ペニー・ジョーダン原作  藤田 和子
          シルバー


ハーレクインです。
女性セブン連載です。
ああ、ついに書いてしまった・・・。

よく立ち読みするんですよー。
最初は美容院とかで読んでいたのに、待ちきれなくって。
なのにこちらは発売日一日遅れ・・悲しい!


(そうなると、美容院では読みたい本が無くなるんです。
セブン以外はどうでもいい。マンガ以外の記事も一緒。
そんなワケで、美容院には自分の本持参します。
ハリポタ「秘密の部屋」や、佐藤賢一の「ジャガーになった男」は、美容院で読み切った・・ヘンな客!)


実を言うと、前に連載していた「レッド」も、結構好きで読んでいました。
虐待やら、レイプやら、児童ポルノやら、重たいテーマてんこ盛りで・・(や~らし~!爆)。
最近ドラマなんかにもなったりして。
でも、結末がなあ・・・原作の方が好きでしたねえ。
あまりにも男に振り回される人生で・・・原作みたいに、なんとか自分の足だけで立ってみせる!
なんてところが無く、ヘンにハッピーエンドで終わっちゃって。
そこが女性誌なんでしょうなあ。


ありゃ、「シルバー」はどこへ行った?!
話を戻そう。


                      


イギリスのロスウェル伯爵令嬢ジェラルディン・フランシス・フィッツカールトンが、自分を騙し、
父を殺したいとこ,チャールズに復讐をくわだてるお話。


容姿は飛び抜けて美しくはない、でもチャーミングな14歳のお嬢様ジェラルディンは、
美しいいとこのチャールズに夢中になります。
しかし、チャールズは母親のマーガレット(ジェラルディンの伯母)に小さい時から、
「ロスウェルを手に入れるのよ!」と、たきこまれている。

この伯母様、かけおちして伯爵家を出たはいいが、男にさっさと捨てられ貧乏して、
当主となった弟ジェームズを逆恨みしているんですね。

その息子のチャールズは、高校時代から麻薬の密売に手を染め、自分は薬には溺れず、
人を金と薬で操る悪のヒーロー。

ジェラルディンに気のあるふりをして、実はかくれて女遊びのし放題。
チャールズに危険を感じ取った父のジェームスが虫除けに家庭教師を雇います。
それが、もう一人のヒーロー,ジェイク・フェットン。



ジェイクは身寄りのない大学生ですが、実はフェットン男爵家の生き残り。
ただ一人の兄は、祖父にホモである事を責められ、口論の末に銃の暴発で祖父を撃ち、
自分も自殺してしまいます。

そんな影を背負った男。



フェットン男爵家は代々武門で名を馳せた家柄とかで、彼の登場の仕方も実にかっこよく、
『お姫様を守るナイト』そのものでした。(一昔もふた昔も前の少女マンガ風!)




さてさて、ジェラルディンは伯母には「親に似ぬ鬼っ子」とさんざんこきおろされて、
自分に自信がもてない女の子になってしまい、もともと学校にも通わず狭い人間関係の
中で育ったため、美男子のいとこしか目に入らない状態。



いかに父がチャールズを遠ざけようとしても、気性の激しいジェラルディンはますます
チャールズに夢中になる始末。
ついにはチャールズとかけおちをしてしまうんですね。
ああ、それが悲劇を引き起こす事になるなんて・・。

チャールズと出来ちゃった、とまわりに思われ、父に婚約を許されるのですが、
それで気を許すチャールズじゃあない。

ついにジェームズは自殺とみせかけ、チャールズに殺害されてしまいます。
目撃していたジェイクは当然解雇。
ジェラルディンに淡い恋心を抱いていたジェイクは、失望し、去っていきます。


こっからが読んでいてむちゃくちゃイライラし、不愉快になるところ。

ジェラルディンは女学校の寮に入れられ、さんざイジメられるわ、不実な恋人が尋ねて
こないストレスで過食に走るわ。

18歳で家に戻るころには、トンデもないおデブちゃんになってしまうんですね。


『それでもチャールズは私を愛してくれている・・、彼は悪い人でない!』と信じていた
のに(はやく気付けよ~!と、読者はイライラすること間違いなし!!)、チャールズの
ほかの女との情事を目撃、真実を知ってしまいます。



彼にさんざ傷付けられ、父が死んだ崖の上に立ったジェラルディンは、踏みとどまるも、
真っ白い髪になってしまう。

ジェラルディンの『死』と、シルバーの『誕生』。



行方不明になって死が確定されるタイムリミットの7年の間に、彼女はシルバー・モンテーヌ
となり、チャールズへの復讐を企てます。



まず、最初の二年でダイエットとエクササイズでナイスバディを、
次の一年で整形し、ジェラルディンとはわからない美しい顔を。


そして、チャールズを陥れる『魔性の女』となるべく、ベットテクニックを学ぶために
雇った男は、なんと失明したジェイクだったのです。

 (かつての家庭教師がセックス指南の教師にってかー!
             これは原作にないアブナイ設定なんですよね~!)

腕のよい麻薬捜査官になっていたジェイクは、麻薬組織団によっておこされた事故で、
婚約者と同僚と、そして視力を失ったんですね。
自分を責め、麻薬組織に復讐をすることだけを生きる支えにしているんです。
そのジェイクがシルバーに要求したのは200万ポンド(約3.5億円)って、アンタ!!


ジェイクのなかの「小さな幸せなジェラルディン」の想い出をこわしたくないシルバー
でしたが、ついにジェイクに正体を明かされてしまいます。

いや~、ジェイクったら、シルバーにあ~んなことやこ~んなこともしているのに、
彼の妄想の中のジェラルディンは、いつまでたっても14歳なんですよー。
(アンタ、そりゃ犯罪だよ・・・ホントは21歳だけど。)

一度は止めようと思ったレッスンも、14歳のジェラルディンが他のオトコに抱かれる妄想が、
彼をして、ジェラルディン=シルバーのはじめての男にならしめます。
そしてふたりはズブズブとお互いに溺れていってる・・んですけど。

シルバーは、ジェイクはベス以外誰も愛さない、と思いこんでいるし、
ジェイクは、ジェラルディンは憎むほどチャールズを愛していると思いこんでいるし。

気持ちが微妙にすれ違ったまま、別れて復讐へと旅立つ・・。


                    

まだまだマンガでは完結しそうにない。
でも、原作読めば結末わかるじゃ~ん、て、甘い。
既に設定がはじめからずいぶん違ってきている。

ジェイクとシルバーが初めて出会うのは、原作では‘シルバー’となってから。
他にも、ジェイクの婚約者ベスがシルバーと出会う、出会っていない、とか。
(原作では、彼らはすでに結婚しており、ベスは身籠もっていて、ひき殺された。)

原作にないキャラ(サリム・・・彼にはもっと出て欲しい・・・)が出ていたり、
ベスの極道ハハオヤのグロリア・ピリングが出てこないとか、
いろいろあるんですが。
(グロリアはマーガレット伯母と重なるキャラなので、省略されたのかな、と思う)

ジェイクとシルバー、そしてチャールズが最初から出会っている、っていうのが、
その後のとんでもない違いを生じるんです。

原作の結末は、もはやあり得ません。(←断言していいのか?!)

原作では、シルバーとジェイクが出会うまでのお話がとおっても丁寧なんですが、
その後、シルバーがチャールズを追いつめていく様子が物足りない。
(チャールズがもう既に半分壊れているんだもの。彼にはもっと悪事にはげんで欲しいところです。)
結末はもっとあっけない。


そういや、人格も原作とはちょっと違いますね。
ジェラルディンは、原作ではシルバーになってからが、結構凛々しい。
マンガ版シルバーはいつまでたってもお嬢様から抜けきらない。
復讐もいまいち、行き当たりばったり。
いやいや、外見が変わっも、中身までそうそう変わるもんじゃありません。
そこが彼女のイイトコロかもしれない。

ジェイクも同じ気持ちなんじゃないかしらん。
‘ジェラルディン’のままじゃ危ないと思うし、
シルバーの中の‘ジェラルディン’を垣間見ては心が癒されているし。

(ハッ、これもひょっとして、せらむんうさぎちゃんみたいに変身モノか?!○に代わってオシオキか!!)


原作のラストで、ジェイクが「君の中身にホレた」みたいな事を言っていたんですが、
いったいあのお話の中で、一体どこにシルバーの内面にグっとくる所があったのか。

その点、ジェラルディンの人間性を、マンガ版では長所も短所もいっぱい掘り下げています。

ベスは逆に、やたらマンガ版がかっこよすぎで、キャラが変わっていましたねえ。
ジェラルディンに素直な気持ちで、ベスとジェイクの幸せを祈らせたかったのだと思いますが。


ワタシは「レッド」とは違い、「シルバー」はマンガ版の方がずっと好きなのですが、
ただ、ジェイクがシルバーに贈った香水のエピソードは好きなので、なんとか使ってくれないかな。
これはジェイクがシルバーに‘マーキング’をしたんでしょうかね(笑)。



藤田和子センセが、この先どういう持って行き方をするのか、楽しみ!
お願いだからラストでコケないでね。
さ、今週も立ち読み、立ち読み!

                                                (2001 12.22)



シルバーコミックス
セブン立ち読みしているけど、ちゃんと買いそろえましたわ。

コミックス・シルバー全5巻   藤田和子     小学館
原作・シルバー          小林町子 訳 MIRA文庫


ファン・サイトには、ネタばれBBS中心のJFC
(ジェイク・フェットン・クラブ・・・主人公じゃなくて、ジェイク!)
があります。時々藤田センセも現れます。
                    www.remus.dti.ne.jp/~shioiri/