No.65:それでも私はオイルを換える1
今回も車ネタでヨロシク。

マイカーを持つ人間ならほぼ誰でも知っていると思われるオイル交換という言葉。
クルマのメンテナンスの中でももっとも重要なものの一つです。
昔私の友人が、「最近クルマの調子が悪い」と言ってきたのでちょっと見てみたらレベルゲージに全くオイルが触れないほどの量しか残ってなくて驚いた事はありますが。
そもそもオイル交換とは何でしょう。自動車にはいろんな所でオイル類が使用されていますが、一般に自動車のオイル交換というとエンジンオイルを交換する事を言います。
エンジンオイル、その名の通りエンジンの中を巡回するオイルです。巡回してエンジンの熱を奪いエンジンの温度の上昇を防ぎます。また、マツダRX−7を除くすべての自動車がエンジンにレシプロ機関を採用しているので、ピストンとシリンダーの間に入って金属摩擦を抑える役割もします。

レシプロ機関:シリンダー内のピストンの上の空間(燃焼室)で、燃料を爆発させ、その力でピストンを上下させて出力を得る機関。

このエンジンオイルを長期交換しないでおくとどうなるか?まず、オイルそのものが劣化して、黒く汚くなり粘度が落ちます。量も少しづつですが減っていきます。余談ですが、RX−7に搭載されているロータリーエンジンは燃焼室内にエンジンオイルを直接噴射するのでオイルの量の減り方が早いです。
劣化したオイルは熱の吸収が悪くなるし、量も減っているのでエンジンの温度の上昇につながります。また、粘土が下がる事によって「油膜切れ」も起こりやすくなります。

油膜切れ:通常、エンジンオイルの巡回によってピストンとシリンダー壁の間には薄くエンジンオイルの油膜が張ってあってピストンとシリンダー壁が直接擦れる事は少ないのだが、エンジンオイルの劣化、エンジンオイルの温度の異常な上昇等の理由でオイルの粘度が下がり、油膜がなくなってしまう事。油膜が切れるとピストン(正確にはピストンリング)とシリンダー壁が直接擦れてしまい、互いに消耗してしまう。そうなるとピストン上部の燃焼室の密閉性が下がり、エンジンオイルが燃焼室内に入ってしまったり(マフラーから異常な白煙が出る)、圧縮された混合気が燃焼室から漏れて爆発力の低下(馬力ダウン)を起こす。車を始動してからいきなり走り出しても(ドライスタート)油膜切れに似たような状態(油膜がまだ張っていない)になりコレもエンジンには良くないとされる。特に気温が低い冬場などは常温でのオイルの粘土が異常に高いのでなかなか膜が張らない。だから暖機運転を行うのである。

エンジンオイルがいかに重要なものであるか少しは理解していただけたでしょうか。エンジンは言うまでもなく車の心臓なので車を長く快適に使っていきたいのであれば定期的なエンジンオイルの交換は必須なのです。ちなみに、エンジンオイルの交換周期は一般に走行距離4000km、もしくは4ヶ月といわれています。基本的にソレを目安にしておくといいと思います。できれば、普段から油圧や油温、エンジンオイルの粘度や色などをチェックしてもらえれば尚良いのですが。

最後に余談ですが、みんな知ってるようで知らないオイルとフルードの違いを。
エンジンやデファレンシャルギヤ、マニュアルミッションのギヤボックスなどに入っているのは「オイル」ですが、ブレーキ(ブレーキホース)やオートマチックトランスミッションのギヤボックスに入っているのは「フルード(フリュード)」と呼ばれます。どちらも触った感じ油なのですが、何が違うのか。
実はオイルもフルードも基本的には同じ物(もちろん細かい成分は違う)なのですが、その働きによって呼び方が違うだけなのです。オイルと呼ぶものは一般に潤滑して機械の冷却や摩擦防止などを行うだけなのですが、油自体が潤滑するだけでなく仕事をしているのをフルードと呼ぶのです。具体的にはブレーキフルードはブレーキペダルに入った蹴力をブレーキパッドまで伝達する仕事を、ATF(オートマチックトランスミッションフルード)は2枚のクラッチ板の間を飛ばして動力を伝達する仕事をしているのです(ATのクラッチ板は実際には2枚接触しない)。

知ってるとちょっと威張れるかも(誰にや?)

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