在りし日のポメラニアンのポピー 西根家ペットご一同様 【動物のお医者さん】
佐々木 倫子 「花とゆめ」連載(1988〜1993) 花とゆめコミックス1〜12巻

獣医をめざしている学生と、彼らをめぐる人々&動物たちの物語。
主人公ハムテルのH大受験前、シベリアンハスキーのチョビとの出会いに始まり、
無事資格も取れ、博士課程で将来の展望が開けた所で終わるが、一話完結であり、
とびとびに読んでも十分楽しめる。
 昔飼っていた十姉妹の夫妻 ハムテル(西根公輝)

 二階堂昭夫  天井にはりつくヤモリちゃん(ペットではないんですがね・・^^;) 


主な登場人物


ハムテル(西根 公輝・・・
           ニシネ・ハムテル・キミテル・マサキ  マサキが本当らしい)
二階堂 昭夫(ハムテルの親友 金魚のフン・・とも  ネズミ系が大の苦手)
ハムテルの祖母(頑固なのだが、いいかげんな人)
漆原教授(ハムテル・二階堂の担当  
                   怪獣のお医者さん・・・とも? アフリカ・フェチ)
菅原教授(イギリス紳士風 公衆衛生学の先生)
菱沼聖子
(‘マドンナもどき’ 血が好き、低血圧、動物にことごとく嫌われる)  
その他 大勢の学生、関係者    
 
登場動物

チョビ(シベリアン・ハスキー犬のメス  西根家で一番おとなしく安全なペット)
ミケ(西根家のボス猫 なぜか大阪弁)
ヒヨちゃん(オンドリ 西根家最強にして凶暴なペット)
スナネズミのおとうさん、おかあさん、その他いっぱい  (かわいいだけがとりえ)
その他 他の学生のペット、実習動物、患畜など、大勢



動物残酷物語(ここから先は、あまり「動物のお医者さん」には関係ありません。)


小さい頃、家の背戸にを飼っていた。もちろんタマゴを採るためだが、私は小さすぎて世話はしていない。時々小屋から放
されると、コワくて背戸に出られなかった。最後の1羽がシメられるのを目撃している。即、トリ鍋になって出てきた。

もいたらしい。私が生まれる前なので、話を聞いただけだが。きれいなミケ猫だったそうだが、歳とって、ある日突然いなく
なったとか。家を建て直した時、床下からひからびた死体が出てきたそうだ。なんか野生っぽい死に方!



初めて自分が世話をしたペットはジュウシマツ。小4くらいだったろうか。タマゴを産むと、ちっちゃなそれがめずらしくって手
に取ってみた。それがいけないことだとは自覚せず。そんなわけで繁殖するのに時間がかかったが、数年後、なんとか6羽に
までなった。ある晩、窓を閉め忘れ、気付いた時にはカゴの中は、トリの頭だけがころがっていた。猫にやられたのだ。猫だけ
は飼いたいと思わないのはこのせいだと思う。猫には罪はないんだが・・・容疑者猫のヒゲをちょんぎってやった。

その後、迷いインコを飼っていた事がある。前の飼い主がしつけたか、たまに手に乗った。
ある朝 、いつもと違う鳴き方をしているので見に行ったら、巣を固定している細い針金が、首を貫通して動けなくなっているの
だ。おそるおそるインコを針金から抜いて、赤チンを傷口に塗って置いたら、なんとすっきり直ってしまった。(わたしゃ漆原
教授かハムテルのおばあさんか?!)
このインコは、家に来たときのように、再び家出していなくなった。



それから3匹の犬たち。
2匹は柴犬系の雑種(同時ではなく、1匹目が死んでから、2匹目が来た)。メスなのにジョンと、大人になってもチビと。
(結構我が家も、西根家に負けないネーミングをしていた。)番犬で家族以外にはよく吠えた。かしこいもので、よく顔を出す
叔父には吠えたが、普段家にいない長兄には最初の1度だけしか吠えなかった。
どちらも出産しているので、犬の子育てを十分観察できた。離乳し、親と同じようなものを食べ出す頃、必ず親のエサ入れに
首をつっこむヤツがいる。そうすると怒ること怒ること!こちらがビビるくらいに叱る。
2匹目はあまり子犬に強くでられなかった。とたんに子供にナメられていたものだった。2匹目にはその後避妊手術を受けさ
せたが、医者がヤブだったか、すごく出血して、見ていてビビってしまった。数日後にはもう走り回れるようになっていて、こ
れもまたビックリ。
2匹とも、戸締まりのいいかげんな田舎の家をよく守っていてくれたものだった。どちらも実家の庭の土となっている。

ところが、嫁いできた家に、私とほぼ同時に家に来たポメラニアンのポピー、こいつはとても犬とは思えぬヤツだった。冬は
コタツに入り込んでいるし、階段はコワくて上れないし、庭に出せば近所の猫に負けるし。ただ、来客にはよく吠えたので、呼
び鈴がわりにはなっていた。
犬は飼い主一家の対応に序列をつけるというが、この犬のNO.1は、エサをくれるばーちゃん。NO.2は散歩につれていくじー
ちゃん、私の所には、二人がいないとやって来てヒザに上る。(このやろう〜!)ポメラニアンとしては長生きの15才くらいま
で生きた。無理にガンの手術をしなかったら、もう少し生きたかもしれない。この犬はペット葬儀専門のお寺で葬式をしてい
る。(この間、合同法要のお知らせが届いておりました。)


子供の頃、よくトンボやセミ蝶々なんかの虫取りをしたものだった。(田舎だったのよ〜!)
網で採っては「ぼ〜んにかねもってこ〜いや」などと虫に恩を売ってから(?)放してやったものだった。
それでも、何匹かに一匹は羽がもげたり、カゴに入れたまま放置したりで、死なせたものだった。
遊び仲間と‘カエルの解剖’なんてやった覚えがある。人とこんな話しをしていると、「カエルの肛門に爆竹入れて火を
付けた」
とか、「ストロー突き刺してふくらませた」とか言うヤツがいる。

家の近くで男の子に混ざって釣りもした。ミミズをつけられなかったので、釣れるのはちっこいタナゴかフナくらいのものだっ
たが。たいがい放しているのに、一度だけ、小ブナを小さい水槽に入れて、机の上で飼っていたことがある。正確には入れ
ていただけ。エサは気が向いたらおせんべのカケラなんかをあげていたような。ところが死なない。気が向いたときに水を足
すだけの水槽には、いつしか水コケがはえていて、それをたべていたのだろうか。何ヶ月かそのままだったのだが、これじゃ
いけない、とばかり、川に放してきた。

こんないいかげんなところは、しっかり娘にも受け継がれているようで、現在家で飼っているヒメダカがこの状態に近づき
つつある。ただし、ヒメダカは在来種ではないので、近くの用水に放流するワケにはいかない。寿命を全うするまで、親が目
をひからせるしかない。



娘はポメラニアンのポピーを一度もまともに抱けないまま、犬の方に死なれてしまった。(娘は犬の家族序列では、たぶん
最下位だったろう。)
「コイツは動物はダメかな」と思っていたが、四年生になって当たったウサギやニワトリの世話、サボらずに結構楽しそうにや
っていた。娘の学校のニワトリは小型のチャボだったので、恐怖感は抱かなかったのだが・・・・。
学校でレグホンなど、飼うものではない。あれほど凶暴なペットはいない。相手が弱いと知るや、必ず足やらかまわず
つっついて来る。前任校にいた
‘ルパン’は、正にそのタイプ。
しかし、一年に一度か二度、彼らはお役に立つ事がある。それは、写生のモデルのなる事。子供達に恐れられた‘ルパン’は
その点、すばらしいモデルで、対外的なコンクールに出した絵が、みごとな賞をもらった事がある。
私の在籍中に‘ルパン’は死んじまった・・・。



「人は小さい時から、他の生き物の命をいっぱい無駄遣いして、そしてそれがいっぱいになったら、‘命’の事を学
んで‘命’を何より大切に出来るようになる。だから小さい時にいっぱい虫採りをしなさい。」

・・・って、誰の言葉だったっけか。いっぱい命を無駄遣いして成長した私は、とりあえず‘命’について考えられるようにはなっ
ているつもり。*(虫採りのおかげかどうかは疑問だが。)私と一緒に虫取り魚釣りした連中も同じだ。

しかし、近年、大きくなっても大人になっても、小さな命を無駄遣いし、だんだんエスカレートさせて動物を虐待し、
しまいには人の命まで奪うようになっていく者がいる。自分の子供を愛せないどころか、(いや、愛し方を知らない
のか)子供を虐待し、死に追いやる親がいる。いったい、どこでどう間違ってしまったのだろう。


*ただし、ハエ,カ,ゴキブリは除外。私はゴキブリを見つけたら、冷静にあたりを渡して、即、武器(スリッパ,新聞紙,殺虫剤etc,)を探す。

    


「動物のお医者さん」は、獣医になろうとしている学生たちが主人公のマンガだ。

「花とゆめ」に連載されていたので、‘少女マンガ’なのだが、おきまりの恋愛エピソードがいっさい出てこない。オトコ2人
が金魚のフンのごとく、いつもくっついて行動しているが、別に○モでもない。
普通のマンガなら‘マドンナ’に相当する菱沼聖子は、天然ボケの怪しさで、まじめにお笑い部分を引き受けてくれる。
ハムテル,二階堂,菱沼がそろっていると、まるでしっくりとくるのだが、将来菱沼をめぐって男ふたりの友情にヒビが入る・・・
なんて事は、ぜえ〜ったいに起こりそうにない。

かといって、『獣医を目指す若者たちのヒューマンストーリー』か、と言えば、これまた全然違う。
これほど感動的になりそうなモチーフを、感動的に描こうとしない作者もめずらしかったりする。
ちょっと前に、日テレでこのマンガをヒントにしたと思われる「愛犬ロシナンテの災難」を放送していたが、最終回の、これでも
かこれでもかのお涙チョーダイには、いささか辟易したもんだ。
だが佐々木 倫子は、どんな感動的場面も絶対お笑いに逃げる。この作者一流の‘照れ’なんだろうか。

ムリヤリ感動的だったと思う場面を探すとすると・・・・山で行方不明になったチョビが、鎖がからまった切り株を掘り起こし、
ゴロゴロ引きずってハムテルのもとに帰ったエピソードかな?(ちょっとホロリと来た)
しかし、その直後にカミナリのような音を聞いて、よそ様のバギーの下にうずくまる、カワイソウなチョビの図が出るのである。


そんなわけで、このマンガを読む人は必ず、笑いすぎて腹筋が鍛えられる事、請け合いだ
私も夜中に何度か引きつけ笑いをしたもんだ。
(歌に必要な腹筋は、このような鍛え方の方が体操より効果的である・・・な〜んちゃって)
そして、読み終わって「ハムテルよ、君はきっといい獣医になる!」なんて、漆原教授を気取るのだ。


セリカ?

マンガ以外の事に気合が入ったページになっちまいました。期待して読んだ方、すんません。
そして、「動物のお医者さん」をどんと12巻貸していただいたばかりか、太っ腹にも、全巻譲渡して下さったS様、ありがとう!!!
アナタはわたくしどものHP「まんが箱」コーナーの功労者です〜。