呼吸器の病気シリーズ
肺気腫
中年以後の男性、しかも喫煙者に多く見られます。症状としては息切れで、社会活動の制限が起こる病気。
原因は、喫煙と蛋白分分解酵素・オキシダントや遺伝的素因が考えられます。患者さん自身がコントロールできるのは禁煙です。
では肺気腫の肺はどのようになっているのでしょうか。気管支の末端部分の終末細気管支や肺胞の拡張と破壊、肺の弾力性の低下が起こっています。膨らせたまま数日間放置した、しわしわの風船を想像してください。こうなると息を吐く力が弱くなるし、空気を吸って酸素と炭酸ガスのガス交換する力も低下してきてます。そうなると歩行時にも呼吸困難(息切れ)が起こってきます。
さらに悪くなると、心臓と肺の機能の低下が起こるだけででなく、酸素が体の臓器に充分にいかなくなり多臓器障害を生じ、死亡原因につながります。
肺気腫は診断するのに困難な病気ではありません。胸部のレントゲン写真や呼吸機能検査などで分かります。最近、階段の上り下りや運動で息が切れるなどの自覚症状が認められる方は注意が必要です。
息切れのレベルの判定にHugh-Jonesの分類があります。同年齢のお友達と歩いてみてご自分がどうか判断してください。
1度 同年齢の健康者と同様に動け歩ける。階段の昇降も健康者並みにできる。
2度 同年齢の健康者と同様に歩行できますが、坂・階段の昇降は健康者並みにできない。
3度 平地でさえ健康者並みに歩けない。しかし、自分のペースでなら1.6km(1マイル)以上歩ける。
4度 休みながらでなければ50m以上歩けない。
5度 会話、着物の着脱でも息切れがする。息切れのため外出できない。
治療としては対症療法が中心ですが、早期に行うほど、効果があがりますので、呼吸器専門医師と相談してください。