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痩せる決意をつけたい
格闘記録
私のデブ時代と今

ここでメゲちゃうから失敗する。大事な分岐点(1)


このページのタイトルとはちょっとかけ離れた前ページからの話の続きからしよう。
私は大デブの120キロの最中にある女性に不覚にも恋をしてしまった。「不覚にも」とつくからには、かなり大胆な選択をしてしまった事は想像にかたくないだろう。30歳を過ぎた大デブがこともあろうに20歳そこそこの小娘に恋してしまったのだ。
若い頃と今との対異性関係のギャップに気づき始めた私は本当に寂しい日々を送り始めていた。もちろん恋などままならず、悶々と一人ぽっちの生活を送り、そのウサを晴らすがごとく狂ったように飲み、食べた。大デブ男性諸兄には憶えもあろうと思うが、こんな時に美しい女性が警戒心なしに自分の体にスリ寄ってくるのを見ると、「あっれ?こいつちょっとデブ好き?」などと良い方向に勘違いしてしまう。そして「少ないビッグチャンス」とばかりに頭の中が真っ白になる位攻略法を考えてしまうのだ。全くもって不覚どころか、大バカ以下の勘違い野郎を演じてしまう事が想像出来なくなってしまっているのだ。これも大デブの弊害の一つか。

その娘はやけに明るく人見知りしないタイプの子だった。頭の中は「ひらがな」だらけの典型的な現代ギャルだが、何しろ人なつっこい。こういう子には自分も含めた勘違い男が何人もうろついている。皆ドングリの背比べなのだが、デブはチビをチビはハゲをハケ゛はデブをそれぞれ「敗者」と勝手に予断している。誰もが年末ジャンボ宝くじを買った時以上の妄想を抱いているのだ。いずれにしろ、当たりはしないのに。
私はこういう連中の中では頭一つリードしていると真剣に考えていた。もちろん実は全員の男がそう思っていたのだが。そして決着をつけ、敗者達を奈落の底に蹴落すための告白をしなければならないと、これ又真剣に考えていたのだ。

面倒はヌキにして結果からお伝えしよう。
{その時のLIVEから}
「オレの女にならない?」
「な、なんで?」
「……」
「私デブな人はダメだよ〜」
「….」
「釣り合い取れないじゃん、年とかもさぁ」
「うぅ」
「お見合いとかしないと一生独身だよ!」

まぁ、非常に簡単に書くとこういう会話があった。
フラれた上に忠告までされてしまっている。
分かってはいた事なのかも知れないが、私にとっては笑い話にはならなかった。その子には全く罪はない。そうではなく、「とんだ勘違いヤロー」の自分がムショウに情け無く、又かっこ悪く思えたのだ。「何やってんだろ、俺は」。誰でも言いそうなひんなセリフを吐いて悔しさに苛まれた。私はその帰りに悔しさと情け無さをソープランドにぶつけてしまった。全くもって恥ずかしい。しかし、ハードラックはどこへ行っても止まらない。失意の中で燃え滾る無節操な下半身をさらけ出している私に、そのソープ嬢は一言、「おきゃくさん、太ってるねぇ」。たぶん違う成り行きだったら怒りもせずに笑っていただろう、しかし失恋した上に、どんなに落ちぶれてもソープランドだけは行くまいと頑張って来た私がまるで抗ガン剤を打つような決心で行った場末のソープ女に言われた一言は、私を怪物に変えた。やさしい言葉をかけて欲しかったのだ、現実から逃げたかったのだ、デブを忘れたかったのだ。

その反動は口から爆発するように出た、「テメエはデブバカにしてんのか?ソープの女のクセにデケエ口叩くんじゃねえ!」ひどい罵りである。あまりの怒りに彼女は身の危険を感じ、すぐに男子店員を呼びに行った。「お客様どうなされたのですか?」「こいつがオレをデブ呼ばわりしやがったんだ!」全裸の120キロが叫ぶ。デブがデブと言われ怒っている。店員は平謝りでなんとか違う女性をと懇願した。しかし火のついた怒りはそう簡単に収まらない。すったもんだした挙句、そこで一番きれいな女性にチェンジという事でようやく落ち着いた。あくまでデブでもスケベな自分が情け無い。

相手はプロだ、チェンジしたその女性は私の顔を見るなり、「何があったの?元気出して」
私は一瞬にして奴隷のようにシュンとしてしまった。この言葉を聞きにここへやって来たのだ。プロはさすがに優しかったし、私に何があったかを知っているかのようだった。そして私がポロポロと失恋について話をし始め、全てを聞いた後たった一言、「痩せるしかないよね」
「本当にその気持ちを変えたかったら痩せるしかないよ」

この女性はすごい人だ。その時の私の状態だったら、「また私が慰めてあげる」と言えば、私は間違いなく常連になっていただろう。それをこの場末の女は勇めているのだ。最低の男が最低の場所である意味最低の女性に怒られている。なのに今度は全く腹が立たない。その女性には何か言い知れぬパワーかあった。苦労したのだろうか、「黙々と耐える」事を知っている遠い目で、私に忍耐を悟している。
しっかりやる事はやって帰路につこうとする私にその場末の女はこう言った。「痩せたら又絶対来てね」。ウンと返事したものの、「二度と来ない」と誓った。

そう、こんな所でこんな状態で、私はデブが忘れている簡単な事実を思い出したのだ、「痩せよう、時間掛かってもいい、痩せよう、不可能じやない、絶対痩せよう」。情け無さの極限と自分の怒りに対する悔しさ、そしてデブと罵った人々への憎しみ、そしてそれを導いた、何よりも自分自身の甘さ。私は自分自身と世間を見返す為に「絶対ダイエットに成功する」事を誓った。あまりにも情け無い現代小娘との失恋に、遅かりし覚醒をしたのだった。

ここまでの精神的な流れについて言えば、誰でも似たように思いや経験をしているはずだし、そういう決意だってしてはいるはずだ。
だが、問題は「咽元過ぎれば。。」の発想、それでも食べ物をついつい口に運ぶだらしなさ。
ダイエット宣言の時は本気でそう思っても、1週間と緊張が続かないのがデブの悪い所。
ある意味楽天的とは言え、自分自身が情けない。しかし、ここでメケ゛ないで再度発奮できるかどうかが、この先の展望の全てを占うカギだ。ほとんどの人はここで失敗してしまうはずだ。期間の遅い早いこそあれ、必ずこの早期失敗でデブを止められない。ダイエットする気はいつも十分あるのだ。だが、どうしても超えられない自分の甘さという壁。
体力ではない、カロリーではない、要はダイエットに成功しない全ての人々の要因はこの「甘さ」にある。失敗した後は必ずバカ食い。これは愚挙そのものだ。
この壁を超える為に私はある法外な課題を自分に課す事によって、甘さを克服したのだ。
次の章ではそれを述べたい。
 
 

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