呼吸器の病気シリーズ

胸痛

 胸痛には、内臓痛と皮膚、骨などの表面の痛みがあり、知覚神経の違いで、内臓痛は部位が曖昧で鈍い痛みのことが多く、痛みのある部位に病変あるとは限りません。皮膚・骨などの痛みは鋭く局在がはっきりしています。胸膜や胸壁の痛みも同様で、病変部位と一致することが多く、呼吸や咳などで増悪します。帯状疱疹では、疱疹が認められる前に、神経痛様の強い痛みが認められます。患者さんは、胸痛を感じると肺に病気があるのではないのかと思われるでしょう。食道・気管・気管支の炎症や異物、上気道感染症などで前胸部に灼熱感程度の曖昧な痛みを感じますが、末梢気管支や肺には知覚神経が分布していないので、原則として痛みは感じません。逆流性食道炎では、夜間に仰臥位で灼熱感が増強するのが特徴です。いずれにしても、胸痛の原因が多様なため、病気を判断するには問診が重要で、部位、性質、誘発因子、持続時間(反復性)、放散感(痛みのひびき)、随伴症状などに注意してお聞きします。