姿の持ち主で、食肉目特有のしなやかな動き、強大な筋肉によるパワーに加え、空中を足場にする力、光弾をはき出して遠距離攻撃を行う力まで持つ。凄まじい破壊力でフラット・アキュート連合軍を危地に陥れるが、一瞬の隙をつかれ、ラムダに敗退した。

 

ヴォルケイトス

【人名】

綾が召喚したメイトルパ系召喚獣。雷帝竜と呼ばれる、獣王クラス召喚獣の一体。ピスタチオの殻のような頭部と、草食恐竜のような胴体を持つ。頭部は開閉可能で、開くと中には無数の目と巨大な舌がある。強力なピンポイント攻撃を得意とし、少しずつ綾に応えて実力を発揮し始めた。

 

エスガルド

【人名】

ロレイラルのサイボーグ。世界間戦争時にリィンバウムに投入され、手違いで部隊ごと故郷に帰れなくなった人物である。右手にはドリルを装着し、全身は紅く塗装されている。戦闘能力は非常に高く、移動基地からのバックアップを受けて、一時的に力を高める事が可能。

遺跡化していた移動基地を調べに来た、パゼン=ノイラームと親友になるが、パゼンは事故で他界。以降は彼に変わり、パゼンの息子であるエルジンを保護、育て上げる。力を求め、強敵との戦いを欲する典型的な武人であるが、不器用な優しさも持つ男でもあり、エルジンは非常に良く懐いている。

エルゴの試練を通じて、フラットに合流。

 

エクス

【人名】

蒼の派閥副派閥長。少年の姿をしているが、実は長き時を生きている存在である。有能だが、非情にはなりきれない。長年かけて金の派閥との抗争を終結させ、その評価は高い。蒼の派閥の体質自体も変えようとしているが、此方は未だに成果を上げていない。

かってはオルドレイクと親友であったが、現在は袂を分かっている。だがその実力を認めているのは現在も同じである。

 

エドス

【人名】

ガゼルの親友で幼なじみ。体の頑丈さとパワーには目を見張るものがある。気の良い巨漢であり、【フラット】の一員でもある。石工の技能を持っており、レイドと共にフラットの貴重な収入源の担い手である。

フラットに入る前は、石工の修行をしていた。だが師匠だった人物は酔っぱらいに刺されて死んでしまい、弟子達は彼も含めて散り散りバラバラになった。その後フラットに加入した。現在は新たなる生き甲斐と仲間を得て、人生に充実を覚えている。

北スラムの出身で、バノッサの幼なじみ。バノッサの過去の事情に詳しく、故に同情的な言動をすることがある。勇気があり、頑丈な体を生かして不利な戦いの中突破口を開く事がある。

 

エルカ

【人名】

メイトルパのはぐれ召喚獣で、【メトラル】族の族長第一姫。傍若無人で傲慢な言動が目立ち、典型的な子供だが、キムラン=マーンの怒りから身を挺して助けてくれた樋口綾には懐いている。身軽で、それを生かしての空中戦を得意とする。

 

エルゴ

【一般名詞】

世界の意志たる存在。実は人工的に作り出された存在である。

リィンバウムを発火点とした、リィンバウム、サプレス、シルターン、ロレイラルの四つを巻き込んだ大戦争の際に、ロレイラルの提案で作り出された人工神。世界を客観的に観察し、そのバランスを取る事を目的として存在していて、ロレイラルの科学技術、サプレスの魔法技術、シルターンの戦争知識、メイトルパの生命力を結集して作り出された。各世界の調和を保つために、各世界の長と精神レベルで融合しているが、独自の意志を持ち支配はされない。

 

エルゴの王

【人名】

えるごのおう。リィンバウムに伝わる伝説の召喚師。送還術や召喚術を編み出したとされ、異界からの侵略者達を退けたとされている。

実際には、各世界のバランスを取るため、エルゴがリィンバウムの代表者として選出した人間である。彼の提案により、リィンバウムには(召喚術)が根付く事になった。現在は時間凍結氷壁の中に自らを封印し、眠りについている。

 

エルゴの守護者

【一般名詞】

えるごのしゅごしゃ。守護者と言われているが、正確には、エルゴの力の代行者を選出するため、エルゴが選んだ試験官といった存在である。実力は皆超一流で、彼らに勝てないようでは誓約者にはなれない。

 

エルジン=ノイラーム

【人名】

パゼン=ノイラームの息子で、エスガルドの被保護者。年相応の幼い容姿と性格の持ち主で、召喚師としての実力は未知数。大事なものを独占したがる傾向があり、武人としてのエスガルドの気持ちになかなか理解を示さない。

 

【種族名】

おに。シルターンに住む凶暴なヒューマノイド(人型の怪物)。様々な種類がいるが、共通しているのは人間を超える力の持ち主であるという事である。鬼族の更に上位には【鬼神】がいる。召喚獣として良く使役される。

 

お婆さんおんぶ

【一般名詞】

おばあさんおんぶ。手を後ろに回して輪を作り、そこに座らせる方式のおんぶ。良く足腰が弱いお婆さんをこうやって搬送することから名が付いた。

 

オプテュス

【一般名詞】

サイジェントの街に存在する無法者集団。北東部スラム地域を根拠地としており、首領はバノッサ。実働戦闘要員はさほど多くない上に、マフィアと言うほどの組織化は行われていない。また、麻薬の密売や要人の誘拐、官僚との癒着といった大規模な犯罪行動とも縁がなく、ごろつきの集団の域を出ない。一般人から最も恐れられている組織の一つであるが、それは行動が表面に出ているからである。彼らより危険な組織は、サイジェントに複数存在している。

フラットとの総力戦に敗退。現在、精神的な敗北感に包まれ、戦闘力を喪失。暴動にも不参加。だが、無色の派閥の接触により、水面下で行動を再開する。しかしバノッサの精神的変調の結果、内部分裂の様相を呈し始める。そしてバノッサの暴走に乗じ、ついに彼と袂を分かつ。しかしバノッサの怒りを買い、【北スラムの血晩餐】のメインディッシュとされて、文字通り皆殺しにされる。

 

オルドレイク=セルボルト

【人名】

太陽の如き優しい慈愛の瞳と、氷河の如き冷徹な瞳をあわせ持つ男。【無色の派閥】総帥。心が優しいのは事実で、普通にしているだけで動物が寄ってくる。また、人類が汚染して破滅させた森の復興に心を砕き、部分的に成功させた。(同志)と呼ばれる仲間達や、動物達を見るめは慈愛に満ちているが、その一方で自身の子供や、人間を見る目は同一人物とは思えないほどの凄まじい侮蔑と憎しみに満ちている。

彼はかって、蒼の派閥の召喚師であった。善良で心強い存在であったが、故郷における戦争難民の大量虐殺事件に直面した時から、歯車が狂い始めた。彼は人間を客観的に見るようになり、膨大な知識を吸収し、やがてその存在、正確には社会的存在の人間を否定するようになった。塔の力に目覚めた頃には、その信念は確固たる物となっており、いわば人類の敵としての存在は揺るぎなくなっていた。ラーマや、トクラン、それにトードスなど、人間社会そのものに虐げられた者を救出する行動、また強者が弱者を虐げるのを徹底的に嫌い、オプテュスのメンバーに襲われた樋口綾を救出した行動などは、(より弱き者を社会的存在である人類から護りたい)という信念に基づいている。心を読む力を持つが、同志に対しては使用しない。最終的に考えている事は不明瞭だが、社会そのものを破壊しつくし、世界レベルでの変革を考えているのは間違いない。

十五年前に、護衛獣と死に別れている。それ以降、護衛獣を持ったことはない。

蒼の派閥に所属していたおり、現副派閥長エクスとは親友だった。現在は、世界でも最も距離がある二人であるが、かってみた夢は、(より弱きを護る)という点で同じだった。両者の間に溝を産んだのは人間社会の業そのものであり、今ではその溝は修復不可能である。

獣王クラス召喚獣、プラミュデセスを行使する。他にもロックスワロウのユローや、豊富な召喚術を使いこなす。更に樋口綾と同じ(塔の力)の持ち主であり、純粋な戦闘能力は全世界でも最強クラスに位置する。また、形状は異なるものの、樋口綾と同じくサモナイトソードを所持している。

戦いを通じて、生物を超越。同じく超越者となった樋口綾と死闘を演じる。

 

お嫁さんだっこ

【一般名詞】

およめさんだっこ。首の後ろと膝の下に手を入れる抱き方。一般に、乙女の夢と呼称される。

 

か行

 

ガイエン

【人名】

シルターンの鬼神将。人間を見下しており、短気で頭に血が昇りやすいが、実力は非常に高い。

 

カイナ

【人名】

シルターンの鬼道の巫女。召喚師としての実力は超一流だが、兎に角鈍重で、他には本当に何も出来ない娘であるが、強くなりたいと願っている。気が弱く、声は非常に小さい。故郷では酷い虐めに遭っていたため、リィンバウムに来た事を苦にしておらず、また孤独にも強い。エルゴの試練を通じて、フラットに合流する。

 

開明獣

【人名】

かいめいじゅう。獣王クラス召喚獣の一体で、シルターンの神々が住む(仙界)の門番。無色の派閥幹部、クジマが行使する。

全身はトラのような姿で、顔は十個。強烈な破壊音波を発して、前面にいる敵を文字通り粉々に粉砕する。

 

海竜帝エイヴィス

【人名】

かいりゅうていえいう゛ぃす。メイトルパの獣王クラス召喚獣。深海に住むウナギのような姿をした竜で、帝竜族の中では若干理知的で大人しい。戦闘能力は、獣王クラス召喚獣の中では並。蒼の派閥副派閥長エクスが行使する。

 

ガウム

【人名】

モナティと常に一緒にいる召喚獣。自在に形態変化を行うことが出来、空気を吸い込んで大きさもある程度変化させる。ただし、一度形態変化をすると、もう一度形態変化するまである程度のチャージ時間が必要。また、硬度もある程度変化出来るが、鉄以上には硬くなれない。モナティとは一蓮托生の親友同士である。

 

カザミネ

【人名】

シルターンのはぐれ召喚獣。剣の道を究める事を願い、剣竜の峰にて修行する。実力は超一流であるが、落ち込みやすく惚れっぽいのが難点。修行が三度の食事よりも好きで、結果膨大な実力を手に入れた。女の子らしい女の子が好みで、カイナに恋慕している。

エルゴの試練を通じて、フラットに合流。

 

カシス=セルボルト

【人名】

オルドレイクの娘。サプレス系の召喚術を使いこなし、暗殺術にも長ける。人間の世を知る妹クラレットを誰よりも大事に思っていたが、その妹を知らずに食べてしまった。暗殺兵器として創られた彼女は、それによって自我に目覚め、感情を持ち始めた。

儀式の生け贄として彼女は使われたが、クラレットの死で感情を、ガルガンチュアの死で生への執着を持ち始めていたため、儀式は失敗。逃亡した後、サイジェントに潜伏。現在は街の中で人間を観察し、クラレットが好きだと言っていた(明るい子)になろうと人格のコピー作業を実行。また、儀式失敗の最、リィンバウムに召喚されてきた綾を危険分子と見なし、監視していた。

オプテュスとの交戦で危地に陥ったフラットを援護、救出した事から、フラットのアジトに住み込む事となる。目的は近くで綾を監視する事、(明るい子)になれたか周囲の人間の反応で確認する事である。だが、人間とそもそもまともに接した事がない彼女は、早くも軋轢を産み、摩擦を生じさせてしまった。だが、リプレの手により徐々に皆と交流を開始、子供達も彼女に心を開き始める。また、感情も徐々に育ち始めた。

しばらくは浮沈を繰り返していたが、サイジェント東部で綾と会話したことにより、(自分を信じてくれる人)の存在を知り、綾に心を開く。そしてフラットの者達にも受け入れられ、第二の人生を歩み始めた。

おどけた言動が目立つが、素は非常に冷静なリアリストである。また人の死にタブーを持たず、非常に現実的で冷酷な策をさらりと口にする。樋口綾を心の底から信頼しており、その騎士となることを自身に誓った。

似たもの同士のアカネと意気投合、親友になる。

 

ガゼル

【人名】

スラムに住む少年。生活苦から、悪いと分かっていながら時々スリや恐喝を行っている。かなり喧嘩慣れしていて、小柄な体格ながらその戦闘力は高い。身は軽く、投げナイフの腕前も相当な物である。【フラット】のサブリーダー。召還師を嫌悪し、目の敵にしているが、召喚師が原因で社会矛盾が爆発寸前まで高まっているサイジェントの情況では、それは皆が持つ普遍的な感情である。

樋口綾を警戒していたが、気弱ながらも勇気を振り絞って皆のために戦った彼女を見て、徐々に心を許し始める。現在は綾の最も身近な隣人であり、理解者である。まるで男友達のように彼女に接するが、まともな友人が殆どいなかった彼女にとってそれは嬉しい対応であろう。最近は時々いたずらに連れ出したりもして、二人でリプレに怒られるほほえましい一幕もある。

樋口綾が軍師とすれば、彼は将軍である。任されたことを的確に実行してのける手腕は他の追随を許さない。また、バノッサを憎んではいるが、憎しみを生みだした社会的情況については同情している。

敬愛する院長リシュールがアキュートにつき、(残酷)で合理的な策を実行するのを見て大きなショックを受ける。だが、リプレと綾の助力によって、事態を前向きに考え、立ち直る。今後の彼の目的は、リシュールを再びフラットに迎えることである。

ラムダとレイドの死闘、更に綾の説得、バノッサの強襲を経て、フラットとアキュートは同盟を締結。結果、リシュールと(和解)することに成功した。

フラットでも、もっとも成長著しい男である。武力も、精神力も、著しく戦いを通じて向上した。

 

カノン

【人名】

オプテュスの一員で、バノッサの義弟。優しげな女の子のような容姿の持ち主で、性格は穏やかで実に礼儀正しい。乱暴な事、卑怯な事は嫌いであるが、実戦戦闘能力は非常に高い。本気を出したら、バノッサでさえかなわないほどである。身の丈以上もある剛剣の使い手。

シルターンの鬼神とのハーフであり、短時間なら理性と引き替えにその力を引き出すことも可能。それが原因で親に捨てられ、バノッサに拾われる。オプテュスで彼は(欲しいものは奪え)というバノッサ式信念を仕込まれるが、自己の信念を失わなかった強き心の持ち主である。心の底からバノッサを信頼しており、またバノッサもカノンを信頼している。

オルドレイクに、バノッサの完全なる絶望を引き出すため、斬られる。

 

カムラン=マーン

【人名】

サイジェントを支配するマーン家三兄弟の末の弟。(華麗な)が口癖で、いつもどこか勘違いした王侯貴族風の格好をしている。

典型的な貴族的性格の持ち主で、責任感は皆無であり、なおかつ他人の痛みにも非常に鈍感。また、自らの美的感覚で他者の全てを決定し、なおかつ庶民を徹底的に見下している。危機にそもそもあったことが無く、その感覚は鈍重を極める。トードスを召喚し、ゴミ同然に捨てたのもこの男である。

モナティを自らのペットにしようとし、樋口綾に手痛い仕置きを受ける。それによって変わりはじめ、私財を使っての貧民救済事業に着手し始める。

 

ガフォンツェア

【人名】

樋口綾のロレイラル系召喚獣。鋼のかぶと虫といった姿をしている、獣王クラス召喚獣。全身にミサイルポッドを装備しており、そこから発射される小型ミサイルが武器。広範囲殲滅戦に向いている。それ以上の詳細は不明。

 

ガルガンチュア

【人名】

カシスの護衛獣である、サプレスの天使。刃物で出来たタガメのような姿をしており、口は腹部にある。全身は淡く発光していて、その姿は機械的な美しさを持つ。比類ない忠誠度を持っていたが、カシスを庇って命を落とした。

 

ガルトアラーズ

【人名】

トクランの護衛獣。体長十一メートルに達する巨大な赤竜で、優れた戦闘力を持つのは勿論、一族内では例外的に理知的な頭脳を持つ。同時に主君の事を実の子供のように案じていて、暴走しがちなその行動と、それをもたらす社会への怒りに心を痛めている。トクランも心の底から案じてくれているガルトアラーズの事を信頼していて、その言葉なら大体聞き入れる。

 

カンゼス=プルート

【人名】

蒼の派閥派閥長。痩せぎすの顔に長い顎髭を蓄えており、部下からは(山羊派閥長)と陰口を叩かれている。だが、それは歴代の派閥長に比べ、ましなあだ名である。頭脳自体は鋭くさえ渡っており、決して無能なわけではない。

伝説の召喚師、【エルゴの王】の腹心を起源に持つと主張する、召喚師の中でも最も高名な一族の当主でもある。

機竜ゼルゼノンを召喚し、オルドレイクに戦いを挑むが、敗北し死亡。

 

キール=セルボルト

【人名】

カシスと同じ年の(兄弟)。相当な実力者だったが、迷霧の森で行われた(儀式)によって死亡した。

 

鬼神

【種族名】

シルターンに住む鬼族の上位種。高い知能と優れた力を持つ、非常に強力な種族であり、またリィンバウムの人間と非常に近い種族でもある。両者は混血が可能な事が証明されている。実力のわりに術がリーズナブルなため、上級召喚師に良く使役される。上位の者になると、実力は大悪魔や大天使、ドラゴンなどにも匹敵する。

普段は人間に近い容姿をしているが、戦闘形態と呼ばれる姿をとる事も出来る。短時間、理性と引き替えに、巨大な体と強大な強さを得る物で、クジマやカノンの能力はこれの発現である。

カノン、クジマの父ははぐれ召喚獣となった鬼神である。現在の生死は不明。

ロレイラルにて発生した人類が、シルターンに適応した姿でもある。一方でシルターンには、元のままの人類も多く存在している。

 

鬼神将

【種族名】

きじんしょう。鬼神達の上位にいる存在で、大きさ、実力、いずれも鬼神を凌ぐ。鬼神将のトップにいる者達は、文字通り世界を揺るがす実力を誇る。

 

北スラム

【地名】

きたすらむ。サイジェントの北東部にあるスラム地区。バノッサのオプテュスが支配しており、治安は非常に悪い。文字通りの無法地帯で、昼間であっても踏み込むには覚悟が必要である。【北スラムの血晩餐】の舞台となり、多数の被害者を出した。

 

北スラムの血晩餐

【一般名詞】

サイジェントの北スラムで起こった虐殺事件。バノッサが率いる悪魔が、オプテュスを離脱した者達を中心に住民を虐殺した事件である。死者は五十名以上に達し、北スラムの多くを破壊した。

 

ギブソン=ジラール

【人名】

蒼の派閥の召喚師。エクスに抜擢された寒門出身の召喚師で、将来の幹部候補と言われている。デスクワーク専門で、体力が致命的にない。エクスの命で、サイジェントへ派遣され、同地の調査を開始する。

戦いを通じて、フラット・アキュート連合軍と合流。以後は共に戦い、それを通じて人間的に成長していく。

 

キムラン=マーン

【人名】

サイジェントを支配するマーン家三兄弟の次男。体格に恵まれ、接近戦を得意としている。近衛兵団の長をしているが、司令官としての力量は凡庸。腕っ節は強いが、致命的なまでに策に弱い。粗暴であるが、他の兄弟に比べて、潜在的に悪の要素は少ない。

召喚師であるが、召喚術をメインに戦うのではなく、補助に使って戦う珍しい存在。攻撃用の召喚術ではなく、防御用のアーマーチャンプを愛用するのも、自らの肉体に自信があるからである。また、ガーデニングが趣味である。

樋口綾との交戦に敗退、以降は彼女が有能であると認め、少しずつ視野を広げていく。

 

旧王国

【一般名詞】

きゅうおうこく。リィンバウムにある三大国家のうち、最も古い国。聖王国はここから独立する事で、現在の形を整えた。聖王国に押されてはいるが、未だに健在である。

 

機竜ゼルゼノン

【人名】

きりゅうぜるぜのん。ロレイラルの獣王クラス召喚獣。無数の強大な兵器を装備しているほか、リィンバウム上空に浮かぶ攻撃衛星にリンクし、サテライトキャノンを放つ事も出来る。メイトルパの帝竜族をベースにロレイラルが作り上げた戦闘兵器で、気性は極めて荒い。蒼の派閥派閥長カンゼスが行使する。

 

キルカ織

【一般名詞】

日本で言う絹のような、きめ細かく美しい糸で造られた織物。サイジェントの特産品であり、重要な収入源である。

サイジェントにおいて、キルカ織の生産工場は強制収容所と同義語である。労働者は主に莫大な税金を納める事が出来なかった者達で、彼らは厳しい監視下、劣悪な条件の下で過酷な労働に晒されている。工場の周囲は高い壁によって囲まれ、脱走を阻止するため兵士達が警備に当たっている。

 

キルカ虫

【種族名】

サイジェント等で盛んな紡績業で主に使われる虫。召喚獣。蚕によく似ているが、飼育が難しく、またどういう訳かオスしか召喚出来ないため、リィンバウムで養殖する事が出来ない。このため、キルカ織は召喚師の大きな収入源となっている。召喚師はわざとメスの召喚を禁止しているという噂もある。

 

金の派閥

【一般名詞】

きんのはばつ。蒼の派閥と列ぶほどの組織であり、無色の派閥と対立している。その目的は召喚術を使って権力と財産を得ることであり、表向き学術研究に勤しんでいる蒼の派閥に比べ、極めて直接的実効的な組織である。大物幹部は各地の都市を私物化し、民衆の税金を絞り上げて財産にしている。民衆が一般的に憎む(召喚師)は多くが金の派閥の所属員だが、組織としての危険さと民衆に対する侮蔑は蒼の派閥も金の派閥も大差がない。

無色の派閥と対立しており、特にトクランは目の敵にしている。サイジェントを牛耳る召喚師マーン家三兄弟は、ここに所属している。

現在派閥長をビルイフが、副派閥長をファミィが務めている。

 

クジマ

【人名】

オルドレイクの同志の一人。全身をローブで包み、鬼の面を常に着けている。まだ年は若く、少年と言っていい。カシスの暗殺術の師匠である。

彼はシルターンの鬼神と、リィンバウムの人間のハーフである。その顔の半分は鬼神のものであり、額からは二本の角が生え、全身を鱗が覆っている。また短時間であるが、巨大化強大化し、圧倒的な力を振るうことも可能。鬼の面は異形を一般人の目から隠すためのものであるが、自分の顔に引け目を感じているわけではない。自分の素顔を見た一般人の反応は彼に殺意を喚起させるからであり、逆に素顔の自分を受け入れてくれた無色の派閥幹部達を彼は心の底から信頼している。

リィンバウム北部の、ワルトハイム村出身。彼の母ははぐれ召喚獣であるシルターンの鬼神に強姦されてクジマを宿した。産まれたクジマはその容姿から迫害されたが、元々心優しく気高かった母の教えが、彼を耐えさせた。だが、閉鎖的村社会に住む村人達は、自身の欲求を満たすため、彼の母を魔女裁判的な公認リンチで殺害。それが犬死にであることを悟ったクジマは精神のたがを外し、恨み重なる村人達を皆殺しにし、周囲の村も皆殺しにして回った。その過程で二百人以上が命を落としている。やがて討伐隊が派遣され、それとの死闘で力つき駆けた所を、オルドレイクに助け出される。

アキュートにビジネスレベルで協力し、召喚師排除のため【鬼神】を貸し出す事を約束。他にも、金の派閥を排除するために様々な工作を担当している。

蒼の派閥による第二次攻撃隊をザプラと共に迎撃、ほぼ全滅させた。また、アキュートのイムラン=マーン暗殺計画に荷担するが、此方は失敗している。

その後はザプラの手による、バノッサの調整計画に参加、協力している。また、無色の派閥によるサイジェント城攻略にも参加した。

 

クシャエル

【人名】

バノッサが召喚した大悪魔。悪魔には珍しく人型だが、顔には目も鼻も口もなく、頭の上からは鋭い刃が一本生えている。超高速移動を得意としており、ゼクルフォン、パキケファセルと共に樋口綾を苦しめるも、敗退した。

 

くのいち

【職業】

女忍者のこと。男の忍者と、仕事や特性は大差がない。

 

グラアスファエル

【人名】

トラスト=セルボルトの護衛獣。天使。巨大な蛙のような姿をしており、性格は極めて貪欲。非常に強力な召喚獣だったが、連戦の疲弊を突かれ、カシスに敗北する。

 

クラプの森

【地名】

くらぷのもり。サイジェントの北東部に存在する森で、はぐれ召喚獣が多数住む魔境。それを利して無色の派閥が拠点を築いており、機能していた。強力な討伐隊を撃破するため、無色の派閥の幹部ザプラは、それ自体を餌にして蒼の派閥の討伐隊をおびき寄せ、壊滅させた。

 

グラムス=バーネット

【人名】

蒼の派閥の幹部。エクスの右腕であり、実直で冷静な得難い男。世を憂いており、またエクスに絶対の忠誠を捧げている。

 

クララ

【人名】

かってフラット孤児院で暮らしていた女性。現在は同期であったトーマスの妻として、サイジェントの繁華街で靴屋を営んでいる。呑気な夫を支える、しっかり者の女性。

 

クラレット=セルボルト

【人名】

カシスの妹で、オルドレイクの娘。様々な任務で人間社会に赴き、情報収集を行っていた。迷霧の森で行われた儀式によって死亡。彼女の死は、カシスの感情を発生させる起爆剤となった。

 

クルシーエィル

【人名】

バノッサが召喚したサプレスの大悪魔。亀のような姿だが、普通に目があるべき所には目が無い。代わりに背中には、放射状に六つの目が着いた突起がある。甲羅に空いた無数の穴からは鋭い爪が着いた触手を伸ばす事が出来、それは再生伸縮が可能。動きは早く、言葉を喋る事も出来る。戦闘能力は高く、フラットとアキュートを苦しめたが、敗北した。

 

華厳の剣

【一般名詞】

けごんのつるぎ。金の派閥が保有する特務部隊で、性質は蒼の刃によく似ている。保有兵力は蒼の刃を凌ぎ、質では劣る。かっては蒼の刃と凄まじい暗闘を繰り返していたが、現在は密約によって同盟を締結、争いは沈静化している。

 

ゲルニカ

【人名】

トクランの召喚獣。人類が扱える中で最強の召喚獣【獣王】の一体。メイトルパのドラゴンたちの中でも最強の実力を持ち、溶岩竜王とも呼ばれる。六本の足と四枚の翼を持ち、額には鋭い角がある。その口から吹き出される炎は、地核の深部にあるマグマと同等の温度を有する。ただでさえ強い獣王の中でも、最強に近い力を持つ召喚獣である。気性は非常に荒く、扱いは難しい。

 

ゲレタ

【人名】

イムランの召喚獣。サプレスの霊的生命体で、普段は角のあるセンザンコウのような姿をとる。元々不定型な生き物であるため、分裂合体が可能だが、物理攻撃が通じないわけではない。

 

剣竜

【人名】

けんりゅう。リィンバウムに住む、数少ない帝竜族の一人で、エルゴの認めた存在。普段は子供の姿をしているが、性別は分からない。剣竜の峰にいつもいて、強い存在と手合わせする事を第一の楽しみにしている。戦いよりも、命のやりとりに興味を覚えるタイプで、人当たりが良さそうな容姿と裏腹に、性格はある意味非常に冷酷。剣をコレクションしているが、どうでも良い駄作はその辺の地面に突き刺している。そのため、剣竜の峰は一面さび付いた剣に覆われている。

 

剣竜の峰

【地名】

けんりゅうのみね。リィンバウムに住む剣士が、一度は目指したいと考える聖地。人知を越えた実力者である剣竜に認められる事、業を教わったりコレクションを進呈される事は剣士の夢なのである。ただ非常に険しく危険な土地で、気紛れな剣竜の性格からも、踏み込むには覚悟が必要である。

 

光将の剣群

【召喚術】

サプレスから、天使が鍛えた剣六本を一時的に召喚する術。剣自体はごく標準的な切れ味で、召喚から五分で消滅する。カシスが得意とする召喚術である。命中率は非常に高く、詠唱時間も短いため、人間相手には絶大な破壊力を発揮する。

 

護衛獣

【一般名詞】

ごえいじゅう。召還師が自らの身を守らせるため、長期間にわたって召還し使役する召喚獣の事。強力な召喚獣よりも、むしろ成長性の高い召喚獣が良く選ばれる。カシスの天使ガルガンチュア、トラストの天使グラアスファエル、ラーマの大悪魔ゴルゴンズルク、トクランの赤竜ガルトアラーズ、クジマの鬼神ゼンキ、鬼神ゴキ等。

 

ゴキ

【人名】

クジマの護衛獣。シルターンの鬼神。双剣の使い手で、実力はかなり高い次元にある。基本的にゼンキと組んで行動する。

 

蠱術

【一般名詞】

こじゅつ。シルターンに伝わる強力な呪術である。大まかな概要は、毒虫や毒蛇の類を狭い場所に閉じこめて共食いをさせ、最後に生き残った一匹を使って呪術をするという物である。オルドレイクは、これを人を使って行ったが、その目的は未だ不明瞭である。

オルドレイクが使った術は、正確には巫蠱術というのが正しい。

 

近衛大悪魔

【一般名詞】

このえだいあくま。サプレスで、魔王の腹心の側近をこう呼称する。純粋に戦いを得意とする者ばかりではないが、最強クラスの使い手だと思ってまず間違いない。

 

ゴルゴンズルク

【人名】

ラーマの護衛獣で、悪魔の中でも特に強力な【大悪魔】に属する。長大な翼と偉大な触覚を持つ大百足の姿をしている。実力は圧倒的であるが、同時に主君に対する忠誠度は非常に高く、また理知的な性格の持ち主である。

 

コルテル

【人名】

フラインが召喚した天使。銀の鱗を持つ双頭の鷲といった姿の持ち主。ツヴァイレライに瞬殺される。

 

さ行

 

西郷克也

【人名】

さいごうかつや。樋口綾の後輩。平凡な高校一年生。お調子者で剽軽。空手を身につけているが、身を守るためにしか使わない。同学年の日比野絵美とは似たもの同士であり、いつも二人一緒に、樋口綾にじゃれついている。

 

サイサリス

【人名】

サイジェントの騎士団員。まだ若く、十代の半ばである。先々代騎士団長の孫娘で、武術よりもむしろ記憶力と法に対する知識で、現騎士団長であるイリアスをサポートする。サポートの際の頭脳は柔軟だが、彼女個人としては硬すぎるのが欠点。

イリアスの腹心であり、騎士団のナンバーツーであることは誰もが認めている。彼女が騎士団の次期団長であることも、半ば確定事項となっている。

レイピアを使った刺突剣技の使い手。かなりの腕前だが、どうしても頭脳の方が目立つため、其方は忘れられがちである。蝶連舞突式と呼ばれる技を使う。

 

サイジェント

【地名】

リィンバウムにある街の一つ。以前は聖王国という大国に属していたが、現在は独立運動を経て独立している。だが、金の派閥の介入により、召喚師達の私物に化しつつある。丁度地球で言う産業革命前くらいの文明を持つ都市国家で、紡績業と鉱山業で生計を立てている。それらによる環境破壊と、失政による貧富格差の拡大が大きな社会問題となっている。南部と北東部にスラム地区があり、南部にはフラットが、北部にはオプテュスの者達が住んでいる。街の外は、南部に森林地帯が広がっており、東部は荒野になっている。西部はアルク川に阻まれ、北部は山岳地帯になる。

紡績業は召喚師の専売特許であり、領主はそれを取り仕切るマーン家三兄弟の言いなりである。ただし、街を此処まで酷い状態にしたのは間違いなく領主であろう。無論そんな領主の存在を認めている民衆にも問題がある。革命の火種がくすぶるのは、むしろ常識的で健全な事である。

 

サイジェント騎士団

【一般名詞】

さいじぇんときしだん。サイジェント軍の中でも、最精鋭を集めた者達である。その性質は精鋭部隊であり、騎士といっても土豪や小領主ではない。此処数代傑出した騎士団長が出ているため、その性質は剛毅にして有能である。兵員は二百名ほど。これに対し、サイジェント軍は衛星都市からも集めると三千ほどになる。

 

サイジェント軍法

【一般名詞】

さいじぇんとぐんぽう。主にサイジェントの騎士団を領主が統率するために造られた法。召喚師達が騎士団を操りやすいように様々に手を加え、それに抗議して去っていった騎士も多い。

 

サビョーネル

【人名】

サプレスの大天使。マーン家三兄弟の行く末を心配した彼らの姉が、目付役として派遣した。執事的な性格で、召喚師に忠誠を誓うが故に、マーン家兄弟を教育しようと必至に試みている。

上半身はオトシブミ、下半身は飛蝗のような姿をしていて、全身には無数の刃物がついている。戦闘力は高いが、無闇な殺生は好まない。クジマの護衛獣である鬼神ゼンキ、ゴキと戦い、引き分ける。

後に、イムランの命で、フラット・アキュート連合軍に合流。共に最終決戦へ挑む。

 

ザプラ

【人名】

オルドレイクの同志の一人。豊富な髭を蓄えた中年男性である。かっては蒼の派閥の裏の仕事を一手に引き受ける組織【蒼の刃】の首領を務めていた。

彼は蒼の派閥の裏の仕事を代々任され続けた一族の出身であり、洗脳と投薬によって自我を奪われ、命令のままに実行を続けていた。蒼の派閥上層部は(殺戮人形)と彼らを呼び、文字通りの消耗品として扱い続けた。その上、自らを最も蔑む相手に全幅の忠誠を誓い続け、黙々と仕事をこなし続けたザプラに待っていたのは、金の派閥と同盟を結ぶためにかわされた密約によって、上層部に売られるという無惨な運命であった。彼と直属の部下達は、金の派閥の特務部隊(華厳の剣)と、蒼の派閥副派閥長エクスの手兵に包囲殲滅され、危うく全滅するかと言う所でオルドレイクに救出された。それ以来、(殺戮人形)では無く人間として自らを扱ってくれたオルドレイクに、全身全霊を捧げている。獣王クラス召喚獣の一体、機界の破壊神ヘカトンケイレスを操る。

現在サイジェントに潜伏し、様々な事を調べている。結果適当だと判断した人材であるバノッサに接触、【魅魔の宝玉】を渡し、教育を開始する。

蒼の派閥による第二次攻撃隊を迎撃、ほぼ全滅させる。また、無色の派閥によるサイジェント城攻略に参加。

超級の剣士であり、その実力は世界でも最強クラスに位置する。

 

サプレス

【世界】

霊なる者達が住まう精神の世界。霊界と呼称される。天使や悪魔はこの世界の出身である。

ロレイラルから派生した人類が住み着いた世界の一つ。精神文明を至上とする者達が暮らしたため、魔法科学が非常に強力に発達した。

 

サモナイト石

【一般名詞】

召喚術で使用する石。詳細は不明。灰、赤、青紫、緑の四色がある。灰はロレイラルに、赤はシルターンに、青紫はサプレスに、緑はメイトルパに対応している。

 

サモナイトソード

【一般名詞】

ウィゼルが樋口綾に託した名刀。凄まじい切れ味と、羽のような軽さを併せ持つ。

オルドレイクが持つ大剣。樋口綾のサモナイトソードと、兄弟に当たる。

詳細は不明。

 

山賊担ぎ

【一般名詞】

さんぞくかつぎ。最も簡単な抱き方の一つで、相手の腰の辺りに手を回し、脇に抱える方法。かなりの腕力が要求され、なおかつ風情は全くない。

 

シオン

【人名】

あかなべを経営する男。細目と穏和な性格の持ち主。アカネに師匠と慕われている。

実はシルターンのはぐれ召喚獣で、忍者である。故郷では上忍と呼ばれるハイクラスの忍者であり、実力は相当な次元に達している。現在は蒼の派閥副派閥長エクスの手兵として、各地で隠密活動を行っている。

 

地獄の蟻塚

【地名】

じごくのありづか。サイジェントの北部十五キロ辺りにある鉱山地帯の別称。三年働くと死ぬと言われる非常に劣悪な労働環境から、この二つ名がある。ここでは税金滞納者が主に強制労働を課せられ、生きて労働期間を終え、家に帰れるものは殆どいない。

 

ジドゴキ

【人名】

カシスの兄弟の一人が使っていた召喚獣。シルターンから召喚された【鬼】の一体。血は強い酸である。不意をつかれ、カシスに倒される。だがその前に、クラレットを倒していた。如何にしてクラレットが破れたかは不明。

 

死の沼地

【地名】

しのぬまち。サイジェント北東部に存在する沼地。名前の通り可燃性で毒性の強い液体を水に含む湿地帯で、生物は殆ど存在しない。レイドとラムダが決闘を行った場所である。

 

獣王

【召喚獣】

じゅうおう。リィンバウムの召喚師達が、人間が扱える中で最強の召喚獣達を呼ぶ際の名称。その実力は圧倒的で、いずれも一体で一千の兵士に匹敵する力を持つ。サプレスの大魔将ツヴァイレライ、大天使プラミュデセス、メイトルパの溶岩竜王ゲルニカ、ロレイラルの破壊神ヘカトンケイレス、シルターンの仙界の門番開明獣などがこれにあたる。その存在は、蒼の派閥、金の派閥によって秘匿され、一部の上級召喚師しか知らない。

 

獣神

【召喚獣】

じゅうしん。獣王をも凌ぐ、究極の召喚獣。正確にはリィンバウムを取り巻く四つの世界の主である。人間が扱える存在ではなく、またリィンバウムに呼び出された事もない。

 

獣人

【種族名】

じゅうじん。メイトルパに住む、動物の特性を色濃く備えた人類の事。基本的に肉食で、身体能力は悪魔や天使さえも凌ぐ。ロレイラルで発生した人類が、メイトルパの環境に適応したものである。

 

シュザールフォール紛争

【一般名詞】

しゅざーるふぉーるふんそう。リィンバウムを代表する二大国家、帝国と聖王国がシュザールフォール地方で銅鉱山の権益を争って行った代理戦争。蒼の派閥が裏側で介入、発生から終結まで操作し、膨大な収益を上げた。末期には悪魔の大量発生事件が起こったが、それも蒼の派閥が一枚噛んでいる。

 

シュレイロウ

【人名】

樋口綾の召喚獣。シルターン系であるという以外の経歴は不明。体長五メートルの、イラガの幼虫のような容姿をしていて、一対の白い翼を持つ。おじいさんのような穏やかなしゃべり方をするが、行動はそれに反して非常に過激。樋口綾を抱きしめて頬ずりし、なおかつ顔をなめ回した。

 

召喚師

【職業】

しょうかんし。召喚術を使いこなす者達。召喚術は非常に便利なため、その社会的地位は高い。生まれたときから社会的地位が高いため、自己中心的であったり、偏狭であったりする。また、一部の地域では絶大な権力を有している場合もあり、一般民衆からは嫌われる事が多い。

家格を現す名字を何より大事にすると言う習慣を持ち、大抵の召喚師は必ず名字もあわせて名乗る。

 

召喚獣

【召喚獣】

しょうかんじゅう。召喚術によって異界から呼び出された生き物の事。異界の人間だろうが獣だろうがヒューマノイドだろうがサイボーグだろうが細菌兵器だろうが食肉家畜であろうが皆召喚獣と呼ばれる。当然、戦闘力、存在、心、利用意図、その全てが千差万別である。

 

召喚獣鉄道

【一般名詞】

しょうかんじゅうてつどう。リィンバウムのサイジェント等に引かれている、ヌーグという召喚獣に引かせた鉄道。主に鉱物の輸送や、召喚師が個人的な移動をするために利用される。

 

召喚術

【術】

しょうかんじゅつ。異界から生物や無生物を呼びだし、使役行使する術の事。本来は非常に複雑な術であり、特に高位の霊的生命やドラゴンなどを召喚する際は非常に大きな危険と苦労を伴うが、樋口綾はリィンバウムに召喚されたときから何故か使えてしまっていた。メインとなるのは生物召喚だが、道具などの無生物の他、電気やエネルギーといった非物質を呼び出すものもある。

元々は送還術を逆利用した物だという説が、召喚師達の間では定説となっている。しかし実情は、エルゴの王が各世界との代表者と協議を行い決定した一種の傭兵制度である。リィンバウム人が召喚術で召喚獣を呼び出すごとに、豊富な魔力が各世界に支払われるシステムになっており、また同時にリィンバウム他の世界を、それぞれが監視出来るシステムとなっている。このシステムが功を奏し、現在まで世界間紛争は発生していない。

 

シルターン

【世界】

鬼神や竜神、妖怪や武なる者達がすまう世界。鬼妖界と呼称される。日本と中国を足して二で割ったような世界で、忍者や侍が存在し、漢方や醤油などもある。

ロレイラルから派生した人類が住み着いた世界の一つ。武を至上とする者達が暮らし、武を重んじる心や、生き方が発達した。

 

ジンガ

【人名】

格闘家の少年。純粋なる強さを求め、各地を放浪し、サイジェントに行き着いた。ストラを使う事も出来、その実力はかなり高いが、あくまで一対一の戦いにそれは限定される。純粋に強さを求める彼は、力と強さは別であるというかっての師の言葉を理解するため、修行をしながら旅を続けていた。そしてサイジェントで出会った樋口綾の(他人を守るために責任を持って力を使う)という姿勢に感銘し、無理矢理弟子入り。以降は綾を(アネゴ)と呼んで閉口させる。

方向音痴であり、新しい所に行く際、そのスリルをも楽しんでいる。

 

スウォン

【人名】

サイジェントの南部にある森に住む狩人の少年。いわゆる女顔の、心優しく礼儀正しい純情な少年。顔立ちは柔だが、その一方で、狩りによって鍛えられた体は頑強である。草笛を造るのが趣味で、孤独癖がある。サバイバルのエキスパート。

フラットのガゼル、リプレの幼なじみ。腕のいい狩人だった父を殺した【朱のガレフ】に復讐する過程で、樋口綾に出会う。そして彼女のひたむきな思いに触れ、人間的に成長していく。ガレフを、そしてそれを狂わせたトードスを葬った後は、彼らを埋葬しようと自ら言い出すほどに。

以降は恩人でもある綾のため、フラットに協力をする。

 

スタウト

【人名】

アキュート幹部。普段は軽口を叩く飲んだくれだが、実は元凄腕の暗殺者である。どのような経緯でラムダと知り合ったかは不明だが、現在は心酔しその行動に随伴している。

アキュートでは、情報収集、操作、それに隠密行動を担当。影の中の影として、闇の中から任務を実行するため、あまり表には姿を見せない。シミターの使い手で、相当な実力者である。また、投げナイフの腕前も相当なものである。

 

ストラ

【一般名詞】

体を自然に流れる魔力、いわゆる(気)を利用した回復術。体の治癒能力を高めるという思想の元に、傷や軽い病を治す事が可能。逆利用すれば恐るべき武器にもなる。

 

スピネル高原

【地名】

すぴねるこうげん。サイジェント北東部に位置する高原地帯。風光明媚だが、はぐれ召喚獣や盗賊もねぐらにしているため、一般人が立ち入るのは危険。トキツバタの自生地でもある。

 

聖王国

【一般名詞】

せいおうこく。リィンバウム最大の国家の一つ。サイジェントはここから独立し、現在に至っている。内部を蒼の派閥と金の派閥に食い荒らされており、それを苦々しく思う者は多いが、どうにも出来ないのが現実である。

 

聖王都ゼラム

【地名】

せいおうとぜらむ。リィンバウム最大の国家の一つ、聖王国の首都。蒼の派閥本部があり、およそ五十万人の人間が生活している。

 

聖天使エルエル

【人名】

せいてんしえるえる。ギブソンの召喚獣で、サプレスの大天使。板を四枚重ねて、太い芯で貫いたような姿をしている。板は常に微速度で回転を続けている。

強大な防御シールドを展開する力を持ち、バノッサのブラックラックをはじき返して見せた。周囲の人間達を回復する力も持つ、防御回復に優れた存在。

 

聖霊リプシー

【種族名】

せいれいりぷしー。リプシー族と言われるサプレスの下等霊的生命体。一種の共生生物で、強力な霊的生物の傷を治す事で、餌と安全を確保する。その特性を利用し、非常に良く怪我の手当をするため召喚される。

カシスもこれを得意な術の一つとしている。彼女が召喚するリプシーは、紫色の板に釘が生えたような容姿である。

 

赤竜

【種族名】

せきりゅう。メイトルパに住むドラゴン達の中でも、上位の力を持つ種族。強力な炎の息(ブレス)を吐き、全身を名の由来である赤い鱗で覆っている。大概は凶暴だが、ごく希に理知的な者もいる。人語を解し、自在に操る事が出来る。

 

ゼクルフォン

【人名】

バノッサが呼び出した大悪魔。巨大なワニのような姿をしており、光弾による圧倒的な攻撃力を誇る。パキケファセル、クシャエルとの三位一体攻撃で樋口綾を苦しめるも、敗退した。

 

セシル

【人名】

アキュート幹部。優しく真面目な町医者で、落ち着いた雰囲気の美貌を持つ大人の女性である。ラムダと知り合った経緯は不明だが、彼同様サイジェントの事を憂い、その行動に力を貸している。

リシュールのかっての教え子の一人。昔はお転婆だったらしい。今はリシュールを献身的に看護し、付き添っている。

戦闘能力は非常に高く、また喧嘩慣れしている。

 

ゼンキ

【人名】

クジマの護衛獣。鬼神族の一人で、葉巻を嗜好する。大剣の使い手で、実力はかなり高い。ゴキと呼ばれる鬼神とコンビを組んで行動する。

 

送還術

【送還術】

そうかんじゅつ。召喚術の起源となる業で、異界からの侵略者を故郷に帰す物である。召喚術はこれを逆利用した物だとされている。実情はエルゴの王とその仲間達が、各世界の代表の意向に反してリィンバウムで暴れる大悪魔や上級鬼神を強制的に追い返すために使った物で、普及しなかったのはエルゴの王が人類にそれを教えなかったからに過ぎない。

 

蒼甲磁六番

【一般名詞】

そうこうじろくばん。上質の陶磁器。マーン家の家宝であり、六枚セットの皿である。表面には上品な亀甲模様が描かれ、滑らかなつやと鮮やかな色彩を併せ持つ。セットで城が買えるほどの値が付く。

 

た行

 

大悪魔

【種族名】

だいあくま。サプレスに住む悪魔達の中で、特に強力な者達。普通の召喚師では扱う事も出来ない。性質は他の悪魔や天使同様、善良な者もいれば悪辣な者もいる。これ以上のクラスの悪魔になると、殆ど伝説的な存在であり、召喚術も秘匿されている場合が殆どである。

 

第十三ハレード式移動基地

【一般名詞】

だいじゅうさんはれーどしきいどうきち。ロレイラルが世界間戦争の際、使用した移動基地の一つ。主力兵装はミサイルで、内部には補給施設、修理施設も配備されている。エスガルドは戦争後、これを家にして暮らしていた。

 

大天使

【種族名】

だいてんし。サプレスに住む天使達の中で、特に強力な者達。大悪魔同様、非常に強力な存在であり、一般の召喚師には使役も召喚も荷が重い。性質も大悪魔と同様で、人間と大差ない。これ以上のクラスの天使は、殆ど存在自体が知られていない。

 

大魔皇帝フォレイトース

【人名】

だいまこうていふぉれいとーす。サプレスの悪魔の皇帝にて、通称魔王。その名にふさわしい凄まじい力の持ち主であり、闇の神とも言える。その存在は非常に強大が故に、複数の人格、肉体が存在し、一部では天使達の皇帝である神とさえつながっている。

 

タムザ

【人名】

オプテュスに所属する無法者。特筆事項無し。

 

チーム・フラット

【一般名詞】

→フラット

 

血の坑道事件

【一般名詞】

ちのこうどうじけん。サイジェントの北部にある鉱山地帯で発生した労働者達による暴動。あまりにも悲惨な労働条件に耐えかねた労働者達が激発、監督官達を人質に国家に対して徹底抗戦の構えを見せた。騎士団長イリアスの理性的な交渉によって幸い事態は収束に向かったが、一連の事件での死者は五十人を超し、また数ヶ月に渡って鉱山は半ば閉鎖に追い込まれた。更にこの事件がきっかけになって、サイジェントでは市民による革命活動が活発化し、激動の時代が訪れることになる。

 

蝶連舞突式

【一般名詞】

ちょうれんぶとつしき。サイサリスが得意とするレイピアの技。不規則な軌道による陽動攻撃の後、渾身の一撃を叩き込む。騎士団でも、イリアスしか破ることは出来ない。

 

ツヴァイレライ

【人名】

ラーマの召喚獣。最強の召喚獣【獣王】の一体。サプレスの悪魔達の中でも、最強の力を持つ一人で、大魔将とも呼ばれる女騎士である。目は三つ、腹部に巨大な口がある。銀白色の美しい鎧に身を包み、二股に別れたランスを持ち、昆虫のような節くれ立った足を無数に持つ蛞蝓のような騎獣【ニデルク】に跨り戦場を駆ける。寡黙で的確に仕事を遂行する。

 

罪を犯した一族

【民族】

つみをおかしたいちぞく。二百年前、リィンバウムにて大規模な召喚術に失敗、街一つを壊滅させた男【ルパイトス】の一族を差す。ルパイトス自身は準備不足、経験不足、力量不足の失敗を犯した故に罰せられて当然であったが、民衆の集団ヒステリーと復讐の刃は全く関係ない者にも向いた。【トクラン】の先祖も、ルパイトスの従兄弟の甥の従兄弟という希薄な関係であり、さらには運送屋で召喚師でさえなかったが、無惨なリンチの犠牲となった。更に、ルパイトスが金の派閥の次期党首候補だったという事も災いし、金の派閥の対立候補が裏から集団ヒステリーを煽ったため、更にリンチは凄惨さを増した。数十年が過ぎた頃には、彼らは民衆の悪意のはけ口として公認され、(人間が弱者に向けたがる悪意のはけ口)として虐待が正当化された。

百七十年間、【罪を犯した一族】は差別され続けた上、更にそれを悪くする事態が起こった。一族が金の派閥にとって都合の悪い事を口述で伝えていた事が発覚し、更に失政が重なって民衆の不満が高まったのである。民衆は更に過激なリンチを、金の派閥は証拠の隠滅と召喚獣の性能実験を望み、【罪を犯した一族】をコロシアムに閉じこめてドラゴンの餌にするショーを開催し続けた。無惨なショーは、オルドレイクによって【罪を犯した一族】がどこか未知の場所へ連れ出されるまで続いた。

現在、【罪を犯した一族】は、アルナ族と列んで無色の派閥の主要構成員となっている。多くが生き残るため、そして恩人のため戦い、その士気は非常に高い。トクランは、その中でも最も優れた実力者である。

 

釣り投石特訓

【一般名詞】

つりとうせきとっくん。樋口綾が多角的な攻撃に対応するため、カシスと行った一種の戦闘訓練。釣りに集中している所を投石してもらい、それを避けるという内容であり、反射速度の向上に大いに役立った。

 

帝国

【一般名詞】

ていこく。聖王国の南部に存在する、リィンバウム最大の強国の一つ。聖王国に匹敵する国力を持ち、過去幾度と無く刃を交えてきた存在。

 

帝竜族

【種族名】

ていりゅうぞく。メイトルパの竜族の中でも、最強の実力を持つ種族。剣竜やゲルニカ、ヴォルケイトスもこの種族に所属している。戦闘能力は圧倒的で、知能も魔力も高い。種族的な特性として凶暴で、荒々しいメイトルパの支配者である。

 

天使

【種族名】

てんし。サプレスに住む精神生命体で、リィンバウムに現れる際は肉体を得て活動する。性格が穏やかだとか善良だとかいう事はなく、人間と大差がない。つまり嫌な性格の者もいれば、凶暴な破壊魔もいる。無論真面目で善良な者もいる。

ロレイラルにて発生した人類が、サプレスに適応した姿でもある。

 

トードス

【人名】

メイトルパ系召喚獣の一体。巨大な茸の姿を持ち、柄の部分には大きな一つ目がある。根本には数本の触手を持ち、また精神を侵す毒液を吐く。これには特殊な細菌が含まれており、犠牲者の神経を辿って脳まで行き、そこで繁殖、狂気を発せさせる。知能は高く、人語を解すほか、豊かな感情を持つ。

サイジェントの召喚師が召喚したものの、彼は(醜いから)という理由でトードスを荒野に放置。心も体も傷ついたトードスは、必死に森の奥へ逃げ込み、攻撃してきた【朱のガレフ】を撃退する。孤独の中にいた彼を救ったのがオルドレイクであり、近いうちに迷霧の森へ運ぶこと、また可能なら故郷へ帰す約束もしていた。しかし狂気を発したガレフによって父を殺された【スウォン】少年、及びその仲間である【フラット】の者達によりトードスは撃破された。

 

塔の力

【一般名詞】

とうのちから。別名、超越者の塔。膨大な経験と実力を積み上げた者のみが覚醒する、アカシックレコードからの情報ダウンロード能力。超人的な能力をダウンロードし、圧倒的な力を振るう事が可能だが、同時に上位に登り詰めれば登り詰めるほど人間ではなくなっていく。また、登り詰めるには強烈な信念が必要不可欠で、精神的な行動を制限するという側面もある。

 

トーマス

【人名】

かってフラット孤児院で暮らしていた青年。現在は独立し、サイジェントの繁華街で靴屋を営む。食欲が全てに優先する、気の良い愉快な男。フラット孤児院で同期だったクララと結婚している。ガゼルとは現在でも親交がある。

 

トキツバタ

【種族名】

リィンバウム全般に自生する薬草。青紫の小さな花をつけ、繁殖力は強い。メスクルの眠りの特効薬になる他、様々な疫病に効く。

 

トクラン=メルキリウス

【人名】

オルドレイクの同志の一人。くるくる巻き毛の可愛い女の子であり、同志に対しては優しいが、それ以外の人間には極めて冷酷。上位のメイトルパ系召喚術を楽々と使いこなす無色の派閥内でも屈指の実力者である。

【罪を犯した一族】の一人。彼女は社会的に差別を肯定された一族の出身であり、人間が常に持つ欲求、(弱者に欲しいままの悪意をぶつけたい)という暗い感情の犠牲者であった。産まれたときから血筋だけで差別を受け続け、更にリンチにあって目の前で父を殺された彼女を助けたのは唯一人オルドレイクだけであった。彼女は自分が受けた差別の正体、その出所を知ると、人類社会そのものに憎しみを抱くようになる。そして現在は、世界そのものをうち砕くために、信頼出来る恩人オルドレイクの元で命をかけて働くのであった。これらの事情から、オルドレイクの同志の中でも最も好戦的、復讐的な性格である。

ラーマと共に、蒼の派閥が派遣してきた第一次討伐隊を迎撃、ほぼ全滅させる。彼女自身は召喚師であると同時に、超一流の格闘家である。彼女が使う格闘技は【波浪砕山拳】と呼ばれる物である。

無色の派閥による、サイジェント城攻略に参加。城兵を虐殺する。

 

トラーテル

【人名】

バノッサが呼び出したサプレスの大悪魔。ヒトデのような姿をしており、全身に小さく短い触手が無数に生えている。それは軟化硬化が自由自在で、なおかつ放出する事も可能。本体は小柄だが、かなり力も強い。その強大な戦闘力でフラットを苦しめたが、敗退。

 

ドラゴン

【種族名】

メイトルパに住む強大な生物。姿は主に巨大な蜥蜴に翼を生やしたような感じだが、それはデフォルメであり、それとは異なる姿を持つ者も多くいる。リィンバウムでは召喚獣として良く使役されるが、気性が荒く扱いは難しい。実力はピンからキリまであり、最低ランクの者でも恐竜並みの戦闘能力を誇る。上位の者は優れた知能を有し、その実力は圧倒的。上級悪魔でさえ、正面から戦う事は避けたがる強者である。

 

トラスト=セルボルト

【人名】

オルドレイク=セルボルトの子供の一人。カシスの兄。兄弟中最年長で、実力も最強を噂されていた。カシス=セルボルトの召喚術の師匠である。迷霧の森で行われた儀式に参加し、圧倒的な強さでキール=セルボルト、ソル=セルボルトら多くのライバルを屠り去るが、連戦で疲弊した隙をつかれてカシス=セルボルトに敗北、死亡した。

 

な行

 

ナプリの穴

【地名】

蒼の派閥による第一次無色の派閥攻略部隊が、陽動に引っかかって引きずり込まれた場所。ラーマとトクランには庭に等しい場所であり、また周到な準備もあって、討伐隊は歴史に残るほどの全滅的敗北を喫する。

 

ニデルク

【人名】

ツヴァイレライが跨る、昆虫のような足を無数に持つ蛞蝓のような生物。サプレスの高等霊的生命体で、肉食。動きは非常に素早く、主君の動きを最大限に加速する。

 

忍者

【職業】

にんじゃ。科学的に考案された道具と、理論的に考えられた技、鍛え抜かれた技によって、スパイ活動を行う者達。女性の忍者はくのいちと呼ばれる。伝説的な存在のため、妖術使いの一種か何かと思われることが多いが、現実には非常に理論的な諜報者である。空も飛ばなければ、怪物も呼び出さない。また、戦闘スタイルも地味。

 

ヌーグ

【種族名】

サイジェントで、召喚獣鉄道を引くために使役されている召喚獣。体高九メートル、体長十四メートル。アフリカ象に似ているが、目は左右三つずつ、額に長い角がある。草食で、性格は大人しい。名前は鳴き声に由来している。

 

ネーデの森

【地名】

ねーでのもり。サイジェントの南部に広がる森林地帯。朱のガレフという狼王が住み、狩人達と共存していたが、ある事件を境に凶暴化、スウォンによって仕留められる。その後は平穏を取り戻し、再び静かな森へと戻った。

 

は行

 

パキケファセル

【人名】

バノッサが呼び出した大悪魔。巨大な幽霊蜘蛛と言った容姿をしていて、足は十二本。防御シールドを展開する力に長けていて、その防御力は相当な次元に達している。ゼクルフォン、クシャエルと共に、樋口綾の前に立ち塞がるも敗退した。

 

はぐれ

【一般名詞】

→はぐれ召喚獣。

 

はぐれ女

【一般名詞】

バノッサが樋口綾を罵る際に使うあだ名。異常な悪意が籠もっている。悪意の原因は歪んだ憧憬が憎しみに転化したものである。召喚師の血を引くのに召喚術を使えないバノッサにとって、(人間ですらない)樋口綾が召喚術を使える事は許し難い大罪なのである。

 

はぐれ召喚獣

【召喚獣】

召喚獣が、何かしらの理由で野生化したもの。召喚師が死んだ場合、召喚師に捨てられた場合、召喚師の元から逃げ出した場合、など様々な理由がある。多くの場合、民に害を為す危険な存在だが、異界からリィンバウムに召喚された生物は何でもかんでも全てが召喚獣なので、樋口綾もはぐれ召喚獣である。

サイジェントの近くには、二足歩行で、組織的行動をする大きな蜥蜴と、南瓜のような頭部を持つ巨大なヒルが生息している。これらもはぐれ召喚獣である。

リィンバウム全般に生息しているはぐれ召喚獣であるが、それには召喚師達の傲慢な行動が一役噛んでいる。召喚師は、高位の者になれば成る程、召喚獣が用済みになったり自分の美的感覚に添わなかったりするとポイ捨てする傾向が強い。それによって凶暴なはぐれ召喚獣が野に放たれようと、彼らには文字通り知ったことではないのである。そう言った行動が自らの足下を着実に掘り崩していることに、愚かな召喚師達は今だ気付いていない。

 

パゼン=ノイラーム

【人名】

蒼の派閥の召喚師。ノイラーム家はロレイラルを研究する一族であり、また金銭や地位に興味を示さない者達である。そのために派閥内では変人扱いされ、孤立している上に、召喚師とは思えないほどに生活は苦しい。探検家としての側面も持ち、自分の足で各地の遺跡を調べて回る者達としても知られている。パゼンはロレイラルの移動基地を調べている最中に、息子を残して他界。親友のエスガルドに、息子を託した。

 

パッフェル

【人名】

蒼の刃の司令官。蒼の派閥副派閥長エクスが抱える最強の密偵で、経歴は謎に包まれている。普段は人なつっこい陽気な娘で、ケーキ屋などでバイトをしていることが多い。お調子者だが、主君に対する忠誠は非常に篤い。

元帝国の暗殺者であり、十二歳の時にエクスの暗殺任務に参加。暗殺に失敗し、自殺しようとした所をエクスに助けられる。それまで人間扱いされていなかった彼女にとって、人として扱ってくれたエクスは最大の恩人であり、全てをかけて仕える存在ともなった。

 

バノッサ

【人名】

無法者集団オプテュスの首領。異様に白い肌と、白い髪の持ち主である。双剣の使い手であり、接近戦における実力はレイドに匹敵する。召喚師の血を引いており、それを過剰に意識しているが、それは地獄の底を這いずってきた人生の中で、唯一彼が誇りに出来ることだったからである。全身を異様な殺気で覆っているが、それは彼が(正当に評価されない)現行社会への苛立ちである。

樋口綾を異様に憎む理由は、歪んだ憧憬が妬みに転嫁した物である。召喚師の血を引く彼が召喚術を仕えないのに、はぐれ召喚獣である綾は自由自在に使いこなしている、その事実はプライドの高い彼を怒りへ駆り立てている。普段は悪人といっても一線は越えない程度なのに、綾に接するときはたがが外れるのもその辺が原因である。現在は、綾を憎むことでかろうじて心を維持している状態である。

カノンには心を開き、その忠告は良く聞くし、嘘も言わない。ただし、根本的な点では、カノンの言う事でさえ聞き入れない。孤独で、寂寥な男。

無色の派閥が接触。ザプラの手ほどきによって、召喚術を修得する。更に魅魔の宝玉を手渡され、その意志は暴走を開始する。樋口綾に勝つために、魅魔の宝玉を飲み込んだ彼であったが、宝玉の影響で怪物化。しかし彼は、自らを怪物化してさえも、樋口綾に勝つために宝玉を手放さなかった。

カノンの死で、全てに絶望。リィンバウムに、魔王を呼び出す媒体となってしまう。

 

パムフ

【人名】

聖王国軍中将。五十一歳。高名な猛将であり、全面攻勢の巧みさには定評がある。

 

バルク

【人名】

蒼の刃隊員の一人。トクランに倒され殉職する。

 

波浪砕山拳

【一般名詞】

はろうさいざんけん。リィンバウムの古武術の一つで、戦場において敵の体を破壊する事だけを考えた超実戦型拳法。その凄まじい体質から平和な時代には必要とされず、また修得訓練も難しかったため、それほど広まる事はなかった。ただし、その破壊力は折り紙付きである。トクラン=メルキリウスが使用している。

 

樋口綾

【人名】

ひぐちあや。本編主人公。背が低く、臆病で、筋金入りの運動音痴だが、丁寧に整理された理知的な頭脳は本物である。優しげな風貌と綺麗な黒髪は周囲のあこがれの的。何故か不幸に好かれ、皆の不幸まで自分で受けてしまう。

【日本においては】樋口財閥の一人娘で、体育以外の科目をそつなくこなし、優しい心と穏やかな性格で皆に好かれている。しかし、実際は言いたい事も言えない軟弱者という側面も持ち、本人はそれを大いに気にしている。誰にも誇れる優しい澄んだ心を持っているのだが、本人だけがそれに気付いていない。周囲の評価は非常に高く、それをかなえるため必死である。不可思議な事件により、リィンバウムに召喚されてしまう。

【リィンバウムにおいては】リィンバウムにおいて、様々な経緯で関わったレイドとガゼル率いる【チーム・フラット】に所属。弱い自分を払拭しようと少しずつ努力を始める。そして、覚醒した力を冷静に見る事で、着実に潜在能力を伸ばし始める。白紙の自分を見ている周囲と、一から自分を作り上げられる環境。自分を助けてくれた者達や、愛すべき子供達を守りたいと思う心。それは徐々に、(皆を守るために力を使う)(そのために力に責任を持つ)という無言の信念へと昇華していった。それがジンガ、スウォンらを感動させ、またカシスの心を開く要因となった。心の成長は如実に現れ、今までは臆病過ぎた故、殆ど怒ることさえ出来なかったが、理不尽な差別や事象に対しては素直に怒れるようになった。また、ラムダとの戦いでの、完膚無きまでの敗北から立ち直ることが出来た。リプレとの会話により、僅かながら自信を身につけることが出来た。その自信で、強敵ラムダに対し、大金星とも言える一矢を報いる事が出来た。また、自らの意志を信じた事により、アキュートとフラットの同盟締結にも一役買う事が出来た。やがて、魅魔の宝玉を乱用するバノッサとの戦いの果てに、エルゴとの対面を果たし、誓約者としての試練を言い渡され、己の全てを捨てて、(自分を認めてくれた皆のために)試練へ挑戦する。試練を通じ、人間らしい感情や感覚が消滅していく事に苦しみを覚えながらも、ついに試練を達成した。

どういう訳か、リィンバウムに召喚されてからというもの、習ってもいないのに召喚術を使いこなしている。その理由は、塔の力の保有者であるからだ。塔の力はコインロッカーに捨てられていた際、原初的な恐怖から覚醒した物で、リィンバウムに来る前も無意識下で使用していた。不幸に見舞われる事が多かったのはそのせいである。リィンバウムに召喚されてきた際、同時に召喚されたサプレスのエルゴの魔王寄り端末がそれに気づき、面白半分に力を引き出したため、目に見える形で使えるようになったのである。

塔の力に基づき、召喚術と、他様々な特殊能力を修得している。現在、ヴォルケイトス、リピテエル、ガフォンツェア、シュレイオウの四体を召喚獣として使いこなす。また、精神加速能力である(集中)、精神力放出能力(ゼロ砲)等の特殊戦闘技能も有している。更に【釣り投石特訓】と気配探知能力の覚醒により、多角的な攻撃に対する脆さも克服した。エルゴの試練を達成した事により、(因果律操作)、(送還術)、(スペルブレイク)等も身につけた。本人は自覚していないが、司令官、或いは軍師としての手腕は誰もが認めている。全てのエルゴに認められた事で完全覚醒、超越者となった。

ラムダとの死闘で愛刀を失うが、その代わりに名刀サモナイトソードを手渡される。

 

樋口泰三

【人名】

ひぐちたいぞう。樋口綾の父で、樋口財閥の総帥。かっては孤児院から引き取った綾を実の娘と同じに育てる優しい男だったが、事業が失敗して財閥が傾いてからは笑顔の一つも見せない冷たい男になってしまった。綾はこの父親の笑顔が見たくて、必要以上に頑張っている。

 

日比野絵美

【人名】

ひびのえみ。樋口綾の後輩であり、高校一年生。お調子者で剽軽。空手を身につけていて、技に怪しい名前を付けている。同学年の西郷克也とは似たもの同士の幼なじみであり、一緒に良く樋口綾にじゃれついている。最近好きな男子が出来たようだが……。

 

憑依召喚

【召喚術】

ひょういしょうかん。召喚獣を霊的な状態で、目標物の内部に召喚する。能力強化や肉体操作など、意図は様々。

 

ビルイフ=タクェルト

【人名】

金の派閥の派閥長。まるまると太った巨漢で、部下からは(豚派閥長)と陰口を叩かれている。だが、そのあだ名は、歴代の派閥長に比べればましな物である。冷徹で残虐だが、頭自体は悪くない。召喚師の中でも、一二を争う名家の出身者である。

無色の派閥との戦いで捕縛され、彼らの恨みを叩き付けられる。そして、人間としてこれ以上考えられないほど残虐に殺される。

 

ファナン

【地名】

金の派閥の本部がある街。聖王国の一都市ながら、金の派閥の権力により、半ば独立国家化している。この街に限らず、金の派閥は幾つかの都市を私物化しており、聖王国首脳部は苦々しく思っている。

 

ファミィ=マーン

【人名】

金の派閥副派閥長。蒼の派閥副派閥長エクスと個人的な親友であり、また政治的にも関係が深い。エクスに信頼されている。温厚とされているが、その本質はカミソリ。冷徹な策でも、必要とあれば笑顔のまま何の躊躇いもなく実行する。それ以上の詳細は不明。

 

フィズ

【人名】

フラットで養われている子供。緑の髪を持つませた女の子。行動的で、実に良く頭が働く。住んでいる環境のせいか、非常にしっかりした考えの持ち主である。好奇心からオプテュスに捕まり、非常に危ない目に遭い、それからは若干大人しくなった。

 

フォールフロール

【人名】

ミモザ=ロランジュが使役するメイトルパ系召喚獣。無数の菱形が連なったような形をしており、柔軟に様々な形を取る事が出来る。それを利して、トリッキーな攻撃を得意とする。

 

フォーワーム

【人名】

カシス=セルボルトのサプレス系召喚獣。双頭の芋虫で、背中には無数のとげが生えている。炎、冷気、それぞれの攻撃を使い分ける事が可能。

 

プラーマ

【種族名】

サプレス系召喚獣の一つ。五つの球体が重なったような姿をしており、その一つ一つから二本ずつ突起が出ている。リプシーが変態・成長した姿で、高位霊的生命の傷を治すことで自らの身の安全と餌を確保する。故にその回復能力は圧倒的で、オルドレイク級の召喚師が行使すれば、人間の怪我くらいなら一度に完全回復させ、体力までも癒す事が出来る。オルドレイクの他、カシスも使役する。

 

フライン=ハイバルク

【人名】

蒼の派閥の上級召喚師。各国の軍事顧問として、傭兵団を率いて戦場を回る人物。だが実情は、その行動は軍事バランスの調整に限られ、百戦錬磨の名将などという名称とはほど遠い存在に過ぎない。勝てる戦いしかした事がなかったため、敗北には対応出来ず、また用兵も柔軟を欠いた。無色の派閥攻撃部隊の第一陣を率いたが、敵を侮った上に隙をつかれ、歴史に残るほどの全滅的敗北を喫し、戦死した。

 

プラミュデセス

【人名】

オルドレイクが保有する獣王クラス召喚獣。サプレスの大天使で、巨大な球体の中央に眼球が一つ浮いている。殲滅戦を得意としており、その目から放たれる光はたやすく鎧を貫き、拡散して無数の敵を虐殺する。

 

フラウ

【人名】

フラットで養われている少女。かっては繁華街の側に暮らしていたが、両親が税金の滞納により拘束され、財産を全て差し押さえられて路頭に迷う。それからしばらくはなんとか街の外で摘んできた花を売って生活の足しにしていたが、オプテュスのメンバーに因縁を付けられ、ジンガと綾に助けられる。以降は親が帰ってくるまでという条件付きで、フラットの世話になる。本来は明るく手先の器用な女の子だが、今は度重なるショックでふさぎ込んでしまっている。

普段は絶対に口に出さないが、夢は両親と再び家で暮らすこと。また、ジンガに積極的なアプローチを繰り返しているが、全く気付いてもらえない。

 

ブラウトルエル

【人名】

バノッサが召喚したサプレスの大悪魔。カニのような姿をしているが、鋏は蟷螂のような形状で、体の回りに放射状に目が着いている。相当な強者だったが、一瞬の隙をつかれ敗退。

 

ブラックラック

【人名】

バノッサが行使する、サプレスの召喚獣。元はリィンバウムの人間が、サプレスの術で不死の体を得た、リッチと呼ばれる存在である。不死を得る代わりに人間を止めたが、同時に生前の数倍の魔力を手に入れている。

 

ブラッシュ

【人名】

蒼の刃隊員。クジマに屠られ殉職。

 

フラット

【一般名詞】

レイドを後見人、ガゼルをサブリーダーとする集団。他にもエドス、リプレが所属しており、綾、カシスも加わった。元【フラット孤児院】だった場所をアジトにしており、孤児院にいた子供達、アルバ、ファズ、ラミを世話している。それに身寄りが無く孤独だった少女フラウを引き取り、世話する事にもなった。生活苦から荒事と関わる事が多く、ならず者集団オプテュスと対立している。現在ジンガ、モナティ、ガウム、ローカスが、メンバー外の居候として住み込んでいる。

ガゼル、リプレら中心人物は、フラット孤児院の院長だった【リシュール】に個人的な恩義を感じており、またそのようにありたいと考えている。税金の滞納で捕らえられたリシュールは現在消息不明だが、リプレは彼女の部屋を毎日掃除し、いつ帰ってきても大丈夫なようにしている。しかし鉱山に送り込まれたリシュールがもうこの世の人でないであろうと、二人は考えていた。

だが、リシュールは生きていた。ただし、アキュートに救出され、その軍師としてフラットの前に姿を現したのである。それは、大きな心理的動揺をガゼルにもたらし、フラットを激震させた。

アキュート首領であるラムダとレイドの死闘、樋口綾の説得を経て、アキュートとの和解に成功。以降は同盟関係を結び、協力して危機に当たっていく。

 

プロジェクト・エルゴ

【一般名詞】

エルゴを誕生させるために、ロレイラルが立ち上げた計画。メイトルパ、シルターン、サプレスも参加し、最終的に五機のエルゴが稼働した。

 

ヘカトンケイレス

【人名】

獣王クラス召喚獣の一体。機界ロレイラルの戦闘兵器で、攻撃用腕が複数あることから、神話の巨人の名を取って名付けられた。その戦闘力は圧倒的で、雷帝と呼称されることもある。無色の派閥幹部、ザプラが行使する。

 

ペルゴ

【人名】

アキュート幹部。穏やかで理知的な言動が好感を誘う大男である。言動に違わぬ優しい心の持ち主で、それが故にサイジェントの情況に対する憂慮は強い。槍術の達人で、その実力は相当な次元に達している。

アキュートの中でも、リシュールに継ぐ頭脳派。樋口綾と街の情況を語り合ったり、細かい事象から事実を推測しあったりと、緻密で整理された頭脳は確かな物である。樋口綾の頭脳を認め、高く評価する。

一流の槍使いであり、冷静沈着な戦いを得意とする。

 

北方人

【民族】

ほっぽうじん。主に旧王国領に住む人種で、肌が白く背が高い。聖王国の人間とは対立する事が多く、互いに憎しみあっている。

 

ポワソ

【種族名】

ギブソンの使う召喚獣。五つの浮遊ビットで、合わせて一個の霊的生命体である。攻防共に利用可能だが、操作するとそれだけで魔力を消耗する。

 

ま行

 

マーン家

【一般名詞】

サイジェントを牛耳る召喚師一族。イムラン=マーンを筆頭とする三兄弟がこれにあたる。なお、彼らには姉がいるが、住んでいるのは別の街である。

 

魔眼

【一般名詞】

まがん。メイトルパに住むメトラル族が使う拘束能力。目から光を発し、それを浴びた相手の体の自由を奪う。拘束時間は最大で十秒ほどだが、凝視系攻撃には珍しく、視線を合わせなくても有効。

 

魔将の剛剣

【召喚術】

ましょうのごうけん。サプレスから、上級悪魔が鍛えた剣を一時的に召喚する。剣は長さ三メートルほどで、重さは約五百キロ。一度に一本だけ召喚可能で、五分ほどで消滅する。カシスの必殺術であり、格上の相手もこれで屠り去った。

 

魔神剣乱軍

【召喚術】

まじんけんらんぐん。魔将の剛剣を、一度に四本同時に召喚する。カシスが戦いの中で身につけた、文字通りの必殺術である。特性は魔将の剛剣に準じる。

 

マルプト鹿

【種族名】

まるぷとじか。リィンバウムに生息する草食獣。ごく普通の大きさで、リィンバウム全土に生息している。角は薬の材料として売れるが、さほどの価値は出ない。

 

魔力

【一般名詞】

まりょく。召喚術を行使する際に消耗する力。体を自然に流れている魔力は気とも言う。精神力と密接な関係にあり、魔力を使えば使うほど精神力も消耗し、最終的には意識を失う。誰もが多かれ少なかれ持っていて、訓練次第では強化も可能。ちなみに魔力は空気中にも流れていて、此方は(マナ)と呼称する。

 

魔力過剰使用痛

【一般名詞】

まりょくかじょうしようつう。召喚術等で魔力を使用しすぎた場合に、全身を襲う鈍痛。筋肉痛に近い症状だが、個人差がある。使用者によっては、髪の色が変わったり、老化現象を起こすものもいる。

 

南スラム

【地名】

みなみすらむ。サイジェント南部のスラム地区。フラットのアジトがある。治安は比較的安定しているが、夜一人で歩くのは危険である。

 

魅魔の宝玉

【一般名詞】

みまのほうぎょく。バノッサがザプラに手渡された、強力な力を持つ道具。巨大なサプレス系サモナイト石を加工した物で、自在に悪魔を召喚、或いは送還する事が可能。また、本人の意思に応じて、その実力を強化するが、副作用として正気を徐々に奪っていく。

蒼の派閥が紛争に介入する際幾度か使ってきた道具だが、【シュザールフォール紛争】で暴走、大きな被害を出したためそれ以後は封印されていた。十七年前にオルドレイクが強奪し、以降は躍起になって蒼の派閥が探していた。現在はバノッサが飲み込んでおり、彼の力を加速度的に強化する手助けとなっている。同時に、彼の精神を侵し、怪物化する一助にも。

バノッサの究極的絶望を吸収した結果、その力は際限なく巨大化。ついにリィンバウムに魔王を呼び込む原因となった。

 

ミモザ=ロランジェ

【人名】

蒼の派閥の召喚師。寒門出身者で、エクスに抜擢された有能な若手。フィールドワーク専門で、体力はあるが、同時にとんでもなくがさつ。コンビを組んでいるギブソンの軟弱さに突っこみを入れるのが趣味。ギブソンと共に、エクスによってサイジェントに派遣され、同地の調査を開始する。その後は、フラット・アキュート連合軍に協力。共に戦い、世の矛盾を体感していく。

 

無色の派閥

【一般名詞】

むしょくのはばつ。オルドレイクを総帥に抱く組織で、四名の幹部ラーマ、トクラン、クジマ、ザプラの下、かなりの人数が所属している。仲間は必ず(同志)と呼び合い、差別を禁止、常に相手を思いやる事を義務づけている一方、組織外の人間には極めて冷淡。アルナ族、【罪を犯した一族】が多く所属している。組織の構成員は、或いはアルナ族や【罪を犯した一族】と同じ境遇の者ばかりの可能性もある。

(約束の地)の建設を目的として動いているようだが、その詳細は不明。また、蒼の派閥、金の派閥と呼ばれる組織に攻撃を仕掛けている。その攻撃は極めて苛烈で、かつ冷酷である。保有する実戦戦闘力、また攻撃能力から言っても、リィンバウムで最も危険な武闘派犯罪組織の一つであろう。

カシスらオルドレイクの子は派閥に属しておらず、オルドレイクも非常に冷酷に扱っている。その理由は彼らが、召喚師の遺伝子とオルドレイクの遺伝子をロレイラルの機械で組み合わせて大量生産された存在だからである。彼らは(産まれながらに栄達が約束された不平等な存在)であり、それはオルドレイクの最も憎む所なのである。

 

無色の派閥の乱

【一般名詞】

後世、無色の派閥が関わったサイジェント周辺での動乱をこう称する。公的には、【北スラムの血晩餐】を開始とする資料が多い。

 

メイトルパ

【世界】

ドラゴンに代表される、猛々しき獣たちが住む世界。幻獣界と呼ばれる。

ロレイラルから派生した人類が住み着いた世界の一つ。自然信仰、共存思想の者達が暮らし、自然共生文明が発達した。資源の浪費が全くなく、また生物としても強靱に発達し、世界自体は非常に健康である。

 

迷霧の森

【地名】

めいむのもり。オルドレイクが自分の子供達を使って、儀式を行った場所。立ち枯れてしまった森であり、既に生物の姿はほとんど無い。どうも産業廃棄物による汚染が、壊滅的なまでの立ち枯れを引き起こしたようである。それなりに広い森であるが、その不気味な様相から地元の住人は恐れて近寄らず、儀式を行うには格好の場所となった。ここで行われた殺戮劇に参加したカシスは、兄弟達を皆殺しにし、勝ち残る事で生き残った。

この深部には、オルドレイクが率いる【無色の派閥】本部がある。また、オルドレイクはこの土地を甦らせる事に腐心し、苦心の末この森の土で花を咲かせる事に成功した。

 

メスクルの眠り

【一般名詞】

めすくるのねむり。死の眠りとも呼ばれる、サイジェントを中心とする北部インダリオス地方の風土病。子供にしか感染しないが、その感染力は非常に高い。これにかかると、風邪に似た症状を示した後眠り込み、悪くするとそのまま死亡する。致死率は実に六割に達する。

何とも恐ろしい病だが、【トキツバタ】と呼ばれる何処にでもある薬草から簡単に特効薬を作ることが出来、なおかつ一度感染すると二度とかからない。更に十数年に一度しか流行しないため、意外に認知度は低い。

 

メトラル

【種族】

メイトルパに住む獣人(獣の性質を色濃く持つ人類)の一種。パワー自体はどうと言う事もないが、非常に身軽な種族で、(魔眼)と呼ばれる切り札を持つ。プライドが高く、好戦的だが、認めた相手には尽くす種族である。生きた動物しか生理的に受け付けない。

 

メルギトス動乱

【一般名詞】

めるぎとすどうらん。無色の派閥の数年後に発生した大規模な戦い。蒼の派閥と、悪魔王メルギトスとの戦いだと言われている。多くの資料が蒼の派閥に都合良く脚色されている事でも有名。旧王国南部と聖王国西部のかなり広い地域を巻き込み、多くの死者を出した。マグナ=クレスメント及びトリス=クレスメントという召喚師が中心になって解決した、という点では、多くの資料が共通した見解を持つ。

 

モナティ

【人名】

レビット族の少女。サーカスで見せ物にされていたが、紆余曲折を経てフラットに引き取られた。その時の経緯から樋口綾を慕っており、(ご主人様)と呼ぼうとして閉口させる。現在は、折衝案を入れて、(マスター)と呼んでいる。極標準的な性質を持つ、レビットの中では普通の少女。

他のレビット同様、非常に鼻が利く。それを利して、メスクルの眠りにフラットが襲われた際は、的確に特効薬になるトキツバタを発見した。また、数々の戦いを経た事、樋口綾に対する思いなどから、徐々に勇気を発揮、持ち前の力を発揮して活躍し始めた。

 

や行

 

ヤルフト

【人名】

オプテュスの人員の一人。体が大きく、小隊長格の指揮を良く務める。フラットとの交戦では、初期から関わっており、樋口綾を徹底的に憎んでいる。

バノッサの変貌、更に背後にいる無色の派閥の危険性に気付き、造反。粛正される。

 

ユロー

【人名】

オルドレイクの召喚獣。【ロックスワロウ】種の一体。オルドレイクになついており、その翼となって空を駆ける。

 

ら行

 

ラースト

【人名】

聖王国軍中将。四十三歳になる将軍で、蒼の派閥副派閥長エクスの旧友。生真面目な性格で、必要とあれば誰にでも苦言を呈する。

 

ラーマ

【人名】

オルドレイクの同志の一人。整理された緻密な頭脳がウリの女性である。彼女もまた、他の同志同様、仲間には優しいがそれ以外の人間を徹底的に憎んでいる。サプレスの召喚師であり、強大無比な各種悪魔を召喚する事が出来る。その実力は圧倒的で、一人で召喚師数人を相手にし余裕を持って叩き潰すほどだ。

【アルナ族】出身者である彼女は、幼い頃にアルナ族捕縛を専門とする業者に捕獲され、(養殖、加工)を目的とする屋敷の中で(飼われて)いた。母親だけが唯一側にいたが、その母親とも引きはがされてしまう。闇の中で長い時を過ごした後、オルドレイクによって助けられた彼女は、既に(食肉)に加工された母の無惨な姿を見ることとなった。アルナ族であるために、人間社会に生きる事が不可能であるラーマは、自分のため、そして同胞のために、誰よりも信頼出来る(同志)オルドレイクの元で戦うのであった。

蒼の派閥攻撃作戦の最前線に立ち、一人で複数の支部を壊滅させる。また、蒼の派閥が派遣してきた第一次討伐隊をトクランと共に迎撃、全滅的な打撃を与える。無色の派閥によるサイジェント城攻略の際には、一人迷霧の森の防備を任される。

当人は、複数種類の札を使った長距離戦を得意としている。札はサプレスの技術を利用して、無色の派閥が作り上げた物である。

 

ラッツ

【人名】

サイジェントの騎士。かなり老いてはいるが、有能な騎士である。サイジェント城における攻防戦で善戦する。

 

ラミ

【人名】

フラットで養われている子供。金髪の内気な少女。熊の大きなぬいぐるみをいつも抱きかかえていて、絵本が好き。非常に大人しい性格で、人見知りする。他人の感情に敏感であるせいか、それが希薄なカシスには特になつかなかった。現在では、心を開き始めたカシスにもなつき、関係は改善されつつある。

 

ラムダ

【人名】

アキュート首領。元サイジェントの騎士隊長である。髪の毛で片目を隠しており、野太い声で蕩々と話す。強さと優しさを兼ね備えた男であり、人望は厚い。だが、それが故に、彼は危険な方向へと迷走していく。断頭台と呼ばれる、超高圧の剣撃を得意としている。

サイジェント東部の荒野で偶然綾とカシスに遭遇。カシスを襲ったオプテュスを撃退するが、それは単純に義侠心に基づく行動だった。

アキュート首領として、不満を高める市民の暴動を扇動、その過程で(必要な分だけ)市民を犠牲にしようとし、樋口綾と激突。圧倒的な力量で一蹴する。またレイドの先輩であり、後事を託したのに召喚師の独走を止められなかった彼に失望と軽蔑を覚えている。

イムラン=マーン暗殺作戦で、樋口綾と再戦。その刀をうち砕くも、至近距離からの最大出力ゼロ砲を受ける。だがそれでも立ち上がったほどのタフネスの持ち主。超一流の実力者であり、レイドやイリアスに比べると、頭一つ分秀でた剣士である。

己の意地をかけ、レイドと激突。しかしそれが意地に過ぎない事を樋口綾に諭され、和解を決意する。以降はフラットと同盟、協力して危機に対する。

 

ランザルフェル

【人名】

バノッサが召喚した大悪魔。サイジェント城の防御指揮官で、ヴェロキラプトルに似た容姿を持ち、背中から二本の骨が突きだしている。骨には膜を張って滑空が可能な他、重力を操るという強力な能力を誇る。また格闘戦闘力も高く、冷静な状況判断も可能という文字通りの強者。樋口綾との戦いで、激しい駆け引きの末に敗死。

 

リィンバウム

【世界】

カシスやオルドレイクが暮らす世界。樋口綾が迷い込んだ世界。この世界の周りに、サプレス、シルターン、メイトルパ、ロレイラルが存在する。召喚師が絶大な権力を持つ世界であり、横暴な召喚師に対する民の不満が徐々に高まりつつある。

ロレイラルで発生した人類が、始め約束の地としたほど豊かな世界。資源が豊富なばかりか、どの世界でも珍重されるマナを自然発生させるという貴重な特性を持つ。人類はこの世界にあまり多数を移住させない事で、世界そのものを護る事を考えたが、リィンバウムは世界観貿易で富を築き、やがてその思想は途方もなく傲慢な物となっていった。資源に乏しいロレイラル、サプレス、シルターンはリィンバウムからの援助に血が出るような代価を支払わねばならず、やがて一線を越えたときに彼らはリィンバウムを一気に侵略、蹂躙した。侵略は侵略した側にも多大な溝を産み、それを解決するために人工神エルゴが誕生する。エルゴと、その代行者エルゴの王(誓約者)は世界間の摩擦を無事解決、現在まで世界レベルでの紛争は発生していない。

 

リシュール=ブライテス

【人名】

フラット孤児院の院長だった人物。学者並みの優れた知識と頭脳、それに卓越した行動力を持つ。ただし、経営者としての資質には欠けていた。

資産家の二女だった彼女は、サイジェントの現状を憂い、苦悩する存在だった。やがて彼女は一念発起し、自ら自由に出来る財産を駆使してフラット孤児院を建設、その運営に当たる。より弱きを助けるためのその行動には誰もが感動し、(賢母)と下町では呼ばれていた。

ガゼルやリプレがフラットを結成したのも、彼女の影響に寄る所が大きい。しかしその影響力は召喚師達に危機感を抱かせるには充分で、税金の滞納にて連行され、鉱山に送られた。

それから四年間、最も過酷な労働条件で酷使され続けたが、何とか生き延びる。そしてアキュートの者達に救出されてからは、その軍師として、サイジェントの体制を転覆させるため、その卓越した頭脳を振るい始める。

アキュートとフラットが和解した現在は、サイジェントの体制を改善するために行動中。サイジェントが良くなるまでは、フラットに戻らない事を誓っている。

 

リピテエル

【人名】

樋口綾の召喚獣。コルクの栓抜きのような螺旋状の体を持ち、左右先端部は鋭く尖っていて、三対の翼がその周囲をゆっくり回っている。色は紫で、体長は約六メートル。サプレス系の獣王クラス召喚獣。様々な防御シールドを展開し、最強クラスの防御能力を誇る。

 

リプレ

【人名】

【フラット】の家事一切を取り仕切る女性。ガゼルの幼なじみ。強い母であり、子供達からは(ママ)と呼ばれて絶大な信頼を寄せられている。フラットのメンバーは、殆ど全員が彼女に頭が上がらない。家事で鍛えられた力はかなり強く、怒ったときは鬼よりも怖い。

家事の達人であるが、特に突出しているのは裁縫。見た服を多少のメモだけで完璧に造ってしまうという特技の持ち主である。おそらく画家としての才能があるものかと思われるが、本人がそれに気付いているかは不明。また、自らの家事の腕にプライドを持っており、料理をけなそう物なら激怒する。

フラット孤児院の頃から、家事を行っていたことが、現在の習熟に通じている。また、ガゼル同様リシュール院長のことを非常に慕っており、現在も先生の部屋を毎朝掃除し、いつ帰ってきても良いようにしている。

軍師として、冷徹な一面を除かせたリシュールにショックを受けたガゼルを激励、立ち直らせるなど、フラットを陰から支える功労者だが、強いようで側面を突かれると非常に脆い一面もある。メスクルの眠りにアジトが襲われた際は、それがもろに露呈した。

 

龍神

【種族名】

りゅうじん。シルターンに住む龍族の上位種族。文字通り神の如き力を持つ。それ以上の詳細は不明。

 

誓約者

【一般名詞】

リンカー。エルゴと契約する事を(誓約)した者。人工神であるエルゴの代行者として、世界レベルでの改変を行う力を持つ。世界的な負の変革が訪れた場合、エルゴに選出される事がある。

 

ルパイトス

【人名】

二百年前に存在した召喚師。召喚術に失敗し、街一つを壊滅させた。結果怒り狂った民衆のリンチにあって彼は殺され、その一族は二百年に渡って悲惨な扱いを受け続ける事となる。

 

隷属纏召喚

【召喚術】

れいぞくてんしょうかん。樋口綾が作り出した召喚術の新しい形態。召喚獣を霊的な状態で召喚し、自らの魔力で再構築、物質化。本来の特質を最大限に引き出して行使する。

 

レイド

【人名】

理知的な男。ガゼルの尊敬を受けている。また、リプレも頼りにしている。かっては騎士であり、現在は【フラット】の後見人を務めている。剣の達人であり、特に防御には目を見張る物がある。普段は冷静だが、仲間を守るためには烈火のような一面を覗かせる事がある。指揮官としての手腕に優れ、綾から的確な策略を毎回引き出すことが出来る。また、本人も、戦略眼にかなり優れている。

ラムダの後輩であり、かっては騎士団長の候補にも挙がっていた。だがラムダが召喚師達の手によって退役させられ、周囲の騎士達が絶望して次々と騎士団を去る中、彼もその流れに逆らえなかった。また、ラムダ退役の責任は自分にあると考えており、しかも託された責任を果たせず逃げたとも考えていた。それは心の傷になり、長く彼を苦しめてきた。

強い精神力でそれをねじ伏せ、リーダーとしての責務を果たし続けていたが、ラムダとの再会でそれは再噴出。しばしの苦悶の末、樋口綾の説得で立ち直り、するべき事を見つける。ラムダとの死闘、樋口綾の説得を経て、アキュートとの和解に成功。以降は更に人間として成長していく。

 

レビット

【種族名】

メイトルパに住む獣人(獣の性質を色濃く持つ人類)の一種。肉食で、生きた動物しか生理的に受け付けない。力は他の獣人族同様非常に強く、リィンバウムの人間の六倍から十倍に達する。また、聴覚や嗅覚などの感覚も鋭い。性質は非常に大人しく、呑気で、殆ど召喚主に反抗する事はない。その性質を利用して、愛玩用や、力仕事に使うために召喚されることが多い。

 

レペキアル

【人名】

フラインの召喚した悪魔。六本の鋏を持つヤドカリといった姿の持ち主。ツヴァイレライに瞬殺される。

 

ローカス

【人名】

蟻の牙首領。優れた剣士であり、クールなようで実は非常に熱い心の持ち主である。社会の不公正に対する憤りから、蟻の牙を率いて(義賊)的行動を繰り返すが、軍によって組織は壊滅。彼は捕らえられ、さらし者にされた所を、アキュートによる暴動に巻き込まれる。そしてその最中、死にかけた所をフラットによって救われ、アジトに潜伏する。以降は暴徒達を助けてくれた恩義から、フラットに協力する。

 

ロックスワロウ

【種族名】

メイトルパに生息する空の覇者。四本の足と、額に蒼い大きな目を持つ巨大な鳥で、実に時速三百キロで空を駆ける。乗りこなすのは非常に難しく、召喚獣としてはさほど人気がないが、一度心を許した者には絶対的な忠誠をもって仕える。知能は高く、人語を話すことは出来ないが、ある程度解することは可能。

 

ロッテンブルク

【地名】

リィンバウムにある都市の名前。ラーマが此処にあった【蒼の派閥】の支部を壊滅させた。それ以上の詳細は不明。

 

ロレイラル

【世界】

想像を絶する高度な文明を有する鋼の世界。機界と呼称される。

人類が発生した世界で、ここからリィンバウム、メイトルパ、シルターン。サプレスへと人類は派生していった。科学文明を至上とする世界であり、最も老いた世界でもある。種として弱体化した人類は、機械化する事で命を補っている。

 

わ行

 

ワシェル山

【地名】

わしぇるやま。都市国家としてのサイジェントが保有する最大の鉱山。最深部は一種の強制収容所で、マーン家三兄弟の政敵や危険分子、重犯罪者と見なされた者達が、ただでさえ過酷な鉱山内でも最も過酷な労働を強制されている。

北部斜面には労働者達の墓場があるが、死体の数が多すぎて埋葬に手間が掛かりすぎるため、現在では野ざらしのまま放置されている。毒ガスで真っ黒にそまった骨は、貪欲なはぐれ召喚獣達でさえ見向きもしない。この凄惨な有様は、【血の坑道事件】の引き金の一つとなった。

 

ワレイシェフェル

【人名】

バノッサが召喚した大悪魔。ガガンボの幼虫に、蜘蛛の足を無数に生やしたような姿をしている。ランザルフェルの副官。誇り高く部下思いで、また真面目である。壁を自在にはい回り、体中から触手を伸ばし、口から光弾を放って攻撃出来る。また、恐ろしくタフでもある。部下達を焼き殺したバノッサの命令に反発、フラット・アキュート連合軍に突撃して(誇りある死)を遂げる。

 

ワルトハイム村

【地名】

わるとはいむむら。リィンバウム北部に存在した小さな村。雪深い地にあり、周囲との交通手段がなかったため、典型的な閉鎖的性質を持っていた。クジマの出身地。クジマによって滅ぼされた村でもある。

 

その他

 

A

【一般名詞】

蒼の派閥が危機管理の際に使うランク。Aは国家破滅クラスと呼ばれ、そのレベルの災害が起こりうることを示す。

 

AMM

【一般名詞】

アンチミサイルミサイル。ミサイル迎撃用のミサイル。体当たりする物もあるが、多くはミサイルの近くで爆発して敵を叩き落とす。

 

M47995

【人名】

ロレイラルの召喚獣。ザトウムシに似た姿をしている。足は六本で、背中には巨大な砲を装備している。足の二本は鋏。標準的な戦闘能力を有した、欠点も長所もない召喚獣である。

 

S

【一般名詞】

蒼の派閥が危機管理の際に使うランク。Sは世界破滅クラスと呼ばれ、これが発動すると蒼の派閥内で厳戒態勢が取られる。

 

1022式自律思考型陸上戦闘車両

【種族名】

ロレイラルの召喚獣。自律思考する戦車で、主力兵装は上部に設置されたミサイルポット。小型ミサイルを50発格納している。また、そのほかにも車体の左右には大口径ビームライフルを装備し、攻撃能力は非常に高い。キャタピラで移動するため、悪路にも強い。