暇つぶし
ものすごく暇人な男がいた。暇で暇で仕方がなかった男は、とりあえず身近な所で、暇つぶしを考えた。
セブンスターの星の数を数え、1日中TVをつけっ放しでCMの数を数え、割り切れない計算をどこまで続くか計算した。
それでも男は暇だった。
どうしようもなくなった男は、暇つぶしに政治家になった。
何か刺激があるだろうと期待していた。最初は楽しかったが、後からだんだん退屈してきた男はまた、暇になった。
暇つぶしにいろいろな改革をした。東京のド真ン中にスペースシャトルの開発工場を建てたり、都道府県知事の髪型を全てちょん結げにしてみたり。自分の言うことが次々と現実になっていくのを見るのは楽しかった。それでも、
やはり暇になった。
そんな男のもとに1人の秘書がFAXを持ってきた。
「首相、A国からFAXが届きました。」
「ふむ。」
男はFAXをちらっと見た。秘書は尋ねた。
「どうしますか?」
「・・・暇つぶしに、これに応じてみるか。」
次の日、A国はB国に宣戦布告をした。
第三次世界大戦が始まった。
戦争が始まって男は自ら総司令官となり、作戦を考え、次々と国を滅していった。
それでもやっぱり男は退屈してしまった。
また再び暇になった。
男は見あきた図面をボーッと見た。赤い丸印が付いているのが多い。そこは全て占領したところだ。
男は一息について立った。
「暇つぶしに地球を滅ぼすか・・・。」
数日後、地球はあとかたもなく消えた。
the end
presented by 高倉 雅