No.93:サーキットで事故るな

もう結構前の話になりますが私の元友人がサーキットで車を潰しました。また、私がサーキットにいくのはもっぱら週末なのですが、いくと毎回のように駐車場には週明けに引き取にくるであろうスポーツカーの死体が転がってます。今までサーキットではちょっとした追突をのぞいて、まったく事故というものを経験したことがない私にはちょっと信じがたい話です。私にしてみれば、峠や街中を暴走することに比べるとサーキット走行は非常に安全だと思います。もちろん対向車などいないし、道路は広くて路面状況も良好、そもそも合法です。国家権力におびえる必要もなく、純粋に走りに集中できます。そう思うからこそ私はいままでまわりのいろいろな人にサーキット走行を勧めてきました。でも現状は先に書いたとおり。それまで公道では事故などめったしないような人がサーキットで全損クラスの事故をするのです。だいたい自分の目で見たり話を聞いたりする限りでは、サーキットで事故をする人は下手な奴(初心者)と物凄く上手い(速い)人に集中するようです。私みたいな平平凡凡としたサーキットでは並みの人間には事故は少ないようです。上手い人が事故をするのはまぁおいておいて、なぜ初心者がサーキットで事故を起こすのか。その原因を私なりに考えてみると、

自分の技術をわかっていない
車の性能をわかっていない
サーキットを特別だと勘違いする

こんなところではないかと思う。まぁ私は事故をしたことがないので完全な予想ですが。
自分の腕も車の性能も分かりもしないのに今までやったこともないような高速でのコーナーリングを試みる。そしてクラッシュする。心のどこかで、サーキットだと突然自分の技術が上がって、車の性能も上がると勘違いしてしまうのです。サーキットに行っても自分は自分のままだし、愛車もいつもの通りなんです。そのことをちゃんと理解していればよほどのことがない限り、初心者ごときに大事故など起こせるわけがないのです。
初心者は初心者らしく、自分が下手だとわかって運転すればいいのです。横に彼女を乗せてかっこいいところを見せようとして事故る免許取りたての18歳と同じです。
以前ここのコラムで、私は車の運転の一般的な技術を学ぶために長距離トラックを追いかけたと書きましたが、サーキットでも同じです。自分よりサーキット慣れした人たちの走りをみて、サーキットでの走り方を覚えればいいと思う。
ただ、公道でRX−7を使ってトラックを追いかけるのは、性能差が高いから下手でも何とかなるのですが、サーキットでは初心者がサーキット慣れした車を追いかけることはまず不可能です。私のハチロクに馬力が倍以上あるスカイラインでも追いついてこれないなんて珍しい話ではないのです。だから真後ろから追いかけることはあきらめて、みんなに道を譲りながら見て覚えるのです。だからといって上級者が50kphで曲がるコーナーに自分も50kphで突っ込んだら事故は必死です。ライン、荷重移動等のさまざまなものを総合的に操って運転している上級者と同じことは初心者では絶対にできません。そこは自分なりに補正して、少し早めにブレーキを踏んだりしないとダメです。
限界のコーナーリングなど、一朝一夕にできるものではないのです(私にもできない)。
サーキットになれて自分や車の性能が分かってから徐々に上達を狙っていけばいいのです。

そもそも彼らには何か余裕がない。車の運転は冷静な気持ちで行うのが理想です。スタート前のF1レーサーは気持ちを高ぶらせているのではなく、気持ちを落ち着かせているのです。そうしないと速く正確な走りはできないし、とっさの状況判断もできないのです。
ある程度なれてしまえば、「車の状態が崩れてもうすぐスピンする」という状況も掴めるようになるし、万一コントロールを失っても迅速に回避手段をとれるのです。

初心者は地に足をしっかりとつけて、安全第一で走ってほしいです。

運転が本当に楽しくなるのは初心者を抜けた瞬間からなんですから。

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