呼吸器の病気、肺癌(1)

健康推進法の施行で、公共機関での禁煙が進んでいます。喫煙と関連のある病気の1つとして、皆さんが気にされる肺がんについてシリーズでお話します。

全悪性新生物の中で、肺がんは、全世界的に1950年ごろから増加傾向となり、欧米では20世紀後半から男性の死亡原因の第1位です。日本ではその増加が緩やかで、胃がんについで第2位でしたが、最近とうとう男性で第1位となりました。

呼吸器という特殊性から、全部切除することが当然ながら不可能なため、他の癌に比較して治療が困難な癌です。実際に何らかの症状で病院を受診された段階で、手術して治る頻度は20%以下といわれています。さらに肺がんの特徴として、組織レべルで分類すると9種、比較的頻度の多いもので4種類もあります。これは他の癌にはない特徴で、各々で悪性度や進行形態が違うため、治療を困難にする原因の1つです。

呼吸器の病気、肺癌(2)

 肺がんの発症機序としては、喫煙・大気汚染・突発間質性肺炎などと密接な関係があるといわれています。特に紙巻タバコ喫煙者の肺がん死亡率は、非喫煙者と比較して、男性で4〜14倍、女性で2〜4倍となります。最近受動喫煙副流煙中には、ニコチン濃度が高いのが問題となってきています。夫が重喫煙者の場合、非喫煙者である妻の死亡率は、非喫煙者の家庭に比べて2倍になるといわれています。

 肺がんには、類表皮癌・腺癌・大細胞癌の4種類があり、各々進行度合いが異なり、生命予後が違います。類表皮癌より腺癌、特に小細胞癌は遠隔転移を起こしやすく、予後は小細胞癌・大細胞癌・腺癌・類表皮癌の順に不良です。喫煙と関連性の高い類表皮癌・小細胞癌ではやや男性に多く、女性では圧倒的に腺癌が多い傾向です。

 この機会に禁煙は?


つづく・・・

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