1人は遠くへ行った
1人は苦しみ過ぎて立ち止まったまま
1人は走っていった
1人は泣き崩れた後に消えた
1人は無視を仕向けて瞳を合わせない
1人はいつの間にか動かなくなった
1人はしようも無い憧憬だけを追いかけて
1人は去っていった
1人は逃げていった
1人は・・・逝った
そして誰もいなくなった
通りたければ通れば良い
誰も何も言わない 誰も何も聞かない
この扉の向こうに何があるのか
無論 私も
誰がどこへ行こうと誰にも関係は無い
無論 私にも
この扉の番人をして もう 何十年にもなるが
不思議でいて当たり前
怖いことにそれが当たり前になった
誰一人 戻ってきた者はいない
白い装束を身に纏った姿だけ
籠の奥からチラリと見える
誰にも見られてはいけない
誰も触れてはならぬ
これに触れれば災い起ころう
闇の目
後ろから何者かがただ じ・・・と見つめてる
何の為か
企む為か
救う為か
怖くて 恐ろしくて 振り返ったら・・・期待が弾けそうで
後ろの正面 見られない
誰が欲しい
あの娘が欲しい
この娘はいらぬ
やらぬ
よこせ
分かった その代わり
その娘をこちらによこせ
ヒト買い
乙女買い
よこせ
やらぬ
いらぬ
欲しい
ただ 欲望赴くままに
交錯する 罠
誰があなたを殺したの?
それは【私】
私の運命があなたを殺した
誰が引き金を引いたのか?
それは【私】
私の意志で引き金を引いた
誰があなたの死を望んだのか?
それは【私】
私があなたに死んで欲しくなかったから
誰が墓標を刻んだか?
それは【私】
私が埋めてあげたかった
誰が弔鐘を鳴らすだろう?
それは【私】
私にとっては最後の警鐘
誰が【私】を殺したの?
それは【私】
永遠の時間(とき)をあなたと共に
死んでしまったあなたを弔うため
ただ一人で全てを成し遂げた【私】は【私】のため
あなたの眠るその大地の片隅で
最後に残ってくれた銃弾を一発
耳元で聞いて眠りについた
これであなたは永遠のもの
私の小さな独占欲
一羽の烏がかぁかぁ泣き喚く
泥に塗れたカラダを埋めた裸木の枝で
二羽の鶏が悲鳴を上げる
土塊を突付けば沸いてくる 【ココに誰かが眠っている】
三人の少女が気付かぬフリして木の周りで謡う
すると裸の木に薄紅の桜が花開き始めた
通りがかった四人目の老爺 硬く踏みつけられた土を撫ぜる
見つからないよう 見つけられぬよう この下に何が潜んでいるのか
秘密はすぐに暴かれる
五人目の男が掘り返した先に
桜に色を吸い取られ 白く蝋細工のようなヒトの抜け殻
秘密はすぐに守られる
掘り返した穴の中に次に入るは・・・
また一羽の烏が泣き喚いた
作者注意書き
お気付きになった方はいらっしゃるでしょうか?
これは、皆様が良くご存知のわらべうたを元に書いたモノです。
小さい頃は何気なく歌って遊んでいたものですが、要らぬ知識を植え付けられた大人になって改めて見ると・・・このテの歌、薄気味悪く感じませんか?
その感触に正直に、ちょっと遊んでみました。
どれが何の歌なのか?
まぁ、想像してみてください。
アッタマ悪い私が考えたものです、一発で分かるとは思いますけどね・・・。(苦笑)
全問正解者の方、抽選で一名様に・・・何か・・・欲しいですか?(爆死)